有価証券報告書-第30期(平成31年1月1日-令和1年12月31日)

【提出】
2020/03/27 15:12
【資料】
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【項目】
149項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
<グループ企業理念>私たちは多くの人々に支えられて存在している社会の一員であることを自覚し、それらの人々との日々の出会いを通して“魅力ある価値”を創造します。
そして、たゆみない質の向上と地球環境との共生をベースに、社会のニーズを先取りした“魅力ある商品・サービス”を創作し、多くの人々の豊かな“魅力ある社会”の実現に貢献します。
<グループ経営理念>①既成のビジネスモデルにとらわれず、新しい時代の新しい経済環境に即応し斬新で革新的な経営を考えることにより社員の叡智と創造力を高めもって自由闊達な社風作りと安定した成長を図るとともに社会との共存共栄を目指す。
②“住まいは人の心を創り人の生活を創る”ことを常に認識し、住まい本来の機能性や居住性の追求はもちろんのこと、地域社会や環境と調和し、時代や流行の変化を先取りする洗練された魅力的な商品を提供することにより、お客様のご要望に的確にお応えする経営を目指す。
③地域社会の生活を尊重したクリーンでフェアーな企業活動を通じて、“心豊かになるような住まい”を提供することにより、地域の住環境創りに寄与する経営を目指す。
④共に働く人々が、努力と研鑽を重ねることによって自分の能力を最大限に発揮することができ、生き生きと輝き夢のある楽しい人生を送れるような職場環境作りを目指す。
⑤“お客様の満足度と社員の意欲が企業を支えるものである”ことを念頭に、利益の適切な還元を図ることによって社会との調和のある経営を目指す。
(2) 中長期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題
当社グループは、リーマン・ショック以降、事業正常化と安定的な収益獲得のために不動産ビジネス・ポートフォリオの構築を続け、様々な事業環境の変化に耐えうるチャンネル作りを進めてまいりました。新築分譲マンション市場で無理に競争することが必ずしも当社の成長に繋がらないと判断される際、活況なマーケットにチャンネルを合わせ、ニーズに沿った商品企画を提供し、柔軟に事業環境の変化に対応できる体制となっております。また、様々な不動産情報に対応できるチャンネルの多さは、ビジネスチャンスの拡がりが期待できます。当社ではこの「攻守」を兼ねるポートフォリオを「全方位型ビジネス・ポートフォリオ」と呼んでおり、これまでの8期連続経常黒字の達成や2019年12月期の利益計画の達成は、この基礎作りが前提となっております。
様々なマーケットの状況・経済環境・事業環境に対し、多チャンネルからの選択と経営資源の注力バランスを柔軟に変化させ、「選択と集中」の最適化を目指す「攻守」を兼ねるビジネス・ポートフォリオに加え、資金調達における金融環境の急激な変動に耐えうる「守り」の財務戦略を並行的に進めてまいりました。これにより、今後の世界経済、とりわけ金融市場の急激な変動に対し、柔軟かつ流動的な戦略を選択することができると考えております。
これらの基礎条件により、市場の変動に速やかに対応するとともに、攻守のバランスを見極めながら中期経営計画の数値目標達成を目指してまいります。
(3) 経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、「売上高総利益率」「売上高経常利益率」「自己資本比率」「ROE(株主資本利益率)」を経営指標として掲げており、「売上高総利益率」は18%以上、「売上高経常利益率」は5~6%以上、「自己資本比率」は15%以上、「ROE」は15%以上を目標としております。
これらの目標に対し、当連結会計年度の達成状況は次のとおりです。
経営指標目標値当連結会計年度目標差異
売上高総利益率18%以上30%+12%
売上高経常利益率5~6%以上17%+11%
自己資本比率15%以上18%+3%
ROE(株主資本利益率)15%以上35%+20%

(4) 経営環境並びに会社の対処すべき課題
経営環境につきましては、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりです。
当社グループは、供給戸数や販売価格面など他社との過度な競争とならないよう、新築分譲マンション販売事業においては総戸数20個前後の小規模マンションを取扱い、また、量的競争ではなく、当社グループの経営の基本方針でもあります「魅力ある街づくり」を思想とする商品企画により、不動産の立地条件や周辺環境などに応じた不動産開発により、他社との差別化を図っており、都心部における店舗開発やクリエイティブ賃貸マンション、地方中核都市では中長期滞在型レジデンシャルホテル開発などの収益不動産開発に注力しております。
また、創業以来先駆的に取り扱ってきた中古マンションの戸別リノベーションのノウハウにより、新築分譲マンションの高値基調の影響により活況な中古マンション市場、とりわけニッチマーケットである販売価格が1戸1億円~2億円前後の中古マンション(プレミアムリノベーションマンション)や、販売効率を重視した1棟リノベーションマンション販売などの商品を中心に事業を展開しております。
このような経営環境の中、当社は2012年12月期(決算期変更により9ヵ月決算)から2019年12月期まで、8期連続で親会社株主に帰属する当期純利益ベースで黒字を継続し、事業拠点においても、大阪支店、札幌支店、福岡支店、松本支店、名古屋支店と全国主要都市に配置し、事業を拡大する素地を固めておりますが、一方で、過大な事業リスクを取りすぎることがないよう、着実な業績の拡大を図っていく所存です。
今後も、低リスクで安定的な収益が獲得できる不動産管理事業などのインカムゲイン型不動産事業と、一定レベルの収益獲得が見込めるリノベーションマンション事業や新築分譲マンション事業などのキャピタルゲイン型不動産事業をバランス良く組み合わせることによって、無理のない安定的で持続的な企業成長を目指します。
また、長期的事業拡大の方策の一つとして、不動産ビジネスの周辺事業の拡大や、新規事業への進出について、他社との業務提携やM&A戦略の検討を含めて、リスクを考慮しつつ展開していくことを視野に入れてまいります。