有価証券報告書-第68期(2025/04/01-2026/03/31)
有報資料
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。
当社グループは、地域社会との信頼関係を基盤に、放送事業を中核としながら、コンテンツ関連事業、情報処理、不動産をはじめとする幅広い事業活動を通じて、地域の健全な発展と企業価値の向上に貢献することを基本方針としています。当社グループを取り巻く環境は、国際情勢に起因する国内外経済の先行き不透明感、物価上昇、人材確保の難航、事業コストの上昇、デジタル技術の進展などにより、大きく変化しています。また、企業には、収益力の向上に加え、コンプライアンス、人権尊重、情報管理、サイバーセキュリティ、ガバナンスの強化など、社会的要請への的確な対応が一層求められています。こうした環境変化に対応するため、当社グループは、グループ各社の強みを活かした連携を強化し、経営資源の有効活用、業務効率化、収益構造の改善に取り組んでいきます。あわせて、地域に根ざした事業活動を通じて、既存事業の価値向上と新たな事業機会の創出を図り、持続的な成長につなげていきます。今後も、透明性の高い経営と健全な企業風土の醸成に努めるとともに、地域社会から信頼される企業グループとして、安定した経営基盤の確立と中長期的な企業価値の向上を目指していきます。
対処すべき課題として、以下のことに取り組みます。
① 放送事業
放送事業においては、視聴行動の多様化、広告需要のデジタル領域へのシフト、テレビ営業収入の伸び悩みなどにより、厳しい経営環境が続くものとみられます。また、採用・人材確保の難航、設備投資・インフラ維持に係るコスト増加など、放送事業基盤の維持に関わる課題も一層重くなっています。こうした状況下で、当社は、地上波放送を基盤としながら、地域の関心や課題を的確に捉えた番組制作、報道・情報発信力の強化、ステーションイメージの向上に取り組んでいきます。あわせて、インターネット配信、SNS、イベント、地域企業や自治体との連携などを組み合わせた複合的な企画提案により、営業活動を強化し、収益機会の拡大を図っていきます。また、DXや生成AIの活用により業務の省力化・効率化を進め、限られた経営資源を有効に活用していきます。さらに、放送コンテンツの価値をインターネット配信、各種デジタルサービス、イベント、知的財産権の活用などへ展開し、放送外収益の拡大にも継続的に取り組んでいきます。放送業界全体の信頼性に関わる課題については、日本民間放送連盟が策定した「民間放送ガバナンス指針」等を踏まえ、経営ガバナンスの強化、コンプライアンスの徹底、人権尊重の意識の共有に全社を挙げて取り組んでいきます。今後も、放送メディアとしての公共的使命と社会的責任を認識し、視聴者・地域社会との信頼関係を築きながら、地域に根ざした放送局としての役割を果たしていきます。
② 不動産賃貸事業
不動産賃貸事業においては、福岡ビジネス地区における「天神ビッグバン」「博多コネクティッド」などの大規模開発の進展により、オフィス市場の供給過多が引き続き懸念されます。こうした影響を最小限に抑えるため、百道浜地区の特性を活かした営業活動により新規入居候補事業者の誘致に努めるとともに、テナントニーズを踏まえた設備更新、店舗ゾーンの利便性向上、親切かつ丁寧な対応を通じて、テナント満足度の維持向上と退去抑制を図ります。また、開業30周年を迎えたTNC放送会館では、記念企画をはじめ、地域・テナント会と連携した取り組み、恒例イベント等を通じて館内の賑わいを創出し、来館者数の増加と店舗テナントの売上向上につなげてまいります。さらに、築年数を重ねた建物については、主要設備の更新にあたり、テナントニーズを踏まえた機能・容量の確保と効率的な投資により、ビルの競争力及び資産価値の向上を図ります。物価高騰による外注費・建設費の上昇や減価償却費の増加については、適正な賃料改定交渉や建物運営費の節減に努め、安定した収益基盤の確保を目指します。
③ 情報処理事業
情報処理事業においては、主要分野である放送系ビジネスで、テレビ・ラジオ営業放送システム、放送局向け事務トータルシステム(ActDesk)、報道支援システム(Japrs)などの開発・販売を展開しています。今後は、大型案件で得た知見を活かし、開発遅延や採算悪化を防ぐためのプロジェクト管理体制を一層強化していきます。また、放送局向け事務トータルシステムのSaaS版については、導入拡大に対応できる効率的な開発・納品体制を確立し、利益確保を図ります。報道支援システムについては、新機能版を通じて、放送局およびケーブルテレビ業界への市場拡大を進めます。さらに、公共・一般系ビジネスでは、地方自治体関連の継続案件に加え、フェリー会社向けシステムの納品実績を踏まえ、フェリー運航システムパッケージの展開により、海運業界での新規市場開拓と事業拡大に努めていきます。
④ その他の事業
その他事業においては、番組制作・CM制作で受注拡大を進める一方、労務費や外注費等の増加を十分に価格転嫁できておらず、収益性の改善が課題となっています。今後は、案件ごとの収益管理を一層厳格化し、受注段階から採算性を精査するとともに、制作途中案件の原価管理を強化することで、利益変動の抑制に努めます。また、従業員の待遇改善と収益確保の両立を図り、持続的に利益を生み出せる事業運営体制の構築を進めていきます。BPO事業(ビジネス・プロセス・アウトソーシング事業)は、着実な成長段階に入っており、今後は、事業領域の拡大に対応した営業体制・運営体制の強化を進め、付加価値の高いサービスの創出を図ります。また、人材確保や業務効率化に取り組むとともに、AI等の活用、ガバナンスの徹底、人材育成を通じて、持続的な成長基盤の強化に努めていきます。
⑤ グループ全体
当社グループは、放送事業を中核としつつ、グループ各社の機能や強みを活かした連携を一層深め、事業領域の拡大とグループ全体の収益力向上に取り組んでいきます。物価や人件費の上昇、広告需要のデジタル領域へのシフトなど、経営環境は引き続き大きく変化しています。また、生成AIをはじめとするデジタル技術の進展により、コンテンツ制作・流通の在り方も多様化しています。当社グループは、こうした変化を的確に捉え、放送を通じて培ってきた信頼性と地域に根ざした情報発信力を基盤に、コンテンツ価値の最大化、業務効率化、内部統制およびコンプライアンス体制の強化を進め、持続的に成長するメディアグループを目指していきます。