四半期報告書-第74期第2四半期(平成29年7月1日-平成29年9月30日)

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2017/11/14 14:01
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財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1) 業績の状況
当第2四半期連結累計期間におけるわが国経済は、緩やかな回復基調が続いております。先行きにつきましては、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかな回復に向かうことが期待されますが、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動の影響に留意する必要がある状況となっております。
航空業界におきましては、航空自由化(オープンスカイ)やLCC(ロー・コスト・キャリア)の路線拡大等による競争の激化、上下一体化による効率運営を目指した空港経営改革や首都圏空港の機能強化の具体化に向けた動きが進むなか、政府は「観光先進国」という新たな挑戦に向けて訪日外国人旅客数について2020年の目標値を4,000万人としており、2016年の訪日外国人旅客数は2,400万人を超えるなど、事業環境は大きく変化しつつあり、一層競争力強化に向けた取組みが求められております。
当第2四半期連結累計期間の航空旅客数につきましては、羽田空港国内線、羽田空港・成田空港・関西空港の国際線の航空旅客数はいずれも前年同期を上回っております。
このような状況の中、当社グループは、全てのステークホルダーに満足していただける空港を目指すとともに、事業及び収益機会を創造し、持続的成長を果たすべく、長期ビジョンとして「To Be a World Best Airport」を掲げました。その長期ビジョンに基づき、中期経営計画(平成28年度から平成32年度)を策定し、羽田空港の「あるべき姿」の追求、強みを活かした事業領域の拡大・収益多元化、収益基盤再構築・競争優位の確立を戦略の3本柱とし、その実践基盤として組織・ガバナンスの再編・強化に取り組んでおります。
羽田空港の強みを活かした事業領域の拡大・収益多元化につきましては、本年5月に、ビジネスパーソンをターゲットとしたビジネスモールプロジェクトの第1フェーズとして、レンタルオフィス、会議室、ビジネスラウンジとしてご利用いただける「リージャスエクスプレス」を羽田空港国内線第1旅客ターミナルのマーケットプレイス5階にオープンいたしました。さらに、お台場に家電製品を中心に外国人旅客に人気のアイテムを取り揃えた「Air BIC CAMERA」を、羽田空港国際線旅客ターミナルビル、成田空港に次ぐ3店舗目として開業いたしました。また、本年4月にリニューアルオープンした2つのラウンジに続き、9月25日に3店舗目となる羽田空港国内線第1旅客ターミナルに有料ラウンジ「POWER LOUNGE NORTH」をリニューアルオープンしたほか、ショッピングWEBサイト「HANEDA Shopping」及び免税品事前注文WEBサイト「JAPAN DUTY FREE」等をリニューアルいたしました。空港型市中免税店「Japan Duty Free GINZA」につきましては、各種集客対策に努めた結果、順調に推移いたしました。今後も引き続き中長期的な増加が見込まれる訪日外国人による国内消費の機会を捉え、収益の確保に努めてまいります。
以上の結果、当第2四半期連結累計期間の業績につきましては、営業収益は 1,080億6千6百万円(前年同期比 8.2%増)、営業利益は 67億4千8百万円(前年同期比 51.2%増)、経常利益は 87億4千8百万円(前年同期比 40.3%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は 61億9千3百万円(前年同期比 44.2%増)となりました。
なお、羽田空港旅客ターミナルビルは、本年3月に英国SKYTRAX社が実施する2017年国際空港評価の空港総合評価である「World's Best Airports」において昨年の4位から大きく順位を上げ、世界第2位を受賞しました。また、部門賞である「The World's Cleanest Airports」については2年連続(4回目)の世界第1位、「World's Best Domestic Airports」では5年連続で世界第1位となりました。また、9月には世界最高水準の旅客ターミナルビルであると評価され「5スターエアポート」を4年連続で獲得いたしました。今後もこれに満足することなく、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、今まで以上に羽田空港全体で連携しながら、空港を利用されるお客様を第一に考え、安全性はもちろん、利便性、快適性及び機能性に優れたサービスを提供し、お客様から信頼され続ける世界ナンバーワン品質の旅客ターミナルビルを目指し、航空輸送の発展に貢献してまいりたいと考えております。
羽田空港におきましては、現在、更なる首都圏空港の機能強化に向け、国において、地元のご理解をいただけるよう、住民説明会などを通じた丁寧な情報提供を行っているところです。
このような状況の下、地元のご理解をいただきつつ、施設整備に着手しており、この一環として、東京国際空港ターミナル株式会社(以下「TIAT」という。)としては、国際線旅客ターミナルビルの拡充計画を進めており、同施設の拡充に要する資金調達計画の一つとして、新株発行により株主から資金を調達する計画を策定いたしました。
これを受け、当社はTIATの代表企業としての責務を果たし、本事業のさらなる確実な実施に向けて協力していくため、TIATが発行する株式を追加取得することとし、これにより、国内線旅客ターミナルビル事業者である当社と国際線旅客ターミナルビル事業者であるTIATとが連携して、羽田空港の最大の特色である国内線・国際線ハブ機能を十分に発揮して利用者利便のさらなる向上を図ってまいりたいと考えております。
なお、当社が同社株式を追加取得すると、当社の株式持分は51%となることから、TIATは現在の関連会社で持分法適用会社から、連結子会社となります。追加取得日は平成30年4月27日の予定であります。詳細は「第4 経理の状況 四半期連結財務諸表 注記事項(追加情報)」をご覧下さい。
セグメント別の業績は次のとおりであります。なお、営業利益はセグメント利益に該当します。
(施設管理運営業)
家賃収入につきましては、羽田空港国内線旅客ターミナルビルにおける航空会社事務室の貸増等により、前年同期を上回りました。
施設利用料収入につきましては、国内線航空旅客数の増加により、国内線旅客取扱施設利用料が増加となる等、前年同期を上回りました。
その他の収入につきましては、羽田空港国際線旅客ターミナルビルにおける業務受託料収入や、請負工事収入の増加等により、前年同期を上回りました。
その結果、施設管理運営業の営業収益は 292億9千4百万円(前年同期比 6.1%増)、営業利益は業務委託費の増加や国有財産一時使用料の増加等があったものの、37億8千7百万円(前年同期比 13.1%増)となりました。
(物 品 販 売 業)
国内線売店売上につきましては、国内線航空旅客数の増加等により、前年同期を上回りました。
国際線売店売上につきましては、関西空港において一部店舗の契約形態を変更したこと等による減収があったものの、空港型市中免税店の増収があったこと等により、前年同期を上回りました。
その他の売上(卸売)につきましては、羽田空港国際線旅客数の増加に伴い、同ターミナルビル店舗への卸売が好調に推移したこと等により、前年同期を上回りました。
その結果、物品販売業の営業収益は 703億1千万円(前年同期比 9.7%増)、営業利益は空港型市中免税店での売上総利益の増加や営業費用の減少があったこと等により、52億1千5百万円(前年同期比 57.6%増)となりました。
(飲 食 業)
飲食店舗売上につきましては、国内線航空旅客数の増加等により、前年同期を上回りました。
機内食売上につきましては、顧客である外国航空会社の搭乗率の増加や新規取引等により、前年同期を上回りました。
その他の売上につきましては、羽田空港国際線旅客ターミナルビルでの業務受託料収入の増加等により、前年同期を上回りました。
その結果、飲食業の営業収益は 111億6千9百万円(前年同期比 4.4%増)、営業利益は各種コスト削減効果もあり、4億4千1百万円(前年同期比 19.2%増)となりました。

(2)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、前連結会計年度末に比べ 86億5千6百万円増加し、403億7千2百万円となりました。
当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、前第2四半期連結累計期間に比べ 89億4千3百万円増加(前年同期比386.2%増)し、112億5千8百万円となりました。
これは主に、その他の流動負債が増加したこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、前第2四半期連結累計期間に比べ 18億9千万円減少(前年同期比25.6%減)し、54億9千8百万円となりました。
これは主に、有形固定資産の取得による支出が減少したこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、前第2四半期連結累計期間に比べ 22億8千万円減少(前年同期比33.7%減)し、44億9千2百万円となりました。
これは主に、長期借入金の返済による支出が減少したこと等によるものであります。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
当社グループは、全てのステークホルダーに満足していただける空港を目指すとともに、事業及び収益機会を創造し、持続的成長を果たすべく、長期ビジョンとして「To Be a World Best Airport」を掲げました。その長期ビジョンに基づき、中期経営計画(平成28年度から平成32年度)を策定し、羽田空港の「あるべき姿」の追求、強みを活かした事業領域の拡大・収益多元化、収益基盤再構築・競争優位の確立を戦略の3本柱とし、その実践基盤として組織・ガバナンスの再編・強化に取り組んでおります。
航空業界におきましては、航空自由化やLCCの路線拡大等による競争の激化、上下一体化による効率運営を目指した空港経営改革や首都圏空港の機能強化の具体化に向けた動きが進む中、政府は「観光先進国」という新たな挑戦に向けて訪日外国人旅客数について2020年の目標値を4,000万人としており、2016年の訪日外国人旅客数は2,400万人を超えるなど、事業環境は大きく変化しつつあり、一層競争力強化に向けた取組みが求められております。
当社グループはこのような変化に対応するため、羽田空港の基盤強化はもとより、これまでに培ったノウハウを活かした空港外での事業展開を始め、より一層競争力強化に向けた取組みが必要であると考えております。
具体的には、2020年の東京オリンピック・パラリンピック及び羽田空港のさらなる首都圏空港の機能強化に向けて、確実に対応することが挙げられます。特に後者については、昨年12月に、国土交通省の「平成29年度航空局関係予算決定概要」に盛り込まれたこともあり、当社としては、国内線第2旅客ターミナルビルの一部国際化等の計画を着実に推進してまいります。
羽田空港における首都圏空港の機能強化につきましては、国において、地元のご理解をいただけるよう、住民説明会などを通じた丁寧な情報提供を行っているところです。
このような状況の下、地元のご理解をいただきつつ、施設整備に着手しており、この一環として、東京国際空港ターミナル株式会社(以下「TIAT」という。)としては、国際線旅客ターミナルビルの拡充計画を進めており、同施設の拡充に要する資金調達計画の一つとして、新株発行により株主から資金を調達する計画を策定いたしました。
これを受け、当社はTIATの代表企業としての責務を果たし、本事業のさらなる確実な実施に向けて協力していくため、TIATが発行する株式を追加取得することとし、これにより、国内線旅客ターミナルビル事業者である当社と国際線旅客ターミナルビル事業者であるTIATとが連携して、羽田空港の最大の特色である国内線・国際線ハブ機能を十分に発揮して利用者利便のさらなる向上を図ってまいりたいと考えております。
空港外での事業展開におきましては、海外での空港運営事業としては初めてとなるパラオ国際空港の運営事業に、双日株式会社とともに参画しており、当社の羽田空港旅客ターミナルビルの運営で有する品質管理等のノウハウを、パラオ国際空港の利便性の向上や収益力の強化に生かしていく予定であります。今後も羽田空港で培った当社の経験とノウハウを活かして国内外空港の運営権等の入札案件へ積極的に参加し、コンサルティング業務の提供や国プロジェクト等への技術協力を行うことを通じ、収益機会の拡大を推進してまいります。
また、日本の玄関口として世界最高水準の安全性確保はもとより、地方創生事業の推進や最先端技術の導入を図りながら、SKYTRAX社の空港評価における連続受賞など羽田空港の包括的なブランディングに努めてまいります。そして、他業種との連携や羽田空港外への展開により事業領域の拡大を進めるとともに、羽田空港国内線旅客ターミナルビルの顧客満足度の向上と収益拡大に向けた施設の改修やオペレーション改善による効率化など、確固たる羽田空港の基盤強化に努めてまいります。
営業面における当面の課題としては市中免税店事業への対策が柱となりますが、中長期的にも増加が見込まれる訪日外国人による国内消費を確実に取り込むべく、必要な施策を実施してまいります。当社を取り巻く事業環境の変化及び課題を的確に捉えつつ、新たな価値を創造する環境の整備や株主・投資家に対する対話機会の拡大と各施策の確実性を高めるために組織・ガバナンスの再編・強化を図りながら、中期経営計画を推進してまいります。
当社は、空港法に基づく、羽田空港における国内線旅客ターミナルビルを建設・管理運営する空港機能施設事業者としての責務を果たすべく、今後とも日本経済や航空業界の動向等を見極め、公共性と企業性の調和という基本理念と中期経営計画に基づき、グループ一丸となって旅客ターミナルビルの利便性、快適性及び機能性の向上を目指し、顧客第一主義と絶対安全の確立に努め、絶え間ない羽田空港の価値創造と航空輸送の発展に貢献することにより、企業価値の向上を図ってまいります。
当社の会社支配に関する基本方針、及び会社支配に関する基本方針の実現に資する特別な取組み、並びに会社支配に関する基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みの各概要は以下のとおりです。
①会社の支配に関する基本方針
当社は、当社株式の大規模買付行為が行われる場合に、これを受け入れるか否かの最終的な判断はその時点における株主の皆様に委ねられるべきものであると考えます。
当社は羽田空港において、航空系事業として、国内線旅客ターミナルビルの建設、管理運営を行うとともに、国際線旅客ターミナルビルを建設、管理運営する東京国際空港ターミナル株式会社の筆頭株主として、同社から国際線旅客ターミナルビルの主要な運営業務の一括受託などを行っております。一方、非航空系事業として、羽田空港、成田国際空港、関西国際空港並びに中部国際空港において物品販売業等を営み、その収益を基盤として航空界の急速な発展に即応した旅客ターミナルビルの拡充整備に努めており、また、これまで培ったノウハウを活かした空港外での事業展開を図ってまいりました。そのため、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、旅客ターミナル事業の有する高度の安全性と公共性についての適切な認識に加え、当社の企業価値の源泉をなす重要な経営資源(独創性の高い技術・ノウハウ、特定の市場分野における知識・情報、長期にわたり醸成された取引先との深い信頼関係、専門分野に通暁した質の高い人材等)への理解が不可欠であると考えます。
また、中長期的な増加が見込まれる訪日外国人による国内消費を取り込む施策を実施し、これらを支える、新たな価値を創造する環境の整備や株主・投資家に対する対話機会の拡大と各施策の確実性を高めるために組織・ガバナンスの再編・強化を図りながら、中期経営計画を邁進してまいります。
当社は、当社の事業活動や事業方針等を株主及び投資家の皆様にご理解いただくようIR活動に努めておりますものの、大規模買付行為を行おうとする者(以下「大規模買付者」といいます。)が突然現れた場合に、当該大規模買付行為が当社の企業価値ひいては株主共同の利益に与える影響について株主の皆様が短期間の内に適切に判断するためには、大規模買付者及び当社取締役会の双方から、大規模買付行為が当社に与える影響や、大規模買付者が計画する当社の経営に参画した場合の経営方針、事業計画の内容等の情報が適切かつ十分に提供されることが不可欠と考えます。さらに、当該大規模買付行為に関する当社取締役会による検討結果等の提示は、株主の皆様の判断に資するものであると考えます。
以上を考慮した結果、当社としましては、大規模買付行為が行われる場合には、大規模買付者において、株主の皆様の判断のために、当社が設定して事前に開示する一定のルールに従って、大規模買付行為に関する必要かつ十分な情報を当社取締役会に事前に提供していただく必要があると考えております。また、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を毀損することとなる悪質な当社株式の大規模買付行為を防止するため、大規模買付者に対して相応の質問や大規模買付者の提案内容等の改善を要求し、あるいは株主の皆様にメリットのある相当な代替案が提示される機会を確保し、さらには当該大規模買付ルールを遵守しない大規模買付行為に対しては企業価値ひいては株主共同の利益の維持・向上の観点から相当な措置がとられる必要があると考えております。
②会社の支配に関する基本方針の実現に資する特別な取組み
当社は、会社の支配に関する基本方針の実現に資する特別な取組みとして、下記③で記載するもののほか、以下の取組みを行い、企業価値ひいては株主共同の利益の維持・向上に努めております。
(ⅰ)中期経営計画に基づく取組み
当社は、旅客ターミナルビルにおける絶対安全の確立のため、さらなる安全対策強化に全力を傾注するとともに、羽田空港国内線第1旅客ターミナルビル及び第2旅客ターミナルビルの一体的運営による一層の効率化を図り、運営諸費用の増加等への対策に努めております。また、東京国際空港ターミナル株式会社を建設、管理運営主体とする国際線旅客ターミナルビルにつきましては、同社の筆頭株主として、主要な運営業務の一括受託などを行っております。併せてお客様本位の旅客ターミナルビルの運営を目指し、当社グループCS理念「訪れる人に安らぎを、去り行く人にしあわせを」の下、顧客第一主義を徹底するほか、積極的な人材育成を図り、全社を挙げて一層のサービス向上、さらなる収益の向上に努めることとし、中期経営計画に基づく諸施策に積極的に取り組んでおります。
こうした中、当社グループの営業の基幹となる羽田空港につきましては、平成25年に閣議決定された日本再興戦略に首都圏空港機能の更なる強化が盛り込まれたほか、いわゆる民活空港運営法が施行され、滑走路等の空港基本施設と旅客ターミナルビル等の空港機能施設の一体運営・民営化を目指す国管理空港等の経営改革の動きが更に具体化するなど、取巻く環境は大きく変化しつつあります。また、航空自由化やLCCの路線拡大等による競争の激化、上下一体化による効率運営を目指した空港経営改革や首都圏空港の機能強化の具体化に向けた動きへと進むなか、政府は「観光先進国」という新たな挑戦に向けて訪日外国人旅客数について2020年の目標値を2,000万人から4,000万人へ大幅に上方修正しており、2016年の訪日外国人旅客数は2,400万人を超えるなど、事業環境は大きく変化しつつあり、首都圏空港機能はさらに飛躍的な強化が求められております。
当社グループはこのような変化に対応するため、羽田空港の基盤強化はもとより、これまでに培ったノウハウを活かした空港外での事業展開を始め、より一層競争力強化に向けた取組みが必要であると考えております。
以上のことを背景に、当社グループは、全てのステークホルダーに満足いただける空港を目指しながら、事業及び収益機会を創造し、持続的成長を果たすべく、長期ビジョンとして「To Be a World Best Airport」を掲げ、その長期ビジョンに基づき、中期経営計画(平成28年度から平成32年度)におきましては、羽田空港の「あるべき姿」の追求、強みを活かした事業領域の拡大・収益多元化、収益基盤再構築・競争優位の確立を戦略の3本柱とし、その実践基盤として組織・ガバナンスの再編・強化に取り組んでまいります。
具体的には、2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けた確実な対応とともに、日本の玄関口として世界最高水準の安全性確保はもとより、地方創生事業の推進や最先端技術の導入を図りながら、SKYTRAXの連続受賞など羽田空港の包括的なブランディングに努めてまいります。また、他業種との連携や羽田空港外への展開により事業領域の拡大を進めるとともに、羽田空港国内線旅客ターミナルビルの顧客満足度の向上と収益拡大に向けた施設の改修やオペレーション改善による効率化など、確固たる羽田空港の基盤強化に努めてまいります。営業面における当面の課題としては市中免税店事業への対策が柱となりますが、中長期的な増加が見込まれる訪日外国人による国内消費を確実に取り込むべく、必要な施策を実施してまいります。あわせて、これらを支えるべく、新たな価値を創造する環境の整備や株主・投資家に対する対話機会の拡大と各施策の確実性を高めるために組織・ガバナンスの再編・強化を図りながら、中期経営計画を推進してまいります。
(ⅱ)コーポレート・ガバナンスの強化充実に向けた取組み
(ア)コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方
当社はコーポレート・ガバナンスが経営上重要な問題であるとの基本的認識に立ち、経営の透明性の確保を図るため、創業以来、社外取締役及び社外監査役を選任しております。原則毎月1回開催される取締役会は、常勤取締役11名、独立役員2名を含む非常勤の社外取締役4名で構成され、経営の基本方針、法令で定められた事項やその他経営に関する重要事項を決定するとともに業務執行状況の監督機能を果たしております。監査役会は、常勤監査役2名、独立役員2名を含む非常勤の社外監査役3名で構成され、監査役は、取締役会やその他重要な会議に出席し、取締役の業務執行の適法性、妥当性及び経営の透明性、健全性を監視できる体制となっております。
(イ)会社の機関の内容
当社の取締役会は、非常勤の社外取締役4名を含む15名の取締役で構成されております。取締役会は原則毎月1回開催しており、経営の基本方針、法令で定められた事項やその他経営に関する重要事項を決定するとともに業務執行状況の監督機能を果たしております。また、常勤取締役及び執行役員等で構成される経営会議を原則毎週1回開催し、取締役会で決定した経営方針に基づき、業務執行に関する基本方針及び重要事項を審議し、あわせて業務全般にわたる監理を行っております。
さらに、経営環境の変化に迅速に対応するため取締役および執行役員の任期を1年にしております。
当社は監査役制度を採用しており、常勤監査役は2名、非常勤の社外監査役は3名となっております。監査役は、取締役会やその他の重要な会議に出席し、取締役の業務執行の適法性、妥当性及び経営の透明性、健全性を監視しております。
これらに加え、取締役の報酬等の透明性、妥当性及び客観性を確保することを目的に、社外取締役及び社外監査役と代表取締役社長で構成する報酬諮問委員会を設置し、原則年1回開催することとしております。
社外取締役の関係する会社と当社の間には、旅客ターミナルビルの賃貸、乗車券受託販売等の取引がありますが、いずれも会社間での一般的な取引であり、社外取締役個人が直接利害関係を有する取引はありません。
会計監査の状況につきましては、会社法及び金融商品取引法に基づく法定監査を新日本有限責任監査法人に依頼しており、同監査法人及び当社監査に従事する同監査法人の業務執行社員と当社との間には、特別の利害関係はありません。
リスク管理につきましては、リスクマネジメントの基本方針等を定めたリスク管理規程を遵守するとともに、リスク調査により抽出された課題への対応策に取り組み、対応状況を適宜経営会議等に報告しております。関係会社についても、当社取締役が各子会社の重要な会議に参加し監督するとともに、関係会社管理規程に基づき、当社代表取締役社長が議長を務めるグループ経営会議を開催して、各子会社の業務執行状況等の報告を受ける等して、関係会社の管理・監督を行っております。
(ウ)内部統制システムの整備の状況
当社の業務の適正を確保するための体制の整備に関する取締役会決議の内容の概要は以下のとおりです。
Ⅰ.取締役、執行役員及び使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制
A) コンプライアンス宣言を発し、グループ全体でコンプライアンス向上に取り組む決意表明を行うとともに、コンプライアンス基本指針により、役員及び使用人の行動規範を定め、コンプライアンス推進委員会規程に基づき代表取締役社長を委員長とし、各子会社社長が委員を務めるコンプライアンス推進委員会を設置する等、その推進のための体制を整えている。
B) コンプライアンス情報窓口(通報制度)を設置し、違法行為等の発生防止と万一発生したときにおける会社への影響を極小化するための体制をとっている。
C) コンプライアンス統括部門が中心となり、研修会・説明会を開催し、コンプライアンスの徹底を図ることとしている。
D) 取締役会規程及び経営会議規程を整備し、それらの会議体において各取締役の職務の執行状況について報告がなされる体制を整えている。
E) 組織規程、就業規則等、法令及び定款に基づく各種社内規程を制定し、これに従い職務の執行がなされる体制を整えている。
F) 内部監査部門において各部門における職務執行の状況を監査する体制を整えている。
Ⅱ.取締役の職務の執行に係る情報の保存及び管理に関する体制
取締役の職務の執行に係る情報について、文書管理に関する社内規則に従い適切に保存及び管理を行うこととしている。
Ⅲ.損失の危険の管理に関する規程その他の体制
A) リスク管理に係る体制を整備するため、リスク管理規程を制定している。
B) 内部監査部門は各部門のリスクを定期的に洗出しした上、リスク情報として提供し、各部門が対応することとしている。
C) 全社的リスク等重要性が高いと評価されたリスクについては、経営企画部を中心として各部門がリスクを未然に防止するための対応策をとりまとめ、適宜経営会議及びグループ経営会議等へ報告することとしている。
Ⅳ.取締役の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制
A) 「取締役会」は取締役会規程に基づき原則毎月1回、子会社においては原則3カ月に1回開催しており、経営の基本方針、法令で定められた事項やその他経営に関する重要事項を決定するとともに、業務執行状況の監督機能を果たしている。
B) 「経営会議」は経営会議規程に基づき常勤取締役及び執行役員等が出席し、原則毎週1回、子会社においては月2回程度開催しており、取締役会で決定した経営方針に基づき、業務執行に関する基本方針及び重要事項を審議し、あわせて業務全般にわたる監理を行っている。
C) 取締役の職務の確実かつ効率的な運営を図るため、組織規程を定めている。
D) 会社の業務執行に関する各職位の責任と権限を明確にし、会社業務の効率的・組織的運営を図ることを目的とし、職務権限規程を定めている。
E) 平成21年4月1日以降は、執行役員制度を導入し、監督と執行の分離及び意思決定の迅速化を図るとともに、執行機能の向上を図るため、「常務会」を「経営会議」に改組し、執行役員もこれに出席できることとしている。
Ⅴ.株式会社並びにその親会社及び子会社から成る企業集団における業務の適正を確保するための体制
A) 関係会社管理規程を制定し、親会社による子会社の管理、親会社・子会社間の業務の適正に関する基本方針を定め、グループ会社の業務執行の適正を確保する体制を整えている。
B) 関係会社管理規程に基づき、グループの総合的な事業の進展と子会社の育成強化を目的にグループ経営会議を設置し、定期的な業務執行状況等の報告を受けている。
C) 当社及びその子会社は、社会のルールや倫理基準に沿った適切な行動をとることを定めた「コンプライアンス基本指針」により、社会秩序や安全に脅威を与える反社会的勢力とは一切関係を持たず、不当、不法な要求には一切応じない旨定めている。
D) 当社及びその子会社は、金融商品取引法に基づく財務報告に係る内部統制に関する報告書の提出について、必要な文書化・内部テスト・評価等の活動を行い、財務報告に係る内部統制の充実を図っている。また、これらの活動を監督・評価する内部統制室を当社に設置し、必要な作業を行っている。
E) 内部監査部門において子会社の業務執行状況を監査する体制を整えている。
Ⅵ.取締役、執行役員及び使用人が監査役に報告をするための体制その他の監査役への報告に関する体制
A) 取締役、執行役員及び使用人は、内部統制に関する事項について監査役に対し定期的に、また重要事項が生じた場合は都度報告するものとし、監査役は必要に応じて取締役、執行役員及び使用人(子会社を含む。)に対して報告を求めることができる。
B) 監査役は、重要な議事録、決裁書類等を常時閲覧できるものとする。
Ⅶ.前項の監査役に報告をした者が当該報告をしたことを理由として不利な取扱いを受けないことを確保するための体制
報告内容は秘匿扱いとし、コンプライアンス基本指針に基づき報告者に対して不利な扱いを行わない。
Ⅷ.監査役がその職務を補助すべき使用人を置くことを求めた場合における当該使用人に関する事項
監査役がその職務を補助すべき使用人を置くことを求めた場合には、専任の使用人を配置する。
Ⅸ.前項の使用人の当社の取締役からの独立性に関する事項及び監査役の当該使用人に対する指示の実効性の確保に関する事項
監査役の職務を補助すべき専任の使用人を取締役から独立した役職に配置した場合には、その人事異動等に関して、監査役と事前協議を行うこととする等により、取締役からの独立性を確保し監査役の指示の実効性を確保する。
Ⅹ.監査役の職務の執行について生ずる費用の前払又は償還の手続その他の当該職務の執行について生ずる費用又は債務の処理に係る方針に関する事項
監査役の職務の執行について生ずる費用又は債務の処理等を監査役が請求した場合は、会社は、監査役の職務の執行に必要でないと認められる時を除き、これを拒むことができない。
Ⅺ.その他監査役の監査が実効的に行われることを確保するための体制
A) 監査役は、監査室と緊密な連携を保ち、内部監査の結果を活用するよう体制を整えている。
B) 監査役は、取締役会ほか、重要な意思決定の過程及び業務の執行状況を把握するため、重要な会議に出席することとしている。
③ 会社の支配に関する基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配される
ことを防止するための取組み
当社は、①で述べた会社の支配に関する基本方針に照らし、大規模買付行為が行われる場合に関して以下のとおり大規模買付ルールを定めることとし、かつ、大規模買付者が当該ルールを遵守しなかった場合における対抗措置の発動に係る手続について定めることとします。これをもって、会社の支配に関する基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みといたします。
(ⅰ)本対応方針に関する取締役会決議
当社は、平成29年6月29日の取締役会において、本対応方針を本定時株主総会終結時以降も継続する旨の決議を行いました。
①で述べましたとおり、大規模買付行為が行われるに際しては、株主の皆様の判断のために、大規模買付ルールに従って、大規模買付行為に関する必要かつ十分な情報が事前に提供され、相当な検討期間と交渉力が確保されることが重要であると当社は考えております。当社取締役会は、必要と認めれば、大規模買付者に対する買収条件の改善要求や大規模買付者の提案の問題点の指摘、当社取締役会としての株主の皆様に対する代替案の提示等も行います。かかるプロセスを経ることにより、当社株主の皆様は、必要かつ十分な情報を踏まえた上で、大規模買付者の提案や代替案が提示された場合にはその代替案を検討することが可能となり、また、下記(ⅲ)(オ)に定める株主意思確認総会の場において株主の皆様の意思を確認する機会が設けられることにより、大規模買付行為に対する最終的な応否を自ら決定する機会が適正に確保されることとなります。
本対応方針において対抗措置として想定されております特定株主グループの行使に制約が付された新株予約権(以下「本新株予約権」)の無償割当ての概要は、当社ウェブサイトに掲載の「当社株式に対する大規模買付行為への対応方針(買収防衛策)の継続について」の別紙1記載のとおりです。本新株予約権の無償割当てに関する内容を可能な範囲で予め開示しておくことで、予測可能性の観点から株主及び投資家の皆様の利益に資するものと考えております。本新株予約権の無償割当ては、下記(ⅲ)(キ)のとおり、不発動決議を得ない大規模買付行為が現に行われた場合にはじめてその効力が生じるものですので、現時点で本新株予約権が実際に発行されるものではありません。
また、当社は、本対応方針に関して当社取締役会が適切と判断する事項について、速やかに情報開示を行います。
(ⅱ)独立委員会の設置
大規模買付行為が当社の企業価値ひいては株主共同の利益を害するものか否かの検討・審議を行い、大規模買付行為に関する当社取締役会の判断及び対応の公正を担保する機関として、独立委員会を設置します。独立委員会の委員は3名以上とし、公正で中立な判断を可能とするため、当社の業務執行を行う経営陣から独立している当社社外取締役、当社社外監査役、及び社外有識者のいずれかに該当する者の中から選任します。
当社取締役会は、大規模買付行為が開始された場合に当該大規模買付行為との関係では対抗措置を発動しない旨の不発動決議の是非について独立委員会に諮問することとし、当社取締役会はその勧告を最大限尊重するものとします。
(ⅲ)大規模買付ルール
大規模買付ルールとして、大規模買付者は、定められた手続きに従い情報提出等を行うものとし、かつ、情報提出手続き等を経て、当社取締役会が下記(ⅲ)(カ)に定めるところに従い不発動決議を行うまで、大規模買付行為を行わないこととします。
(ア)大規模買付意向表明書の当社への事前提出
大規模買付者は、大規模買付ルールに従って大規模買付行為を行う旨の当社所定の書式による意向表明書(以下「大規模買付意向表明書」といいます。)を事前に当社に対して提出して頂きます。
大規模買付意向表明書には、大規模買付者の概要(法人名、個人名又はグループ名、それぞれの住所、代表者、事業内容、主要株主又は主要出資者の概要、国内連絡先、設立準拠法、大規模買付者のグループ会社・関連ファンドその他の関係者に関する情報等を含みます。)、大規模買付者が現に保有する当社株券等の数及び今後取得を予定する当社株券等の数、大規模買付ルールに従う旨の誓約等を記載していただくことになります。なお、大規模買付意向表明書の提出にあたっては、商業登記簿謄本及び定款の写し等、大規模買付者の存在を証明する書類等を添付して頂きます。
当社は、大規模買付意向表明書が提出された場合には、法令及び適用ある上場規則の規定に則り、適切に開示を行っていく予定です。
(イ)大規模買付行為に関する情報の提出
大規模買付者から大規模買付意向表明書をご提出いただいた場合、当社は当該大規模買付者に対し、改めてご提出いただく情報の項目を記載した情報リストを10営業日(初日不算入)以内に交付いたします。
大規模買付者は、当社より交付を受けた情報リストに基づき、大規模買付者(そのグループ会社・関連ファンドその他の関係者を含みます。)及び特定株主グループを構成することになる者等の概要(事業内容、当社の事業と同種の事業についての経験等に関する情報を含みます。)、大規模買付行為の目的、買付対価の種類、金額及びその算定根拠、買付資金の裏付け又は調達先、既に保有する当社株券等に関する担保設定状況、今後買い付ける当社株券等に関する担保設定の予定(予定している担保設定の方法及び内容を含みます。)、大規模買付行為後の当社に対する具体的方針(経営方針、事業計画、財務計画、資本政策、配当政策等を含みます。)、大規模買付行為に際しての第三者との間における意思連絡の有無及び意思連絡が存する場合にはその内容、並びに当社の株主、従業員、取引先、顧客、地域社会その他当社の利害関係者との関係について大規模買付行為後に予定する変更の有無及びその内容等、株主の皆様のご判断及び下記(ⅲ)(エ)の独立委員会の検討のために必要かつ十分な情報(以下「大規模買付行為に関する情報」といいます。)を記入の上、当社にご提出頂きます。
当社取締役会は、提出された大規模買付行為に関する情報が不十分であると判断した場合には、大規模買付者に対し、適宜回答期限を定めた上、追加的に大規模買付行為に関する情報を提出するよう求めることがあります。この場合、大規模買付者においては、当該期限までにかかる情報を追加的に提出して頂きます。
また必要に応じて、ご提出頂いた情報の一部又は全部を、株主の皆様に開示いたします。
(ウ)独立委員会による検討開始に係る通知
当社は、当該大規模買付行為に関する情報の提出が完了したと認められる場合等、独立委員会による検討を開始するのが適当と合理的に判断される場合には、その旨を大規模買付者に通知し開示するとともに、独立委員会による検討の開始を依頼いたします。
(エ)独立委員会による検討及び不発動勧告決議
独立委員会は、当社取締役会が大規模買付者に対する上記(ⅲ)(ウ)の通知を行ってから原則として60営業日(初日不算入)(但し、円貨の金銭のみを買付対価とする当社株券等のすべての買収を目的とする大規模買付行為以外に関しては90営業日(初日不算入))が経過するまで(以下「独立委員会検討期間」といいます。)に、大規模買付行為の内容の検討、大規模買付者に関する情報収集、及び当社取締役会等の提供する代替案の検討等を行います。
また、独立委員会は、その裁量において、直接又は当社取締役会に委任した上で、当該大規模買付者等と当該大規模買付行為の内容について協議・交渉等を行うことができます。
なお、独立委員会は、合理的必要性があると認めた場合には、大規模買付行為の内容に関する情報収集や検討等に必要とされる合理的な範囲内で、30営業日(初日不算入)を上限として独立委員会検討期間を延長する旨の決議を行うことができます(但し、当該延長の期間及びその理由について、開示いたします。)。
独立委員会は、当社の費用で、独立した第三者(ファイナンシャル・アドバイザー、公認会計士、弁護士、コンサルタントその他の専門家を含みます。)の助言を得ることができるものとします。
大規模買付者は、独立委員会が、直接又は当社取締役会に委任した上で、検討資料その他の情報提供、協議・交渉等を求めた場合には、速やかにこれに応じなければならないものとします。独立委員会は、当該大規模買付行為に関する情報の検討等の結果、全員一致の決議により、当該大規模買付行為が当社企業価値を毀損し会社の利益ひいては株主共同の利益を害するおそれがないものと認める場合には、独立委員会検討期間の終了の有無を問わず、当社取締役会に対して、不発動決議を行うべき旨を勧告する決議(以下「不発動勧告決議」といいます。)を行うものとします。なお、独立委員会は、当社取締役会を通じて、不発動勧告決議の概要その他独立委員会が適切と判断する事項について、決議後速やかに情報開示を行います。
(オ)株主総会における株主意思確認
独立委員会は、独立委員会検討期間内に不発動勧告決議を行うに至らなかった場合には、当該大規模買付行為に対する対抗措置に係る株主の皆様の意思を確認するための株主総会(以下「株主意思確認総会」といいます。)を開催する旨を勧告することとし、かかる勧告を受けて当社取締役会は、株主意思確認総会の招集を速やかに決定するものとします。また、この場合当社は、提出を受けた大規模買付行為に関する情報の概要、当社取締役会による代替案、及び当該大規模買付行為に関する当社取締役会による検討結果等、当社取締役会が株主の皆様の判断に資する情報として適切と判断する事項について、開示いたします。
なお、株主意思確認総会を開催するために、当社取締役会は、当該株主総会において議決権を行使できる株主を確定するための基準日(以下「議決権基準日」といいます。)を定め、当該基準日の2週間前までに公告を行うものとします。当該株主意思確認総会において議決権を行使することのできる株主は、議決権基準日における最終の株主名簿に記載又は記録された株主とします。
上記議決権基準日の設定にかかわらず、独立委員会検討期間経過時点で、当社定時株主総会その他の株主総会において議決権を行使することのできる株主の確定に関する基準日が既に定められている場合であって、当該株主総会において当該大規模買付行為に対する対抗措置に係る株主の皆様の意思の確認を求めることが合理的に可能かつ適切であると当社取締役会が判断した場合には、当該株主総会を株主意思確認総会として取り扱うことができるものとします。
株主意思確認総会の決議は、出席株主の議決権の過半数によって決するものとします。
(カ)取締役会の不発動決議
当社取締役会は、独立委員会が当該大規模買付行為について不発動決議を行うべき旨勧告した場合、独立委員会の当該勧告を最大限尊重し、不発動決議を行うことについて取締役としての善管注意義務に明らかに反する特段の事情が存しない限り、不発動決議を速やかに行うものとします。
また、当社取締役会は、上記(ⅲ)(オ)に定める株主意思確認総会において対抗措置を発動すべきでない旨の株主意思が示された場合、不発動決議を速やかに行うものとします。
(キ)大規模買付ルールに従わない大規模買付行為に対する対抗措置の発動
当社取締役会が不発動決議を行うまで、大規模買付者は、大規模買付行為を行ってはならないものとします。当社取締役会は、大規模買付ルールに従わない大規模買付行為が行われ対抗措置の発動が相当である場合、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上を目的として、本対応方針に基づく対抗措置を行うものとします。本対応方針の対抗措置としては、本新株予約権の無償割当てその他の法令及び当社の定款上許容される手段を想定しております。
なお、大規模買付ルールに従わない大規模買付行為が行われた場合であっても、本新株予約権の無償割当ての基準日(以下「無償割当基準日」といいます。)前の日で当社取締役会が定める日までに大規模買付行為を行った者の株券等保有割合が20%を下回ったことが明らかになった場合(これに準ずる特段の事情が生じたと当社取締役会が認めた場合を含みます。)には、当社取締役会は当該無償割当てを中止し、その効力を生じさせないことができます。この場合、当該無償割当て中止までの間に希釈化を前提とした売買を行った投資家は、株価の変動により損害を被ることがありますが、投資家の皆様に与える影響を勘案いたしまして、無償割当基準日の3営業日前の日以降における本新株予約権の無償割当ての中止や割り当てた本新株予約権の無償取得は予定しておりません。
(ⅳ)株主・投資家に与える影響
本対応方針は、当社株主の皆様が大規模買付行為に応じるか否かを判断されるために必要な情報を提供し、さらには、当社株主の皆様が大規模買付行為に係るより良い提案や、当社取締役会等による代替案の提示を受ける機会を保証するための相応の検討時間・交渉力等が確保されることを目的としています。これにより、当社株主の皆様は、十分な情報のもとで、大規模買付行為への応諾その他の選択肢について適切な判断をされることが可能となり、そのことが当社株主全体の利益の保護につながるものと考えます。従いまして、本対応方針の設定は、当社株主及び投資家の皆様が適切な投資判断をなされる上での前提となるものであり、当社株主及び投資家の皆様の利益に資するものであると考えております。
今後、大規模買付意向表明書が提出された場合や当社株主の皆様及び投資家の方々に影響を与える事象が生じた場合等には、その旨について適用ある法令及び上場規則に基づき適時かつ適切に開示を行っていく予定です。
なお、本新株予約権の無償割当てによる対抗措置を発動する場合、本新株予約権が株主の皆様全員に自動的に割り当てられますので、新株予約権の割当ての申込みに伴う失権者が生じることはありません。また、当社ウェブサイトに掲載の「当社株式に対する大規模買付行為への対応方針(買収防衛策)の継続について」の別紙1のとおり、本新株予約権を当社が一斉に強制取得し、行使条件としております。なお、無償割当基準日の3営業日前の日以降における本新株予約権の無償割当ての中止や割り当てた本新株予約権の無償取得は予定しておりません。
本対応方針決議が行われた現時点において、株主・投資家の皆様に必要となる手続等はございません。仮に大規模買付ルールに従わない大規模買付行為が現に行われた場合には、株主の皆様において会社法等の規定に従い、所定お手続きを行っていただくことが必要となり、本新株予約権の行使にはさらに行使価格相当額の払込みを所定の期間内に行っていただくことが必要となりますが、これらの場合には、当社株主の皆様、投資家の方々及びその他の関係者に不測の損害が生じることのないよう、適用ある法令及び上場規則に基づき適時かつ適切に開示を行う等、適切な方法で対処する予定です。但し、上記のとおり本新株予約権の強制取得が行われる場合には、行使条件を充たしている本新株予約権に対して当社株式が自動的に交付されますので、株主の皆様に本新株予約権の行使手続をとっていただく必要はございません。なお、特定株主グループに該当しないことを確認させていただくための合理的手続を定めることを予定しております。本対応方針は、当社株主の皆様が大規模買付行為に応じるか否かを判断されるために必要な情報を提供し、さらには、当社株主の皆様が大規模買付行為に係るより良い提案や、当社取締役会等による代替案の提示を受ける機会を保証するための相応の検討時間・交渉力等が確保されることを目的としています。これにより、当社株主の皆様は、十分な情報のもとで、大規模買付行為への応諾その他の選択肢について適切な判断をされることが可能となり、そのことが当社株主全体の利益の保護につながるものと考えます。従いまして、本対応方針の設定は、当社株主及び投資家の皆様が適切な投資判断をなされる上での前提となるものであり、当社株主及び投資家の皆様の利益に資するものであると考えております。
(ⅴ)その他
本対応方針は、平成29年6月29日開催の第73回定時株主総会においてその基本内容につき、株主の皆様の事前承認を受けております。当該株主総会の承認は、当該定時株主総会から3年(すなわち平成32年6月30日までに開催される当社第76回定時株主総会の終結の時まで)を有効期間とします。当社取締役会は、3年が経過した時点で、改めて本対応方針に関する株主意思の確認を行い、株主の皆様にご判断いただくことを予定しております。当社取締役会は、当該株主総会承認の有効期間中、関連する法制度の動向その他当社を取り巻く様々な状況を勘案して、本株主総会承認の趣旨の範囲内で、本対応方針の細目その他必要な事項の決定や修正等を行うこととします。
本対応方針は、株主意思確認総会において対抗措置を発動すべきでない旨の株主意思が示された場合、当社取締役会は不発動決議を速やかに行うものとしております。また、当社の業務執行を行う経営陣から独立している当社社外取締役、当社社外監査役、及び社外有識者のいずれかに該当する者の中から選任される委員により構成される独立委員会が、株主意思確認総会の招集に先立つ独立委員会検討期間内において、当該大規模買付行為が当社企業価値を毀損し会社の利益ひいては株主共同の利益を害するおそれがないものと認め不発動勧告決議を行った場合には、当社取締役会は、取締役としての善管注意義務に明らかに反する特段の事情がない限り、速やかに同勧告決議に従い不発動決議を行うこととしています。このように、取締役の地位の維持等を目的とした恣意的な発動を防止するための仕組みを本対応方針は確保しております。
さらに、当社は、取締役の解任決議要件の普通決議からの加重も行っておりません。本対応方針は、大規模買付者が自己の指名する取締役を当社株主総会の普通決議により選任し、かかる取締役で構成される取締役会により、廃止させることが可能です。従って、本対応方針は、デッドハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の過半数を交替させてもなお、発動を阻止できない買収防衛策)ではありません。また、当社は、期差任期制を採用していないため、本対応方針はスローハンド型(取締役会の構成員の交替を一度に行うことができないため、その発動を阻止するのに時間を要する買収防衛策)でもありません。
本対応方針は、経済産業省及び法務省が平成17年5月27日に発表した企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針の定める適法性の要件及び合理性の要件を完全に充足しています。また、経済産業省企業価値研究会の平成20年6月30日付報告書「近時の諸環境の変化を踏まえた買収防衛策の在り方」の提言内容にも合致しております。
本対応方針は、平成29年5月12日開催された当社取締役会において、出席全取締役の賛成により決定され、社外監査役3名を含む当社監査役の全員からも、その具体的運用が適正に行われることを条件に賛成する旨の意見表明を得ております。
本対応方針の詳細につきましては、当社ウェブサイトに掲載の「当社株式に対する大規模買付行為への対応方針(買収防衛策)の継続について」の本文をご覧ください。
( 参考URL http://www.tokyo-airport-bldg.co.jp/company/ir/ )
(4) 経営成績に重要な影響を与える要因及び経営戦略の現状と見通し
航空業界におきましては、航空自由化やLCCの路線拡大等による競争の激化、上下一体化による効率運営を目指した空港経営改革や首都圏空港の機能強化の具体化に向けた動きが進む中、政府は「観光先進国」という新たな挑戦に向けて訪日外国人旅客数について2020年の目標値を4,000万人としており、2016年の訪日外国人旅客数は2,400万人を超えるなど、事業環境は大きく変化しつつあり、一層競争力強化に向けた取組みが求められております。
当社グループはこのような変化に対応するため、羽田空港の基盤強化はもとより、これまでに培ったノウハウを活かした空港外での事業展開を始め、より一層競争力強化に向けた取組みが必要であると考えております。
具体的には、2020年の東京オリンピック・パラリンピック及び羽田空港の発着枠年間3.9万回の増枠による国内線第2旅客ターミナルビルの一部国際化に向け確実に対応することが挙げられます。特に後者については、昨年12月に、国土交通省の「平成29年度航空局関係予算決定概要」に盛り込まれたこともあり、2020年春までに増枠対応に向けたターミナルビル拡充計画を着実に推進してまいります。本計画は、当社収益の拡大に寄与するとともに、内際共用ターミナルビル整備に伴い、際内・内際ハブ機能がより一層強化され、乗継利便向上、地方への経済効果波及、地方空港の活性化にも資することと認識しておりますので、当社としても積極的に関与して参りたいと考えております。
空港外での事業展開におきましては、昨年12月にロシアのハバロフスク国際空港における旅客ターミナル整備運営事業を共同で実施するにあたり覚書を締結し、協議を推進することを確認いたしました。今後も羽田空港で培った当社の経験とノウハウを活かして国内外空港の運営権等の入札案件へ積極的に参加し、コンサルティング業務の提供や国プロジェクト等への技術協力を行うことを通じ、収益機会の拡大を推進してまいります。
また、日本の玄関口として世界最高水準の安全性確保はもとより、地方創生事業の推進や最先端技術の導入を図りながら、SKYTRAX社の空港評価における連続受賞など羽田空港の包括的なブランディングに努めてまいります。そして、他業種との連携や羽田空港外への展開により事業領域の拡大を進めるとともに、羽田空港国内線旅客ターミナルビルの顧客満足度の向上と収益拡大に向けた施設の改修やオペレーション改善による効率化など、確固たる羽田空港の基盤強化に努めてまいります。
営業面における当面の課題としては市中免税店事業への対策が柱となりますが、中長期的にも増加が見込まれる訪日外国人による国内消費を確実に取り込むべく、必要な施策を実施してまいります。当社を取り巻く事業環境の変化および課題を的確に捉えつつ、新たな価値を創造する環境の整備や株主・投資家に対する対話機会の拡大と各施策の確実性を高めるために組織・ガバナンスの再編・強化を図りながら、中期経営計画を推進してまいります。
当社は、空港法に基づく、羽田空港における国内線旅客ターミナルビルを建設・管理運営する空港機能施設事業者としての責務を果たすべく、今後とも日本経済や航空業界の動向等を見極め、公共性と企業性の調和という基本理念と中期経営計画に基づき、グループ一丸となって旅客ターミナルビルの利便性、快適性及び機能性の向上を目指し、顧客第一主義と絶対安全の確立に努め、絶え間ない羽田空港の価値創造と航空輸送の発展に貢献することにより、企業価値の向上を図ってまいります。