有価証券報告書-第100期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

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2017/06/23 13:39
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業績等の概要

(1)業績
当連結会計年度のわが国経済は、景気は緩やかな回復基調で推移いたしましたものの、海外経済の不透明感が強まるなど、先行きは依然として予断を許さない状況が続きました。
このような経済情勢の下におきまして、当社グループでは、2年目に入った中期経営計画「深展133計画」に基づき、引き続き各種施策への取組みを進めてまいりました。
この結果、当連結会計年度におきましては、空港関連旅客輸送が好調に推移する一方、退職給付債務の算定に用いる割引率の低下に伴い退職給付費用が増加したこともあり、営業収益は前連結会計年度に比べ26億24百万円(1.2%)増加の2,216億90百万円、営業利益は前連結会計年度に比べ4億77百万円(1.5%)減少の318億40百万円となり、経常利益は、支払利息の減少等により、前連結会計年度に比べ0百万円(0.0%)増加の271億11百万円となりました。なお、前連結会計年度には、特別損失として賃貸用不動産等の収益性低下に伴う減損損失の計上があったため、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ38億39百万円(30.4%)増加の164億52百万円となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
① 運輸業
鉄道事業におきましては、営業面では、増大するインバウンド旅客のニーズに確実に応えるため、企画きっぷのラインナップの充実及び海外向けインターネット直販等による販路の拡大に努めるとともに、国内外の旅客に当社線を円滑かつ快適にご利用いただけるよう、昨年4月、空港線関西空港駅において、訪日外国人専用窓口及び引換券(バウチャー)専用窓口をそれぞれ開設いたしました。また、本年1月、南海線のダイヤ改正を実施し、早朝深夜時間帯の特急「ラピート」及び空港急行を増発するとともに、一部の空港急行の編成両数を増加させるなど、輸送力の増強をはかりました。さらに、「加太さかな線プロジェクト」の一環として、昨年4月、観光列車「めでたいでんしゃ」の運行を開始する一方、NHK大河ドラマで注目を集めた九度山・高野山エリアへの旅客誘致をはかるため、「南海・真田赤備え列車」を運行するなど、沿線エリアの魅力創造に取り組みました。このほか、旅客の利便性向上とICカードの普及促進をはかるため、本年3月、PiTaPaに加えてICOCA及びICOCA定期券の発売を開始いたしました。施設・車両面では、南海線に8300系車両12両を、特急「泉北ライナー」に泉北12000系車両4両をそれぞれ投入したほか、駅の列車行先案内表示装置の更新を進めるなど、旅客サービスの向上に努めました。また、かねてより進めてまいりました高石市内の南海本線・高師浜線連続立体交差化工事の一部が完成し、昨年5月に南海本線下り線の運転を高架に切り替えるなど、運転保安度の向上をはかりました。
軌道事業におきましては、上町線天王寺駅前停留場・阿倍野停留場間の軌道移設工事に伴い、昨年12月、天王寺駅前停留場及び阿倍野停留場(上り)のバリアフリー化を完了させるとともに、関西で初めて両停留場間の軌道敷を芝生化いたしました。
バス事業におきましては、一般乗合バス路線において、昨年4月、PiTaPaをはじめとする交通系ICカードサービスの利用範囲を拡大するとともに、10月には、南海バスグループにおいて、従来の磁気式回数カードに替わるICカード「なっち」を導入し、旅客の利便性向上をはかりました。また、空港リムジンバス路線において、本年1月、関西国際空港第2ターミナルの拡張に伴い、全路線の同ターミナルへの乗入れを開始いたしました。
海運業におきましては、和歌山・徳島航路を高野山と四国霊場とを結ぶ「海の遍路道」と銘打ち、自治体と共同でキャンペーンを展開するなど、旅客需要の喚起に注力いたしました。
この結果、運輸業の営業収益は前連結会計年度に比べ8億22百万円(0.8%)増加の995億51百万円となりましたが、退職給付費用や鉄道車両の新造に伴う減価償却費の増加等により、営業利益は前連結会計年度に比べ3億60百万円(2.2%)減少の161億40百万円となりました。
提出会社の運輸成績
区 分単位当連結会計年度
(H28.4~H29.3)対前年度増減率%
営 業 日 数365△0.3
営 業 キ ロキ ロ154.80.0
客 車 走 行 キ ロ千キロ94,696△0.5
旅客人員定 期 外千 人96,5292.2
定 期千 人139,6240.5
千 人236,1531.2
運輸収入旅客収入定 期 外百万円34,7833.5
定 期百万円22,4040.5
百万円57,1872.3
荷 物 運 賃百万円-△100.0
合 計百万円57,1872.3
運 輸 雑 収百万円2,6910.0
収 入 合 計百万円59,8782.2
乗 車 効 率%33.3-

(注) 乗車効率の算出は 延人キロ/(客車走行キロ×平均定員)によります。
営業成績
業種当連結会計年度
(H28.4~H29.3)
営業収益対前年度増減率
百万円%
鉄 道 事 業67,6181.9
軌 道 事 業1,515△0.6
バ ス 事 業26,475△0.1
海 運 業1,932△3.6
貨 物 運 送 業3,8861.1
車 両 整 備 業4,102△3.4
調 整 額△5,980-
営 業 収 益 計99,5510.8

② 不動産業
不動産賃貸業におきましては、パークスタワーをはじめとする沿線の各物件や東大阪及び北大阪流通センター内各施設の稼働率の維持向上に努めました。また、北大阪流通センターの再編・高度利用計画の一環として、昨年9月、トラックターミナル新管理棟の供用を開始する一方、かねてより進めてまいりました和歌山市駅活性化計画の第一段階として、本年3月、オフィス棟「南海和歌山市駅ビル」を完成させました。
不動産販売業におきましては、南海林間田園都市 彩の台や南海くまとり・つばさが丘等で宅地及び戸建住宅の分譲を進めました。また、当社沿線にあっては堺七道、河内長野及び和歌山大学前、沿線外では大阪市港区、大阪府富田林市及び京都市山科区等において、当社グループの分譲マンションブランド「ヴェリテ」シリーズを展開したほか、京都府向日市等において、他の事業者と共同で分譲マンション事業を推進いたしました。
この結果、不動産業の営業収益は前連結会計年度に比べ1億78百万円(0.5%)増加の339億22百万円となりましたが、販売用不動産の評価損を計上した影響等もあり、営業利益は前連結会計年度に比べ7億98百万円(8.5%)減少の85億81百万円となりました。
営業成績
業種当連結会計年度
(H28.4~H29.3)
営業収益対前年度増減率
百万円%
不 動 産 賃 貸 業25,3230.8
不 動 産 販 売 業8,959△7.3
調 整 額△360-
営 業 収 益 計33,9220.5

③ 流通業
ショッピングセンターの経営におきましては、昨年4月、なんばCITY南館において、開業以来最大規模となるリニューアルを実施するとともに、なんばEKIKANプロジェクトの第3期エリアを開業いたしました。また、なんばパークスでは、本年3月、屋上庭園「パークスガーデン」において専属ガーデナーが常駐するショップ兼インフォメーションやバーベキューテラスを新設するなどのリニューアルを実施し、なんばエリアの求心力向上に取り組みました。さらに、なんばCITYに手荷物一時預かり窓口を設置したほか、なんばCITY及びなんばパークスの海外向け情報発信を強化するなど、インバウンド旅客の来訪促進をはかりました。一方、泉ヶ丘エリアにおきましては、昨年4月、「ショップタウン泉ヶ丘(駅南)」を「泉ヶ丘ひろば専門店街」に改称するとともに、エリアの象徴である泉ケ丘駅前広場を全面改修したほか、本年3月、パンジョにおいて、21年ぶりとなる大規模リニューアルを実施するなど、泉ケ丘駅前地区の魅力・集客力の向上に取り組みました。
駅ビジネス事業におきましては、南海本線難波駅において、通勤通学旅客に加えインバウンド旅客のニーズに応える店舗の充実をはかりました。また、昨年12月、ショップ南海住ノ江のリニューアルを実施し、新たに「N.KLASS(エヌクラス)住ノ江」として開業するとともに、本年3月、同線泉大津駅高架下に新たな商業施設「N.KLASS泉大津」を開業いたしました。
この結果、流通業の営業収益は前連結会計年度に比べ5億93百万円(1.7%)増加の357億94百万円となり、営業利益は前連結会計年度に比べ17百万円(0.6%)増加の31億81百万円となりました。
営業成績
業種当連結会計年度
(H28.4~H29.3)
営業収益対前年度増減率
百万円%
ショッピングセンターの経営14,9093.1
駅ビジネス事業21,3080.1
そ の 他2,7677.8
調 整 額△3,191-
営 業 収 益 計35,7941.7

④ レジャー・サービス業
遊園事業におきましては、みさき公園において、イルカをはじめ動物とのふれあいを目的とした体験型イベントに注力したほか、幼児や小学生に人気の催物の開催等、ファミリー層を中心にお客さまの誘致に努めました。
旅行業におきましては、昨年10月、業務出張の手配の一元化や精算業務の効率化を実現する法人向け次世代出張手配システム「BTOL(ビートル)」の提供を開始いたしました。
ビル管理メンテナンス業におきましては、業容の拡大をはかるため、南海ビルサービス株式会社において、昨年4月、東大阪流通センターの設備保守業務等を受託する株式会社TTSの全株式を取得するとともに、7月には、首都圏においてマンション管理事業を行うライフコミュニティ株式会社の全株式を取得いたしました。
葬祭事業におきましては、会員募集活動を強化するとともに、小規模葬儀の増加に対応し、一部会館のリニューアルを実施するなど、葬儀件数の増加に努めました。
以上のような諸施策により、レジャー・サービス業の営業収益は前連結会計年度に比べ7億7百万円(1.8%)増加の395億71百万円となり、営業利益は前連結会計年度に比べ4百万円(0.2%)増加の18億45百万円となりました。
営業成績
業種当連結会計年度
(H28.4~H29.3)
営業収益対前年度増減率
百万円%
遊 園 事 業991△16.1
旅 行 業1,996△0.0
ホテル・旅館業1,182△10.7
ボートレース施設賃貸業5,0385.1
ビル管理メンテナンス業24,5232.4
葬 祭 事 業2,5482.7
そ の 他5,3790.8
調 整 額△2,087-
営 業 収 益 計39,5711.8

⑤ 建設業
建設業におきましては、かねてより、民間住宅工事のほか、民間非住宅分野や首都圏での土木工事等の受注活動に取り組んでまいりました結果、営業収益は前連結会計年度に比べ4億45百万円(1.0%)増加の452億75百万円となり、工事原価管理の徹底等による利益率の改善に努めたことにより、営業利益は前連結会計年度に比べ10億7百万円(51.8%)増加の29億53百万円となりました。
営業成績
業種当連結会計年度
(H28.4~H29.3)
営業収益対前年度増減率
百万円%
建 設 業45,3261.0
調 整 額△50-
営 業 収 益 計45,2751.0

⑥ その他の事業
その他の事業におきましては、営業収益は前連結会計年度に比べ7億93百万円(43.5%)増加の26億19百万円となり、営業利益は前連結会計年度に比べ71百万円(57.9%)増加の1億94百万円となりました。
営業成績
業種当連結会計年度
(H28.4~H29.3)
営業収益対前年度増減率
百万円%
そ の 他2,62343.4
調 整 額△3-
営 業 収 益 計2,61943.5

(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ47百万円増加し、183億42百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は427億53百万円(前連結会計年度は432億12百万円)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益246億84百万円、減価償却費260億32百万円のほか、法人税等の支払額74億48百万円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は308億61百万円(前連結会計年度は290億30百万円)となりました。これは主に、固定資産の取得による支出369億46百万円のほか、工事負担金等受入による収入48億36百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は119億6百万円(前連結会計年度は170億47百万円)となりました。これは主に、長期借入れによる収入293億4百万円がありましたが、長期借入金の返済による支出362億23百万円、配当金の支払額50億74百万円等によるものであります。