有価証券報告書-第41期(2024/04/01-2025/03/31)

【提出】
2025/06/20 11:07
【資料】
PDFをみる
【項目】
160項目
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、「エンターテインメントを通じ人々の幸福と豊かな文化の創造に貢献する」を企業理念に掲げ、放送・配信サービスを軸に、多様なジャンルのトップエンターテインメントをお客さまに提供しています。また、デジタルマーケティングやコンタクトセンター運営業務を展開する㈱WOWOWコミュニケーションズ、番組中継・映像制作業務を中心に事業展開しているWOWOWエンタテインメント㈱、放送及びホテル・法人向け映像配信事業を展開している㈱WOWOWプラス、海外プロダクション受注業務を展開しているWOWOW BRIDGE(同)とともに、グループ全体で事業を展開することにより、放送・配信にとどまらないエンターテインメントを提供することを経営の基本方針としております。
(2) 経営環境
当社グループを取り巻く事業環境は、デジタルテクノロジーの進化や生活者のライフスタイル及びコンテンツ接触スタイルの多様化によって急激に変化し、年々厳しさを増しております。
主な事業環境変化は以下のとおりです。
・放送業界全体の縮小傾向
・動画配信サービスの台頭によるコンテンツ及び会員獲得競争激化
・業界内の合従連衡の活発化
・デジタルテクノロジーの進化によるサービスの多様化とデータ利活用の加速
・物価高騰に伴う消費者の買い控えや消費意欲の減退
この様な環境のもと、当社グループは中長期的な成長に向けた収益構造の転換を早期に実現するため、10年戦略と中期経営計画(2021-2025年度)をより進化させた、新しい中期経営計画(2025-2029年度)を策定し、「会員の日常に“夢中”を提供する企業」への進化を目指した新たなビジネスモデルの構築に取り組むべく変革を推進してまいります。


(3) 経営戦略等
■中期経営計画(2025-2029)の策定にあたって
現在、社会構造は加速度的に変化しており、日本の人口も50歳以上が半数を超えるという、これまで経験したことのない時代を迎えるなかで、エンターテインメントの世界も大きく変わってきています。そのような中、当社の果たす社会的な存在価値として2024年5月に「人生をWOWで満たし、夢中で生きる大人を増やす」というパーパスを策定いたしました。今回、中期経営計画を立案するにあたり、パーパスの実現に向け、新たなビジョン「独自のエンターテインメント発想で、あなたの日常に心動く瞬間を」を策定し、目指すビジネスモデルを定義いたしました。このビジョンには、当社が30年以上にわたり培ったエンターテインメントの領域を拡げ、新たな発想で、人々のライフスタイルを彩るサービスを提供し、感動や驚きなど「心動く瞬間」を日常のあらゆる場面を通じ提供したいとの想いが込められています。本中期経営計画では、パーパス、ビジョンに基づき「会員の日常に“夢中”を提供する企業」への進化を目指します。
■目指す世界観
会員の日常に“夢中”を提供する企業へのビジネスモデルの進化を目指すべく、本中期経営計画では、WOWOWオンデマンドに続く、新たな配信サービスの提供や、ECサービスの強化など、多層的なデジタルサービス接点の拡大と、それらと会員をつなぐ、新たなデジタルプラットフォームの構築に中長期的に取り組んでいきます。デジタル基盤を中心に、WOWOWサービス全体の質の向上を図り、既存の顧客の満足度向上および、新たな会員の獲得による事業成長を目指します。

■中期経営計画における重点戦略
本中期経営計画では、BtoCを中心とした会員領域および、BtoBを中心とした会員外領域を軸に成長を目指します。
・会員領域
メディア・サービス領域においては、放送領域の効率化推進に取組み、その原資をコンテンツの強化、および、他の重点戦略に投資いたします。配信領域では、新サービスとして、WOWOWオンデマンドに続く、自社プラットフォームでの新たな配信サービスの提供を開始し、収益力の強化を図ります。コマースおよびイベント領域においては、総合ECショップのグランドオープンにあわせ商品を拡充すると共に、コンテンツを軸とした多層化サービスを推進してまいります。併せて、会員のライフスタイルに即したサービスなどの新規事業の開発にも取組みます。
・会員領域以外
BtoB向けにグループ全体のシナジーを強化し、外部営業を促進。マーケティング支援、コンテンツ制作、プロダクション業務などの事業拡大を目指します。

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
2025年度は、新中期経営計画(2025-2029年度)の初年度として、新たなビジネスモデルの構築に挑戦する重要な1年となります。中期経営計画の重点戦略に沿って、顧客基盤の配信へのシフト、会員ビジネスの大幅な強化、グループ連携の強化に向けた投資・取組みを加速させると共に、既存事業の構造改革、コスト削減に取組み事業計画の達成を目指します。
<新中期経営計画(2025-2029年度)の重点戦略>1.会員領域
・メディア・サービス領域:放送領域での効率化推進、配信サービスの拡大
・コマースおよびイベント領域:コマース事業および多層化サービス推進による収益拡大
2.会員領域以外
・グループシナジー強化による外部売上拡大
<2025年度重点取組み>■会員領域
メディア・サービス領域
・自社プラットフォームでの新たな配信サービスの開始
・放送領域のコスト削減、効率化の推進
コマースおよびイベント領域
・総合ECショップのグランドオープンおよびコマース事業規模拡大
・エンターテインメント領域での会員向け多層サービス推進
・ライフスタイルに即した新規事業開発
■会員領域以外
・グループ機能の整備・集約の検討と実行
・グループの営業シナジーの推進による外部売上拡大
(5) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
事業における収益の源泉は、会員からの視聴料であることから、累計正味加入件数が重要な経営指標となります。
利益面では、収益の安定性を確保するため、グループ全体での売上高経常利益率を重要な経営指標としております。中長期的には、累計正味加入件数の増加による収益増と安定的な利益率上昇トレンドの維持及び「メディア・サービス」以外の収入の拡大による新たな収益の柱の創出を最大目標としております。さらに、企業価値向上のために、中長期視点からキャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フロー)の創出を重要な経営指標としております。