半期報告書-第13期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2017/12/26 15:57
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業績等の概要

(1) 業績
当中間連結会計期間における日本経済は、企業収益や雇用・所得環境が継続的に改善する中で、設備投資や個人消費についても緩やかに持ち直し、更には平成28年度第2次補正予算等政府による各種経済対策の効果等もあって、緩やかな景気回復基調が続きました。
このような事業環境のもと、当社は、グループ一体経営を推進しつつ、経営方針である「お客さま第一」、「公正で透明な企業活動」、「終わりなき効率化の追求」、「チャレンジ精神の重視」及び「CSR経営の推進」を常に念頭に置きながら、お客さまに安全・安心・快適・便利な高速道路空間を提供すべく、コンプライアンス体制やリスクマネジメント体制に基づき、適正かつ効率的に業務を遂行してまいりました。
加えて、当社グループでは、当社設立から20年後にあたる平成37年(2025年)に達成したい姿を描いた「グループ長期ビジョン2025」の実現に向け、新たに策定した「NEXCO東日本グループ中期経営計画(平成29~32年度)」の初年度として、着実に事業を実施してまいりました。
この結果、当中間連結会計期間の業績は、営業収益が500,003百万円(前年同期比4.5%増)、営業利益が30,080百万円(同31.4%減)、経常利益が31,878百万円(同29.6%減)となり、これに特別損益及び法人税等を加減した結果、親会社株主に帰属する中間純利益は41,190百万円(同31.9%増)となりました。
なお、セグメント別の業績は、次のとおりであります。
(高速道路事業)
高速道路事業においては、安全で快適な走行環境を確保するため、道路機能の向上、清掃や点検、道路の補修等の管理を適正かつ効率的に行うとともに、高速道路ネットワークの早期整備に向け高速道路の新設及び改築に取り組んできました。
高速道路における特定更新等工事(橋、トンネルその他の高速道路を構成する施設又は工作物で、損傷、腐食その他の劣化により高速道路の構造に支障を及ぼすおそれが大きいものとして国土交通省令で定めるものに係る当該施設若しくは工作物の更新に係る工事又はこれと同等の効果を有すると認められる工事をいいます。以下同じです。)については、平成27年度より事業に着手し、引き続き同事業の推進に向け、必要な各種調査・設計を進めるとともに計画的に工事を進めてきました。また、道路構造物の劣化に多大な影響を与え、重大な交通事故を惹起するおそれのある車両制限令違反車両に対する取締強化及び通行料金割引停止措置や、車両重量自動計測装置の整備を進めています。
さらに、高速道路の長期的な「安全・安心」の確保のため取り組んできた「スマートメンテナンスハイウェイ(SMH)」について、一部のシステム開発が完了したため、下期から佐久管理事務所のほか管内5つのモデル事務所へ展開を図ります。
また、交通事故削減に向け、高速道路での逆走事故ゼロを目指しハード対策・ソフト対策を継続的に実施するとともに、更なる逆走対策を推進するため企業等から公募した逆走検知や抑制に係る技術の実地検証を開始したほか、対面通行区間における突破・正面衝突事故の防止に向け、ワイヤロープの試行区間への設置を終え運用を開始しました。
高速道路の料金においては、ETC周遊割引「ドラ割」で初めて二輪車限定の「首都圏ツーリングプラン」を発売しました。また、「2017東北観光フリーパス」等の販売期間やプラン内容の充実を図ったほか、スマートインターチェンジ(以下「スマートIC」といいます。)の新設工事を順次進める等、更なるお客さまの利便性向上と地域との連携強化を図っています。このほか、福島第一原子力発電所事故により警戒区域等から避難されている方を対象として平成23年6月から国の施策に基づき開始した高速道路の無料措置(注1)を当中間連結会計期間においても継続するとともに、福島第一原子力発電所事故による母子避難者等を対象とした高速道路の無料措置(注2)についても継続しました。
高速道路の新設事業については、東京外環自動車道や首都圏中央連絡自動車道の首都圏ネットワークを形成する環状道路の整備等、147kmの区間において実施しました。また、4車線化拡幅等の改築事業については、上信越自動車道信濃町インターチェンジ(以下「IC」といいます。)~上越ジャンクション(以下「JCT」といいます。)や常磐自動車道いわき中央IC~広野IC等118kmの区間で実施しました。加えて、独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構(以下「機構」といいます。)に帰属する道路資産に係る事業費の一部を無利子貸付金として補助する制度によるスマートIC新設等については、15箇所で実施しました。
こうしたなか、当中間連結会計期間の料金収入は、首都圏中央連絡自動車道の新規開通による交通量増加等により437,055百万円(前年同期比3.3%増)となりました。また、営業収益は道路整備特別措置法(昭和31年法律第7号)(以下「特措法」といいます。)第51条第2項及び第4項の規定に基づき、機構に帰属した道路資産の額が22,510百万円(同27.7%増)となったこと等により463,194百万円(同4.3%増)となりました。営業費用は、機構に帰属した道路資産の額の増加に伴い売上原価が増加したことに加え、機構と締結した「高速自動車国道北海道縦貫自動車道函館名寄線等に関する協定」(以下「協定」といいます。)に基づき機構に支払う道路資産賃借料が305,203百万円(同8.8%増)となり、435,442百万円(同8.3%増)となりました。以上の結果、営業利益27,752百万円(同34.1%減)となりました。
(注) 1.福島第一原子力発電所事故により国として避難を指示又は勧奨している区域等から避難されている方を対象とした生活再建に向けた一時帰宅等の移動の支援を目的として実施している無料措置をいいます。この無料措置は特定のICを入口又は出口とする走行に対して適用され、平成30年3月31日までの予定で継続されております。
2.福島第一原子力発電所事故により警戒区域等を除く福島県浜通り・中通り等の対象地域から避難して二重生活を強いられている母子等及び対象地域内に残る父親等を対象とした生活支援を目的として実施している無料措置をいいます。この無料措置は母子等避難先の最寄りICと父親等居住地の最寄りIC間の走行に対して適用され、平成30年3月31日までの予定で継続されております。
(受託事業)
受託事業においては、国及び地方公共団体の委託に基づく工事が進捗したこと等により営業収益は15,551百万円(前年同期比19.4%増)となり、営業費用は15,603百万円(同19.1%増)となりました。以上の結果、営業損失は52百万円(前年同期は営業損失76百万円)となりました。
(道路休憩所事業)
道路休憩所事業においては、サービスエリア(以下「SA」といいます。)・パーキングエリア(以下「PA」といいます。)をより魅力ある空間として楽しんでいただけるものとするため、平成29年4月25日に道央自動車道輪厚PA(上り線)を、地域性・旅の楽しみを凝縮した「ドラマチックエリア」としてリニューアルし、これまで商業施設の無かったPAにはお客さまへのサービス・利便性の向上のため商業施設を新設して、平成29年4月28日に上信越自動車道千曲川さかきPA(上下線)、平成29年8月3日に常磐自動車道四倉PA(下り線)を新規オープンしました。また、SA・PA周辺の地域の方々にも商業施設をご利用いただけるよう、一般道からのお客さま出入口としてウォークインゲートを新たに東北自動車道鏡石PA(上り線)等3箇所に整備する等、着実に事業を進めてきました。
こうしたなか、商業施設の新設や、5月の大型連休期間中の日並び及び好天等の影響のため店舗売上高が増加したこと等により、営業収益は22,896百万円(前年同期比0.7%増)、営業費用は20,433百万円(同1.9%減)となりました。以上の結果、営業利益は2,463百万円(同30.7%増)となりました。
(その他)
外販事業等により、営業収益は1,028百万円(前年同期比49.0%増)、営業費用は1,127百万円(同45.4%増)となりました。以上の結果、営業損失99百万円(前年同期は営業損失85百万円)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
税金等調整前中間純利益59,926百万円に加え、減価償却費12,189百万円等の資金増加要因があった一方、たな卸資産の増加額108,281百万円、仕入債務の減少額59,474百万円等の資金減少要因があったことから、営業活動によるキャッシュ・フローは148,985百万円の資金支出(前年同期比13,302百万円減)となりました。
なお、上記たな卸資産の増加額のうち105,077百万円は、特措法第51条第2項及び第4項の規定に基づき工事完了時等に機構に帰属することとなる資産の増加によるものであります。かかる資産は、中間連結貸借対照表上は「仕掛道路資産」勘定(流動資産)に計上され、その建設には財務活動の結果得られた資金を充てております。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
有価証券の売却による収入62,100百万円、定期預金の払戻による収入87,000百万円等があった一方、料金収受機械、ETC装置等の設備投資による支出9,535百万円、有価証券の取得による支出91,986百万円及び定期預金の預入による支出100,000百万円等があったことから、投資活動によるキャッシュ・フローは52,367百万円の資金支出(前年同期比41,179百万円増)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
道路建設関係社債の発行による収入236,355百万円及び長期借入れによる収入15,333百万円等があったことから、財務活動によるキャッシュ・フローは250,938百万円の資金収入(前年同期比16,077百万円増)となりました。
以上の結果、現金及び現金同等物の中間連結会計期間末残高は、176,762百万円(前年同期末比29,655百万円減)となりました。