訂正有価証券報告書-第197期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2019/06/19 9:14
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146項目

業績等の概要

(1) 業績
当期のわが国経済は、設備投資や雇用情勢に改善が見られ、景気は緩やかな回復基調にありましたが、個人消費や住宅建設の動きに足踏みが見られるなど、先行き不透明な状況で推移いたしました。
このような情勢下にありまして、当社グループでは、安全・安心を根幹に、活力に富んだ暮らしやすく訪れたい東武沿線の実現を目指す「東武グループ経営方針」のもと、「東武グループ中期経営計画2014~2016」にもとづき、日光・鬼怒川地区等沿線観光地の活力創出に努めるとともに、台北支社の開設をはじめとした訪日外国人観光客の積極的な誘客施策を進めるなど、将来にわたる持続的成長に向けた取り組みを推進いたしました。
当期の連結業績は、営業収益は568,887百万円(前期比0.9%減)、営業利益は68,335百万円(前期比6.1%増)、経常利益は62,128百万円(前期比10.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は36,137百万円(前期比32.5%増)となり、営業利益および経常利益はそれぞれ過去最高益を更新いたしました。
この結果、中期経営計画における数値目標(営業利益65,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益32,000百万円、売上高営業利益率10%以上、有利子負債/EBITDA倍率7倍程度)を達成いたしました。
セグメント情報の業績を示すと、次のとおりであります。
なお、各セグメントの営業利益をセグメント利益としております。また、各セグメントの営業成績のうち「調整額」は内部取引消去額を表しております。
(運輸事業)
鉄道業におきまして、当社では、安全面において、竹ノ塚駅付近の高架化工事を推進し、下り急行線の高架橋の使用を開始いたしました。また、ホーム上の安全対策として、川越駅においてホームドア(可動式ホーム柵)設置に向けた工事を進めるとともに、同駅を含めホームドアを今後31駅に整備していくことを決定したほか、内方線付き点状ブロックについても西新井駅をはじめ10駅に整備をいたしました。さらに、沿線の消防と連携した避難誘導訓練や、大規模地震に備えた列車の一旦停止訓練等、従業員に対し安全に関する様々な教育を継続して実施いたしました。
営業面では、前期に実施した東武アーバンパークラインおよび東上線のダイヤ改正が奏功し、大宮駅ご利用のお客様や「TJライナー」ご乗車のお客様がそれぞれ増加するなど、増収に寄与いたしました。また、併結・分割機能を活かし、多線区での運行を可能とすることで、目的地まで乗り換えなくご利用いただける新型特急車両「リバティ」を新造し、2017年4月の営業運転開始に向けた準備を進めました。「東武携帯ネット会員サービス」につきましては、特急券購入時にご希望の座席を選択できる機能を追加するなど、お客様の利便性向上をはかりました。さらに、日光・鬼怒川地区のさらなる活力創出に向け、復活運転するSLにつきましては、列車名称をSL「大樹」に決定したほか、運転ダイヤ、停車駅、運転日等の営業概要を発表するなど、2017年8月の運転開始に向けた準備を順調に進めております。また、人気テーマパーク「東武ワールドスクウェア」への交通利便性を向上させるとともに、日光・鬼怒川地区の観光地としての回遊性を高めることを目的に、2017年7月に鬼怒川線小佐越駅~鬼怒川温泉駅間において新駅「東武ワールドスクウェア」を開業することを決定いたしました。さらに、外国人観光客へのサービス向上に向けた取り組みとして、駅係員によるお客様ご案内用タブレット端末の活用や駅係員・乗務員をはじめ全社員を対象とした英会話研修を実施いたしました。
なお、5月に東上線中板橋駅~大山駅間において発生した列車脱線事故につきましては、国土交通省の運輸安全委員会による調査に全面的に協力するとともに、当社としても第三者機関に調査協力を依頼し、10月に中間報告を実施いたしました。引き続き調査を継続し原因究明に努めてまいります。関係する皆様には、多大なご迷惑とご心配をおかけしましたことを深くお詫び申しあげます。
バス・タクシー業におきまして、東武バスウエスト㈱では、空港連絡バス「上尾駅・桶川駅~羽田空港線」の運行を開始し増収に努めました。また、東武バス日光㈱等では、日光・鬼怒川地区において、多言語に対応した券売機や案内看板等を導入し、外国人観光客を中心としたお客様への利便性向上をはかりました。
運輸事業全体としては、鉄道業において前期に実施したダイヤ改正が奏功し増収となったものの、貨物運送業において取扱量が減少したこと等により営業収益は216,170百万円(前期比0.2%減)となりました。一方、原油価格下落にともなう燃料費低減効果等により営業利益は40,696百万円(前期比8.1%増)となりました。
(営業成績)
業種別当連結会計年度
(自 2016年4月1日 至 2017年3月31日)
営業収益(百万円)前期比(%)
鉄道業162,3380.5
バス・タクシー業32,122△1.7
貨物運送業22,778△3.2
小計217,239△0.2
調整額△1,069
営業収益計216,170△0.2

(提出会社の鉄道業成績)
種別単位第196期第197期
(自 2015年4月1日
至 2016年3月31日)
(自 2016年4月1日
至 2017年3月31日)
営業日数366365
営業キロキロ463.3463.3
客車走行キロ千キロ268,522275,550
定期千人588,349592,493
輸送人員定期外315,411316,389
903,760908,881
定期百万円65,75466,031
旅客収入定期外79,03379,850
144,787145,881
運輸雑収15,10714,787
収入合計159,894160,668
1日平均収入436440
乗車効率%33.332.6

(注) 1 乗車効率の算出方法
乗車効率=延人キロ(駅間通過人員×駅間キロ程)÷(客車走行キロ×平均定員)×100
乗車効率とは、客車走行車両定員に対する旅客輸送量を見るためのものであります。
2 定期外旅客収入は、当期については特急料金及び着席整理料金を含んでおります。また、前期については着席整理料金を運輸雑収に含んでいたため、定期外旅客収入については特急料金のみを含んでおります。

(レジャー事業)
スカイツリー業におきまして、「東京スカイツリー®」では、天望デッキの窓ガラスを巨大スクリーンに仕立てた「SKYTREE ROUND THEATER®(スカイツリー ラウンド シアター)」における新プログラム「東京スカイツリー®天望歌舞伎」の上映や、人気少女漫画雑誌「りぼん」と連携した展示、ダンスミュージックが流れるイベント「SUPER SKYTREE DISCO(スーパー スカイツリー ディスコ)」を開催するなど様々なコラボレーション企画を実施することで、話題性の創出による幅広い層へ向けた誘客をはかりました。また、日時指定券において、多くのご要望にお応えし天望デッキと天望回廊の入場セット券を設定したほか、朝の時間帯にお得に入場いただける「朝割」を導入いたしました。さらに、前期より推進した天望シャトル(エレベーター)の改修工事を完成させ、台風等を除いた荒天時においても営業できる体制を構築し、改修後はより多くのお客様に来場いただけるようになりました。
ホテル業におきまして、歴史と伝統を有する金谷ホテル㈱をグループ会社とし、当社およびグループ会社との間で連携を深め、新たな誘客ルートの構築をはかりました。さらに、日光レークサイドホテル跡地に世界有数のホテルチェーンであるマリオット・インターナショナルの最高級ブランド「ザ・リッツ・カールトン」を2020年夏に開業させることを決定し、今後さらなる需要増が見込まれる外国人観光客を見据えた取り組みを進めました。
遊園地・観光業におきまして、「東武動物公園」では、四季を通じて多彩な花々をご覧いただけるよう新たにオープンさせた「ハートフルガーデン」を活用し、「秋のローズフェスティバル2016」や“音楽・映像・光”を融合させた「ウインターイルミネーション」をそれぞれ開催したほか、東武ワールドスクウェアでは、高さ約10メートルの巨大なランタン等を展示する「台湾ランタンフェスティバル」を開催し、それぞれ誘客に努めました。
レジャー事業全体としては、中長期的経営を見据えた東京スカイツリーのエレベーター改修工事やザ・リッツ・カールトン開業に向けた日光レークサイドホテルの営業休止および天候不順等の影響により、営業収益は76,792百万円(前期比2.8%減)、営業利益は6,791百万円(前期比17.3%減)となりました。
(営業成績)
業種別当連結会計年度
(自 2016年4月1日 至 2017年3月31日)
営業収益(百万円)前期比(%)
遊園地・観光業5,028△4.3
スポーツ業11,053△5.7
旅行業21,455△2.6
ホテル業17,2260.8
飲食業9,248△5.4
スカイツリー業14,339△5.1
小計78,352△3.2
調整額△1,559
営業収益計76,792△2.8


(不動産事業)
スカイツリータウン業におきまして、「東京ソラマチ®」では、季節に応じた各種イベントを開催し、クリスマスにあわせて実施したイルミネーションでは、初めて東京スカイツリー塔体を使ったプロジェクションマッピングを上映したほか、人気キャラクター「星のカービィ」や「ドラえもん」と連携したカフェの誘致やアイススケートリンクの展開により誘客と増収をはかりました。
不動産賃貸業におきまして、当社では、沿線の生活価値の向上等を目的に、曳舟駅にビルを建設のうえ、当社初の駅直結となる病院を誘致し、2017年4月1日に開院いたしました。また、池袋駅西口地下通路において、大型デジタルサイネージを新たに64面設置し広告を配信することで増収に努めました。そのほか、子育て世代のご家族が住みやすい環境を整備するため、保育所・学童保育室の誘致等をしており、2017年4月1日には合計13施設となりました。
不動産分譲業におきまして、当社では、沿線価値向上と沿線定住人口増加を目的として「ソライエ船橋塚田」(船橋市北本町)、「ソライエ若葉」(坂戸市関間)等の分譲マンション、「ソライエ清水公園アーバンパークタウン」(野田市清水公園東)等の分譲戸建住宅および滑川町月の輪等の土地を販売いたしました。
不動産事業全体としては、マンション販売戸数の増加等により、営業収益は55,828百万円(前期比2.4%増)、営業利益は14,394百万円(前期比2.8%増)となりました。
(営業成績)
業種別当連結会計年度
(自 2016年4月1日 至 2017年3月31日)
営業収益(百万円)前期比(%)
不動産賃貸業34,3061.7
不動産分譲業9,48313.4
スカイツリータウン業12,388△2.9
小計56,1782.4
調整額△349
営業収益計55,8282.4

(流通事業)
流通業におきまして、㈱東武百貨店では、池袋店において、2週間ごとに和洋菓子店6店舗が入れ替わるイベントスペース「HANA 3 TERRACE(ハナサンテラス)」を地下1階にオープンさせることで食品売り場の賑わいの創出をはかったほか、「初夏の大北海道展」をはじめとした各種催事を開催し、誘客と収益確保に努めました。㈱東武宇都宮百貨店では、宇都宮店において、21年ぶりに大規模改装を実施し、栃木県内初出店の11ブランドを揃えたほか、お子様向け遊具を設置した「キッズスクエア」をオープンさせることで、従来のお客様の満足度向上と30代から40代の新規顧客の獲得に努めました。東武商事㈱では、草加駅等3か所でコンビニエンスストアをオープンし、増収に努めました。
流通事業全体としては、個人消費の伸び悩み等により営業収益は194,915百万円(前期比2.3%減)となったものの、㈱東武百貨店において経常的な利益確保に向けた構造改革に努めた結果、営業利益は1,897百万円(前期比379.7%増)となりました。
(営業成績)
業種別当連結会計年度
(自 2016年4月1日 至 2017年3月31日)
営業収益(百万円)前期比(%)
流通業194,915△2.3
調整額
営業収益計194,915△2.3

(その他事業)
建設業におきまして、東武建設㈱では、焼津市においてリゾートホテルの耐震補強および修繕工事を、東武谷内田建設㈱では、墨田区において美術館の建設工事を、東武緑地㈱では、江東区において分譲マンションの植栽工事をそれぞれ完成させました。
そのほか、東武ビルマネジメント㈱では、港区においてオフィスビルの清掃、警備および設備管理業務を受注したほか、㈱東武セレモニーでは、「東武レクイエム聖殿深谷」をリニューアルオープンし、増収に努めました。
その他事業全体としては、建設業における完成工事の増加等により、営業収益は94,507百万円(前期比3.8%増)、営業利益は6,196百万円(前期比18.3%増)となりました。
(営業成績)
業種別当連結会計年度
(自 2016年4月1日 至 2017年3月31日)
営業収益(百万円)前期比(%)
建設業57,6884.0
その他業37,6262.4
小計95,3153.4
調整額△807
営業収益計94,5073.8

(2) キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1,640百万円増加し34,118百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の増加は、税金等調整前当期純利益56,816百万円に減価償却費52,780百万円等を加減算した結果87,470百万円となり、前連結会計年度と比べて9,356百万円の資金流入の増加となりました。これは、主にたな卸資産の減少等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は55,881百万円となり、前連結会計年度と比べて7,711百万円の資金流出の減少となりました。これは、主に有形及び無形固定資産の取得による支出が減少したこと等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の減少は29,907百万円となり、前連結会計年度と比べて17,805百万円の資金流出の増加となりました。これは、主に返済による長期借入金が減少したこと等によるものです。