有価証券報告書-第62期(2025/04/01-2026/03/31)
有報資料
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
①自然保護と環境保全
当社の経営基盤である立山黒部一帯は、自然公園法による中部山岳国立公園の特別保護地区及び特別地域に含まれており、そのため、立山黒部アルペンルートの建設にあたっては、自然景観を損なわないよう、また自然に与える影響を最小限に抑えるよう細心の配慮のもと進められました。当社では、昭和46年の全線開業後においても、一貫して自然保護と環境保全を最優先課題に掲げ、立山の大自然を永久に守り伝えるため努力を続けております。
②安全保護と保守管理
立山黒部アルペンルートは、多くの観光客・登山客を迎えております。運輸機関が安全・快適であることは、観光地にとっての絶対必要要件であり、立山黒部の大景観を心ゆくまで満喫していただくために、保守管理体制を徹底・強化し、安全確保の維持に努めております。
③地域振興と国際観光
立山黒部地帯は、特異な風土(気候、気象、地形、景観等)が影響し、大自然、歴史と文化、電源開発、砂防事業等多くの魅力や資源にあふれており、富山県を代表する国際的山岳観光地として、確固たる地位を築いております。
海外からのお客様も近年増加し、近隣の東アジアをはじめ東南アジアや欧米といった様々な国からお越しいただくようになりました。今後も、グローバルな営業を展開し国際観光振興に貢献してまいります。
(2)経営環境
令和7年度は、世界的な地政学リスクや国際情勢の不安定化、エネルギー価格の高止まりといった先行きに不確実性を伴う環境で推移しました。また、観光業界においては、訪日外国人旅行客の客数や旅行消費額がともに過去最高となる一方、宿泊料金の上昇やオーバーツーリズム等の課題も顕在化しております。
このような状況の中、当社は新たな中期経営計画(令和8~12年度)を策定いたしました。この新たな計画では「成長と投資」を基本方針とし、「設備への投資」「営業への投資」「人財への投資」を強力に進めることで中長期的に安定した収益基盤の構築を目指してまいります。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
①設備への投資~持続可能な事業運営に向けて~
輸送の安全・信頼性を将来にわたり確保するため、旅客施設を中心とした計画的な更新投資を着実に推進してまいります。特に、長期供用に伴い老朽化が進行している設備・施設の更新・改良を進めるとともに、立山トンネル電気バスの導入に象徴されるように、環境負荷の低減と安定運行を両立させた設備整備を継続してまいります。
なお、これらの設備投資には多額の資金が必要となることから、財務的にも充分耐え得る事業運営体制の構築も進めてまいります。
②営業への投資~旅客誘致と平準化、旅客サービスの向上に向けて~
国内旅客においては、近年、個人旅行の増加やデジタル化の進展により、旅行者の情報収集・予約行動が大きく変化しており、当社においても「WEBきっぷ」の販売はシーズンを通して好調に推移しました。「WEBきっぷ」につきましては、引き続き利便性の向上を図るとともに、事前予約の促進による需要の平準化と混雑緩和につなげ、旅客サービスの向上にも取り組んでまいります。
また、今後は、旅行需要の旺盛な大都市圏からの誘客に加え、室堂から黒部湖間の利用促進と通り抜け需要の拡大を重視するとともに、夏秋における誘客強化を通じてシーズンの平準化を図ってまいります。富山県・近隣県・関係市町村・関係機関等のご協力もいただきながら、当社の強みである旅行会社や運輸機関との幅広いネットワークや、注目度の高いメディアを活用し、シーズンを通じてより多くのお客様にお越しいただけるよう努めてまいります。
海外旅客においては、東アジアの台湾、韓国、香港からの誘致を継続し、認知度が高まっている東南アジア各国へは旅行嗜好に合った季節ごとの魅力を積極的に発信、各国航空会社や旅行会社とも連携し、誘致活動を強化いたします。また、今後成長が見込まれる地域への誘致活動を段階的に強化いたします。
近年増加する訪日個人旅客に対しては、「WEBきっぷ」の利便性向上と的確な情報発信により、安心快適にアルペンルートを利用できるよう努めてまいります。北陸新幹線や周辺観光地との連携を通じ、立山黒部アルペンルートを広域周遊ルートの中核として位置づけたプロモーションを推進し、通り抜け需要の拡大を図ります。
情報発信面では、四季を通じて「みくりが池越しの立山連峰」を誘客のメインビジュアルとしてSNSを中心に情報発信し、メディア露出拡大の効果もあったことから、特に夏には若年層の来訪が増える等、新たな客層の獲得に繋がりました。また、営業推進部に新設したデジタルマーケティングセンターでは、WEBきっぷや予約システム、SNSや公式サイトを通じた情報発信力の強化を図り、旅行客への認知拡大と来訪意欲の喚起に取り組んでまいります。
飲食・物販事業につきましては、魅力ある商品やメニューの開発、店舗の見直しを進めることで、旅の満足度向上と滞在中の消費拡大を図ってまいります。これらにより、立山黒部アルペンルート全体の体験価値向上と、再訪意欲の醸成につなげてまいります。
③人財への投資~人材の確保・育成と労働環境の整備に向けて~
アルペンルート事業を長期的に支える人的基盤の強化を進めてまいります。特に人材不足が懸念される運転手や技術・IT関連人材を中心に経験者採用を進めるとともに、雇用条件、処遇の改善、若手社員へのサポート体制の強化等、労働環境の改善を図ってまいります。新たな人事評価制度の運用や社内コミュニケーションの活性化を通じて、職員一人ひとりが成長を実感し、能力・意欲を最大限発揮できる働きがいのある職場づくりを進め、多様な人材が長期的に活躍できる環境整備に努めてまいります。
また、DXの継続的な推進により情報共有の効率化を進め、意思決定の迅速化や職場間での相互サポート体制を強化するとともに、事業の再編成や人件費の増加に対応し、効率的な要員の配置や、勤務体制の見直しに取り組んでまいります。
④安全・安心の確保
世界に類のない山岳観光地で運輸事業を営む当社において安全・安心の確保は守るべき当然の責務であります。全職場において、継続的に安全・安心の管理と教育を徹底し、法令遵守とヒューマンエラー防止に取り組んでまいります。
乗り物施設の安全対策や弥陀ヶ原火山災害発生のリスクに対しては、行政及び関係機関と連携しながら、施設調査や対策の検討、災害対応体制の構築、避難確保計画の策定等を進めてまいります。また、令和7年度より導入の立山トンネル電気バスの運行における安全対策や運行指令管理体制についても、整備を進めてまいります。
今後とも、安全・安心の確保に対する取り組みを継続して行い、安全・安心な立山黒部アルペンルートの構築に役職員一丸となって邁進いたします。
⑤自然環境の保全
令和8年度も、関係機関のご協力ご配慮を得て、4月15日に立山黒部アルペンルート全線で営業を再開いたしました。営業再開にあたっては、早春の立山一帯における自然環境保全に対する理解の周知徹底に万全を期してまいりました。引き続き、環境にやさしい施設の維持管理、ごみ処理対策の徹底、美化清掃活動の推進等、立山の大自然を守り伝えるための取組みを続けてまいります。
また、令和7年度より導入した立山トンネル電気バスは、環境負荷低減に資するものであり、今後もカーボンニュートラルの実現に向けて、その知見を事業全般に活かしてまいります。今後とも自然公園法の目的に則り、自然とふれあい、その素晴らしさを多くの方に知っていただけるよう、観光と環境保全の調和を図り関係機関と連携して立山黒部の大自然を広く紹介してまいります。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標は営業利益であります。
当連結会計年度は、国際情勢の不安定な状況が継続する中においても、旅行需要の回復基調を背景に、立山トンネル電気バスの運行開始をはじめとする新たな話題の創出に加え、販売強化を進めた「WEBきっぷ」やSNSを活用した情報発信等により、3期連続の増収増益となりました。今後も、継続的な黒字の計上に一層努めてまいります。