有価証券報告書-第33期(令和1年8月1日-令和2年7月31日)

【提出】
2020/10/30 12:26
【資料】
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【項目】
146項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
① 基本的な考え方
当社は「三つの豊かさの追求」という経営理念を掲げております。具体的には、「経済的豊かさ」「身体的豊かさ」、そして「心の豊かさ」を追求することであります。
私たちは、一人の人間として人生の目標を会社の経営理念とすることで、会社のベクトルとそこで働く役員・従業員のベクトルが乖離することがなくなると考えております。そして、この経営理念は、当社の役員・従業員のみならず顧客、株主の皆さま、そして多くのステークホルダーの皆さまにも追求していただけるとともに、当社グループのビジネスモデルや経営戦略をも深くご理解いただけるものと考えております。また、上記に掲げた理念の追求及びその結果としての利益の追求、つまり「理と利」の追求が、株主価値を高めるものであると考えております。
この経営理念のもと、当社は「成長し続ける真のパブリックカンパニー」をビジョンとして掲げ、邁進してまいります。そして、次世代へとつながるゴーイング・コンサーン企業となるべく、不動産の再活事業を通じて雇用、生産、納税の三大使命を果たしてまいる所存です。
② 理念経営
当社は、経営の健全性、迅速な意思決定、ならびに経営の執行・監督体制を維持・充実することによる株主価値の向上が経営の重要課題であると考えております。不公正・非効率な経営は、株主価値を損なうのみならず、会社の成長にとって致命的な妨げになります。
当社グループが掲げる「理念経営」は、「三つのS」(注1)をキーワードとし、これは企業活動の根幹をなすものであると考えております。
そのためには、取締役及び執行役員をはじめとする経営者及び管理職が率先して、志と自己規律を高めて法令遵守・順法精神の向上に努め、さらに徹底した対話を重ね経営戦略の共有化を図っていくことで、株主価値を高めてまいります。
「三つの豊かさの追求」という一人の人間としての人生の目標に遡り、それを「三つのS」として理念経営に昇華することで、社会的に存在意義のある企業を目指してまいります。
(注)1 「三つのS」
① CS…Customer's Satisfaction(顧客満足)
② ES…Employee's Satisfaction(従業員満足)
③ SS…Shareholder's Satisfaction(株主満足)
③ 経営環境
当社が手掛けております不動産再活事業のなかでも不動産の権利調整ビジネスにつきましては、耐震性が不足している旧耐震基準のビル等が多く存在しております。また、年月の経過とともに建築年数も長くなり、建て替え需要も増加し、権利調整ビジネスについては潜在的な市場は増加していくものと考えております。
一方、今般の新型コロナウイルス感染症の拡大については、世界規模でヒトの流れが急速に収縮しており、2020年の世界経済の大幅な落ち込みは避けられないものと見込まれております。国内経済においても同様に経済活動が抑制され、景況感は悪化しております。経済活動全般への悪影響が長期化・深刻化する可能性もあり、先行き不透明な状況は長期的に続くものと見込まれます。ただ、当社の2020年7月期における新型コロナウイルス感染症拡大による影響は、緊急事態宣言が発出されていた期間において勤務時間の短縮がありましたものの軽微であり、期末に向けて販売用不動産を順調に売却してまいりました。その結果、2020年7月期決算は増収増益となりました。
(2)目標とする経営指標
① 売上高経常利益率
当社グループは、経営理念の一つである「経済的な豊かさ」を追求するために、売上高経常利益率を経営の重要な指標と位置づけております。具体的には、売上高経常利益率15%を目指しております。これは、経常利益こそが、株主の皆さまに対する配当還元の原資であり、また従業員に対する豊かさの実現の原資であり、そして何よりも会社が継続して成長していくための根幹であると考えているからであります。2020年7月期の売上高経常利益率は11.0%であります。当社は利益率の高い販売用不動産の売却を促進し、利益率の向上に努めてまいります。
② ROE(自己資本当期純利益率)
高収益事業に特化し、資本効率をあげることによりROEを重視し、投資者にとって投資魅力のある会社を目指します。2020年7月期におけるROEは68.5%となり、引き続きROEの向上に努めてまいります。
③ 借入金利
金融機関からの借入コストを3%以下へ低減するよう努力するとともにコミットメントライン、SPC等を活用した多様な資金調達を実施してまいります。2020年7月期の当社の各金融機関からの借入金の平均金利は、3.2%であります。当社は引き続き借入金利の低減に努めてまいります。
④ 自己資本比率
財務基盤の強化を行い、自己資本比率30%維持を目指します。2020年7月期は35.0%であり、目標の30%を上回っております。当社では、主には業績の拡大等により引き続き自己資本比率の向上に努めてまいります。
(3)中長期的な会社の経営戦略
当社は、不動産販売業を営んでおりますが、そのなかでも再開発アジャストメント事業、とりわけ権利調整ビジネスを推進しております。本ビジネスは、好立地で再開発による資産価値の増大が見込まれる旧耐震のマンションやビル等を取得し、立ち退き交渉を行い、開発素地としてデベロッパーに売却するというものです。
当社は主に東京都内の中心部において権利調整案件を取り扱っております。東京都内の中心部に立地するということで、その不動産のポテンシャルは高く、当社が権利調整をすることにより、さらにその不動産の価値がアップすることとなります。このことは、デベロッパーの観点からは新たな都市開発が可能となり、また不動産の有効活用も可能となります。このため、デベロッパーにおいて事業採算が向上し取得意欲は高くなります。
当社としても、権利調整ビジネスは利益率が高い事業となっております。
当社は耐震性に不安がある旧耐震のビルをターゲットにして、健全な再開発事業につながる本事業を推進することにより、結果的に人命を救い土地の有効活用という社会貢献に寄与することができると考えております。
今後、当社は以下の営業方針のもと、本権利調整ビジネスをメインに事業を進めてまいります。
① 売上高重視から利益重視
② 在庫回転率を年2~3回転
③ 大型案件の仲介業務にも注力し利益を確保
(4)会社の対処すべき課題
上記(3)中長期的な会社の経営戦略に記載の経営戦略を会社の対処すべき課題と捉え、経営に邁進してまいります。