有価証券報告書-第64期(令和3年4月1日-令和4年3月31日)
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。
当社グループは、主力事業の放送事業において、その公共性を認識し、地域社会のさらなる健全な発展に貢献することを目指しています。その強固な経営基盤の確立とさらなる持続的成長のために、時代や地域のニーズをとらえた番組制作や、ステーションイメージの一層の向上に向けた取り組み、さらに、新たな収入源の開発などへ投資し、収益の拡大を図っていきます。放送事業を取り巻く環境は、インターネット同時配信をはじめとした動画配信サービスの多様化やソーシャルメディアの台頭、インターネットへの広告費のシフトなど、厳しさが一段と増しています。グループ全体を通じた人材活用や相互連携により総合力を高め、当社グループとしての社会的使命を果たしていくとともに、収益力の強化による持続的な成長を図りながら、地域で最も信頼されるメディア企業グループを目指していきます。
対処すべき課題として、以下のことに取り組みます。
① 放送事業
放送事業においては、その収益の柱であるスポット収入の確保が重要であり、自社制作番組のコンテンツ力強化や様々な施策への適切な投資により、視聴率の向上を図っていきます。また、放送業界を取り巻くビジネス環境の著しい変化へ迅速に対応すべく、既存分野の開発に加えて新たな収益源として、インターネットメディア・通信デバイスなどの活用を考慮したコンテンツの開発や、知的財産権に基づく収益化にも戦略的に取り組み、多角的な収入源の開発、拡大を目指します。一方、デジタル放送の開始から十数年を経過し、送信所設備が一斉に更新時期を迎えるなど、大規模な設備投資を念頭に置いたコストコントロールが重要となっています。これらの課題解決として、生産性の向上、業務フローの改善や効率化にも取り組みながら、視聴者や広告主から支持される番組づくりに努めていきます。また、甚大な被害を及ぼす自然災害が頻発する昨今、地域住民の安全・安心を守るために、正確かつ迅速な情報提供がこれまで以上に求められています。報道機関としての責務を果たし、地域からの揺るぎない信頼を得て、強固な経営基盤の確立につなげていきます。とりわけ、長期化する新型コロナ禍の中、引き続き感染防止対策の徹底にも留意し、放送を維持していきます。これからもあらゆる経営課題に適切に対処していくために、持続的な成長を支える人材の育成にも取り組み、組織力の強化を図っていきます。
② 不動産賃貸事業
不動産賃貸事業においては、賃貸オフィスビルTNC放送会館が一部区画で空室の継続があるものの、入居率は2022年3月末で95.9%と高い水準を維持しています。全国主要都市のオフィスビル市場は、新型コロナ禍における在宅勤務によるテレワークの浸透などにより大きな影響を受けており、福岡ビジネス地区も同様に2022年3月の平均空室率は前年同時期に比べて悪化しています。TNC放送会館が位置する百道浜地区は、博多駅地区や天神地区を含む福岡ビジネス地区のエリア外ですが、新型コロナ禍や福岡ビジネス地区におけるオフィスビル市況悪化などの影響は同様であり、厳しい状況が続いています。これからも入居テナントのニーズを汲み取り、的確に改善を図っていくことで高入居率を維持するとともに、入居率のさらなる向上による増収を目指していきます。また、TNC放送会館が築30年に近づく中、大規模な主要設備の更新に対しても合理的な検討に基づいた適切な設備投資により、その資産価値と収益力の向上を図っていきます。
③ 情報処理事業
情報処理事業においては、主要分野の放送系ビジネスで東京、大阪地区での大型案件受注や、公共、一般系ビジネスで地元自治体のシステム基盤更新などの大型プロジェクトを進めています。また、放送局向け事務トータルシステムについては、電子帳簿保存法の改正に伴って既存ユーザーからの伝票処理の電子化や効率化の要求が増えており、クラウド上での経費精算システムの開発に着手しています。これらの大型案件や新たなシステム開発への対応として、要員計画を含めた効率のよい開発環境の構築に努めて収益の拡大を図るとともに、既存ユーザーへのリプレイス展開や新規ユーザーの獲得などにより、着実な実績の積み上げを図っていきます。
④ その他の事業
その他の事業では、新型コロナ禍の影響が引き続く中、番組制作・CM制作部門においては、新規案件の獲得に向けた活動や、リモート制作などの新しい制作様式を積極的に取り入れながら対応し、新型コロナウイルスの感染再拡大に備えて、その影響を抑制するための業務分散などに取り組んでいます。メディア事業部門では、文化催事やイベントの企画提案による収益化を図るために、その体制の整備を進めるとともに、Web制作やデジタル広告などのデジタル分野での収益化に向けた展開を進めていきます。また、人材派遣部門では、派遣先の需要に応えられるように派遣スタッフを確保していくことが最優先課題であり、多様な求人方法を選択しながら効率的な採用活動を図っていきます。また、より専門性の高い業務への人材派遣や、アウトソーシング分野への人材ビジネスの領域拡大を目指します。
⑤ グループ全体
当社グループでは、グループ各社の特性を活かしながら、放送事業を中核とした連携による様々な事業展開に戦略的に取り組み、全体利益の拡大を図っていきます。特に、長期化する新型コロナ禍による影響は当社グループ各社にとっても共通課題であり、積極的に協同して対処していきます。今後も引き続きグループ各社が広範にわたるコストコントロールの徹底や経営の効率化を推進していくとともに、グループ各社相互の緊密な連携によりグループ全体での経営基盤の強化を図ります。さらに、グループ内で内部統制機能が有効に機能するよう、当社グループ全体でのコンプライアンス意識向上にも努めます。