有価証券報告書-第106期(2025/04/01-2026/03/31)

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2026/06/18 13:21
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有報資料

当社は、2026年3月に新中期経営計画「あしたも元気」(計画期間:2026年4月~2029年3月)を策定しております。計画の詳細は、当社ホームページをご参照ください。
(https://www.inui.co.jp/ir/library/managementplan.html)
本項における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
1.経営の基本方針
当社の経営の基本方針については、①資産の力を事業の力に、②Fun to Work、③「らしさ」の追求、という3つを定めております。
① 資産の力を事業の力に
未来に向かって進化を続ける勝どき・月島は施設賃貸業の適地であり、当社の安定収益と財務基盤を支えます。この優良な資産があるから海運市況の変動に抗い船舶投資を行うことができます。当社のNew Ship Financeは含み益の顕在化策として優秀です。そして、強化される資産の力は更に強い基盤となります。
② Fun to Work
我らの事業は、とても面白く、やりがいのある仕事で成り立っています。今いちど、その共有から始めます。「よくはこぶ」の実践は、常に厳しく、時に険しいですが、働く喜びがあるのです。Fun to Workは「よくはこぶ」の源です。
③ 「らしさ」の追求
われらの「らしさ」は、実業に向き合い、地道な努力を練り込みながら生まれます。「らしさ」は差別化の源です。他と違うことを恐れず、素直に独自性を追求する、それがわれらの「元気の素」です。
2.経営環境
当連結会計年度における我が国経済は、商品価格の見直しや高付加価値サービスの提供等による業績改善が設備投資の増加を促し、景気は緩やかながらも回復傾向が見られました。一方で、中東情勢の緊迫した状況が長期化する中、エネルギー供給への懸念や資源価格の変動リスクが高まり、為替動向と併せて企業活動への影響が懸念されるなど、先行きは依然として不透明な状況が続いております。
外航海運事業においては、当社の業容であるハンディ船の輸送能力は、今後も続く国際的な環境規制強化への技術的・経済的な対応の難しさから新造船供給の伸びが限定的となるほか、老齢船の退役等により2030年代以降に減少もしくは停滞していくことが予想されます。世界に資源が遍在しており、世界人口の増加と強い相関を持つバルク材は、世界の平和を前提とした場合には緩やかに需要が増加します。ハンディ船輸送能力の停滞・減少と、バルクハンディ需要の緩やかな増加から、当社の外航海運事業における事業環境は長期的には明るいと考えております。一方で短期的には、世界経済の動向、地政学的な要因や、自然災害など、さまざまな要因の影響を受けます。米国の関税等政策を含む通商環境の変化や、中東情勢の緊迫した状況の長期化、中国経済の成長鈍化、インフレや金融引き締めによる投資抑制など世界的な経済活動の混乱が懸念されます。
倉庫・運送事業においては、当社事業は一般倉庫、文書倉庫、引越事業の3領域で構成されております。当初取り扱いの減少を見込んでいた一般倉庫の紙、文書保管、転勤引越の需要については、いずれも想定より緩やかな減少ペースとなっております。規模は縮小傾向にあるものの、サービス品質と収益性は維持しております。荷主との条件見直しや合理化策の進展、体質改善の成功により収益性の改善を図るとともに、新規顧客開拓により収益性を確保しております。今後は物量の減少に備えた中長期プランを完備し、業容拡大のためのツール整備や、残存者利得の効果によりさらなる改善を見込んでおります。
不動産事業においては、当社主要施設の立地する勝どきエリアと隅田川対岸に位置する築地市場跡地再開発計画が具体始動しているほか、都心部・臨海地域地下鉄構想による交通インフラの進化、並びに勝どき・月島エリアにおける分譲中心の5,000戸の住宅供給計画が見込まれております。これらの状況をふまえ、当社主要施設の立地するエリアは都心にある水辺のResidence Zoneとして継続的な発展が期待され、引き続き魅力的な「住む街」ではあると認識しております。一方で、今後は住戸所有者の多様化による地域秩序への懸念もあり、物件毎の差が顕著になっていくものと想定しております。
3.中長期的な会社の経営戦略及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 中長期的な会社の経営戦略
乾汽船の祖業は、海運業であり、倉庫業です。当社グループの仕事は、人の営みに欠かすことのないモノを運ぶ実業の一端を担っており、産業や社会を支えている自負とともに「よくはこぶ」を続けていくことを使命としております。
当社グループの生業は120年を超えており、私たちは、その歴史の意味を知っています。
商道徳の正義に迷いはなく、難しい時にも正道を歩み、悪い時に言い訳はせず、良い時も自慢しません。資本の理屈に沿わない時もありますが、時代の変化に適応し、実業を続ける術は備えています。
当社グループの経営には、10年を超える長期の視点を優先すべき施策が存在します。例えば、船隊整備計画や勝どき・月島の再開発などはその典型であり、中期経営計画の対象期間内には成果が顕在化しない場合があります。
当社グループは、今日も明日も着実に「よくはこぶ」を積み重ねております。
また、当社グループはサステナビリティを大切にしています。私たちの考えるサステナビリティは、「よくはこぶ」とともにあります。この考え方に基づき、長期ビジョンとして「よくはこぶ」を掲げ、2026年3月に新中期経営計画「あしたも元気」(計画期間:2026年4月~2029年3月)を策定しております。
配当方針については、「事業特性」、「中長期的成長を重視した経営資源の配分」、「財務基盤」の3つのバランスがとれた株主還元策であることを基本とし(株式市場環境等を踏まえ自己株式取得する場合を含む)、現状の資本構成では、以下に記載の従来の方針を継続します。
・従来どおり「良いときは笑い、悪いときにも泣かない」方針とします。
・業績に応じて、良いとき、悪いときの判断基準および最低配当額を定め、「悪いとき」にも無配を前提にはしません。
・また、「良いとき」には配当性向の累進による増配を提案してまいりたいと考えます。
あわせて、「悪い時」における最低配当額を従来の2倍である12円に引き上げます。
② 中長期的な会社の経営戦略及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
1)外航海運事業
・事業方針
ご長寿お達者
航行のムダ排除と安心安全
徹底した効率配船
・施策
地球環境を考えると新造船の発注は難しくなりました。しかし、船稼業には船舶が必要です。船隊整備の要諦は、勇気と資金と長期目線と心得ます。
そして、世界の変異に激しく振り回されるのが外航海運業です。予測不能の事態が、しばしば勃発しますが、鍛え続ける地力で対応します。
当社外航海運事業の事業領域であるハンディ船においては、今後も船腹の供給が難しい状況が継続すると考えております。こうした状況下においては、既存保有船の長寿命化を重視しつつ、フレキシブルな調達を並行し、2050年までの長期スパンで、一定規模の船隊形成を目指してまいります。さらに、船隊規模を確保し、効率航行にも寄与することにより、温暖化ガス排出量およびバラスト(空荷)航海の削減を図ってまいります。また、ダーティーカーゴ、クリーンカーゴのいずれも厭わず何でも「よくはこぶ」乗組員のマネジメント体制を整備し、「よくはこぶ」力の強化に取り組んでまいります。これにより、Handy市場での存在感を増していきながら、長期的に「よくはこぶ」Handy船隊を運営してまいります。
2)倉庫・運送事業
・事業方針
Fun to Workを基盤にした現場力を錬磨
デジタルツールを活用した営業活動強化
グループ企業のマルチプロダクトを扱うクロスセル体制
Digital領域でPlatformとModuleを活用し、小口に分散している既存資源の有効活用に集中
Logicalな戦略をDesign&Cultureで実現し、収益機会を創出・拡大
・施策
核となってきた一般倉庫の紙、文書倉庫、引越の何れも、中長期的に見ると需要は減少傾向ではあるものの、これまでの地道な取り組みと残存者利得もあり、収益性が改善し、安定的に推移しております。
既存事業の強みを伸ばす「Basic」と、新たな取り組み「Advance」の二つの領域で事業を展開してまいります。BasicとAdvanceは協調しあい、あしたの「よくはこぶ」をかたちづくります。
当社の倉庫・運送事業の事業領域は、多様な小口荷主が主体で、標準化が難しいニッチな領域であるため、大型投資を前提とした自動化、ロボ化は適しません。また倉庫の多くが人を集めやすい市街地に立地していることも特性です。こうした特性を踏まえ、①Fun to Workを基盤にした現場力の錬磨、②デジタルツールを活用した営業活動強化、③グループ企業のマルチプロダクトを扱うクロスセル体制、の3つを「Basic」と定義し、更なる進化を図りながら、自動化、ロボ化が入りにくいニッチな実需への対応を継続してまいります。
また、①Digital領域で、PlatformとModuleを活用し、小口に分散している既存資源の有効活用に集中すること、 ②Logicalな戦略をDesign&Cultureにより実現し、収益機会の創出・拡大を図ること、の2つの取組みを「Advance」と定義し、足(配送力)・手(現場力)・倉(展開力)の拡張に取り組んでまいります。
さらに、Advanceの今後の取り組みとして、十余年にわたり探求してきたムダ・ムラ・ムリをきらう独自の物流モデル「NPPL」(Non-Profit Platform Logistics)の構築や、「ほぼModule」で考える、新しい求車求荷の仕組み“Flying Module”の始動・拡散を図ることにより新たな事業業域の開拓を進めてまいります。
3)不動産事業
・事業方針
再開発からRenovationへの転換
・施策
工事費の高騰や工期の長期化を踏まえ、総合的に検討した結果、再開発は現時点において現実的な選択肢ではないと判断いたしました。これを踏まえ、既存建物の安全性及び更新性の検証を実施するとともに、本エリアに求められる期待要求の再定義を行った結果、新築タワーを前提としない活用が最適であるとの結論に至りました。その上で、「はたらく街TOKYO」が求めるWorkerのBase(活動基盤となる機能)の提供を目指してまいります。
当社不動産事業が長く根差してきた勝どきは、築地市場跡地再開発計画の隅田川対岸に位置しております。従来の再開発計画(Neo Plaza Kachidoki~NPK~)については、上記の環境変化を踏まえ、Renovation「PK2」へと方向転換いたしました。
PK2は「Day to Years For BIZ」をテーマとし、多様な就労期間・就業形態に対応するビジネス拠点の提供を志向しております。国際経済都市である東京において、数日から数年にわたる幅広い働き方に対応し、「働く人」視点で整備された空間として、ビジネス活動を支える基盤の構築を進めてまいります。
既存物件とPK2は当社グループの事業基盤を支える重要な資産であり、勝どきの暮らしを未来へ「はこび」ます。これら2つの資産群(2PEAKS:既存物件及びPK2)の相乗効果により、街の魅力を高め、資産の力を更に強化してまいります。さらに、資産の力による安定的な収益が当社グループの事業基盤を支え、ボラティリティに左右されずに船隊整備等への投資を適時可能にすることを目指してまいります。

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