有価証券報告書-第102期(2025/04/01-2026/03/31)
有報資料
当社グループの事業その他に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を以下に記載している。また、必ずしもこれに該当しない事項についても、投資者に対する積極的な情報開示の観点から開示している。
当社では、社長を統括責任者、最高リスク管理責任者をリスク運用・管理責任者とするリスク管理体制を整えており、各基幹事業会社の社長、リスク管理担当役員等と連携することにより、平時・リスク顕在化時における当社グループのリスク管理を統括している。取締役及び執行役は、当社及びグループ会社の事業活動に関するリスクを定期的に、また必要に応じて把握・評価し、毎年度の経営計画に適切に反映している。また、グループ全体のリスク管理が適切になされるよう社内規程を整備している。
当該リスクは、社内規程に従い、業務所管箇所が、職務執行の中で管理することを基本とし、複数の所管に関わる場合は、組織横断的な委員会等で審議の上、適切に管理している。
経営に重大な影響を及ぼすおそれのあるリスクについては、執行役社長を委員長とする「リスク管理委員会」において、リスクの顕在化を予防するとともに、万一顕在化した場合には迅速かつ的確に対応することにより、経営に及ぼす影響を最小限に抑制している。加えて、従業員に対して、関係法令教育や社内規程・マニュアルの教育を定期的に実施している。
しかしながら、当社グループを取り巻く経営環境は厳しい状況にあり、以下のリスクが顕在化した場合、事業に大きな影響を与える可能性がある。なお、各リスク項目の記載順序については、事業への影響度や発現可能性等を踏まえて判断した重要度に基づいている。
本項においては、将来に関する事項が含まれているが、当該事項は提出日現在において判断したものである。
① 福島第一原子力発電所の廃炉
② 電気の安定供給
③ 原子力発電・原子燃料サイクル
④ 電源調達費用・販売価格・販売電力量
⑤ 火力発電用燃料価格
⑥ 電気事業制度・エネルギー政策変更
⑦ お客さまサービス
⑧ 安全確保・品質管理・環境汚染防止
⑨ 企業倫理遵守
⑩ 情報管理・セキュリティ
⑪ 資材調達
⑫ 物価・金利の変動
⑬ 気候変動等に関する取り組み
⑭ 五次総特に基づく経営改革
⑮ 原子力損害賠償・廃炉等支援機構による当社株式の引き受け
⑯ 電気事業以外の事業
当社では、社長を統括責任者、最高リスク管理責任者をリスク運用・管理責任者とするリスク管理体制を整えており、各基幹事業会社の社長、リスク管理担当役員等と連携することにより、平時・リスク顕在化時における当社グループのリスク管理を統括している。取締役及び執行役は、当社及びグループ会社の事業活動に関するリスクを定期的に、また必要に応じて把握・評価し、毎年度の経営計画に適切に反映している。また、グループ全体のリスク管理が適切になされるよう社内規程を整備している。
当該リスクは、社内規程に従い、業務所管箇所が、職務執行の中で管理することを基本とし、複数の所管に関わる場合は、組織横断的な委員会等で審議の上、適切に管理している。
経営に重大な影響を及ぼすおそれのあるリスクについては、執行役社長を委員長とする「リスク管理委員会」において、リスクの顕在化を予防するとともに、万一顕在化した場合には迅速かつ的確に対応することにより、経営に及ぼす影響を最小限に抑制している。加えて、従業員に対して、関係法令教育や社内規程・マニュアルの教育を定期的に実施している。
しかしながら、当社グループを取り巻く経営環境は厳しい状況にあり、以下のリスクが顕在化した場合、事業に大きな影響を与える可能性がある。なお、各リスク項目の記載順序については、事業への影響度や発現可能性等を踏まえて判断した重要度に基づいている。
本項においては、将来に関する事項が含まれているが、当該事項は提出日現在において判断したものである。
① 福島第一原子力発電所の廃炉
| 影響度 | 特大 | 発現可能性 | 高 | |
| 想定される リスク内容 | 当社では、「東京電力HD(株)福島第一原子力発電所の廃止措置等に向けた中長期ロードマップ」に基づき安全に最大限留意しつつ、廃炉作業を進めているが、これまでに経験のない燃料デブリの取り出しにかかる技術的に不透明かつ未解明な課題や、身体汚染、汚染水の漏えい等のトラブルが発生した場合には、廃止措置が計画通りに進捗しない可能性がある。 ALPS処理水については、政府の基本方針を踏まえ海洋放出を開始しているが、設備の点検漏れや確認不足、操作ミス等に伴う設備停止等のトラブルの発生、ALPS処理水のモニタリング結果や設備状態に関する情報発信の不十分さ、不誠実な賠償の対応等に伴い、地域や社会の皆さまからのご理解が得られず、これを継続できない可能性がある。 汚染水については、地下水流入抑制対策等の重層的な対策により着実に発生量の抑制が進められているが、大雨等により、計画通りに汚染水発生量の抑制ができない可能性がある。 こうした廃炉の取り組みが円滑に進まず、計画以上に長期に及ぶ場合には、当社グループの業績、財政状態及び事業運営に影響を及ぼす可能性がある。 | |||
| 対応策 | 廃炉作業は世界でも前例のない取り組みであり、今後の進むべき大きな目標である中長期ロードマップ等をベースに、徐々に得られる新たな情報や知見を踏まえ「廃炉中長期実行プラン」を策定している。 「復興と廃炉の両立」を通した「福島への責任を貫徹」を目指し、地域や社会の皆さまのご理解をいただきながら進めるべく、廃炉作業の進捗と今後の見通しについて、より丁寧にわかりやすくお伝えしていく。 今後も2号機燃料デブリ試験的取り出し等を通し、新たな情報や知見を一つひとつ集め、「廃炉中長期実行プラン」を進捗や課題に応じて定期的に見直しながら、30~40年後の廃止措置終了に向け、安全に最大限留意しつつ、計画に基づき着実に対応を進めていく。 これまでに発生したトラブルを踏まえ、福島第一原子力発電所は、前例に乏しい取り組みが山積していることに加え、高線量下の厳しい環境であることを再認識し、作業毎にリスクを抽出して対策を考え、実行する活動を継続している。さらに、燃料デブリの試験的取り出しの中断事案等を踏まえ、当社は実施主体として、作業の準備段階から細部にわたる手順を確認する等の対策を進めてきた。また、地元企業をはじめ、廃炉に携わる企業との間で、発注側、受注側の立場を超え、廃炉の目的を共有し、達成するため「ワンチーム」をキーワードとして現場レベルでの協働体制の構築を進めていく。 ALPS処理水の海洋放出にあたっては、社内において関係部署を横断的に統括する体制を整備し、①設備運用の安全・品質の確保、②迅速なモニタリングと正確な情報発信、③IAEAレビュー等を通じた透明性の確保、④風評対策、そして損害が発生した時の適切な賠償に努めていく。また、その状況を関係者や社会の皆さまに適時お伝えさせていただき、国内外から信頼いただけるよう取り組んでいく。 さらに、建屋屋根の補修や陸側遮水壁内側におけるフェーシング等の重層的な対策を講じるとともに、局所的な建屋止水を進める等の更なる抑制対策により、汚染水の発生量の抑制を図っていく。 | |||
② 電気の安定供給
| 影響度 | 特大 | 発現可能性 | 高 | |
| 想定される リスク内容 | 大規模自然災害、設備事故、テロ・暴動等の妨害行為、燃料調達支障、感染症の発生等により、長時間・大規模停電等が発生し、安定供給を確保できなくなる可能性がある。これらの場合、当社グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性があるとともに、社会的信用を低下させ、事業運営に影響を及ぼす可能性がある。 | |||
| 対応策 | 計画段階における供給力不足(予備率不足)への対応については、国及び電力広域的運営推進機関が主体となり、需給両面からの対策が検討されている。 現在、供給側の対策として追加供給力調達の仕組みが議論されているが、その整理が完了する前に供給力不足が生じた場合には、一般送配電事業者を実施主体とするkW公募の実施を国から要請される可能性がある。そのような状況においても、安定供給の維持に向け、グループ一体となって適切に対応していく。 また、日々の運用においては、週次で短期的な需給見通しの確認を行い、広域予備率に基づき適切なタイミングで追加の供給力電源の稼働指示やデマンドレスポンス等の発動指示並びに情報発信を行っていく。 自然災害の激甚化・広域化については、電力レジリエンスの強化を軸に据え、内閣府中央防災会議等の被害想定をベースとした設備の補強を促進している。設備事故の未然防止の観点からは、計画的かつ効率的に経年設備の更新を進めることで安定供給の維持に取り組んでいる。 テロ・暴動等の妨害行為へは、関係機関との平時からの緊密な連携により備えている。被害軽減の観点からは、複数の送電系統を連系する設備の多重化により、設備の故障時に停電範囲や停電時間を極小化する取り組みを進めるとともに、被災設備の早期復旧に向けては、デジタル技術の積極的活用や、分散型電源として蓄電池・電動車両等も活用した電力供給手段の多様化、復旧資機材の確保や当社グループ一体での災害対応体制の整備、各種ハザードを想定した社内訓練や海上・陸上自衛隊、海上保安庁、さらには国・自治体・一般送配電事業者等の関係者との連携・協働の強化等を図っている。 燃料調達については、中東の軍事的緊張等に伴う世界的なLNG需要拡大による燃料調達リスクに対しても、株式会社JERAにおいて、米国LNG最大550万トンの新規調達等のLNGポートフォリオの強靭化を図るとともに、JERA Global Markets社を通じた燃料トレーディング等によるLNG調達の最適化により、可能な限り安定的かつ柔軟な燃料調達に努めていくとともに、当社としてモニタリングに努めていく。 感染症対策については、基本的な感染対策の徹底やテレワーク・時差出勤の活用により社員の健康と安全を確保するとともに、感染症拡大に伴うエネルギー産業の構造変化、社会の動向を踏まえたビジネスモデルへの変化についても注視しながら必要な対応を適切に実施していく。 | |||
③ 原子力発電・原子燃料サイクル
| 影響度 | 特大 | 発現可能性 | 高 | |
| 想定される リスク内容 | 国による原子力政策の見直しや原子力規制委員会による安全規制の見直し等により、当社グループの原子力発電事業や原子燃料サイクル事業の運営は影響を受ける可能性があるとともに、当社グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性がある。 原子力発電は、第7次エネルギー基本計画において「再生可能エネルギー、原子力などエネルギー安全保障に寄与し、脱炭素効果の高い電源を最大限活用することが必要不可欠である。」と記載されており、カーボンニュートラル実現に不可欠であることに加え、低廉で安定的な電力の供給、レジリエンス強化の観点からも重要な電源である。 送電を再開した柏崎刈羽原子力発電所6号機の安定運転を継続するとともに、特定重大事故等対処施設の工事を安全最優先で一つひとつ着実に進め、発電所として安定的かつ継続的に稼働できる状態を目指していく。安定的に稼働できない場合には、火力燃料費の増加等により当社グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性がある。 使用済燃料の再処理、放射性廃棄物の処分、原子力発電施設等の解体のバックエンド事業については、多額の資金と長期にわたる事業期間が必要になるが、その遂行が滞ることなく適切に実施されるよう制度措置がされている。具体的には、使用済燃料の再処理や放射性廃棄物の処分、原子力発電施設等の解体については、それに要する費用を拠出する制度が措置されている。こうした国による制度措置等によりバックエンド事業に関する不確実性は低減されているが、制度措置等の見直しや制度外の将来費用の見積額の増加、日本原燃株式会社の六ヶ所再処理施設等の稼働状況、同ウラン濃縮施設に係る廃止措置のあり方等により、当社グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性がある。 | |||
| 対応策 | 原子力発電に関しては、柏崎刈羽原子力発電所6号機にて、プラント設備の健全性確認を一つひとつ慎重に進め、送電を再開した。引き続き、発電所の安全性向上や核物質防護に関する改善の取り組みに継続的に取り組むとともに、地域の皆さまに対して、発電所の取り組みを丁寧に説明していく。 また、地域の皆さまの声を発電所の安全や運営の改善に活かして、地域や社会から信頼される組織や企業文化を醸成することを目指し、柏崎刈羽原子力発電所に必要な本社機能の順次移転や組織再編を検討していく。 バックエンド事業に関しては、国の政策や関連する制度措置に則って適切に対応していくことで不確実性の低減を図るとともに、今後の政策、制度の動向を注視していく。また、六ヶ所再処理事業やウラン濃縮事業等の原子燃料サイクル事業の推進に協力していく。 高レベル廃棄物の最終処分については、当社は、廃棄物の発生者として基本的な責任を有する立場から、お問い合わせ窓口を設置する等、国や原子力発電環境整備機構(NUMO)と連携しながら、地層処分の実現に向け、理解活動に積極的に取り組んでいる。 | |||
④ 電源調達費用・販売価格・販売電力量
| 影響度 | 特大 | 発現可能性 | 高 | |
| 想定される リスク内容 | 販売価格は「燃料費調整制度」及び、「市場価格調整制度」により価格が変動することで電源調達費用の変動をヘッジし、収支変動影響は緩和される。ただし、期ずれや販売と調達の構成差等により、燃料価格・市場価格が大きく変動する場合は収支が悪化する可能性がある。 特に、昨今の中東情勢緊迫化を受け、今後、燃料価格・市場価格が変動し、その影響を受ける可能性がある。 また、販売電力量は、気温や天候の影響、経済活動、生産活動に加え、節電や省エネルギー、カーボンニュートラル社会の実現に向けた対応等の政策面、さらに小売市場の競争状況等の影響を受ける可能性がある。これらにより、当社グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性がある。 | |||
| 対応策 | 電源調達費用、販売価格に関しては、電力デリバティブを活用したヘッジ取引、調達先の拡大等によるコスト削減等で、上述リスクの影響の最小化を図っている。 また、「特別高圧・高圧」のお客さまを対象に最新の販売動向、電源調達動向を適切に料金に反映させていただくため、燃料費調整、及び市場価格調整の算定諸元の見直しをさせていただいた。販売電力量に関しても、価格変動を抑制する料金プランを求めるお客さまからのニーズに応じて、市場価格調整の割合が異なる3種類の電気料金プランの提供を開始させていただいた。 加えて、中東情勢緊迫化による電力・燃料価格の大幅な価格変動影響による収支リスクの低減のために、成約済の「特別高圧・高圧」のお客さまへメニュー変更等の勧奨を行い、販売と調達の構成差の解消に努めている。 今後もより一層、徹底した経営効率化に取り組むとともに、お客さまニーズや市況に応じたサービスの提供や販売価格算定における原子力発電の再稼働の一部織り込みによる卸電力市場価格等の影響幅の圧縮等も実施し、お客さまのご負担を軽減しつつ、当社グループの財政状態の改善を図っていく。 | |||
⑤ 火力発電用燃料価格
| 影響度 | 大-特大 | 発現可能性 | 高 | |
| 想定される リスク内容 | LNG、原油、石炭等の価格は、燃料国際市況や外国為替相場の動向等により変動し、当社グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性がある。特に中東の軍事的緊張等を受けた全世界的な燃料価格の高騰により、当社グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性がある。 | |||
| 対応策 | 株式会社JERAにおいて、世界最大級の調達規模を梃子に構築している価格競争力、価格変動リスク対応力に優れた燃料ポートフォリオ、JERA Global Marketsによる燃料トレーディング及び先物市場におけるヘッジの活用等により燃料価格変動に伴うリスク対応に努めていく。 | |||
⑥ 電気事業制度・エネルギー政策変更
| 影響度 | 大-特大 | 発現可能性 | 中 | |
| 想定される リスク内容 | 電気事業における制度変更を含めたエネルギー政策の見直し、地球温暖化に関する環境規制の強化等、事業を進めていく上での政策面での変化への対応により、当社グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性がある。 | |||
| 対応策 | エネルギー政策や電気事業に係る制度、環境規制に関する動向等の必要な情報を幅広く、積極的に収集し、関係箇所で連携しながら様々な場を通じて当社グループの考え方を説明するとともに、必要な対応を実施していく。 | |||
⑦ お客さまサービス
| 影響度 | 大-特大 | 発現可能性 | 中-高 | |
| 想定される リスク内容 | 法令に反するお客さま応対等により、お客さまからの当社グループ及び当社が提供するサービスへの満足度や社会的信用が大きく低下し、当社グループの業績、財政状態及び円滑な事業運営に影響を及ぼす可能性がある。 | |||
| 対応策 | 当社グループは、2021年7月に新たな経営理念を定め、その理念の下で総合特別事業計画に示す具体的戦略の実現に向けて、お客さまのために変革を恐れず挑戦する新たな企業文化を確立し、信頼され、選ばれ続ける企業になることを目指している。 販売活動等を担う東京電力エナジーパートナー株式会社においては、お客さまサービスの向上のために、実務に即した研修・教育や応対スクリプトの整備等を行うとともに、電話・訪問の機会を通じて収集した「お客さまの声」を業務改善に活かしている。 また、同社社長を委員長、弁護士及び消費者団体役員を社外委員、関係役員・部室長を委員とする営業品質管理委員会(半期に1回以上開催)において、不適切事例の再発防止に向けた各種取り組み、関連法令の改正への対応状況及びお客さまのWeb手続きの改善等の営業品質向上の取り組みを社内横断的に評価・確認し、更なる業務の改善に活かしている。 | |||
⑧ 安全確保・品質管理・環境汚染防止
| 影響度 | 大-特大 | 発現可能性 | 中-高 | |
| 想定される リスク内容 | 当社グループは、あらゆる事業、部門、事業所において、安全確保、品質管理、環境汚染防止に加え、それらの状況について透明性・信頼性の高い情報公開の徹底に努めているが、作業ミス、法令・社内ルール違反等による事故や人身災害、大規模な環境汚染の発生、不適切な広報・情報公開により、当社グループへの社会的信用が低下し、円滑な事業運営に影響を及ぼす可能性がある。 | |||
| 対応策 | 当社グループは、企業の社会的責任を果たすため「東京電力グループ企業行動憲章」を制定し、そのもとで、事業活動のあらゆる場面において安全を最優先に掲げ、安全管理の取り組みについて、法令の遵守及び現場を起点とした安全活動による実効性があるルール・施策を策定・展開し、継続的に評価・改善に取り組んでいる。 特に、原子力事業では、管理者が現場における設備・人の状況を定期的に確認・改善する等、現地現物を重視した安全・品質の向上に加え、社外の視点や知見を積極的に取り入れる目的で新たに設置した「柏崎刈羽原子力発電所運営会議」等の外部専門家による指導・助言等も踏まえながら継続的な改善に取り組んでいる。 品質管理や環境管理についても、規程・マニュアル等により遵守すべきルールを定め徹底するとともに、内部監査等によりその遵守状況を確認し、必要な改善を適宜実施している。 情報公開については、お客さまや地域、社会の皆さまに必要な情報が正確に迅速に伝わることを意識して取り組んでいる。 | |||
⑨ 企業倫理遵守
| 影響度 | 大-特大 | 発現可能性 | 中-高 | |
| 想定される リスク内容 | 当社グループは、企業倫理を遵守した業務運営を定着させるための取り組みに努めているが、法令違反等の企業倫理に反した行為が発生した場合、当社グループへの社会的信用が低下する等、円滑な事業運営に影響を及ぼす可能性がある。 中でも、昨今、企業への要請の高まりが見られる「人権」については、社員、グループ会社社員の理解不足に起因する人権侵害が発生した場合、当社への批判等により、円滑な事業運営に影響を及ぼす可能性がある。 また、原子力事業においては、安全文化醸成並びに核セキュリティ文化醸成の方針のもと、従事者に具体的に求められる行動を明確化し、一人ひとりが実践できるよう教育や対話活動等に取り組んでいる。 しかしながら、これらの取り組みが不十分な場合には、当社グループへの社会的信用が低下し、円滑な事業運営に影響を及ぼす可能性がある。 | |||
| 対応策 | 「東京電力グループ企業行動憲章」及び「東京電力グループ企業倫理遵守に関する行動基準」を定め、会社としての方向性や役員・従業員が遵守すべき具体的行動を明確にするとともに、社長を委員長とし社外有識者を含めた委員で構成する東京電力グループ企業倫理委員会を設置し、企業倫理の定着を図るための諸施策の審議・決定及びその実践状況について指導・助言を受け、組織ごとに企業倫理責任者・企業倫理担当者を配置することにより、東京電力グループ一体となった定着活動を実施している。 また、定期的に実施する意識調査において定着度合いを確認し、その結果を踏まえ、今後の活動方針を決定している。さらに、東京電力グループ大で利用できる企業倫理相談窓口を社内外に設置し、グループ全体で企業倫理に反する行為の未然防止を図っている。 人権尊重の推進にあたっては、国際連合のビジネスと人権に関する指導原則に準拠した「東京電力グループ人権方針」(2021年8月)に基づき取り組んでいる。具体的には、人権デュー・ディリジェンスの仕組みを構築、eラーニングや研修による教育、救済メカニズムとしてあらゆるステークホルダーが利用可能な通報窓口の設置等を実施しており、これら取り組みのプロセスや実効性の評価結果を積極的に情報開示している。 原子力事業においては、柏崎刈羽原子力発電所における核物質防護事案等を受け、経営層による所員との対話活動を通じて作成した「柏崎刈羽原子力発電所の志」に基づく発電所運営を行っている。発電所の状況変化に応じて活動を充実していくことで、内部コミュニケーションや所員のモチベーションを改善し、地域の皆さまから信頼される発電所を実現するための取り組みを継続して行っている。 | |||
⑩ 情報管理・セキュリティ
| 影響度 | 大-特大 | 発現可能性 | 高 | |
| 想定される リスク内容 | サイバー事案や作業ミス、社内ルール違反等に伴い、電力供給やお客さまサービスに支障を与えた場合、及び当社グループが保有するお客さま情報や業務上の重要な情報が流出した場合には、当社グループの社会的信頼が失墜し、事業運営に甚大な影響を及ぼす可能性がある。 | |||
| 対応策 | 高度化・巧妙化するサイバー事案に関しては、原子力事業進展や地政学変化を踏まえた脅威分析、防御対策、常時監視、対応・復旧訓練等のあらゆる手段を用いてサイバーセキュリティ強化に努めている。 重要な情報の管理に関しては、社内規程の整備や情報流出等によって生じるお客さまや社会への影響について社員へ教育・啓発を行うとともに、社内システムの適正なアクセス制御や外部記憶媒体への情報書き出し制限等のシステム上の対策も実施している。 | |||
⑪ 資材調達
| 影響度 | 大-特大 | 発現可能性 | 高 | |
| 想定される リスク内容 | 大規模災害の発生、国際情勢の緊迫化、感染症の蔓延等の影響によるサプライチェーンの混乱に加え、物価上昇、建設業をはじめとする担い手不足、さらに国内外調達先の倒産・撤退や海外依存度の高い資材の供給量低下といったサードパーティリスクの高まりにより、調達コストが高騰し、計画的な調達が阻害され、当社グループの業績、財政状態及び円滑な事業運営に影響を及ぼす可能性がある。 特に昨今の中東情勢等の地政学問題に起因する納品の遅れや製造不能は、電力の安定供給に支障をきたす可能性がある。 また、建設業法、働き方改革関連法等の改正により、工事・委託発注及び資材調達に関わる取引の適正化や発注者としての誠実な対応が一層求められており、これらの対応が不十分な場合、当社グループの事業運営に影響を及ぼす可能性がある。 加えて、当社のサプライチェーンにおいて当社グループ又は調達先が万が一、環境破壊や人権侵害に加担していたことが判明した場合、社会的信用を低下させ、事業運営に影響を及ぼす可能性がある。 | |||
| 対応策 | 当社グループにおけるサプライチェーンの持続的な確保に向けて、調達先については、取引先登録制度を採用し、あらかじめ適格性を担保するとともに、パートナーシップ構築宣言に示す当社グループのサプライチェーン全体の共存共栄を目指し、競争と共創拡大の方針のもと、調達先の多様化を図っている。昨今の国際情勢の緊迫化等から、主要サプライヤより調達リスク情報を定期的に収集のうえ、資材の納品遅れや製造不能の発生については、早期発注に加え、代替品の検討や在庫管理の徹底と工程調整による欠品リスクの回避、予備品の確保等で対処している。加えて、物価上昇や担い手不足に対しては、サプライヤと十分に連携したうえで資材、要員確保を計画することで調達コストの抑制に努めるほか、サプライヤの動向把握や代替取引先の発掘に努めている。 また、当社グループは、建設業法、働き方改革関連法等の動向を踏まえ、発注・調達体制の整備、及び取引先との適切な協議や対話を進めることにより、安定的な事業運営に努めている。 さらに、環境問題・人権問題への社会的関心の高まりや、その重要性に鑑みて、「東京電力グループ調達基本方針」、「サステナブル調達ガイドライン」に則った、環境や人権問題に対する取り組み状況の確認や対話を通じた信頼関係の構築等を行うことで、サプライチェーン全体での持続可能な社会の実現に向けて取り組んでいる。 | |||
⑫ 物価・金利の変動
| 影響度 | 大-特大 | 発現可能性 | 高 | |
| 想定される リスク内容 | 当社グループは、国内電気事業に必要な発電・送変電・配電設備等の多数の設備を保有し、これらの設備の建設・更新工事等を計画的に進めていくために多額の投資資金が必要であり、近年は減価償却費を上回る設備投資額となっている。 なお、これらの必要資金に充当するため自己資金のほか金融機関からの借入及び社債の発行により資金を調達しており、当社グループの有利子負債残高は、2026年3月末時点で6兆6,337億円(総資産の43%に相当)となっている。 このため、物価・金利の変動については、設備投資・支払利息等の変動に繋がることから、今後の動向により、当社グループの業績及び財政状態に影響を受ける可能性がある。 | |||
| 対応策 | 設備投資については、電気の安定供給の確保を大前提とした上で、中長期にわたる徹底的な投資精査・経営合理化を図り、収益性・資本効率性の最大化を目指していく。 また、支払利息に関しては、固定金利の社債発行で資金調達を実施する等、金利変動リスクの低減に努めている。 | |||
⑬ 気候変動等に関する取り組み
| 影響度 | 大 | 発現可能性 | 中 | |
| 想定される リスク内容 | 気候変動に関する規制の強化やエネルギー政策の見直しにより、小売電気事業において電力調達費用が増加し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。 また、GX・DXの進展に伴う再生可能エネルギーの普及拡大等の電力需給構造の変化により、送配電事業において系統の安定性確保に向けた系統増強等の対策費用が増加する可能性がある。 加えて、ESGに関する取り組み停滞により、ESG投資市場でのレピュテーション悪化につながり、当社グループの資金調達や株価に影響を及ぼす可能性がある。 | |||
| 対応策 | 気候変動関連の規制強化やエネルギー政策の見直しについては、国内外の制度動向を継続的かつ能動的に把握するとともに、関係箇所で連携しながら様々な場を通じて当社グループの考え方を説明するとともに、必要な対応を実施していく。 また、GX・DXの進展に伴う再生可能エネルギーの普及拡大や電力需給構造の変化に対しては、分散型電源やお客さま設備の活用、需給調整力の高度化、次世代ネットワークの構築等を通じて系統の安定性向上を図るとともに、適地提案等により設備形成を計画的に推進し、安定的かつ低廉な電力供給の維持に努めていく。 ESGに関する取り組みについては、株主・投資家の皆さまとの継続的なエンゲージメントを通じて、ご意見やご関心事項を的確に把握し、これらを踏まえたESGに関する取り組みの強化及び情報開示の充実を図り、当社グループのESGへの取り組みに対する理解と信頼の向上に努めていく。 加えて、金融商品取引法にもとづくサステナビリティ情報の開示義務化を見据え、体制整備やデータ管理の高度化等の必要な準備を計画的に進めていく。 | |||
⑭ 五次総特に基づく経営改革
| 影響度 | 大 | 発現可能性 | 中-高 | |
| 想定される リスク内容 | 五次総特の下、当社グループは、福島への責任を果たしていくために、不断の経営改革に取り組み、賠償・廃炉に必要な資金の確保及び企業価値の向上を目指している。 今後、前人未踏の領域である廃炉の貫徹に向けた改革や、GX・DX等による電力需要増への安定供給責任の全うと事業成長に向けた取り組み、経営合理化や資産売却等を通じた財務状況の改善、中長期的な廃炉と企業価値向上を両立するためのアライアンスの具体化等の経営改革が計画通りに進まない場合には、当社グループの業績、財政状態及び事業運営に影響を及ぼす可能性がある。 | |||
| 対応策 | 五次総特に基づく経営改革を実現していくために、責任者・期限・達成すべき内容等をアクションプランとして作成し、取り組みを進めていく。また、各アクションプランの進捗状況については重要度に応じたモニタリングを実施し、PDCAを回すことで計画を達成していく。 経営合理化の計画の確実な実現に向けては、改善策の進捗状況を適時確認し、変動リスクへのリカバリー対応が機動的に講じられるよう、適切なモニタリング対応を進めていく。 最重要課題である廃炉事業の改革、アライアンスの実現等については、執行としての責任を果たすための体制整備や今後の最適な経営体制の整備を早急に進めていく。なお、アライアンスに関しては、社外取締役を中心とした社内委員会にて、アライアンスパートナーからの提案や枠組み・仕組み等に係る精査・評価等、詳細かつ専門的な議論を進め、実現につなげていく。 また、五次総特を共同策定した原子力損害賠償・廃炉等支援機構と密に連携のうえ、当該機構の運営委員会での経営改革の実行に係る継続的な審議も踏まえながら、最重要課題への対応に関する検討、経営判断に向けた工程管理を徹底する。 | |||
⑮ 原子力損害賠償・廃炉等支援機構による当社株式の引き受け
| 影響度 | 大 | 発現可能性 | 中-高 | |
| 想定される リスク内容 | 当社は、2012年7月31日に原子力損害賠償・廃炉等支援機構(以下「機構」という。)を割当先とする優先株式(A種優先株式及びB種優先株式。以下A種優先株式及びB種優先株式をあわせて「本優先株式」という。)を発行した。A種優先株式には、株主総会における議決権のほか、B種優先株式及び普通株式を対価とする取得請求権が付されている。また、B種優先株式には、法令に別段の定めのある場合を除き、株主総会における議決権は付されていないが、A種優先株式及び普通株式を対価とする取得請求権が付されている。 機構は、本優先株式の引受けにより総議決権の2分の1超を保有しており、株主総会における議決権行使等により、当社グループの事業運営に影響が生じる可能性がある。今後、機構によりB種優先株式のA種優先株式を対価とする取得請求権の行使がなされた場合、又は本優先株式について、普通株式を対価とする取得請求権の行使がなされた場合には、既存株式の希釈化が進む可能性がある。特に、普通株式を対価とする取得請求権が行使された場合には、既存株式の希釈化が進む結果として、持株会社である当社の株価が下落する可能性があるほか、当該普通株式を機構が市場売却した場合には、売却時の市場環境等によっては、さらに持株会社である当社の株価に影響を及ぼす可能性がある。 | |||
| 対応策 | 当社グループ一体となって福島への責任貫徹を第一に、社会からの信頼回復、企業価値向上に向けて、経営合理化や原子力損害賠償・廃炉等支援機構運営委員会からの提言への対応も含め、引き続き最大限の努力を行っていく。 | |||
⑯ 電気事業以外の事業
| 影響度 | 大 | 発現可能性 | 高 | |
| 想定される リスク内容 | 当社グループは、海外事業を含む電気事業以外の事業を実施している。これらの事業は、当社グループの経営状況の変化に加え、国際情勢の緊迫化、気候変動、顧客ニーズの変容、市況の変化(物価高騰、金利上昇、他社動向等)、サプライチェーン上の人権侵害、従業員の生命・身体に対する脅威等により、投融資時点で想定した結果をもたらさず、当社グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性がある。 | |||
| 対応策 | 当社グループの事業や従業員の安全に影響を与えうる政治的経済的な情勢、特に地政学リスクの高まりといった変化や潮目に対する感度を高くし、海外事務所と連携しながらタイムリーに現地情報を収集する等してリスクの回避並びに低減に努めている。 また、実施案件については、実施前には建設費の高騰や金利上昇等による投資採算性のリスク評価を含む厳格な投融資審査基準を設けて案件を厳選するほか、実施中は収益性やリスクに係るモニタリングを四半期ごとに行い不採算事業は撤退・縮小する等、業績悪化リスク低減に努めている。 | |||