訂正有価証券報告書-第88期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

【提出】
2015/03/30 15:02
【資料】
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【項目】
113項目

対処すべき課題

当連結会計年度末現在において、当社グループが目標とする経営指標及び会社の経営戦略実現のために対処すべき重要課題については、次のとおりであります。
(1) 仕入力及び販売力の増強
当社グループは、不動産を取り巻く環境の変化に柔軟に対応しながら、優良な物件を仕入れるため、数多くの物件情報を収集できるネットワークを一層強化し、不動産鑑定及び収益力のある物件を発掘する目利き力を活かして、個人富裕層のニーズに基づいた仕入活動を積極的に行ってまいります。
また、物件ごとにソフト・ハードの両面において適切なバリューアップを施すことで、資産価値を高める一方、最適な投資利回りを確保し、投資対象として魅力のある物件を提供できるよう努めております。
(2) 収益構造の転換
収益不動産の販売に依存する収益モデルは、市況に少なからず影響を受けるビジネスモデルであるため、当該収益構造に過度に依存することはリスクが高いと考えております。そのため、収益不動産の売却益に加えて、収益不動産残高の拡大を通して賃料収入の増加を図ることで収益安定化モデルへの転換を進めてまいります。収益安定化を図るためには、収益不動産残高の積み上げを積極的に進めるほか、中長期販売用収益不動産を拡充し、それらの収益用不動産からの賃料収入を増加させることが有効な手段であります。このような収益モデルに転換を図り、安定した収益基盤の確立に努めてまいります。
(3) クローズド・マーケットの創設
当社グループは、個人富裕層を顧客ターゲットに、収益不動産の販売及び、販売後には不動産経営に係る様々なサービスをワンストップで提供できる体制を確立しております。現在のところ、当社グループは顧客ターゲット(個人富裕層に特化)、取扱い商材(1棟単位の小型レジデンスが主)の特性から限定されたポジションに位置しており、優位な競争環境にあると認識しております。
しかしながら、今後、競合が拡大することも想定されるため、競合他社が少ない間に、規模拡大を追求しつつ、当該ポジションにおける当社グループの競争優位性が維持・強化できる仕組みが必要不可欠であると考えております。そのため、当社が販売した物件オーナーである顧客との長期的な取引関係を保持することに努め、強固な顧客基盤を構築しクローズド・マーケットの創設に努めてまいります。
(4) 安定した資金調達の確保
当社グループが掲げる経営戦略を実現するためには、従来にも増して、収益不動産を仕入れるための資金調達力が必要不可欠であります。市況の変化に大きく左右されることなく安定した資金調達を行うために、物件単位の資金調達に加えて、フリーキャッシュである手元資金の増強が有効であると認識しております。その手段を選択するにあたっては、資本政策を含めた多様な資金調達手法の中から検討していくことが重要であると捉えております。
(5)従業員のプロフェッショナル化
当社グループでは、不動産運用に係る従業員に対し不動産に関する専門知識の習得を求めるだけでなく、グループ全体の事業戦略を推進する上で、すべての業務に携わる従業員に対し、自己研鑽を重ね、高い専門性を身に着けること、自律的に行動していくことを求めています。これにより、従業員個々の能力向上を図り、当社グループ全体の人材レベルの向上、ひいては当社グループのサービスの質向上、維持に繋げていきたいと考えております。そのため、OJTの導入に加え、各種セミナー等への参加を推奨するなど人材のレベルアップに取り組んでおります。また、企業理念やコンプライアンスに基づいた業務運営体制の徹底のため、全社員の意識向上にも努めております。
(6) 中期経営計画の進捗状況
当社は、2012年5月24日に発表した「第3次中期経営計画(2013年3月期~2015年3月期)」の中で、戦略的なストック不動産の拡充等を通じた「事業規模の拡充」並びに、その実現のための「自己資本調達」を基本方針として掲げております。そのため、当社グループのさらなる成長ステージに向けて、当連結会計年度においては「資本基盤の整備」を推進することが不可欠な課題でありました。
2012年3月末時点における発行済株式総数は140,920株(自己株式6,084株を含む)、株主数は1,618名であり、大規模な資本政策を実現するに際しては、株主数及び発行済株式数を増加させ、株式の流動性を高めることが、重要であると考えました。しかしながら、そのことは同時に当社に対する敵対的な企業買収行為が行われる可能性を生むこととなります。
当社は上場会社である以上、何人が会社の財務及び事業の方針の決定を支配することを企図した当社に対する敵対的な企業買収行為を行ったとしても、原則として、これを否定するものではありませんが、このような行為の中には、その目的等から企業価値・株主共同の利益を損なう懸念のある場合もあります。そのため、まず「資本基盤の整備」に向けたリスク管理の一施策として、2012年6月28日開催の当社株主総会において、当社に対して買収提案が行われた場合に備えるため、事前情報提供等に関する一定のルールとして、いわゆる事前警告型の買収防衛策である大規模買付ルールの導入を決議いたしました。その概略は、当社取締役会が代替案を含め買収提案者の提案を検討するために必要な情報と相当の期間を確保するとともに、当社取締役会が、当該大規模買付行為が当社の企業価値もしくは株主共同の利益を著しく低下させると判断することが困難である場合、株主意思の確認のための株主総会を招集することとしたものであります。また、その法的安定性を高めるため、定款に大規模買付ルールの改正やそのルールに基づく対抗措置の発動について、当社の取締役会や株主総会の決議により行うことができる旨などの根拠規定を新設したものであります。
「資本基盤の整備」に向けた株式施策として、2012年10月1日の当社取締役会において「ライツ・オファリング(ノンコミットメント型/上場型新株予約権の無償割当て)」を決議し、実施した結果、当該ライツ・オファリングによって発行された新株予約権のうち、92.8%の行使をいただき、約5億円の資金調達を達成し、2013年3月末時点において発行済株式総数は266,013株(注)、株主数は3,738名となりました。さらには、2013年10月16日の当社取締役会では「コミットメント型ライツ・オファリング(上場型新株予約権の無償割当て)」を決議、実施した結果、当該コミットメント型ライツ・オファリングによって約22億円の資金を調達し、2014年3月末現在において発行済株式総数は223,816,000株(注)、株主数は13,191名となり、株式の流動性も大きく向上いたしました。
※当社が導入した大規模買付ルールは、①経済産業省及び法務省が2005年5月27日に発表した「企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針」に定める三原則(企業価値・株主共同の利益の確保・向上の原則、事前開示・株主意思の原則、必要性・相当性確保の原則)及び企業価値研究会が2008年6月30日に公表した「近時の諸環境の変化を踏まえた買収防衛策の在り方」を充足していること、②その有効期間は3年であり、有効期間満了後は、3年ごとに定時株主総会において、株主の皆様のご信任を得ることとしていること、③独立性の高い社外者(特別委員会)の判断を重視し、その内容は情報開示することとしていることから、当社取締役会は、当社の企業価値または株主共同の利益を損なうものではなく、取締役の地位の維持を目的とするものではないと判断しております。
(注)当社は2013年5月1日付で普通株式1株につき4株の割合で、また2013年10月1日付で普通株式1株につき100株の割合で株式分割を行っております。