有価証券報告書-第52期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
対処すべき課題
本文の将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において、当社グループが判断したものであります。
(1) 経営の基本方針
当社グループの経営理念は「ロジスティクスを通して新たな価値と最良の環境を創造し、お客様・株主・従業員と共にグローバル社会の発展に貢献する」ことであります。当社グループは、グローバルネットワークを駆使してお客様にさまざまな価値提供を行うことにより、輸送業者としてのみならず、欠かすことの出来ないビジネスパートナーとして認知していただけるよう、お客様と Win-Win の関係を構築することが当社グループの目指す真の“グローバル・ロジスティクス・パートナー”であると考えます。
その実現に向け、当社グループは、今後も世界中のお客様へ信頼と満足を提供し、持続可能な豊かな未来の実現を目指す企業グループであり続けたいと考えています。
(2) 長期ビジョン
2019年5月、当社グループは、将来のありたい姿を示す「長期ビジョン」を発表しました。
当社グループは、変化の激しい国際物流市場の中で持続的に成長するため、主力事業である航空・海上フォワーディング事業を基軸とする事業規模の拡大を基本方針とし、ロジスティクス事業についてもライトアセットモデルを基本に幅広い顧客ニーズに対応します。サプライチェーン・ソリューションをコアビジネスとするAPLLと未来に向けたベクトルを合わせ、広範囲に多彩な物流サービスを提供し続けることにより、グローバル市場での事業拡大と企業価値の向上を図り「“Global Top 10 Solution Partner”~日本発祥のグローバルブランドへ~」と進化を遂げてまいります。
「長期ビジョン」
“Global Top 10 Solution Partner”~日本発祥のグローバルブランドへ~
・総力を結集し、品質・価格競争力・課題解決力をさらに高め、KWEグループとしてのブランドを確立する。
・お客様から選ばれる企業となり、欧米競合他社が席巻する市場で確固たる地位を築く。
・従業員が誇りを持てる企業になる。
(3) 中期経営計画(2019年度~2021年度)
コアビジネスへの集中による事業規模の拡大
※営業収入、航空貨物物量、海上貨物物量につきましては、2021年5月12日に
当初目標から上記の数値に変更しております。
⦅中期経営計画の基本戦略とその施策及び2020年度までにおける主な進捗について⦆
[経営基盤の強化]
・グループガバナンスの強化 グループ全体の「経営戦略の推進」、「営業活動の推進」、「事業活動の管理」を担う組織横断的なコーポレート部門(プランニング&アドミニストレーション/ファイナンス&アカウンティング/IT/HR/セールス&マーケティング)を2019年6月に設置し、グループガバナンス強化のための体制を構築しました。2020年度は、グループ法務・リスク管理強化のため「ジェネラル・カウンセル」職の設置(2021年4月1日設置)に取り組むなどグループ経営の基盤整備をさらに進めました。
・次世代ITの企画/導入
業務の効率化に向け、2019年度から開始した業務システム“UFS+”の開発をさらに進め、世界の主要拠点での導入を順次開始し、加えてその利便性の向上にも取り組みました。IT資産についてはクラウド化を進め、ライトアセット化を推進しました。また、2020年度には、今後のIT基盤の整備、ITセキュリティの強化、次世代に向けたITサービスの向上を図っていくための指針“KWE Group IT Security Policy”を策定しました。
・グローバル人材の育成強化
グローバル人事制度の構築にあたり後継者育成計画を導入し、重要ポジションの後継者候補の育成に着手しました。この一環で、当社グループのリーダーに必要とされる要素を整理したKWEリーダーシップコンピテンシーを策定し、人材開発のためのツールとして活用を始めました。また、2020年度には「KWEグローバル人事ガイドライン」を策定し、グループの人材マネジメントについての方向性を示しました。
・財務健全性の向上 好調な業績により自己資本が223億円増加した結果、自己資本比率は前期末より3.0ポイント向上しました。また、フリーキャッシュフローの増大と有利子負債の削減に努めた結果、純有利子負債は前期末から242億円減少し、408億円となりました。なお、資金調達手段の多様化を図るべく、2020年9月に社債を150億円発行しました。
[営業戦略]
・顧客基盤の拡充
Regional Sales & Marketing(RSM)部門を各地域本部に設置し、顧客基盤の拡充に向けた更なる体制整備を行いました。コーポレート部門であるコーポレート・セールス&マーケティング(CSM)部と協働し、将来にわたり会社の財産となるコーポレート・アカウント(CA)の維持、拡販及びリージョナル・アカウントの開拓を行っていきます。
・品目別営業戦略の推進 「コアインダストリー」であるエレクトロニクス、自動車、ヘルスケアの品目については、引き続き取扱い拡大に向けた施策を実施しました。2021年1月には、プロジェクトカーゴ(大型貨物)の取扱い拡大に向けて専門の拠点をルーマニアに開設し、また新品目への挑戦として掲げた生鮮品目につきましては、2021年5月に、カナダで生鮮貨物専門物流会社を子会社化しました。
・アジア域内およびアジア発着物量の拡大 ネットワークの拡充として、リテール関連ビジネスの取扱物量拡大を図るため、2019年10月にKWEスリランカ法人の営業を開始しました。また、アジア発米州向けは、航空での取扱物量が前期比20.9%増となりました。これは、コロナ禍において経済活動の正常化がいち早く進んだ中国、ならびに東南アジアにおいて、顧客のニーズを迅速かつ的確に取り込み、チャーター便の運用を機動的に行うなどの施策によるものです。
[オペレーション戦略]
・スケールメリットを活かした原価削減
航空では、旅客便の大幅な減便による輸送スペース不足が続く中、コーポレート部門であるForwarding Strategic Group(FSG)と各地域本部の主導によるチャーター便の運用や航空会社とのBSA(Block Space Agreement)契約を通じ、グループのスケールメリットを活かした集中購買、スペースの確保を進めました。海上では、香港に所在するGroup Procurement Center(GPC)による集中購買、スペースの確保を推進したことに加え、世界の主要船会社とパートナーシップを締結するなど関係強化を図りました。
[APLLグループ戦略]
・顧客産業別(Automotive、Retail 、Consumer and Industrial)ビジネス拡大の推進 コロナ禍の影響を受け、全体的に取扱いは減少しましたが、Automotiveでは、インドでの鉄道による自動車輸送サービスの拡充のため、鉄道車両編成を増加しました。Retailでは、顧客からの需要の多いサプライチェーンマネジメントのVisibility機能の開発を開始しました(2021年導入予定)。また、Consumer & Industrialでは、海上輸送におけるプライオリティサービスの販売を強化しました。
(4) 当社グループのサステナビリティ活動について
当社グループは、グループとしてサステナビリティ活動に取り組むにあたり、2020年11月、社長を委員長とするKWEグループサステナビリティ推進委員会を設置しました。また、ステークホルダーエンゲージメントや社内での議論を重ね、マテリアリティを以下のように決定しました。
1. Anti-Corruption(腐敗防止の徹底)
2. Data Security(データセキュリティの強化)
3. Diversity and Equal Opportunity(ダイバーシティと機会均等の推進)
4. Emissions(気候変動対応としてのCO2排出削減)
5. Energy(クリーンエネルギーの利用促進)
6. Social Impacts in the Supply Chain(責任ある調達の推進)
今後はさらに議論、検討を重ね、各マテリアリティについてのより具体的な施策や目標を設定してまいります。
(5) 経営環境
当連結会計年度(以下「当期」という。)における世界経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大により大幅に悪化しました。その後は、各国での経済活動の段階的な再開や各種政策の効果等により一部で回復基調となりましたが、断続的な感染再拡大の影響もあり、総じて不透明な状況で推移しました。国際物流市場では、世界各地で経済活動が制約されたことにより、期初から国際輸送の需要は大きく落ち込みましたが、期後半からは、ロックダウン後の社会経済活動の再開や景気回復による輸送需要の拡大が見られ、当社グループにおきましても航空、海上ともに取扱物量が増加基調に転じました。取扱品目では、半導体・電子部品を中心としたエレクトロニクス関連品、自動車関連品の物量増加が顕著となりました。秋口から、輸送需要の拡大を背景とした海上輸送のスペース不足に加え、空コンテナ不足や米国における港湾荷役の混雑・遅延等により、海上輸送のスケジュールが大きく乱れ、一部で航空輸送へのシフトが見られるようになりました。これらの航空・海上輸送需要の増加及び海上輸送の混乱は本年4月以降も続いております。
当社グループの2022年3月期(中期経営計画の最終年度)の業績目標は、営業収入630,000百万円(前期比3.4%増)、営業利益31,700百万円(同7.2%減)、経常利益30,700百万円(同11.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益19,200百万円(同11.3%減)であります。
また、グループ全体での取扱物量につきましては、航空輸出60万トン、海上輸出容積で70万TEUを目標として掲げています。
(6) 対処すべき課題
当社グループを取り巻く事業環境は、輸送物量の持ち直しが期待される一方、新型コロナウイルス感染の状況、米中の対立を始めとする世界情勢の不安定化、世界的な半導体不足による生産活動の停滞等、今後も予断を許さない状況が続くことが想定されます。
このような環境下ではありますが、当社グループは、2019年5月に公表しました将来のありたい姿を示す長期ビジョン「“Global Top 10 Solution Partner”~日本発祥のグローバルブランドへ~」の実現に向けて、今年度が最終年度である中期経営計画の各施策に引き続き取り組んでまいります。
経営基盤の強化につきましては、法務・リスクマネジメントの強化、コンプライアンスの徹底等、グループガバナンスのさらなる推進に向けた諸施策に取り組んでまいります。また、グローバルITシステムの刷新、グローバル人材の育成、財務健全性の向上、サステナビリティ推進活動等にも注力してまいります。
営業ならびにオペレーション戦略につきましては、新たな顧客層・取扱品目の拡大に向けた取組みを継続していくとともに、市場で常態化している航空・海上の輸送スペース不足に対応すべく、機動的かつ戦略的に航空チャーター便を活用するなど、安定的に輸送スペースを確保し、顧客への供給に注力してまいります。また、コロナ禍の影響による顧客のサプライチェーンの変化に際しても迅速に対応すべく、国内外で体制強化を図ってまいります。
APLLグループにおきましては、将来の成長に向けた販売拡大、厳格な費用管理の継続、基幹業務システムの再構築などに取り組んでまいります。
世界的にコロナ禍の収束が見えない中、当社グループは、引き続き経済活動の根幹である物流を通じてサプライチェーンを支えることで社会的使命を果たすとともに、持続可能な社会の実現に貢献する事業活動を推進し、永続的な成長と企業価値の向上を目指してまいります。
(1) 経営の基本方針
当社グループの経営理念は「ロジスティクスを通して新たな価値と最良の環境を創造し、お客様・株主・従業員と共にグローバル社会の発展に貢献する」ことであります。当社グループは、グローバルネットワークを駆使してお客様にさまざまな価値提供を行うことにより、輸送業者としてのみならず、欠かすことの出来ないビジネスパートナーとして認知していただけるよう、お客様と Win-Win の関係を構築することが当社グループの目指す真の“グローバル・ロジスティクス・パートナー”であると考えます。
その実現に向け、当社グループは、今後も世界中のお客様へ信頼と満足を提供し、持続可能な豊かな未来の実現を目指す企業グループであり続けたいと考えています。
(2) 長期ビジョン
2019年5月、当社グループは、将来のありたい姿を示す「長期ビジョン」を発表しました。
当社グループは、変化の激しい国際物流市場の中で持続的に成長するため、主力事業である航空・海上フォワーディング事業を基軸とする事業規模の拡大を基本方針とし、ロジスティクス事業についてもライトアセットモデルを基本に幅広い顧客ニーズに対応します。サプライチェーン・ソリューションをコアビジネスとするAPLLと未来に向けたベクトルを合わせ、広範囲に多彩な物流サービスを提供し続けることにより、グローバル市場での事業拡大と企業価値の向上を図り「“Global Top 10 Solution Partner”~日本発祥のグローバルブランドへ~」と進化を遂げてまいります。
「長期ビジョン」
“Global Top 10 Solution Partner”~日本発祥のグローバルブランドへ~
・総力を結集し、品質・価格競争力・課題解決力をさらに高め、KWEグループとしてのブランドを確立する。
・お客様から選ばれる企業となり、欧米競合他社が席巻する市場で確固たる地位を築く。
・従業員が誇りを持てる企業になる。
数値目標 | |
営業収入 | 1 兆円 |
営業利益 | 500億円 |
航空貨物物量 | Over 100万トン |
海上貨物物量 | Over 100万TEU |
財務健全性 | 純有利子負債ゼロ |
(3) 中期経営計画(2019年度~2021年度)
コアビジネスへの集中による事業規模の拡大
最終年度数値目標(2021年度) | |
営業収入 | 6,300億円 |
営業総利益率 | 16.4%以上 |
航空貨物物量 | 60万トン |
海上貨物物量 | 70万TEU |
※営業収入、航空貨物物量、海上貨物物量につきましては、2021年5月12日に
当初目標から上記の数値に変更しております。
⦅中期経営計画の基本戦略とその施策及び2020年度までにおける主な進捗について⦆
[経営基盤の強化]
・グループガバナンスの強化 グループ全体の「経営戦略の推進」、「営業活動の推進」、「事業活動の管理」を担う組織横断的なコーポレート部門(プランニング&アドミニストレーション/ファイナンス&アカウンティング/IT/HR/セールス&マーケティング)を2019年6月に設置し、グループガバナンス強化のための体制を構築しました。2020年度は、グループ法務・リスク管理強化のため「ジェネラル・カウンセル」職の設置(2021年4月1日設置)に取り組むなどグループ経営の基盤整備をさらに進めました。
・次世代ITの企画/導入
業務の効率化に向け、2019年度から開始した業務システム“UFS+”の開発をさらに進め、世界の主要拠点での導入を順次開始し、加えてその利便性の向上にも取り組みました。IT資産についてはクラウド化を進め、ライトアセット化を推進しました。また、2020年度には、今後のIT基盤の整備、ITセキュリティの強化、次世代に向けたITサービスの向上を図っていくための指針“KWE Group IT Security Policy”を策定しました。
・グローバル人材の育成強化
グローバル人事制度の構築にあたり後継者育成計画を導入し、重要ポジションの後継者候補の育成に着手しました。この一環で、当社グループのリーダーに必要とされる要素を整理したKWEリーダーシップコンピテンシーを策定し、人材開発のためのツールとして活用を始めました。また、2020年度には「KWEグローバル人事ガイドライン」を策定し、グループの人材マネジメントについての方向性を示しました。
・財務健全性の向上 好調な業績により自己資本が223億円増加した結果、自己資本比率は前期末より3.0ポイント向上しました。また、フリーキャッシュフローの増大と有利子負債の削減に努めた結果、純有利子負債は前期末から242億円減少し、408億円となりました。なお、資金調達手段の多様化を図るべく、2020年9月に社債を150億円発行しました。
[営業戦略]
・顧客基盤の拡充
Regional Sales & Marketing(RSM)部門を各地域本部に設置し、顧客基盤の拡充に向けた更なる体制整備を行いました。コーポレート部門であるコーポレート・セールス&マーケティング(CSM)部と協働し、将来にわたり会社の財産となるコーポレート・アカウント(CA)の維持、拡販及びリージョナル・アカウントの開拓を行っていきます。
・品目別営業戦略の推進 「コアインダストリー」であるエレクトロニクス、自動車、ヘルスケアの品目については、引き続き取扱い拡大に向けた施策を実施しました。2021年1月には、プロジェクトカーゴ(大型貨物)の取扱い拡大に向けて専門の拠点をルーマニアに開設し、また新品目への挑戦として掲げた生鮮品目につきましては、2021年5月に、カナダで生鮮貨物専門物流会社を子会社化しました。
・アジア域内およびアジア発着物量の拡大 ネットワークの拡充として、リテール関連ビジネスの取扱物量拡大を図るため、2019年10月にKWEスリランカ法人の営業を開始しました。また、アジア発米州向けは、航空での取扱物量が前期比20.9%増となりました。これは、コロナ禍において経済活動の正常化がいち早く進んだ中国、ならびに東南アジアにおいて、顧客のニーズを迅速かつ的確に取り込み、チャーター便の運用を機動的に行うなどの施策によるものです。
[オペレーション戦略]
・スケールメリットを活かした原価削減
航空では、旅客便の大幅な減便による輸送スペース不足が続く中、コーポレート部門であるForwarding Strategic Group(FSG)と各地域本部の主導によるチャーター便の運用や航空会社とのBSA(Block Space Agreement)契約を通じ、グループのスケールメリットを活かした集中購買、スペースの確保を進めました。海上では、香港に所在するGroup Procurement Center(GPC)による集中購買、スペースの確保を推進したことに加え、世界の主要船会社とパートナーシップを締結するなど関係強化を図りました。
[APLLグループ戦略]
・顧客産業別(Automotive、Retail 、Consumer and Industrial)ビジネス拡大の推進 コロナ禍の影響を受け、全体的に取扱いは減少しましたが、Automotiveでは、インドでの鉄道による自動車輸送サービスの拡充のため、鉄道車両編成を増加しました。Retailでは、顧客からの需要の多いサプライチェーンマネジメントのVisibility機能の開発を開始しました(2021年導入予定)。また、Consumer & Industrialでは、海上輸送におけるプライオリティサービスの販売を強化しました。
(4) 当社グループのサステナビリティ活動について
当社グループは、グループとしてサステナビリティ活動に取り組むにあたり、2020年11月、社長を委員長とするKWEグループサステナビリティ推進委員会を設置しました。また、ステークホルダーエンゲージメントや社内での議論を重ね、マテリアリティを以下のように決定しました。
1. Anti-Corruption(腐敗防止の徹底)
2. Data Security(データセキュリティの強化)
3. Diversity and Equal Opportunity(ダイバーシティと機会均等の推進)
4. Emissions(気候変動対応としてのCO2排出削減)
5. Energy(クリーンエネルギーの利用促進)
6. Social Impacts in the Supply Chain(責任ある調達の推進)
今後はさらに議論、検討を重ね、各マテリアリティについてのより具体的な施策や目標を設定してまいります。
(5) 経営環境
当連結会計年度(以下「当期」という。)における世界経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大により大幅に悪化しました。その後は、各国での経済活動の段階的な再開や各種政策の効果等により一部で回復基調となりましたが、断続的な感染再拡大の影響もあり、総じて不透明な状況で推移しました。国際物流市場では、世界各地で経済活動が制約されたことにより、期初から国際輸送の需要は大きく落ち込みましたが、期後半からは、ロックダウン後の社会経済活動の再開や景気回復による輸送需要の拡大が見られ、当社グループにおきましても航空、海上ともに取扱物量が増加基調に転じました。取扱品目では、半導体・電子部品を中心としたエレクトロニクス関連品、自動車関連品の物量増加が顕著となりました。秋口から、輸送需要の拡大を背景とした海上輸送のスペース不足に加え、空コンテナ不足や米国における港湾荷役の混雑・遅延等により、海上輸送のスケジュールが大きく乱れ、一部で航空輸送へのシフトが見られるようになりました。これらの航空・海上輸送需要の増加及び海上輸送の混乱は本年4月以降も続いております。
当社グループの2022年3月期(中期経営計画の最終年度)の業績目標は、営業収入630,000百万円(前期比3.4%増)、営業利益31,700百万円(同7.2%減)、経常利益30,700百万円(同11.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益19,200百万円(同11.3%減)であります。
また、グループ全体での取扱物量につきましては、航空輸出60万トン、海上輸出容積で70万TEUを目標として掲げています。
(6) 対処すべき課題
当社グループを取り巻く事業環境は、輸送物量の持ち直しが期待される一方、新型コロナウイルス感染の状況、米中の対立を始めとする世界情勢の不安定化、世界的な半導体不足による生産活動の停滞等、今後も予断を許さない状況が続くことが想定されます。
このような環境下ではありますが、当社グループは、2019年5月に公表しました将来のありたい姿を示す長期ビジョン「“Global Top 10 Solution Partner”~日本発祥のグローバルブランドへ~」の実現に向けて、今年度が最終年度である中期経営計画の各施策に引き続き取り組んでまいります。
経営基盤の強化につきましては、法務・リスクマネジメントの強化、コンプライアンスの徹底等、グループガバナンスのさらなる推進に向けた諸施策に取り組んでまいります。また、グローバルITシステムの刷新、グローバル人材の育成、財務健全性の向上、サステナビリティ推進活動等にも注力してまいります。
営業ならびにオペレーション戦略につきましては、新たな顧客層・取扱品目の拡大に向けた取組みを継続していくとともに、市場で常態化している航空・海上の輸送スペース不足に対応すべく、機動的かつ戦略的に航空チャーター便を活用するなど、安定的に輸送スペースを確保し、顧客への供給に注力してまいります。また、コロナ禍の影響による顧客のサプライチェーンの変化に際しても迅速に対応すべく、国内外で体制強化を図ってまいります。
APLLグループにおきましては、将来の成長に向けた販売拡大、厳格な費用管理の継続、基幹業務システムの再構築などに取り組んでまいります。
世界的にコロナ禍の収束が見えない中、当社グループは、引き続き経済活動の根幹である物流を通じてサプライチェーンを支えることで社会的使命を果たすとともに、持続可能な社会の実現に貢献する事業活動を推進し、永続的な成長と企業価値の向上を目指してまいります。