有価証券報告書-第74期(2022/04/01-2023/03/31)

【提出】
2023/06/26 15:00
【資料】
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【項目】
147項目
3.重要な会計方針
(1)連結の基礎
① 子会社
子会社とは、当社グループにより支配されている企業をいいます。当社グループがある企業への関与により生じる変動リターンに対するエクスポージャーまたは権利を有し、かつ、当該企業に対するパワーにより当該リターンに影響を及ぼす能力を有している場合に、当社グループは当該企業を支配していると判断しております。
子会社の財務諸表は、原則として当社グループが支配を獲得した日から支配を喪失する日まで、連結の対象に含めております。
子会社が適用する会計方針が当社グループの適用する会計方針と異なる場合には、必要に応じて当該子会社の財務諸表に調整を加えております。当社グループ間の債権債務残高および内部取引高、ならびに当社グループ間の取引から発生した未実現損益は、連結財務諸表の作成に際して消去しております。
子会社持分を一部処分した際、支配が継続する場合には、資本取引として会計処理しております。非支配持分の調整額と対価の公正価値との差額は、親会社の所有者に帰属する持分として資本に直接認識されております。
支配を喪失した場合には、支配の喪失から生じた利得または損失は純損益で認識しております。
② 関連会社
関連会社とは、当社グループが当該企業に対し、財務および営業の方針に重要な影響力を有しているものの、支配または共同支配をしていない企業をいいます。当社グループが他の企業の議決権の20%以上を保有する場合、当社グループは当該他の企業に対して重要な影響力を有していると推定しております。
関連会社については、原則として当社グループが重要な影響力を有することとなった日から重要な影響力を喪失する日まで、持分法によって会計処理しております。関連会社に対する投資には、取得に際して認識されたのれん(減損損失累計額控除後)が含まれております。
関連会社が適用する会計方針が当社グループの適用する会計方針と異なる場合には、必要に応じて当該関連会社の財務諸表に調整を加えております。
③ 共同支配企業
共同支配企業とは、当社グループを含む複数の当事者が経済活動に対する契約上合意された支配を共有し、その活動に関連する戦略的な財務上および営業上の決定に際して、支配を共有する当事者すべての合意を必要とする企業をいいます。
当社グループが有する共同支配企業については、持分法によって会計処理しております。
(2)企業結合
企業結合は、支配が当社グループに移転した場合に取得法を用いて会計処理をしております。被取得企業における識別可能な資産および負債は原則として取得日の公正価値で測定しております。のれんは、企業結合で移転された対価、被取得企業の非支配持分の金額、および当社グループが以前に保有していた被取得企業の資本持分の公正価値の合計が、取得日における識別可能な資産および負債の正味価額を上回る場合にその超過額として測定しております。
非支配持分を公正価値で測定するか、または識別可能な純資産の認識金額に対する比例的な取り分として測定するかについては、企業結合ごとに選択しております。
企業結合が生じた期間の末日までに企業結合の当初の会計処理が完了していない場合には、暫定的な金額で会計処理を行っております。取得日から1年以内の測定期間において、取得日時点で存在した事実および状況について新しい情報を入手した場合は、暫定的な金額を遡及修正しております。
(3)外貨換算
① 外貨建取引
外貨建取引は、取引日の為替レートで当社グループの各社の機能通貨に換算しております。
期末日における外貨建貨幣性資産および負債は、期末日の為替レートで機能通貨に換算しております。
公正価値で測定される外貨建非貨幣性資産および負債は、当該公正価値の算定日における為替レートで機能通貨に換算しております。
換算または決済により生じる換算差額は、純損益として認識しております。ただし、その他の包括利益を通じて測定される金融資産、およびキャッシュ・フロー・ヘッジから生じる換算差額については、その他の包括利益として認識しております。
② 在外営業活動体の財務諸表
在外営業活動体の資産および負債については期末日の為替レート、収益および費用については為替レートが著しく変動している場合を除き、期中平均為替レートを用いて日本円に換算しております。在外営業活動体の財務諸表の換算から生じる換算差額は、その他の包括利益として認識し、その後在外営業活動体が処分された期間に純損益として認識しております。
(4)金融商品
a 金融資産
(a)当初認識および測定
当社グループは、金融資産について、純損益またはその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産、償却原価で測定する金融資産に分類しております。この分類は、当初認識時に決定しております。
当社グループは、金融資産に関する契約の当事者となった取引日に当該金融商品を認識しております。
非デリバティブ金融資産は、純損益を通じて公正価値で測定される区分に分類される場合を除き、公正価値に取引費用を加算した金額で測定しております。ただし、重要な金融要素を含まない営業債権は取引価格で測定しております。
① 負債性金融商品である金融資産
以下の要件をともに満たす場合には、償却原価で測定する金融資産に分類しております。
・契約上のキャッシュ・フローを回収するために資産を保有することを目的とする事業モデルに基づいて、資産が保有されている。
・金融資産の契約条件により、元本および元本残高に対する利息の支払のみであるキャッシュ・フローが特定の日に生じる。
また、以下の要件をともに満たす場合には、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類し、それ以外の場合は純損益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しております。
・契約上のキャッシュ・フローを回収と売却の両方によって目的が達成される事業モデルに基づいて、金融資産が保有されている。
・金融資産の契約条件により、元本および元本残高に対する利息の支払のみであるキャッシュ・フローが特定の日に生じる。
なお、報告期間を通じて、負債性金融商品のうちその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産は保有しておりません。
② 資本性金融商品である金融資産
純損益を通じて公正価値で測定しなければならない売買目的で保有される資本性金融資産を除き、当初認識時に事後の公正価値の変動をその他の包括利益に認識するという指定をした資本性金融資産については、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しています。
当該指定は、個々の資本性金融資産ごとに実施しています。また、取消不能なものとして継続的に適用しております。
なお、報告期間を通じて、資本性金融商品のうち純損益を通じて公正価値で測定する金融資産は保有しておりません。
(b)事後測定
金融資産の当初認識後の測定は、その分類に応じて次のとおり測定しております。
① 償却原価により測定する金融資産
償却原価により測定する金融資産については、実効金利法による償却原価により測定しております。
② 公正価値により測定する金融資産
公正価値により測定する金融資産の公正価値の変動額は純損益として認識しております。
ただし、資本性金融資産のうち、その他の包括利益を通じて公正価値で測定すると指定したものについては、公正価値の変動額はその他の包括利益として認識しております。なお、当該金融資産からの配当金については、投資収益の一部として当期の純損益として認識しております。
その他の包括利益を通じて公正価値で測定するとした資本性金融商品の認識を中止した場合または公正価値が著しく下落した場合には、その他の包括利益に累積された金額を利益剰余金に振り替えております。
(c)金融資産の認識の中止
当社グループは、金融資産からのキャッシュ・フローに対する契約上の権利が消滅する、または金融資産を譲渡し、かつ、当社グループが金融資産の所有のリスクと経済価値のほとんどすべてを移転する場合において、金融資産の認識を中止しております。
(d)金融資産の減損
償却原価により測定する金融資産については、予想信用損失に対する貸倒引当金を認識しております。
当社グループは、期末日ごとに各金融資産に係る信用リスクが当初認識時点から著しく増加しているかどうかを評価しており、当初認識時点から信用リスクが著しく増加していない場合には、12ヶ月の予想信用損失を貸倒引当金として認識しております。一方で、当初認識時点から信用リスクが著しく増加している場合には、全期間の予想信用損失と等しい金額を貸倒引当金として認識しております。ただし、重大な金融要素を含んでいない営業債権については、信用リスクの当初認識時点からの著しい増加の有無にかかわらず、常に全期間の予想信用損失と等しい金額で貸倒引当金を認識しております。
予想信用損失は、契約に従って企業に支払われるべきすべての契約上のキャッシュ・フローと、企業が受け取ると見込んでいるすべてのキャッシュ・フローとの差額の現在価値として測定しております。
金融資産に係る貸倒引当金の繰入額は、純損益で認識しております。貸倒引当金を減額する事象が生じた場合は、貸倒引当金戻入額を純損益で認識しております。
b 金融負債
(a)当初認識および測定
当社グループは、売買目的保有として分類されたもの、またはデリバティブである場合、純損益を通じて公正価値で測定する金融負債に分類しております。その他の金融負債は、償却原価で測定する金融負債に分類しております。この分類は、当初認識時に決定しております。
当社グループは、金融負債に関する契約の当事者となった取引日に当該金融商品を認識しております。
すべての金融負債は公正価値で当初測定しておりますが、償却原価で測定する金融負債については、直接帰属する取引費用を控除した金額で測定しております。
(b)事後測定
金融負債の当初認識後の測定は、その分類に応じて次のとおり測定しております。
① 純損益を通じて公正価値で測定する金融負債
純損益を通じて公正価値で測定する金融負債については、当初認識後公正価値で測定し、その変動については当期の純損益として認識しております。
② 償却原価で測定する金融負債
償却原価で測定する金融負債については、当初認識後実効金利法による償却原価で測定しております。
実効金利法による償却および認識が中止された場合の利得および損失については、金融費用の一部として当期の純損益として認識しております。
(c)金融負債の認識の中止
当社グループは、金融負債が消滅したとき、すなわち、契約中に特定された債務が免責、取消し、または失効となった時に、金融負債の認識を中止しております。
c 金融資産および金融負債の表示
金融資産および金融負債は、当社グループが残高を相殺する法的権利を有し、かつ純額で決済するかまたは資産の実現と負債の決済を同時に行う意図を有する場合にのみ、連結財政状態計算書上で相殺し、純額で表示しております。
d デリバティブおよびヘッジ会計
外貨建債務については、将来の為替レート変動リスクを回避する目的で、通貨オプション取引および為替予約取引等を利用しております。また、航空燃料の価格変動リスクを抑制し、コストを安定させることを目的として、コモディティ・デリバティブ取引を利用しております。これらのデリバティブは、契約が締結された時点の公正価値で当初認識され、関連する取引費用は発生時に費用として認識しております。当初認識後は、公正価値で再測定しております。
当社グループは、ヘッジ開始時に、ヘッジ会計を適用しようとするヘッジ関係ならびにヘッジを実施するに当たってのリスク管理目的および戦略について、文書化をしております。当該文書は、具体的なヘッジ手段、ヘッジ対象となる項目または取引ならびにヘッジされるリスクの性質およびヘッジされたリスクに起因するヘッジ対象のキャッシュ・フローの変動に対するエクスポージャーを相殺するに際してのヘッジ手段の公正価値変動の有効性の評価方法などを含んでおります。具体的には、以下の項目をすべて満たす場合に、ヘッジが有効と判断しております。
・ヘッジ対象とヘッジ手段との間に経済的関係があること
・信用リスクの影響が、当該経済的関係から生じる価値変動に著しく優越するものではないこと
・ヘッジ関係のヘッジ比率が、企業が実際にヘッジしているヘッジ対象の量と企業がヘッジ対象の当該量を実際にヘッジするのに使用しているヘッジ手段の量から生じる比率と同じであること
ヘッジ比率については、ヘッジ対象の価格変動に対応するヘッジ手段の価格変動の度合い等の経済的関係およびリスク管理戦略に照らして適切に設定しております。
当社グループは、ヘッジ関係が将来に向けて有効であるかどうかを継続的に評価しております。有効性の高いヘッジを行っているため、通常、重要な非有効部分は発生しないと想定しておりますが、予定取引をヘッジ対象としているため、ヘッジ手段の価値変動がヘッジ対象の価値変動を上回る場合があります。その場合には、ヘッジの非有効部分が生じます。
ヘッジ関係について有効性が認められなくなったものの、リスク管理目的に変更がない場合は、ヘッジ関係が再び有効となるようヘッジ比率を再調整しております。また、ヘッジ関係についてリスク管理目的が変更された場合は、ヘッジ会計の適用を中止しております。
当社グループは、ヘッジ会計の手法としてキャッシュ・フロー・ヘッジのみを採用しております。
ヘッジ手段に係る利得または損失のうち有効部分は、その他の包括利益として認識し、非有効部分は直ちに純損益として認識しております。
その他の包括利益に計上されたヘッジ手段に係る金額は、ヘッジ対象である取引が純損益に影響を与える時点で純損益に振り替えております。ヘッジ対象が非金融資産または非金融負債の認識を生じさせるものである場合には、その他の包括利益として認識されている金額は、非金融資産または非金融負債の当初の帳簿価額の修正として処理しております。
予定取引の発生がもはや見込まれない場合には、従来その他の包括利益を通じて資本として認識していた累積損益を純損益に振り替えております。ヘッジされた予定取引の発生可能性が非常に高いわけではなくなったものの、引き続き発生が見込まれる場合には、従来その他の包括利益を通じて資本として認識されていた金額は、当該将来キャッシュ・フローが発生するまで引き続き資本に計上しております。
(5)現金及び現金同等物
現金及び現金同等物は、手許現金、預入期間1年以内の定期預金を含む随時引き出し可能な預金、および容易に換金可能であり、かつ、価値の変動について僅少なリスクしか負わない取得日から3カ月以内に償還期限の到来する短期投資から構成されております。
(6)棚卸資産
棚卸資産は取得原価と正味実現可能価額のいずれか低い価額で測定しております。
正味実現可能価額は、通常の事業の過程における見積売価から販売に要するコストの見積額を控除した額です。原価は、主として移動平均法に基づいて算定しており、購入原価ならびに棚卸資産の現在の保管場所および状態に至るまでに要したすべての費用を含んでおります。
(7)有形固定資産(リースを除く)
① 認識および測定
当社グループは、有形固定資産の測定においては原価モデルを採用し、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した金額で測定しております。取得原価には、資産の取得に直接付随する費用、資産の解体・撤去および設置していた場所の原状回復費用に関する当初見積費用を含めることとしております。
② 減価償却および耐用年数
減価償却費は、償却可能価額を各構成要素の見積耐用年数にわたって、主として定額法により算定しております。土地および建設仮勘定は減価償却しておりません。
主要な有形固定資産項目ごとの見積耐用年数は次のとおりです。
航空機 8-20年
その他 2-60年
なお、減価償却方法、見積耐用年数および残存価額は毎期見直しを行い、変更があった場合は会計上の見積りの変更として将来に向かって適用しております。
(8)のれん
企業結合から生じたのれんは、取得原価から減損損失累計額を控除した価額で表示しております。
のれんは償却を行わず、資金生成単位または資金生成単位グループに配分し、年次および減損の兆候がある場合にはその都度、減損テストを実施しております。のれんの減損損失は純損益として認識され、その後の戻入れは行っておりません。
なお、のれんの当初認識時点における測定は、「(2)企業結合」に記載しております。
(9)無形資産
当社グループは、無形資産の測定において原価モデルを採用し、取得原価から償却累計額および減損損失累計額を控除した金額で測定しております。
個別に取得した無形資産は、当初認識時に取得原価で測定しております。
無形資産は、当初認識後、耐用年数を確定できない無形資産を除いて、それぞれの見積耐用年数にわたって定額法で償却しております。主要な無形資産の見積耐用年数は次のとおりです。
ソフトウェア 5年
なお、償却方法、見積耐用年数および残存価額は毎期見直しを行い、変更があった場合は会計上の見積りの変更として将来に向かって適用しております。
(10)投資不動産
投資不動産は、賃貸収益を目的として保有する不動産です。投資不動産の測定においては、有形固定資産に準じて原価モデルを採用し、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した価額で表示しております。
投資不動産は、それぞれの見積耐用年数にわたって、主として定額法で償却しております。土地および建設仮勘定は減価償却しておりません。主要な投資不動産の見積耐用年数は次のとおりです。
投資不動産 1-47年
なお、減価償却方法、耐用年数および残存価額は毎期見直しを行い、変更があった場合は会計上の見積りの変更として将来に向かって適用しております。
(11)リース
当社グループでは、特定された資産の使用を支配する権利を一定期間にわたり対価と交換に移転する契約または契約の一部については、リースであるまたはリースを含んだものであると判断し、リースの開始日において使用権資産およびリース負債を認識しております。ただし、短期リースおよび原資産の価値が少額であるリースについては、当該リースに関連したリース料を、リース期間にわたり定額法により費用として認識しております。
リース負債は、個々の契約に基づくリース開始日現在で支払われていないリース料総額の現在価値で計上し、リース期間にわたってリース料の支払いに応じてリース負債の元本返済と実効金利法に基づく利息の支払いを認識しております。リースの計算利子率または計算利子率を容易に算定できない場合には、通常、当社グループは割引率として追加借入利子率を用いています。
使用権資産は、リース負債の計上額に既に支払い済みの対価やリース終了に際して発生が見込まれる原状回復費用の見積額等の調整を加えた取得原価で計上し、リース期間にわたって定額法により減価償却を行っております。
(12)非金融資産の減損
棚卸資産および繰延税金資産を除く当社の非金融資産の帳簿価額は、毎期末日において減損の兆候の有無を判断しております。減損の兆候が存在する場合は、当該資産の回収可能価額を見積っております。のれん、耐用年数を確定できない無形資産および未だ使用可能ではない無形資産については、減損の兆候の有無にかかわらず回収可能価額を毎年同じ時期に見積っております。
資産または資金生成単位の回収可能価額は、使用価値と処分コスト控除後の公正価値のうちいずれか大きい方の金額としております。使用価値の算定において、見積将来キャッシュ・フローは、貨幣の時間的価値および当該資産に固有のリスクを反映した税引前割引率を用いて現在価値に割引いております。減損テストにおいて個別にテストされない資産は、継続的な使用により他の資産または資産グループのキャッシュ・インフローから、概ね独立したキャッシュ・インフローを生成する最小の資金生成単位に統合しております。
当社グループの全社資産は、独立したキャッシュ・インフローを生成いたしません。全社資産に減損の兆候がある場合、全社資産が帰属する資金生成単位の回収可能価額を決定しております。
減損損失は、資産または資金生成単位の帳簿価額が回収可能価額を超過する場合に純損益として認識しております。資金生成単位に関連して認識した減損損失は、資金生成単位内の資産の帳簿価額を比例的に減額しております。
過去に認識した減損損失は、毎期末日において損失の減少または消滅を示す兆候の有無を評価しております。回収可能価額の決定に使用した見積りが変化した場合は、のれんを除き減損損失を戻入れております。減損損失は、減損損失を認識しなかった場合の帳簿価額から必要な減価償却費および償却額を控除した後の帳簿価額を上限として回収可能価額まで戻入れております。
(13)従業員給付
(a)退職後給付
従業員の退職後給付制度として、確定給付制度および確定拠出制度を採用しております。
① 確定給付制度
確定給付型退職後給付制度に関する確定給付負債(資産)の純額は、確定給付制度債務の現在価値から制度資産の公正価値を控除して算定しております。確定給付制度債務の現在価値および関連する当期勤務費用ならびに過去勤務費用を独立した年金数理人が予測単位積増方式により毎期算定しております。
割引率は、将来の毎年度の給付支払見込日までの期間を基に割引期間を設定し、割引期間に対応した期末日時点の優良社債の市場利回りに基づき算定しております。
確定給付制度から生じるすべての給付負債(資産)の純額の再測定額は、発生した期においてその他の包括利益として一括認識し、直ちに利益剰余金に振り替えております。
過去勤務費用は、純損益として即時に認識しております。
② 確定拠出制度
確定拠出型の退職給付に係る費用は、従業員が勤務サービスを提供した期間に費用として認識しております。
(b)短期従業員給付
短期従業員給付については、割引計算は行わず、関連する勤務サービスが提供された時点で費用として認識しております。
(14)引当金
引当金は、過去の事象の結果として、当社グループが、現在の法的または推定的債務を有しており、当該債務を決済するために経済的資源の流出が生じる可能性が高く、当該債務の金額について信頼性のある見積りができる場合に認識しております。貨幣の時間的価値が重要な場合には、見積将来キャッシュ・フローを貨幣の時間的価値および当該負債に特有のリスクを反映した税引前の利率を用いて現在価値に割引いております。時の経過に伴う割引額の割戻しは金融費用として認識しております。
① 資産除去債務
資産除去債務には、当社グループが使用する賃借事務所・建物・航空機等に対する原状回復義務に備え、過去の原状回復実績および見積書等に基づき将来支払うと見込まれる金額を計上しております。これらの費用は、事務所等に施した内部造作の耐用年数や賃借期間を考慮して決定した使用見込期間経過後に支払われると見込んでおりますが、将来の事業計画等により影響を受けます。
② 独禁法関連引当金
独禁法関連引当金は、価格カルテルに係る制裁金の支払いに備え、課徴金支払命令の金額等を基に見積り、認識・測定しております。各国独禁当局の判断や訴訟の結果により、支払額が見積額と異なる場合があります。将来において経済的便益の流出が予想される時期は、連結会計年度末日より1年を経過した後と見込んでおりますが、将来の各国独禁当局の判断や訴訟の動向等により影響を受けます。
(15)収益
当社グループでは、IFRS第9号「金融商品」に基づく利息および配当収益等、およびIFRS第16号「リース」に基づくリース収入を除く顧客との契約について、次のステップを適用することにより、収益を認識しております。
ステップ1:顧客との契約を識別する。
ステップ2:契約における履行義務を識別する。
ステップ3:取引価格を算定する。
ステップ4:取引価格を契約における別個の履行義務へ配分する。
ステップ5:履行義務を充足した時点で(または充足するにつれて)収益を認識する。
当社グループは、主な事業として国際線および国内線の航空機による旅客、貨物および郵便、手荷物の航空輸送サービスを提供しております。通常、航空輸送役務が完了した時点に当社の履行義務が充足され、収益を認識しております。
その他、具体的な収益認識の基準は、注記「26.売上収益」に記載しております。
(16)政府補助金
政府補助金は、補助金交付のための付帯条件を満たし、かつ補助金を受領するという合理的な保証が得られたときに公正価値で認識しております。
政府補助金が収益・費用に関連する場合は、補助金で補償することが意図されている関連コストを費用として認識する期間にわたって、規則的に純損益にて認識しております。資産に関する補助金は、当該補助金の金額を資産の取得原価から控除しております。
(17)法人所得税費用
法人所得税費用は、当期税金および繰延税金から構成され、企業結合から生じた項目、その他の包括利益で認識される項目、および資本に直接認識される項目に関連する項目を除き、純損益として認識しております。
当期税金は、税務当局に対する納付または税務当局からの還付が予想される金額で測定しております。税額の算定に使用する税率および税法は、当社グループが事業活動を行い、課税対象とする純損益を稼得する国において、期末日までに制定または実質的に制定されたものです。
繰延税金は、期末日における資産および負債の会計上の帳簿価額と税務上の金額との間の一時差異に基づいて算定しております。繰延税金資産は、将来減算一時差異、未使用の繰越税額控除および繰越欠損金を利用できる課税所得が生じる可能性が高い範囲内で認識しております。繰延税金資産の帳簿価額は、繰延税金資産の便益を実現させるのに十分な課税所得を稼得する可能性が高くなった範囲で認識しております。繰延税金負債は、原則としてすべての将来加算一時差異について認識しております。
なお、以下の一時差異については、繰延税金資産または負債を計上しておりません。
・企業結合以外の取引で、取引時に会計上の利益にも課税所得(欠損金)にも影響を与えない取引における資産または負債の当初認識
・子会社、関連会社に対する投資および共同支配の取決めに対する持分に係る将来減算一時差異に関しては、予測可能な将来に当該一時差異が解消しない可能性が高い場合、または当該一時差異の使用対象となる課税所得が稼得される可能性が低い場合
・子会社、関連会社に対する投資および共同支配の取決めに対する持分に係る将来加算一時差異に関しては、一時差異の解消の時点をコントロールすることができ、予測可能な将来に当該一時差異が解消しない可能性が高い場合
繰延税金資産および負債は、期末日までに制定または実質的に制定されている税率に基づいて、当該資産が実現される、または負債が決済される年度の税率を見積り、算定しております。
繰延税金資産および負債は、当期税金資産と当期税金負債を相殺する法律上強制力のある権利を有し、かつ同一の税務当局によって同一の納税主体に課されている場合、相殺しております。
(18)借入コスト
意図した使用または販売が可能となるまでに相当の期間を必要とする資産に関して、その資産の取得、建設または生産に直接起因する借入コストは、当該資産の取得原価の一部として資産化しております。
その他の借入コストは、それが発生した期間の費用として純損益で認識しております。