有価証券報告書-第177期(2025/01/01-2025/12/31)

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2026/03/26 16:10
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174項目
① 基本方針
当社グループのビジョン<「人起点の変革」の最前線に立ち、社会にポジティブな動力を生み出す>には、「人」が創り出す可能性を信じ、そこから生まれる新たな力で社会に貢献していきたいという思いが込められております。この実現のためには、我々の最大の資産であるユニークで多様な人財の力を解き放ち、その力を掛け合わせていくことが重要と考えております。
こうした前提のもと、当社グループの人的資本のとらえ方の根幹にあるのは「人は誰でも『貢献したい。成長したい。』という気持ちを持っており、仕事を通じて自身の成長を実感することに喜びを感じる」という信念であります。こうした人の自律的な成長意欲を信じ、誰もがチャレンジし成長する機会が得られる環境を実現することで、人的資本、つまり「人」の可能性に投資し、そのケイパビリティを拡張していく経営を進めてまいります。
② 戦略
「人起点の変革」を推進し社会に貢献していくために、当社グループは従業員のユニークで多岐に渡るケイパビリティを統合し、顧客の持続的成長を実現する「インテグレーテッド・グロース・ソリュ―ション(IGS)」に注力しております。
この経営戦略と関連する重要課題に応えていくためには、「人」の可能性をどのように拡張していくかが大きな焦点ですが、これには、大きく二つの望ましい状態の実現が必要と考えております。まず、様々な人財が繋がり合い、ともに学び、互いの専門性を掛け合わせることで組織・個人ともに高いケイパビリティを持っている状態であります。これは当社グループならではの「統合」されたソリューションの提供に不可欠なものであります。そしてもう一つは、従業員一人ひとりがインテグリティを持ちチームに前向きに貢献しようとする意識、つまりエンゲージメントが高まっている状態であります。この二つの状態をグローバルに実現することが、One dentsuで「人」の可能性を高め、経営戦略実現を支援している姿であり、我々の目指すところでもあります。
これを実現すべく2023年度から始まったOne dentsu体制を人事部門にも取り入れ、チーフ・HR・オフィサー(CHRO)を中心としたグローバル横断的な人事リーダーシップチームが組成されております。この体制のもと、グローバルで一貫した戦略体系を構築・実行しております。
・人事ミッションと戦略概要
グローバル人事戦略の起点となるのは、人事領域の担当者が何を目指して仕事をするのかを定めたミッションであります。人事リーダーシップチームで議論し確立したものが、「1つのチームになり、仲間の力を引き出す」です。これには、人事領域の各チームが垣根無くそれぞれの力を出し合い、従業員一人ひとり、そして組織全体の秘める可能性を解き放つ、という我々の役割を明確に表しております。この人事ミッションのもと、経営戦略の支援・ビジョンの実現に向けた具体的な注力領域などを定めた三つの柱から成る人事戦略体系を構築しております。
この基本戦略のもと、2025年度には特に優先的に投資する領域を定め、グローバルリーダー人財育成、インテグレーテッド・グロース・ソリューション(IGS)領域のケイパビリティ強化、AIを活用した生産性向上といった領域を加速させてきました。これらの投資により、当社グループならではの「人の可能性の拡張」を推進してまいります。
・人事戦略1: People Growth(人の成長)
人の成長をどのように実現するかは、言うまでもなく人財戦略の最重要な柱であります。従業員一人ひとりの成長はもちろんのこと、組織が変革を求められている状況においては、リーダーがいかに成長をドライブできるかが重要であります。組織が発揮できる能力は、それを率いるリーダーの行動が与える影響により、大きく異なると考えるためです。
当社グループにおいても、人と組織の成長を加速する鍵となるのはリーダーシップの在り方であると考え、人的資本投資の中でも優先的に取り組みを進めております。
ⅰ) dentsu Leadership Attributes
「dentsuの目指す姿」を牽引するリーダーシップを見極め、育てることを重点課題と捉え、dentsuのリーダーが持つべきリーダーシップ行動要件を「dentsu Leadership Attributes(dLA)」として言語化・定義しています。dLAは組織としてどのような行動が推奨され評価されるべきなのかを示す6つの要素と全ての素地となるインテグリティから構成されております。具体的には、未来を切り拓くための戦略的思考とイノベーション、強いチームを作るための人財育成と組織文化醸成、結果を出すための顧客中心主義の実践と仕事の推進力といった項目であり、それぞれに対して従業員がどのように行動を発揮しているかを確認するツールとしても活用できるものです。2025年度にはdLAを各種人事制度に組み込み、人財選定・評価・育成の指針として活用を推進しつつ、グローバルで社員への浸透活動を行いました。
ⅱ) 人財を見極め、育てるためのディスカッション
今後のリーダー人財候補者の特定・育成に向けては、dLAに基づいた「People Discussion」(人財についてレビューし、育成方針を議論する場)をグループ・各リージョンで実施しました。活動の3年目となる本年度には前年より議論の対象となる従業員層を更に広げ、仕組みとして定着させることができました。この活動の結果、2025年度におけるグループ・エグゼクティブ・マネジメントの全ポジションについて、少なくとも1名以上の後継者候補が特定できている状況(緊急カバー含む)を担保しております。また各部門における有力人財の可視化、後継者候補の選定を行うとともに、育成投資について議論を推進し、人財パイプラインの強化を行っております。
この活動が定着してきたことで、人財を見極めるプロセスにリーダーシップの観点を、グループ一貫して反映させることができました。これにより、業績とリーダーシップの両面からの人財評価・育成を実現しつつあります。
ⅲ) 高ポテンシャル人財、戦略領域人財への投資
People Discussionを通じて可視化された人財に対してはそのポテンシャルを最大化すべく、グローバルで多様な環境で自身をストレッチさせる業務の経験機会、スキルや視野を広げる育成プログラムを提供しております。One dentsuオペレーティング・モデルをより強固に体現すべく年間を通じてグローバルリーダーの登用、組織再編を行っておりますが、新リーダーの抜擢の際には、重点人財の成長につながる体験をさせることも意図されております。また育成プログラムの代表的なものとして、本年度は重点地域である日本人財のグローバル活躍を支援する、新たな育成プログラムを立ち上げました。また、将来のグループ経営層の育成を目指した人財の配置・派遣計画も推進しております。また、経営戦略として掲げるIGSの提供力強化を目指し、特に海外各地域でのケイパビリティ強化を推進しました。地域・市場ごとに異なる顧客状況、ケイパビリティ成熟度に応じ、ローカライズした投資を行っています。
並行して、従業員のキャリアの選択肢を増やすことで長く働けるキャリアを形成することも目指しております。その基盤として、グループ統一の職務・等級フレームの導入を進めており、特に等級(ジョブレベル)の共通化に向けた取り組みが進捗しています。これにより、グループ内で「リーダー層」として定義されるべき人財を可視化し、そこから得られるデータによって人財育成課題をさらに明確化することができました。この基盤を継続して固めていくことで、地域や個社を超えた人財の流動化を促進し、従業員一人ひとりのキャリアアップを支援していくことを目指します。
ⅳ) 人を育てる仕組みと文化の定着に向けて
今後継続的に十分な効果を出していくため、ここまでに挙げた各種施策は継続的なサイクルの仕組みとして設計されており、今後はこれを通じた「リーダーがリーダーを育てる」文化を定着させていくことを目指します。具体的には、dLAの各種人事施策への組み込みと定期的なPeople Discussionの運営・対象範囲の拡大を通して、人財の可視化や戦略的人財配置などの直接効果にとどまらず、議論に参加する各リーダー自身の人財育成意識に働きかけてまいります。今後はこの成果を確認するべく、プロセスとしての対話時間や結果としての後継者準備率をモニタリングする一方で、エンゲージメント調査を通じ、従業員側の成長実感がどの程度得られたのかも併せて計測してまいります。これら複合的な指標を用いて、People Growthの進捗を確認してまいります。
・人事戦略2:Winning as One Team(ワンチームとなって勝つ組織)
当社グループの強みは、多様でユニークな個の力が掛け合わさり、そこから我々ならではのクリエイティビティ、そしてイノベーションが生まれることであると考えます。その価値の実現に向け、グローバルに存在する人財の一人ひとりが強みを発揮するに留まらず、同じ目的に向かってコラボレーションすること、つまりワンチームになることを重視しております。その素地となるのはインテグリティに基づくdentsuらしいカルチャーづくりと生産性高く活性化された組織であると捉えて、重点的に活動を行っております。
ⅰ) エンゲージメント調査と組織カルチャーへの取り組み
従業員がチームとして前向きに協力し合う文化の形成には、エンゲージメントは最も重要な要素の一つです。当グループでは毎年の調査で、従業員の満足度と推奨度からエンゲージメントスコアを算出しており、全グループ単位と地域・会社などの部門単位で課題を特定した上で改善に取り組んでおります。また役員報酬のKPIにも組み込んでおります。
前年度の調査結果からは、経営戦略やメッセージの明確性・透明性などの項目が重点課題であると捉えられ、それらに対する打ち手として経営からのコミュニケーション改善に取り組みました。具体的には、国内・海外ともに経営層からメッセージなどの情報発信・Town Hall Meetingなどの直接インタラクションの機会を数多く設定しました。
他方、ガバナンス観点で重視される個人のインテグリティやコンプライアンス意識についての回答は、日本・海外とも経年で高いスコアを記録しました。これを前向きな機会と捉え、更なる意識向上や活動改善の取り組みを進めてまいります。
ⅱ) フレキシブルで生産性の高い働き方ができる環境の整備
従業員が十分に活躍できる環境整備として、労働環境の改革にも継続的に取り組んでおります。ハイブリッドワークから得られる柔軟性の高い働き方を継続しつつ、当社が目指す「人起点の変革」にはリアルコミュニケーションも重要であることから、各地域・部門ごとに最適な出社バランスを検討し、対面での社員交流機会も増やしております。ワンチームとなって能力を最大限発揮するには、生産性の高い働き方を志向し、テクノロジーも取り入れた新しい方法を積極的に取り入れる姿勢も欠かせません。日常業務へのAI活用を通じた現場レベルでの学びやアイディア創発の支援は、引き続き重視してまいります。
日本で継続してきた労働環境改革においては、勤務管理や従業員見守りなどに関する意識・活動のベースを保ちつつ、ハイブリッドな働き方などの現場実態に即し、今後の持続的成長に向けた活動を継続しております。
ⅲ) 多様な能力のコラボレーションを高める従業員意識
多様な従業員が安心して能力を発揮し、コラボレーションを通じてより良いソリューションを生み出していく組織文化では、それを育む従業員の意識が重要であります。様々な「違い」のある従業員同士がその差を理解し、互いに尊重し合いながら働くことができる意識と、そのための場づくりの活動にも注力しております。この成果を確認するべく、エンゲージメント調査に盛り込んでいる「敬意/Respect」のスコアを指標とし、各従業員が職場で他者から尊重されていると感じられているかどうかを注視しております。
同様に、コラボレーションに対する意識、インテグリティに対する意識についても、対応するエンゲージメント調査のスコアをモニタリングし、関係施策のPDCAに繋げてまいります。組織文化の状況を一つの指標で定量的に測定していくことは困難ではあるものの、当社グループの目指す状態を構成する要素として、互いへの敬意、コラボレーション意識、インテグリティ意識の水準を把握し、総合値としてのエンゲージメントとの関係性にも着目することで、Winning as One Teamの推進に活用してまいります。
・人事戦略3:HR Service Excellence(最良の人事サービスとパートナーシップ)
People Growth、Winning as One Teamの各戦略に基づく一連の施策を具現化していく際、人事部門は事業領域と質の高いパートナーシップを築くことが重要であります。この実現のため、人事部門の専門性と生産性を高め、人と組織の面から経営戦略や意思決定を支えていくグローバル体制を構築しております。具体的には、経営・事業に寄り添うHRビジネスパートナー(HRBP)と、人財マネジメントや報酬設計などの専門チームから成るCenter of Excellence(CoE)を両輪とし、組織的なケイパビリティを高めております。
ⅰ) 事業変革に対応したHRBPサポート
ビジネスに最も近い位置で様々な支援を行うHRBPは、人事パートナーシップの要であり、その能力を向上させることが人事サービスの質に直結します。2025年度は当社を中心とした日本におけるHRBP活動を本格化し、サービスの幅を広げてきました。引き続き人事パートナリングの範囲を広げつつ、日本における機能の定着化を図ります。
ⅱ) HRサービスインフラの整備
人事部門の活動やサービスを支える人財データ領域への投資・活動も継続しており、直近では特にデータの精度向上、及びグループ共通のデータ項目整備に注力しております。中でも日本には数多くの法人が存在するため、他地域と比べて人財情報の共通定義を設けることが困難な状況でしたが、過去数年で統一データテンプレートの開発と各社導入を進め、徐々にデータベースを確立してまいりました。これにより、2025年度の各種人事KPIモニタリングの精度の向上、開示情報の拡大を実現することができました。今後は、グループ単位での戦略的な意思決定に寄与できる情報基盤への活用に向けて、データの精度とカバー範囲を継続的に向上させてまいります。
もう一つ重要な柱として日常業務の効率性を高める取り組みも継続しており、作業量の多いオペレーション業務についてはプロセスの最適化や自動化、コスト効率の高いニアショア・オフショア地域でのシェアードサービスの活用を推進しております。2025年度は海外地域において、AIをプロセスに組み込んだ効率化、従業員からの問い合わせへのチャットボット活用などに取り組みました。今後も地域間の業務の違いも考慮しながら、全体最適化が望ましい業務についてはプロセスやシステムを見直し、グローバルでの統合、標準化などを通じ、更なる生産性の向上を進めていく考えであります。

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