有価証券報告書-第94期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/25 15:00
【資料】
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【項目】
150項目

有報資料

(1) 経営環境と経営方針
当連結会計年度における経済環境は、国内では企業収益や雇用情勢が改善されながらも、個人消費は緩やかな持ち直しに留まり、海外の経済減速に伴う輸出の低迷等とあいまって、景気は横ばい圏で推移しておりました。一方、当社グループの拠点がある米国におきましては、個人消費と輸出の増加等で着実な景気回復が続いておりました。こうした状況は、今般の新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響で一変し、国内外の経済環境は急速に悪化しました。
当社グループは第6次中期経営計画(2020年3月期~2022年3月期)に基づき、「Ⅰ.変化する環境下でも安定的に収益を生み出せる強靭な事業基盤への進化」「Ⅱ.新事業分野の開発・開拓と、既存事業との相乗効果の発揮」「Ⅲ.顧客体験価値の最大化を前提とする永続的な顧客基盤の構築」の3つを基本方針に掲げ、各種施策を実施しました。具体的には、持株会社体制に移行(2019年11月29日開催の臨時株主総会承認を経て2020年4月1日効力発生)し事業基盤を整備したこと、大型物件への取り組みなど商品ラインナップの拡充を行ったこと、新規事業エリアの開拓として米国ハワイ州での収益不動産の取り扱いを開始したこと、2019年4月に株式会社澄川工務店をグループ会社化し建設・工事関連事業の強化を図ったことなど、今後の事業展開に繋がる取り組みを行いました。
(2) 経営の指標と問題意識
当社は、2020年4月1日付の「(改訂)コーポレートガバナンス・コードに対する当社ガイドライン(方針及び取組み)」の中で、以下の中期的に目指す規模感(ガイダンス)を公表しております。なお、このガイダンスを目指すにあたり、実現までのスケジュールなどの時間軸は置かないものとしております。
目指す規模感(ガイダンス)
目安値
連 結 純 資 産250億円
連 結 社 員 数200名
時 価 総 額350~400億円

ガイダンスの目安値と現況とを比較したとき、特に乖離しているのが時価総額であります。
乖離の要因には、国内外の経済環境、金融リスクなどによる外部要因に伴う株価の下落という問題もありますが、中長期的視点に立てば、時価総額に直結するべき当社の事業効率(生産性)を今以上に高める必要があり、現在の収益の柱である不動産ビジネスの推進だけでは極めて難度が高いという構造的課題があります。また新型コロナウイルス感染拡大という世界的危機が投げかける経営課題は、その短期的な克服のみであろうはずもなく、いわゆる「アフターコロナ」に向けた事業構造の変革こそ主要のテーマであるとも認識しております。
したがって、そうした事業構造の変革も含め、主軸たる不動産ビジネスを推進しながらも、同時並行で新たな収益基盤を得るための施策を具現化して行かねばならないと考えており、以下具体的な3つの問題意識について経営役員および経営陣で議論を開始しております。
≪具体的な3つの問題意識≫
ⅰ 「アフターコロナ」に向けた事業構造変革の開始
ⅱ 新たな収益の柱を創出
ⅲ 優良な収益不動産残高の拡充
当社は2020年4月1日に持株会社体制へ移行いたしましたが、持株会社体制への移行は、業務提携、資本提携、M&A等の多彩な手法を活用しやくすること、事業展開に係る意思決定のスピードアップ、リスクテイクとリスクヘッジの最適化を行うことなどが目的であります。
新型コロナウイルス感染症の拡大がもたらした事業環境の変化や、社会構造の変革が加速しつつある現在において、新たな組織基盤の利点を活かし、新たな収益の柱を創出していくことが必要であると認識しております。また、足元においては当社の経営を揺るぎないものとするための優良な収益不動産残高の拡充について、早急に中期的なガイドラインを見直す必要があります。
当社グループの企業理念の根幹にある価値観は、「しなやかに変化し、独創の価値を生み出し提供する」ことにあります。
「しなやかに変化する」とは、
・既存の価値観に固執せず積極果敢に新しい価値観を取り込むこと、
・変化をいとわず変化の中にこそ勝機を見出せること、
・柔軟な軌道修正や大胆な創造的破壊ができ、それらに応じて自らを再定義できること
「独創の価値を生み出し提供する」とは、
・既成概念にとらわれることなく、顧客ニーズの本質を見極め、そこに一歩でも近づける商品サービスの創造と提供を追求し続けること、
・顧客の要望に応えるだけでなく、確信をもってその本質に顧客を導くこと
であります。
当社グループが企業理念に謳うこの「しなやかに変化しながら、独創の価値を生み出し提供する」という価値観は、当社グループの黎明期でこそ“生き残る術”でありましたが、それは“成長を支える人と組織のあり方”へ、そして“未来に受け継ぐべき企業文化”へと着実に進化してまいりました。
そして、この価値観を実践することによって当社グループが果たすべき使命は、事業を通じて人と社会の活力ある発展に貢献することと考えております。
創業以来、130年超の期間において、当初は染物業とその技術の海外輸出をもって、また近年においては収益不動産とそれを取り巻く付加価値の組み合わせの提供によって、当社グループはこの使命を果たし続けてきたと自負しております。そして今、すべての企業が向き合う新型コロナウイルス感染拡大による経営環境危機は、当社グループにとりましてまさに「しなやかに変化する」ことができるかどうかの試金石になるであろうと認識いたしております。
(3) 資本コストについての考え方
加重平均資本コストを引き下げる観点からは、社債に代表される負債性資金の調達が有効と判断しておりますが、一方で、投資適格となりうる格付けの取得には、一定の純資産額、時価総額が前提となるところであり、ガイダンスで示した規模感はその最低目安と当社では想定しております。
株主資本コストの概念は、現実的なあり様として、個々の投資家、株主の皆様の中に自らの期待する収益水準が存在し、その期待に基づく個々の投資行動を通じて、総合的に集約された結果が、マーケットバリュー(時価総額)であると理解しております。投資家、株主の皆様の期待収益に対する考え方、価値基準は様々であると推測されることから、資本コストは単一、同一の数値として存在するものではなく、株式を取引する当事者としての、投資家、株主個々の皆様の内的主観に基づく概念であり、投資対象とされる企業は、形成された時価総額を通じて、投資家、株主の皆様の総合的な判断、評価を受けとめる立場にあるものと理解しております。
当社グループが、投資家や株主の皆様のご期待に応えるためには、中長期的な成長の実現が最も重要であると認識し、最善を尽くしております。当社グループは中期経営計画等で将来の成長計画を示し、進捗を都度、明瞭に開示することで、投資家や株主の皆様に、当社への投資に際して期待できる収益の検討材料を提供してまいります。
なお、当社は、「(改訂)コーポレートガバナンス・コードに対する当社ガイドライン(方針及び取組み)」(2020年4月1日公表)の序章5の中で、以上の資本コストについての考え方を表明しております。
(4) 対処すべき課題
① 「アフターコロナ」に向けた事業構造の変革
新型コロナウイルス感染拡大が及ぼす影響は甚大であり、企業は未曽有の経営環境危機に取り巻かれていると言っても過言ではありません。これに対し、緻密な情報収集と臨機応変な判断で危機を乗り切ることはもちろん重要でありますが、さらに重要なことは、いわゆる「アフターコロナ」に向けた事業構造の変革であると認識いたします。すなわち、危機が収束して元に戻るのではなく、この事態を経験して、経済活動や社会システムをはじめ人々の行動原則や生活習慣などに及ぶまで、すべての原理原則に構造的な変化をもたらす可能性があります。当社グループといたしましても、こうした新しい価値観を先取りした事業構造の変革を試み、持続的な成長と社会貢献を果たせる経営戦略構築を目指します。
② 既存事業及び新規事業による収益基盤の強化・確立
当社グループにとりまして、収益不動産ビジネスが収益基盤の柱であることは言うまでもありませんが、その戦略の根幹である収益不動産残高の拡充にさらに注力する必要があります。さらに不動産ビジネス以外の収益の柱を育てるべく、新規事業領域への進出と取組みが必要不可欠です。当社グループが2020年4月1日より持株会社体制に移行したのは、こうした新規事業を具現化するためのM&Aや事業提携、資本提携等を活用しやすくするための事業基盤の整備であり、これを活かした施策に注力します。また国内の収益不動産事業のみならず、米国事業、不動産小口化商品販売事業を通じた顧客基盤も重層化されてきており、富裕層ビジネスへの展開の足掛かりも有効に活用してまいります。
③ 資金調達手段の多様化と資本基盤のさらなる増強
当社グループの経営戦略実現のためには、収益不動産残高の戦略的拡充はもとより、持株会社体制を活用したM&A等の実行、さらには「アフターコロナ」における新たな戦略推進などにおいて、いずれも成長資金の調達が必要不可欠です。当社グループはこれまで4回のライツ・オファリングを実施し、成長資金の調達と資本基盤の増強を同時に実現してまいりました。今後はさらに多様な資金調達手段を積極的に検討し導入してまいります。また当社グループは、中期的に目指す規模感の「ガイダンス」にも掲げている通り、収益力だけでなく純資産の増強を重要視しております。これは将来的に、リスクがなくかつ資金使途の自由度が高い社債の発行を目指しているためであります。
④ 市場競争力の高い人材の育成と組織力の強化
経営環境が激しく変化する状況下にあり、持続的な成長と社会貢献を果たして行くためには、市場競争力が高くかつ多様な人材の育成、そして組織力の強化が喫緊の課題です。既存の主力である不動産ビジネスやプロパティ・マネジメントはもとより、M&Aも含めた新規ビジネス、グローバル戦略、顧客マーケティング、経営管理など、多彩な能力を必要とします。同時にそうした人材が力を発揮できる新しい人事制度の導入も検討します。また、「アフターコロナ」は従業員の働き方という原理原則にも、新しい価値観をもたらすと考えられ、そうした中でも高い競争力を発揮できるよう、自由と自律を両立した当社グループ独自の「働き方改革」にも着手いたします。

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