有価証券報告書-第98期(令和3年4月1日-令和4年3月31日)

【提出】
2022/06/29 9:25
【資料】
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【項目】
160項目

対処すべき課題

文中における将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において判断したものである。
(1) 基本方針
当社グループは、「エネルギーを中心として、人々の生活に関わる様々なサービスを高い品質で提供し続けることにより、快適・安全・安心な暮らしと地域の発展に貢献する」というグループミッションを掲げており、お客さまから最も信頼されるパートナーとして、エネルギーから情報通信、ビジネス・生活サポートまで、多様なサービスをワンストップで提供できる「マルチユーティリティー企業グループ」への変革・成長をはかっていく。
(2) 経営環境および対処すべき課題
わが国は、「2050年カーボンニュートラル」を宣言するとともに、2030年度において温室効果ガス排出量を2013年度から46%削減することを目標としており、その達成に向けた様々な政策の導入が進められるなど、低炭素化・脱炭素化の流れが加速している。こうした状況のもと、化石燃料の新規開発が停滞するなか、コロナ禍からの経済回復などによる需要の急増が重なり、昨年来、燃料価格の高騰が続いている。さらに、本年2月に勃発したロシアによるウクライナ侵攻の影響で国際情勢が不安定になっており、燃料調達を巡る状況に不透明感が増している。
一方、エネルギーリソースの分散化や飛躍的な進歩を遂げたデジタル技術の活用が進んでおり、今後、太陽光や蓄電池などの多様な分散型エネルギーリソースをデジタル技術で統合・制御し、電力需給を調整する、新たなビジネスモデルが誕生することも予想される。
当社グループとしては、このように事業環境が大きく変化するなかにあっても、中長期にわたる持続的な成長・発展を実現できるよう、コア事業である電気事業においては、「発電・販売・送配電ごとの事業基盤強化と収益性向上」、電気事業以外の事業においては、「情報通信事業・国際事業を中心とした成長事業の拡大」に重点的に取り組んでいく。また、カーボンニュートラルへの挑戦やデジタルトランスフォーメーションの推進等に注力することにより、「持続的な企業価値創出の基盤強化」にも努めていく。
① 発電・販売・送配電ごとの事業基盤強化と収益性向上
発電事業においては、伊方発電所3号機の安全・安定運転を継続することはもとより、2023年6月の運転開始を目指して進めている西条発電所1号機のリプレース工事を完遂することなどにより、ベースロード電源の最大活用をはかっていく。併せて、設備の効率的な運用や、資機材等の調達コストの低減などによる効率化の深掘りを進めるとともに、再生可能エネルギー開発の一層の推進などを通じて、電源の低炭素化・脱炭素化に向けた取り組みを進めていく。また、販売事業においては、他の事業者とのアライアンスや電気以外の商品・サービスとのセット販売の活用等により、販売力の強化に努めるとともに、電力取引市場の有効活用による収益の拡大を目指していく。
なお、足元においては、ロシアのウクライナ侵攻に伴う不透明な燃料情勢に対応するため、燃料の安定調達を最優先に、十分な在庫の維持や早めの配船手配などに努めるとともに、燃料価格高騰の影響を軽減すべく、機動的な対応を進めていく。
送配電事業においては、設備の更新機会を捉えた送配電網のスリム化やリスク評価を踏まえた設備管理の最適化・効率化を進めるとともに、災害復旧対応を含む供給信頼度の維持・向上をはかり、災害時のレジリエンスを強化していく。また、スマートメーターを活用した送配電ネットワークの新たな価値の創造についても、積極的に推進していく。
② 情報通信事業・国際事業を中心とした成長事業の拡大
情報通信事業におけるローカル5GやAI・IoTなどを活用した新たなサービスの開発や、国際事業における再生可能エネルギーを中心とした新規案件の拡大など、今後成長が期待できる事業を軸に、事業領域・市場エリアの一層の拡大と収益性向上に努めていく。
さらに、分散型エネルギーリソースの普及など電気事業の構造変化を捉えた新たな事業の創出や、低炭素化・脱炭素化ニーズに対応したソリューションの提供のほか、不動産・観光事業など四国の地域課題解決を起点とした取り組みの推進等により、収益機会の拡大をはかっていく。
③ 持続的な企業価値創出の基盤強化
当社グループは、ESG(環境・社会・ガバナンス)やSDGs(持続可能な開発目標)の観点も踏まえ、気候変動対策や地域共生活動の推進、コンプライアンスの徹底など、持続的な価値創造とよりよい社会の形成に向けた取り組みを積極的に進めることにより、株主・投資家の皆さまをはじめとするステークホルダーの方々から信頼され、評価・選択される企業グループを目指していく。
特に、脱炭素社会の実現に向けては、安全確保を大前提とした原子力の最大活用や再生可能エネルギーの開発・導入拡大、火力発電の高効率化・次世代化などによる「電源の低炭素化・脱炭素化」、さらには、産業・運輸部門も含めた電化の推進やエネルギー利用の高度化・多様化、再生可能エネルギーを最大活用する観点からの送配電設備や需給運用の最適化などによる「電気エネルギーのさらなる活用」を推進していく。これらの取り組みを通じて、当社のCO2排出量を、2013年度に比べ、2030年度に半減し、2050年に実質ゼロ(カーボンニュートラル)とすることに挑戦していく。
また、デジタル技術を活用して業務やビジネスを変革するデジタルトランスフォーメーションを推進し、既存事業の競争力強化に加え、お客さまの多様なニーズに対応した革新的なサービスを創出・提供していくことにより、持続的な企業価値創出を図るとともに、四国地域のスマート社会の実現に貢献していく。
(3) 経営目標
上記のような取り組みを通じて、2021年3月に策定した「よんでんグループ中期経営計画2025」で掲げた、以下の経営目標の達成を目指していく。
2025年度経営目標(連結)
ROA3%程度(ROE:7%程度)
経常利益350億円程度
自己資本比率25%以上(有利子負債倍率:2倍以下)
営業キャッシュ・フロー1,100億円程度

※ ROAは「事業利益(経常利益+支払利息)÷総資産(期首・期末平均)」にて算定。