有価証券報告書-第22期(2025/04/01-2026/03/31)
有報資料
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 経営方針
当社はオンライン金融事業を営むマネックス証券株式会社(日本)及びTradeStation Group, Inc.(米国)並びに暗号資産交換業を営むコインチェック株式会社(日本)を始め、その他国内外に金融関連の子会社及び持分法適用会社を有する持株会社です。なお、マネックス証券株式会社は2024年1月より当社の持分法適用会社となりましたが、当社グループと企業理念やブランド等を共有しており、引き続き重要なグループ会社と考えております。当社グループは、次に掲げる企業理念および行動指針を基に、個人投資家の日々の生活及び資産形成に必要な総合金融サービスの提供を目指していきます。
① 企業理念
MONEXとはMONEYのYを一歩進め、一足先の未来における人の活動を表しています。
常に変化し続ける未来に向けてマネックスグループは、最先端のIT技術と、グローバルで普遍的な価値観とプロフェッショナリズムを備え、新しい時代におけるお金との付き合い方をデザインするとともに、個人の自己実現を可能にし、その生涯バランスシートを最良化することを目指します。
② 行動指針
・自主性をもって事業を創造する
一人一人が、未来のあるべき姿と当社事業の成長のために自ら考え進んでいきます。プロフェッショナル意識を持ち、必要な知識や技術を追求し、自らの価値を高めるよう努めます。
・公正であることを尊重する
多様な背景や考え方を尊重します。一人一人の能力が最大限発揮できる透明性のある公正なチームを構築することで、当社の企業価値の向上につなげるとともに、より良い社会の実現を目指します。
・企業理念の実現に貢献する
私たちのステークホルダーの価値創造に貢献します。未来における人の活動において、生涯バランスシートを最良化するため、何が望まれているかを想像して、個人およびチームが短期的かつ長期的な目標に向かって邁進します。
(2) 目標とする経営指標及び現状の経営環境
当社グループは連結における年度の業績予算を策定していますが、当社グループはオンライン証券ビジネスやクリプトアセットビジネスなどをグローバルに展開しており、経済環境や相場環境等の影響を大きく受けるため、業績予想を行うことが困難な状況にあります。当社の業績予想および収益計画は、投資家に対して誤った情報を提供する可能性があることから適切でないと考えているため、開示しておりません。一方、資本効率に関する目標としてROEが妥当と考えており、15%を達成すべき水準と考えております。
2026年3月期は、証券事業の堅調な推移に加え、アセットマネジメント事業の大幅成長が寄与し、親会社の所有者に帰属する当期利益は109億円と前年を上回る着地となりました。
証券事業では、米国TradeStationが過去最高収益を記録し、グループの収益基盤を力強く支えています。国内のマネックス証券においても、NTTドコモとの連携が数字に結実しました。2026年1月には過去最高の月間口座開設数を更新し、4月には預かり資産が11兆円を突破するなど、着実に成長しています。
アセットマネジメント事業は、運用残高の成長に加え、マネックス・アクティビスト・ファンドの成功報酬やWestfield社の利益貢献により、セグメント利益(税引前利益)は61億円と大幅増益を達成しました。証券・クリプトに続く「第3の柱」として確立された同事業は、今後も高収益な成長エンジンとしてグループのROE向上を牽引していく見込みです。
クリプトアセット事業では、収益源の多角化が進んでいます。「ステーキング収益」が販売所取引の下振れをカバーしたほか、3iQ社の集約により、機関投資家向け運用と個人向けプラットフォームを掛け合わせた新たな市場開拓の土台が整いました。さらに2026年6月には、コインチェックグループはKDDI社との資本業務提携を開始しました。この強力なパートナーシップにより、投資家のみならず、あらゆる生活者の皆様へデジタル資産の世界をより広く開放してまいります。
当社は、規律ある資本政策と戦略的成長を両立し、ROE15%の達成とさらなる企業価値の向上に邁進してまいります。
(3) 対処すべき課題
Ⅰ全社戦略
1) 成長戦略の追求と利益成長
当社グループはROEターゲットを15%と設定しています。当該目標を達成するにあたり、グループ各社の成長戦略を促進しつつ、成長領域への投資によりさらなる利益成長を図ることで、より一層の企業価値向上を目指します(主要セグメントの成長戦略については下記Ⅱ参照)。
2) グループ内シナジーの追求
「資本コストおよび株価を意識した経営」の下、事業ポートフォリオの最適化を図ってきました。アセットマネジメントビジネスやテクノロジー等への利益につながる成長投資を促進するだけでなく、グループ会社間のシナジーをより一層追求していくことで、新たな価値の提供に努めてまいります。
3) 人的資本経営の高度化
当社グループは、グローバルにリテール顧客基盤を有し、伝統的金融(TradFi)に加え、暗号資産・ブロックチェーン等のテクノロジー領域にも取り組むユニークな金融グループです。このような事業特性を支える最大の競争力は、「人」と「技術」を核とした多様な専門人材であり、「人材」を最も重要な経営資源と位置付けています。
金融とテクノロジーの融合が加速し、事業環境が大きく変化する中、グローバルかつ多様なタレントが有機的に連携し、新たな価値創造やイノベーションに挑戦し続けられる組織を構築できるかが、中長期的な成長と企業価値向上の鍵になると考えています。
そのため当社グループでは、プロフェッショナル人材の獲得・育成を強化するとともに、挑戦をフェアに評価するカルチャーの醸成、AI・デジタル領域を含む専門性向上、グループ横断での知見共有や人材連携の強化を推進し、持続的な成長と企業価値向上につなげてまいります。
4) サイバーセキュリティ対策
当社グループは、お客様の重要な資産および個人情報をお預かりする金融機関グループとして、情報セキュリティおよびサイバーセキュリティの強化を、事業継続、顧客保護および企業価値の維持・向上に直結する経営上の重要課題と位置づけております。
近年、生成AI技術の進展等を背景に、サイバー攻撃は世界的に高度化・巧妙化しており、証券事業やクリプトアセット事業をはじめ多様な事業を国内外で展開する当社グループにおいては、特定の事業や地域にとどまらない包括的な対策が不可欠です。
このため、グループCSIRT(Computer Security Incident Response Team)を中心に、国内外の各事業会社および外部専門機関と連携した体制を整備しております。最新の脅威情報の収集・分析、多層防御によるシステムの堅牢化、脆弱性管理、アクセス管理、常時監視体制の高度化等を通じ、サイバー攻撃の未然防止および早期検知に努めております。
また、インシデント発生時の影響を最小限に抑えるため、迅速な初動対応、復旧および再発防止に向けた体制の実効性向上を図るとともに、役職員への継続的な教育・訓練を通じて、組織全体のセキュリティリテラシーおよびサイバーレジリエンスの向上に取り組んでまいります。
Ⅱグループ各社の事業戦略※1
1) 証券事業セグメント
米国のTradeStationは、先物やオプションの取引を行うアクティブトレーダーなど収益貢献度の高い大口顧客にフォーカスし、彼らのニーズに合わせた取引体験を提供することに尽力しています。次世代のプラットフォームであるTITAN XやAIを活用したイノベーションを通じて顧客体験を継続的に向上しています。また、革新的な取引・分析ソリューションを提供するフィンテック企業の顧客の取引も取り込むべく、Trading Viewをはじめとするパートナー企業とのAPI連携も促進しています。さらにコンシェルジュサービスを実施し、専用サポートや高性能ツール・リサーチの提供により顧客の取引体験を向上させ、高付加価値顧客のロイヤリティ向上を目指します。米国および英国における営業組織を強化し、機関投資家への個別対応を推進しています。あわせて、世界中のアクティブトレーダーに選ばれるプラットフォーマーとしての地位確立を目指し、TradeStation Europeを設立してEU域内でのサービス提供に必要なライセンスの取得が完了し、速やかに事業を立ち上げる予定です。
持分法適用会社であるマネックス証券株式会社は、2020年より「アセマネモデル」をビジネスモデルとして掲げ、お客様の資産の増加と当社の収益機会が連動する構造への転換に注力してまいりました。2024年1月に開始した株式会社NTTドコモ(以下、「NTTドコモ」)との資本業務提携は強力なシナジーを創出し、2026年1月には創業来最高となる月間4.7万口座の獲得を達成したほか、2026年3月末時点で預かり資産残高は10.8兆円に達するなど、飛躍的な成長を遂げております。
NTTドコモとの提携開始後2年半で、dポイントを活用した「dアカウント連携」や、dカードでの投信積立サービス、d払いアプリ内で資産形成を始めることができる「かんたん資産運用」のリリースに加え、ドコモショップでの対面サポート開始やNTTグループ従業員向けサービスの展開により、投資初心者を含む顧客基盤の拡大に努めてまいりました。今後も、様々なライフステージのお客様に対するサービスの拡充を図るほか、UI/UXの継続的な改善を最優先課題に据えることで、さらなる利便性の向上と顧客基盤の拡大を目指します。
2) クリプトアセット事業セグメント
当社のクリプトアセット事業は、コインチェックを傘下にもつCoincheck Group N.V.(以下、「CCG」)を中核として展開しております。CCGは、2024年12月の米国ナスダック市場上場以降、上場企業としての知名度・信頼性を活かしつつ、M&Aを通じて事業基盤の拡充を進めてまいりました。具体的には、2025年3月に株式会社Next Finance Tech、同年10月にAplo SASを買収し、2026年2月には、当社グループの組織再編の一環として、3iQ Digital Holdings Inc.のCCG傘下への移管を完了いたしました。
当面は、上場後1年で拡大した事業ポートフォリオを単体最適ではなくグループ最適の観点から再配置し、各機能・プラットフォームを横断的に接続することによるシナジー創出、収益性の向上、ならびに機関投資家対応力の強化に取り組んでいます。具体的には、コインチェックがもつリテール向け事業に加えて、機関投資家向けにカストディやステーキング※2、投資ソリューション等の各サービスをワンストップで提供できる体制整備を進めます。顧客接点の拡大、収益機会の多層化および資本効率の改善を図り、日本をはじめとし、世界の各地域における機関投資家向けサービスにおけるプレゼンスを拡大することで中長期的な企業価値向上を追求していきます。
こうした取組みとあわせて、日本国内における事業基盤のさらなる強化にも注力していきます。引き続き、7年連続ダウンロード数No.1※3のクリプトアプリ”Coincheck”の強みをさらに強化し、サービスラインアップを拡充することで顧客基盤の拡大を図っていきます。加えて、2025年8月には株式会社メルコインと業務提携契約を締結しました。今後、「メルカリ※4」の暗号資産取引サービスにおいて、“Coincheck”の口座開設および暗号資産取引が可能となる予定であり、こうしたアライアンス戦略にも積極的に取り組むことで、国内市場シェアの飛躍的な拡大を目指してまいります。
3) アセットマネジメント・ウェルスマネジメント事業セグメント
マネックス・アセットマネジメント株式会社の運用残高は2026年3月末時点で1兆1,854億円まで拡大しました。ロボアドバイザーサービス「ON COMPASSシリーズ」については、NISA(少額投資非課税制度)の対象かつ高パフォーマンスにより、運用残高が2026年3月末で1,340億円まで拡大しました。また、機関投資家向け私募投信の運用残高は、業界全体が横ばいで推移する中、2026年3月末で9,936億円まで成長しました。さらに、上場企業の資本効率改善と資本市場活性化を追求するファンド「マネックス・アクティビスト・ファンド」の運用パフォーマンスは投資先企業へのエンゲージメント効果もあり好調に推移しており、運用残高は2026年3月末で531億円(年間成長率106%)まで拡大しました。2025年12月に運用を開始したマネックス・ゴールドファンドもその運用残高は順調に拡大しています。
なお、アセットマネジメント事業については、戦略的な投資による成長加速を目指しており、2025年4月には米国中小型株の運用で優れた実績を誇る運用会社Westfield Capital Management Company L.P.に出資し、持分法適用会社化しました。
ウェルスマネジメント事業として、マネックスPB株式会社は、富裕層のお客様向けに対面でのプライベートバンキングサービスを行っています。オンラインだけでは対応できないお客様のニーズに応えるべく、マネックス証券株式会社と連携することによって、外国籍投資信託や私募投資信託、各種外貨建て債券など多数のPB専用の商品サービスをお客様に提供してまいります。また、資産運用のみならず、資産承継や法人の資本政策なども含めた様々なご相談についても、当社グループ各社と連携しております。
※1 当社グループは、2025年3月31日まで「日本」、「米国」、「クリプトアセット事業」、「投資事業」の4つを報告セグメントとしておりましたが、2025年4月1日より「証券事業」、「クリプトアセット事業」、「AM・WM事業」、「投資事業」の4つの報告セグメントに変更しましたので、変更後のセグメントに基づいて記載しています。
※2 保有する暗号資産を一定期間ネットワーク運営に参加させることにより、対価(報酬)を得る仕組みをいいます。対象銘柄、報酬水準、受取条件等は、ネットワーク仕様やサービス内容により異なります。
※3 対象:国内の暗号資産取引アプリ 期間:2019年1月〜2025年12月 データ協力:AppTweak
※4 株式会社メルカリが運営するフリマアプリ。
(1) 経営方針
当社はオンライン金融事業を営むマネックス証券株式会社(日本)及びTradeStation Group, Inc.(米国)並びに暗号資産交換業を営むコインチェック株式会社(日本)を始め、その他国内外に金融関連の子会社及び持分法適用会社を有する持株会社です。なお、マネックス証券株式会社は2024年1月より当社の持分法適用会社となりましたが、当社グループと企業理念やブランド等を共有しており、引き続き重要なグループ会社と考えております。当社グループは、次に掲げる企業理念および行動指針を基に、個人投資家の日々の生活及び資産形成に必要な総合金融サービスの提供を目指していきます。
① 企業理念
MONEXとはMONEYのYを一歩進め、一足先の未来における人の活動を表しています。
常に変化し続ける未来に向けてマネックスグループは、最先端のIT技術と、グローバルで普遍的な価値観とプロフェッショナリズムを備え、新しい時代におけるお金との付き合い方をデザインするとともに、個人の自己実現を可能にし、その生涯バランスシートを最良化することを目指します。
② 行動指針
・自主性をもって事業を創造する
一人一人が、未来のあるべき姿と当社事業の成長のために自ら考え進んでいきます。プロフェッショナル意識を持ち、必要な知識や技術を追求し、自らの価値を高めるよう努めます。
・公正であることを尊重する
多様な背景や考え方を尊重します。一人一人の能力が最大限発揮できる透明性のある公正なチームを構築することで、当社の企業価値の向上につなげるとともに、より良い社会の実現を目指します。
・企業理念の実現に貢献する
私たちのステークホルダーの価値創造に貢献します。未来における人の活動において、生涯バランスシートを最良化するため、何が望まれているかを想像して、個人およびチームが短期的かつ長期的な目標に向かって邁進します。
(2) 目標とする経営指標及び現状の経営環境
当社グループは連結における年度の業績予算を策定していますが、当社グループはオンライン証券ビジネスやクリプトアセットビジネスなどをグローバルに展開しており、経済環境や相場環境等の影響を大きく受けるため、業績予想を行うことが困難な状況にあります。当社の業績予想および収益計画は、投資家に対して誤った情報を提供する可能性があることから適切でないと考えているため、開示しておりません。一方、資本効率に関する目標としてROEが妥当と考えており、15%を達成すべき水準と考えております。
2026年3月期は、証券事業の堅調な推移に加え、アセットマネジメント事業の大幅成長が寄与し、親会社の所有者に帰属する当期利益は109億円と前年を上回る着地となりました。
証券事業では、米国TradeStationが過去最高収益を記録し、グループの収益基盤を力強く支えています。国内のマネックス証券においても、NTTドコモとの連携が数字に結実しました。2026年1月には過去最高の月間口座開設数を更新し、4月には預かり資産が11兆円を突破するなど、着実に成長しています。
アセットマネジメント事業は、運用残高の成長に加え、マネックス・アクティビスト・ファンドの成功報酬やWestfield社の利益貢献により、セグメント利益(税引前利益)は61億円と大幅増益を達成しました。証券・クリプトに続く「第3の柱」として確立された同事業は、今後も高収益な成長エンジンとしてグループのROE向上を牽引していく見込みです。
クリプトアセット事業では、収益源の多角化が進んでいます。「ステーキング収益」が販売所取引の下振れをカバーしたほか、3iQ社の集約により、機関投資家向け運用と個人向けプラットフォームを掛け合わせた新たな市場開拓の土台が整いました。さらに2026年6月には、コインチェックグループはKDDI社との資本業務提携を開始しました。この強力なパートナーシップにより、投資家のみならず、あらゆる生活者の皆様へデジタル資産の世界をより広く開放してまいります。
当社は、規律ある資本政策と戦略的成長を両立し、ROE15%の達成とさらなる企業価値の向上に邁進してまいります。
(3) 対処すべき課題
Ⅰ全社戦略
1) 成長戦略の追求と利益成長
当社グループはROEターゲットを15%と設定しています。当該目標を達成するにあたり、グループ各社の成長戦略を促進しつつ、成長領域への投資によりさらなる利益成長を図ることで、より一層の企業価値向上を目指します(主要セグメントの成長戦略については下記Ⅱ参照)。
2) グループ内シナジーの追求
「資本コストおよび株価を意識した経営」の下、事業ポートフォリオの最適化を図ってきました。アセットマネジメントビジネスやテクノロジー等への利益につながる成長投資を促進するだけでなく、グループ会社間のシナジーをより一層追求していくことで、新たな価値の提供に努めてまいります。
3) 人的資本経営の高度化
当社グループは、グローバルにリテール顧客基盤を有し、伝統的金融(TradFi)に加え、暗号資産・ブロックチェーン等のテクノロジー領域にも取り組むユニークな金融グループです。このような事業特性を支える最大の競争力は、「人」と「技術」を核とした多様な専門人材であり、「人材」を最も重要な経営資源と位置付けています。
金融とテクノロジーの融合が加速し、事業環境が大きく変化する中、グローバルかつ多様なタレントが有機的に連携し、新たな価値創造やイノベーションに挑戦し続けられる組織を構築できるかが、中長期的な成長と企業価値向上の鍵になると考えています。
そのため当社グループでは、プロフェッショナル人材の獲得・育成を強化するとともに、挑戦をフェアに評価するカルチャーの醸成、AI・デジタル領域を含む専門性向上、グループ横断での知見共有や人材連携の強化を推進し、持続的な成長と企業価値向上につなげてまいります。
4) サイバーセキュリティ対策
当社グループは、お客様の重要な資産および個人情報をお預かりする金融機関グループとして、情報セキュリティおよびサイバーセキュリティの強化を、事業継続、顧客保護および企業価値の維持・向上に直結する経営上の重要課題と位置づけております。
近年、生成AI技術の進展等を背景に、サイバー攻撃は世界的に高度化・巧妙化しており、証券事業やクリプトアセット事業をはじめ多様な事業を国内外で展開する当社グループにおいては、特定の事業や地域にとどまらない包括的な対策が不可欠です。
このため、グループCSIRT(Computer Security Incident Response Team)を中心に、国内外の各事業会社および外部専門機関と連携した体制を整備しております。最新の脅威情報の収集・分析、多層防御によるシステムの堅牢化、脆弱性管理、アクセス管理、常時監視体制の高度化等を通じ、サイバー攻撃の未然防止および早期検知に努めております。
また、インシデント発生時の影響を最小限に抑えるため、迅速な初動対応、復旧および再発防止に向けた体制の実効性向上を図るとともに、役職員への継続的な教育・訓練を通じて、組織全体のセキュリティリテラシーおよびサイバーレジリエンスの向上に取り組んでまいります。
Ⅱグループ各社の事業戦略※1
1) 証券事業セグメント
米国のTradeStationは、先物やオプションの取引を行うアクティブトレーダーなど収益貢献度の高い大口顧客にフォーカスし、彼らのニーズに合わせた取引体験を提供することに尽力しています。次世代のプラットフォームであるTITAN XやAIを活用したイノベーションを通じて顧客体験を継続的に向上しています。また、革新的な取引・分析ソリューションを提供するフィンテック企業の顧客の取引も取り込むべく、Trading Viewをはじめとするパートナー企業とのAPI連携も促進しています。さらにコンシェルジュサービスを実施し、専用サポートや高性能ツール・リサーチの提供により顧客の取引体験を向上させ、高付加価値顧客のロイヤリティ向上を目指します。米国および英国における営業組織を強化し、機関投資家への個別対応を推進しています。あわせて、世界中のアクティブトレーダーに選ばれるプラットフォーマーとしての地位確立を目指し、TradeStation Europeを設立してEU域内でのサービス提供に必要なライセンスの取得が完了し、速やかに事業を立ち上げる予定です。
持分法適用会社であるマネックス証券株式会社は、2020年より「アセマネモデル」をビジネスモデルとして掲げ、お客様の資産の増加と当社の収益機会が連動する構造への転換に注力してまいりました。2024年1月に開始した株式会社NTTドコモ(以下、「NTTドコモ」)との資本業務提携は強力なシナジーを創出し、2026年1月には創業来最高となる月間4.7万口座の獲得を達成したほか、2026年3月末時点で預かり資産残高は10.8兆円に達するなど、飛躍的な成長を遂げております。
NTTドコモとの提携開始後2年半で、dポイントを活用した「dアカウント連携」や、dカードでの投信積立サービス、d払いアプリ内で資産形成を始めることができる「かんたん資産運用」のリリースに加え、ドコモショップでの対面サポート開始やNTTグループ従業員向けサービスの展開により、投資初心者を含む顧客基盤の拡大に努めてまいりました。今後も、様々なライフステージのお客様に対するサービスの拡充を図るほか、UI/UXの継続的な改善を最優先課題に据えることで、さらなる利便性の向上と顧客基盤の拡大を目指します。
2) クリプトアセット事業セグメント
当社のクリプトアセット事業は、コインチェックを傘下にもつCoincheck Group N.V.(以下、「CCG」)を中核として展開しております。CCGは、2024年12月の米国ナスダック市場上場以降、上場企業としての知名度・信頼性を活かしつつ、M&Aを通じて事業基盤の拡充を進めてまいりました。具体的には、2025年3月に株式会社Next Finance Tech、同年10月にAplo SASを買収し、2026年2月には、当社グループの組織再編の一環として、3iQ Digital Holdings Inc.のCCG傘下への移管を完了いたしました。
当面は、上場後1年で拡大した事業ポートフォリオを単体最適ではなくグループ最適の観点から再配置し、各機能・プラットフォームを横断的に接続することによるシナジー創出、収益性の向上、ならびに機関投資家対応力の強化に取り組んでいます。具体的には、コインチェックがもつリテール向け事業に加えて、機関投資家向けにカストディやステーキング※2、投資ソリューション等の各サービスをワンストップで提供できる体制整備を進めます。顧客接点の拡大、収益機会の多層化および資本効率の改善を図り、日本をはじめとし、世界の各地域における機関投資家向けサービスにおけるプレゼンスを拡大することで中長期的な企業価値向上を追求していきます。
こうした取組みとあわせて、日本国内における事業基盤のさらなる強化にも注力していきます。引き続き、7年連続ダウンロード数No.1※3のクリプトアプリ”Coincheck”の強みをさらに強化し、サービスラインアップを拡充することで顧客基盤の拡大を図っていきます。加えて、2025年8月には株式会社メルコインと業務提携契約を締結しました。今後、「メルカリ※4」の暗号資産取引サービスにおいて、“Coincheck”の口座開設および暗号資産取引が可能となる予定であり、こうしたアライアンス戦略にも積極的に取り組むことで、国内市場シェアの飛躍的な拡大を目指してまいります。
3) アセットマネジメント・ウェルスマネジメント事業セグメント
マネックス・アセットマネジメント株式会社の運用残高は2026年3月末時点で1兆1,854億円まで拡大しました。ロボアドバイザーサービス「ON COMPASSシリーズ」については、NISA(少額投資非課税制度)の対象かつ高パフォーマンスにより、運用残高が2026年3月末で1,340億円まで拡大しました。また、機関投資家向け私募投信の運用残高は、業界全体が横ばいで推移する中、2026年3月末で9,936億円まで成長しました。さらに、上場企業の資本効率改善と資本市場活性化を追求するファンド「マネックス・アクティビスト・ファンド」の運用パフォーマンスは投資先企業へのエンゲージメント効果もあり好調に推移しており、運用残高は2026年3月末で531億円(年間成長率106%)まで拡大しました。2025年12月に運用を開始したマネックス・ゴールドファンドもその運用残高は順調に拡大しています。
なお、アセットマネジメント事業については、戦略的な投資による成長加速を目指しており、2025年4月には米国中小型株の運用で優れた実績を誇る運用会社Westfield Capital Management Company L.P.に出資し、持分法適用会社化しました。
ウェルスマネジメント事業として、マネックスPB株式会社は、富裕層のお客様向けに対面でのプライベートバンキングサービスを行っています。オンラインだけでは対応できないお客様のニーズに応えるべく、マネックス証券株式会社と連携することによって、外国籍投資信託や私募投資信託、各種外貨建て債券など多数のPB専用の商品サービスをお客様に提供してまいります。また、資産運用のみならず、資産承継や法人の資本政策なども含めた様々なご相談についても、当社グループ各社と連携しております。
※1 当社グループは、2025年3月31日まで「日本」、「米国」、「クリプトアセット事業」、「投資事業」の4つを報告セグメントとしておりましたが、2025年4月1日より「証券事業」、「クリプトアセット事業」、「AM・WM事業」、「投資事業」の4つの報告セグメントに変更しましたので、変更後のセグメントに基づいて記載しています。
※2 保有する暗号資産を一定期間ネットワーク運営に参加させることにより、対価(報酬)を得る仕組みをいいます。対象銘柄、報酬水準、受取条件等は、ネットワーク仕様やサービス内容により異なります。
※3 対象:国内の暗号資産取引アプリ 期間:2019年1月〜2025年12月 データ協力:AppTweak
※4 株式会社メルカリが運営するフリマアプリ。