有価証券報告書-第48期(2023/04/01-2024/03/31)

【提出】
2024/06/28 10:35
【資料】
PDFをみる
【項目】
149項目
(1)【コーポレート・ガバナンスの概要】
①コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方
当社は「社会で活躍できる人づくりを実現できる最高の教育機関をめざす」ことをコーポレート・ビジョンに掲げており、経営理念である「顧客への貢献」「社員への貢献」「社会への貢献」の実現を通して社会の進歩と発展に寄与してまいります。また、コーポレート・ガバナンスの基本方針としては、経営における意思決定及び業務執行の効率化・透明性を向上させ、企業価値・株主共同の利益を持続的に向上することとしております。そのため、コンプライアンス経営の徹底、リスクマネジメントの強化、監査体制の充実がその軸をなすものと考えており、グループ企業共通の体制整備を図り、コーポレート・ガバナンスの構築・維持に努めております。
②企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由
イ 企業統治の体制の概要
当社は、監査役会設置会社として、取締役による迅速な意思決定と取締役会の活性化を図るとともに、経営監視機能の客観性及び中立性を確保することにより、経営の公正性及び透明性を確立する経営体制を構築し、コーポレート・ガバナンスの充実が図れる体制としております。
(取締役会)
取締役会は現在7名(取締役4名、社外取締役3名)で構成されており、その構成員は「(2)役員の状況①役員一覧」に記載のとおりであります。取締役会は経営の基本方針、法令で定められた事項や経営に関する重要事項を決定する場として、原則月1回の開催に加えて、必要に応じて臨時取締役会を開催しております。また、経営の意思決定の迅速化と業績管理責任の明確化を目的として執行役員制度を導入しております。取締役と執行役員が連携して、企業価値向上のため業績確保・業務改革・顧客満足度やIRの視点等検討テーマを提案・検討して業務遂行に反映させております。
(監査役会)
監査役会は現在3名(常勤監査役1名、社外監査役2名)で構成されており、その構成員は「(2)役員の状況①役員一覧」に記載のとおりであります。監査役は監査役会を定期的に開催し、監査予定や結果についての意見交換・協議を行い、その結果については取締役会にて報告しております。また、監査役は月次の取締役会のほか、社内の重要会議に出席し、取締役の職務執行・意思決定について適切に監督しております。
会社の機関・内部統制の関係図
0104010_001.png
ロ 企業統治の体制を採用する理由
当社は、監査役会設置会社として少数の取締役(7名)により、客観性を担保しつつ迅速な意思決定を可能とすることで取締役会の活性化を図り、経営の公正性及び透明性の確立を実現してまいりました。社外監査役(2名)の充実により、経営の監視機能の面では十分に機能する体制が整っているものと判断しております。また、社外監査役2名を独立役員として指名しており当該監査役は、経営陣から一定の距離にある外部者の立場で取締役会に参加することにより、取締役の職務執行の状況について明確な説明を求めることとなり、経営監視機能の客観性及び中立性を確保しております。
③企業統治に関するその他の事項
イ 内部統制システム及びリスク管理体制の整備の状況
当社は、業務の適正を確保するための基本方針として「内部統制システム構築の基本方針」を取締役会にて決議しております。決議内容については以下のとおりであります。
(イ)取締役及び使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制
ⅰ 当社は、取締役、従業員を含めた法令等の遵守(以下「コンプライアンス」という)の体制に係る規程を制定するとともに、会議や研修において全取締役及び従業員に継続的に伝達することにより、法令遵守と社会倫理の遵守を企業活動の原点として徹底する。
ⅱ 取締役会については「取締役会規則」を定め、取締役間の意思の疎通を図るとともに、相互に業務執行を監督し、法令又は定款に違反する行為を未然に防止する。
ⅲ 監査役及び内部統制監査室は、各部門の責任者と連携し、コンプライアンス体制の調査、法令又は定款上に違反及び違反の疑義がある行為の問題の有無を調査し、取締役会に報告する。取締役会は、定期的にコンプライアンス体制を見直し、問題点の把握と改善に努める。
ⅳ 代表取締役はコンプライアンス統括責任者を任命し、コンプライアンス統括責任者を委員長とするコンプライアンス委員会を常設の機関として設置し、コンプライアンス体制の構築、維持・整備にあたる。また、コンプライアンス上の問題等が生じた場合、審議した結果を取締役会に適宜報告する。
ⅴ 当社の事業活動又は取締役及び従業員に法令もしくは定款上の違反の疑義がある行為等を発見した場合、それを告発しても当該者に不利益な扱いを行わない旨等を規定する「社内通報保護規程」を制定する。
(ロ)取締役の職務の執行に係る情報の保存及び管理に関する体制
ⅰ 「文書管理規程」を定め、保存・管理すべき情報の保存期間及び管理方法、情報の漏洩、滅失、紛失時等の対応方法を規定し、これに基づき当該情報を文書又は電磁的媒体に記録し、安全かつ検索性の高い状態で整理・保存する。
ⅱ 前号の文書又は電磁的媒体は、本社において、取締役又は監査役からの閲覧要請に対して速やかに応じることが出来る状態で保管する。監査役は保存及び管理の状況について規程に準じて実施されているかについて監査し、必要に応じて取締役会に報告する。
(ハ)損失の危険の管理に関する規程その他の体制
ⅰ 業務執行に係るリスクをトータルに認識・評価し適切なリスク対応を行うために「経営リスク管理規程」を定め、全社的なリスク管理体制を整備する。
ⅱ リスク管理の実効性を確保するため、担当取締役を委員長とするリスク管理委員会を設置する。リスク管理委員会はリスク管理の方針の決定、リスク管理に係るリスクの評価及びリスクの予防措置の検討を行うとともに、カテゴリーごとのリスクを体系的に管理するため、適宜カテゴリー別ワーキンググループを設置し、各カテゴリーに係るリスクの具体的対応策及び予防措置の検討を行い、カテゴリーごとのリスク管理体制を確立する。
ⅲ 不測の事態が発生した場合の手続を含む危機管理体制を整備し、迅速かつ適切な対応を行い、損害の拡大を防止し被害を最小限に止める。
ⅳ 監査役及び内部統制監査室は、各カテゴリーのリスク管理状況を監査し、その結果を取締役会に報告する。取締役会は定期的にリスク管理体制を見直し、問題点の把握と改善に努める。
(ニ)取締役の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制
ⅰ 取締役会を月1回開催するほか、必要に応じて臨時に開催する。また、事業部門を管掌する執行役員と取締役との連携を図り、取締役会の意思を効率的に各部門の業務遂行に反映させる。
ⅱ 各本部担当取締役は、経営計画に基づいた各本部が実施すべき具体的な施策及び効率的な業務遂行体制を決定するとともに、その遂行状況を取締役会において定期的に報告させ、効率的な業務遂行を阻害する要因の分析とその改善を図る。
なお、当事業年度において当社は取締役会を年17回開催しており、個々の取締役の出席状況については次のとおりであります。
氏 名開催回数出席回数
生駒 富男17回17回
竹下 淳司17回17回
赤川 琢志17回17回
阿野 孝17回17回
大澤 純子17回17回
鷹野 正明17回17回
大山 真未--

(注)社外取締役大山真未氏は、2024年6月27日開催の第48回定時株主総会で選任された新任取締役であるため、当事業年度における出席状況は記載しておりません。
取締役会における具体的な検討事項は、中期経営計画の進捗状況及び新中期経営計画の策定、コーポレート・ガバナンスの強化、サステナビリティへの取組み、コンプライアンス及びリスク管理を含めた内部統制システムの運用状況等であります。
(ホ)その他の当社並びにその子会社から成る企業集団における業務の適正を確保するための体制
ⅰ 当社子会社の所轄業務についてはその自主性を尊重しつつも、一定の事項については当社に報告を求めることにより、各子会社の経営管理を行う。
ⅱ 「関係会社管理規程」に基づき、当社子会社と一体となったコンプライアンスの推進を行うものとし、各子会社において当社に準拠したコンプライアンス規程を整備する。
ⅲ 当社及び当社子会社において、コンプライアンス体制、情報管理体制、リスク管理体制など各体制の統一を図り、情報の共有化を行う。
ⅳ 年2回、代表取締役から当社グループ全体の経営理念や経営方針を当社及び当社子会社の全取締役及び従業員に伝達することにより、企業活動の原点である法令遵守と社会倫理の遵守を徹底し、経営の効率化を確保する。
ⅴ 監査役と内部統制監査室は、定期又は随時にグループ管理体制や親子間取引等について監査を行い、その結果を取締役会に報告する。
ⅵ 当社子会社においても「社内通報保護規程」を適用する。
(へ)監査役がその職務を補助すべき使用人を置くことを求めた場合における当該使用人に関する事項
監査役がその職務を補助すべき使用人を置くことを求めた場合、取締役会は監査役と協議の上、監査役を補助すべき使用人(以下「監査役補助者」という)を指名することが出来る。
(ト)監査役補助者の取締役からの独立性に関する事項並びに当該使用人に対する指示の実効性の確保に関する事項
ⅰ 監査役補助者は、その指名されている期間中、専ら監査役の指揮命令に従い、取締役の指揮命令は受けないものとする。
ⅱ 監査役補助者は、その指名されている期間中、業務の執行に係る役職を兼務しないものとする。
(チ)取締役及び使用人が監査役に報告するための体制その他の監査役への報告に関する体制及びその他の監査役の監査が実効的に行われることを確保するための体制
ⅰ 当社及び当社子会社の取締役及び使用人は、当社グループに著しい損害を及ぼす恐れのある事項及び不正行為や重要な法令並びに定款に違反する行為を認知した場合のほか、重要な会議の決定事項、重要な会計方針・会計基準の変更、内部監査の実施状況、重要な月次報告、その他必要な重要事項を、法令及び「監査役会規則」並びに「監査役監査基準」等の社内規程に基づき監査役に報告するものとする。
ⅱ 監査役は重要な意思決定プロセスや業務の執行状況を把握するため、取締役会及びその他重要会議に出席するとともに、稟議書類等、業務執行に係る重要な文書を閲覧し、確認すべき事項があれば取締役及び従業員に説明を求めるものとする。
ⅲ 代表取締役は、監査役と相互の意思疎通を図るため定期的な会合をもつこととする。
ⅳ 監査役は独立性と権限により監査の実効性を確保するとともに、内部統制監査室、会計監査人及び各部門の責任者並びに各子会社の監査役と緊密な連携を保ちながら、自らの監査結果の達成を図る。
ⅴ 当社グループ全体に「社内通報保護規程」を適用するとともに、監査役による社内相談窓口を設け、全取締役及び従業員に周知徹底する。
ⅵ 監査役の職務執行に関して生じる費用については、監査役からの請求により所定の手続を経て会社が負担する。
ⅶ 監査役は、職務執行に必要な場合には、弁護士又は公認会計士等外部専門家と連携する。
(リ)業務の適正を確保するための体制の運用状況の概要
上記(イ)から(チ)の業務の適正を確保するための体制について、当社は、その整備及び運用状況について、監査役及び内部統制監査室がモニタリングにて継続的に確認するなど調査を実施しております。また、確認・調査の結果問題点や課題が判明した場合は、コンプライアンス委員会を通じて取締役会にその内容を報告しております。
なお、金融商品取引法に基づく「財務報告に係る内部統制の有効性の評価」についても内部統制監査室が各部門と連携して実施しております。
ロ 反社会的勢力排除に向けた基本的な考え方及びその整備状況
当社は、2008年12月17日開催の取締役会におきまして、「反社会的勢力排除に向けた基本的な考え方及びその整備」を決議いたしました。社会秩序や市民社会の安全に脅威を与える反社会的勢力に対しては、毅然たる態度で対処するとともに、このような団体、個人とは一切関係を持ちません。
当該団体、個人が接触してきた場合は、直ちに組織的な対応を図るとともに、不当、不法な要求には警察や関連団体等とも連携し、断固拒否する方針です。
また、不測の事態に備え、反社会的勢力の関連情報の入手や動向に注意を払うとともに、万一、反社会的勢力とは知らずに、何らかの関係を有した場合は、警察等の関係機関とも連携し、速やかに関係を解消いたします。
ハ 責任限定契約の内容の概要
当社は、会社法第427条第1項の規定により、社外取締役及び社外監査役との間で、会社法第423条第1項の損害賠償責任を法令の定める最低責任限度額まで限定する契約をしております。
ニ 取締役の定数
当社の取締役は8名以内とする旨定款に定めております。
ホ 取締役の選任の決議要件
当社は、取締役の選任決議について、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の過半数をもって行う旨定款に定めております。
へ 剰余金の配当等の決定機関
当社は、剰余金の配当等会社法第459条第1項各号に定める事項について、法令に別段の定めがある場合を除き、株主総会の決議によらず取締役会の決議により定める旨定款に定めております。これは、剰余金の配当等を取締役会の権限とすることにより、株主への機動的な利益還元を行うことを目的とするものであります。
ト 自己株式の取得の決定機関
当社は、会社法第165条第2項の定めにより、取締役会の決議によって市場取引等により自己株式を取得することができる旨定款に定めております。これは、機動的な自己株式の取得を可能にすることを目的とするものであります。
チ 株主総会の特別決議要件
当社は、会社法第309条第2項に定める株主総会の特別決議要件について、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の3分の2以上をもって行う旨定款に定めております。これは、株主総会における特別決議の定足数を緩和することにより、株主総会の円滑な運営を行うことを目的とするものであります。
リ その他
前項以外に弁護士、税理士等と顧問契約を締結し、必要に応じアドバイスを受けております。
ヌ 株式会社の支配に関する基本方針について
(イ)当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者としては、当社企業価値の源泉である当社の教育理念及び経営理念、多くのステークホルダーとの信頼関係を理解し、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を、中長期的に確保、向上させ得る者が望ましいと考えております。
もとより、当社取締役会は、当社が上場企業である以上、当社株式等の売買は、当社株主の皆様の判断においてなされるのが原則であり、当社株式等の大規模買付行為が行われる場合においても、その諾否は、最終的には株主の皆様の自由なご意思により判断されるべきものであると考えており、大規模買付行為を全て否定するものではありません。
しかしながら、当社株式等の大規模買付行為が行われる場合、その目的・手法等から見て会社に回復し難い損害をもたらすもの、株主に株式の売却を事実上強要するおそれがあるもの、株主が買付けの条件等について検討し、或いは当社取締役会が代替案を提示するための十分な時間や情報を提供しないもの、買付者の提示した条件よりも有利な条件をもたらすために買付者との交渉を必要とするもの等、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に資さない大規模買付行為が行われる可能性も否定できません。
当社は、当社株式等に対してこのような大規模買付行為を行う者は、例外的に当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として適切でないと考えております。
(ロ)当社の財産の有効活用、適切な企業集団の形成その他の基本方針の実現に資する取組み
Ⅰ.当社の教育理念・経営理念及び企業価値の源泉
ⅰ 教育理念
当社は、1976年(昭和51年)「学研塾」(学習塾・現第一ゼミナール)の創業以来、幼児から高校生までを対象に教科学習指導や進学受験指導、能力開発指導と、独自のメソッド「プラスサイクル学習法」で生徒の自他肯定感を高めて効果を引き出す学力指導を行う「学習塾事業」、広域通信制単位制高等学校の運営や中学生等を対象とするICTを活用した学校外での学習機会の提供、海外からの留学生を対象とした日本語教育サービスや日本語教師の育成を行う「高校・キャリア支援事業」を主たる事業として営み、さらに、小学生から社会人までを対象とした ICT 教育ソリューションの提供をワンストップで行う ICT 教育・能力開発事業、社員研修や営業研修の法人向けオンライン教育サービスの開発・販売を行う企業内研修ポータルサイト事業、通訳・翻訳及びスペシャリスト派遣等のランゲージサービス事業、英語教育や学童保育を通じて幼児期から世界で通用するコミュニケーション力を育む幼児・学童英語事業、健康・介護予防等の QOL サービスを提供するヘルスケア事業、“怒りが連鎖しない社会”の実現のため、自分の感情を良く理解し、適切に対処する心理トレーニング「アンガーマネジメント」を提供するアンガーマネジメントの講師育成・研修事業などを展開してまいりました。(なお、当社は、2023年4月1日より社内カンパニー制を導入しており、前述の事業名称は2023年3月期の報告セグメントに基づきます。)
こうした取組みの根底には、「1/1の教育」という当社独自の教育理念があります。当社は上記の事業全般において、一人ひとりが年齢や性別、能力等に応じて社会で活躍できる人(社会に貢献できる人)となれるように「育む」ことが重要と考えております。
このように、当社は、上記の教育理念のもとに、一貫して教育(人づくり)の分野で事業を展開してきたものであり、顧客と当社との間でこれまでの実績(生徒の希望進路実現や成績向上などの成果)に裏打ちされた強固な信頼関係を構築するのは勿論のこと、地域に根差し、地域とともに人を育む教育を実現してきたこと、また、ICT を活用した多様なサービス提供や、目まぐるしく変化する複雑な世界情勢、ダイバーシティを踏まえて求められるグローバル人材育成のためのサービス提供が、顧客からの一層の支持信頼の拡大に寄与してきております。これらの施策の結果として、他社との差別化が図られ、それぞれの分野で、また現状展開している地域での確固たる地位を築き、そのネットワークの拡大に努めてきております。
ⅱ 経営理念
当社は、「顧客への貢献」、「社員への貢献」、「社会への貢献」を経営理念としており、「“社会で活躍できる人づくり”を実現できる最高の教育機関をめざす」ことをコーポレートビジョンとして掲げております。
教育事業を行う企業として、その企業価値を高めるためには、顧客の満足度を高めることが重要であり、そのためには多様化する顧客のニーズに応え続け、「顧客への貢献」を実現することが必要です。そして、当社の教員(社員)の教える能力と育む能力が高くなければ、期待される教育成果が上がらず、結果として顧客の満足は得られません。そのため、当社社員の能力を高めることが必要不可欠であり、当社は社員の成長に貢献すること「社員への貢献」が必要となります。高い能力を有する社員は、顧客の満足度を高め、当社の業績の向上をもたらし、企業価値を高めることになります。
また、当社は、広域通信制単位制高等学校の運営を通じて公教育の一翼を担うという役割を果たしており、各地域において健全な公教育の運営の一翼を担っていくために、単に短期的な利益の実現を目指すのではなく、中長期的な経営の安定と社会的貢献の視野に立った経営を行うことが必要となります。そして、当社がかかる公共的使命を果たすことにより社会的認知度と顧客信頼度を高め、「社会への貢献」を実現していくことが、当社の企業価値の向上につながるものと考えます。
ⅲ 企業価値の源泉
顧客ニーズに対応した学力向上や上級学校への進学実績はもとより、「1/1の教育」という当社独自の教育理念に基づいて子供の将来を見据えた教育を行うことは、新たな教育市場を創出するとともに、他の教育事業者との差別化を図ることによって、当社の企業価値を高める要因となり得るものと考えております。
当社が、かかる教育理念に基づいて教育事業を展開し、「顧客への貢献」、「社員への貢献」を実現するとともに、公教育の一翼を担うものとして「社会への貢献」を実現することによって経営理念を実現することができれば、自ずとコーポレートビジョンが実現され、業績向上を通じて、企業価値ひいては株主共同の利益を確保・向上させていくことができるものと考えます。
また、当社及び当社連結子会社(以下「当社グループ」といいます。)が、持続的な成長を実現していくためには、1976年(昭和51年)の創業以来蓄積された専門知識・経験・ノウハウ、優秀な人材、役務提供能力(教え育む能力)並びに生徒・保護者及び地域社会その他のステークホルダーの皆様との間に築かれた適切な信頼関係を維持することが必要不可欠であり、さらに、これらを向上させるとともに、独自の教育プログラム及び教育やシステムの開発、新たな需要・市場の創造に積極的に挑戦していくことが必要です。かかる挑戦を担うのは、当社が培ってきた、また、今後も経営理念に基づいてその成長を促していく社員と経営陣によって構成される組織の力です。
このように、当社の企業価値は、こうした教育理念、経営理念、社員と経営陣の信頼関係に基礎をおく組織力、多くのステークホルダーの皆様との間の信頼関係、その他の有形無形の財産に源泉を有するものということができます。
Ⅱ.企業価値向上への中長期的な取組み
ⅰ 中長期的な事業展開と企業価値向上
a 中長期的な取組みの方向性
当社は、以上の経営理念、教育理念のもと、「“社会で活躍できる人づくり”を実現できる最高の教育機関をめざす」というコーポレートビジョンの具現化を継続して追究してきております。その取組みの基本スタンスは、理念の理解、共有に全社員で取組み、すべての業務に共通する行動規範並びに行動ベクトルを共有し、各地域での信頼獲得と生徒数拡大を目指していくというものです。
b 社内カンパニー制の推進
当社は、当社の理念、ビジョンを共有し、当社グループの支持拡大に向けて共に歩めるパートナーを得るため M&A・アライアンス戦略を推進し、サービスを拡充してまいりました。また、「全員参加経営」を軸に、各子会社の主体的な経営を尊重しながら、子会社への理念の浸透、グループ統制力の向上、管理コストの適正化を進め、業績拡大と収益力の向上を図ってまいりました。
当社グループを取り巻く環境が大きく変化する中、これらの動きを加速させるため、社内カンパニー制を導入し、高校・大学事業、学習塾事業、グローバル事業、能力開発・キャリア支援事業(Customer Success)を担うカンパニーをそれぞれ新設しました。「①グループ経営・ガバナンス強化」「②機動的な意思決定」「③ポートフォリオ経営を実現する体制の構築」をもって各事業の更なる発展とグループシナジーの一層の創出を目指してまいります。
c 各事業分野での具体的施策
当社は常に中長期的な視野を持って、「高校・大学事業」「学習塾事業」の収益基盤の充実・安定化を基に、支援領域を拡大させ、さらなる企業価値の向上を目指してまいります。また、今後の経営基盤をより一層強固なものとするため、グローバル事業の展開強化や、M&A・アライアンスの推進を合理的に検討し、競合優位性を確かなものとしてまいります。これらの施策を通して、高いレベルでの顧客の満足と社員の満足の両立と企業価値の向上を実現し、成果として得られた業績の向上による価値を株主・顧客・社員に対し還元していくことで、さらなる企業価値創造に結び付けてまいります。
(「高校・大学事業」部門)
高校・大学事業は通信制高校「第一学院高等学校」の運営による中学生・高校生への幅広い支援に加え、社会人を対象とした各種資格・スキル取得に向けたサービスを提供しております。また、提携関係にある学校法人柏専学院が運営する新潟産業大学 通信教育課程(ネットの大学 managara)との連携により、中等部から最大10年間の一貫した教育を展開する体制を確立しており、一人ひとりの状況や興味・関心に合わせた学びを体系的に提供しております。今後は、学習プロセスの変化や成長過程を可視化する“成長実感型教育”のさらなる推進を図るとともに、近年増加する中学不登校生への支援早期化や大学との連携強化により、一貫型教育を一層充実させてまいります。
(「学習塾事業」部門)
学習塾事業につきましては、近畿圏を中心に展開する「第一ゼミナール」をはじめ、幼児から高校生までを対象とする進学受験指導・教科学習指導などを行っております。「目標は志望校合格!目的は社会で活躍できる人づくり!!」を創業当初より掲げ、生徒の“前向きに学ぶ意欲”を引き出すことを重視しており、最新の脳科学に基づいた独自の教育プログラム(プラスサイクル学習法)を展開しております。独自の自立型・個別最適化学習 PLS(Positive Learning System)では、最新の ICT を活用し効率的に学び、課題を明確にすることで、生徒自身で主体的に考える習慣を身につけることを重視してまいりました。
今後は、グループ子会社含めた、関西を中心とするドミナント戦略の強化や、オンラインと対面による個別最適化学習・プラスサイクル学習法のさらなる深化を目指してまいります。
(「グローバル事業」部門)
グローバル事業では、留学生や日本で働く外国人への日本語教育、日本語教師の養成、通訳・翻訳業務や高い語学力を持つ人材派遣、外国人の採用から就労・生活支援等のサービスを一体となって行っております。企業の海外進出や留学生の増加、インバウンドの推進など世界のニーズを見据え、グローバル社会で活躍できる人や企業づくりのために、語学力や国際感覚の育成、人材育成や適材適所な人材登用を通じて、人や企業のグローバルコミュニケーションを共に実現しております。今後は、ASEAN を中心とした海外パートナーとの連携を強め、日本語教育・人材紹介・登録支援機関によるワンストップスキームを確立し、東南アジアにおける就労支援プラットフォームの構築を目指してまいります。
(「能力開発・キャリア支援事業」部門)
能力開発・キャリア支援事業では、グループを横断するマーケティング機能も担っており、カンパニー内にとどまらない学びの環境づくりをサポートするなど、教育の質の向上を目指して情報通信技術(ICT)の活用を推進しております。小学生から社会人までを対象とした ICT 教育ソリューションの提供、社員研修や営業研修の法人向けオンライン教育サービス、アンガーマネジメントの講師育成・企業研修等、年齢・職業を問わず、品質の高い講座を提供しております。今後は、グループ各社の販路を活用したコンテンツの対象領域の拡充、幼少期から社会人・シニア層まで、人の一生涯の学びに寄り添えるサービスの拡充を目指してまいります。
(その他)
その他においては、介護予防、就労移行支援、プログラミング教室の運営・教材開発、広告等のサービスを提供しております。日常生活の機能向上、維持を目的としたシニアの介護予防につながるデイサービスの展開や、就労を希望する障害を持つ方々への訓練・就職支援・就職後サポートなどを行い、教育・人材育成を幅広い視点で取り組んでおります。「教育は人の幸せに寄与すべき」を第一義として、多彩な事業を展開するグループ会社とのシナジー効果を最大限に発揮し、顧客への一層のサービス力向上を目指してまいります。
d 当社事業モデルの社会的価値について
上記のような具体的な施策は、すべて社会で活躍できる(社会に貢献できる)人づくりという観点から策定されたものであります。当業界を取り巻く環境としましては、少子高齢化が進み、人生100年時代とも言われる長寿社会を迎える中、労働人口の減少に伴って、外国人・シニア・女性の活躍が重要視され、リスキリングやリカレントなど生涯に亘る教育や学び直しの機会提供の必要性が増してきております。また、国内経済は新型コロナウイルス感染症の影響や原材料高騰による物価上昇や円安に直面するなど、将来への不安感も依然として大きい状況にあります。そのような中、今と未来を見据え顧客にさまざまな選択肢を用意し、幅広い分野で活躍できる人材を育成する当社の事業モデルは社会的見地からも社会性・公共性を含んだ、意義の大きいものと言えます。また、過渡期にあるわが国のキャリア教育において公教育を補うことはもとより、さらに将来に向けて夢を持ち続ける子供たちの支援活動という意味でも、極めて公共性の高い事業でもあります。
ⅱ コーポレートガバナンスの充実、コンプライアンスの徹底
当社は、コーポレートガバナンスの充実及びコンプライアンスの徹底を当社グループ全体の経営の軸として、株主及びステークホルダーの皆様の信頼と期待に応え、当社の企業価値の向上に努めております。
当社はコーポレートガバナンス充実策の一環として、企業の事業経営、事業戦略に関する豊富な経験がある社外取締役3名と弁護士、公認会計士という立場での、企業の経営管理のあり方に高い見識を有する社外監査役2名を選任しております。また、取締役会の機能を経営の基本方針、経営に関する重要事項の意思決定機関、取締役の職務執行の監督機関と明確に位置づけております。さらに、取締役の職務執行を補完し、より事業運営を円滑に進めるために執行役員制度を設け、執行役員が取締役と連携し、企業価値向上を目指し業績確保・業務改革・顧客満足度向上実現やIR拡充などの主要経営管理機能の充実にスポットを当て、業務執行に反映させております。
また、当社はコンプライアンスの徹底策として、2006年5月19日に内部統制システム構築の基本方針を定め、コンプライアンス委員会の設置、コンプライアンス基本規程・経営リスク管理規程・社内通報保護規程の制定を行った上で、当社グループのコンプライアンスの推進に取り組んでおり、今後も継続してコンプライアンスの徹底に努めてまいります。
コーポレートガバナンスに関する詳細は、以下の当社ホームページに掲載しております。
(https://www.with-us.co.jp/irinfo/governance)
以上、これらの中長期的な取組みは、当社グループの企業価値を向上させるものであり、またコーポレートガバナンスの充実・コンプライアンスの徹底に向けての取組みは単年度ごとの事業計画を推進し企業価値向上を図る上での基盤となるものと考えております。従って、かかる取組みは上記基本方針に沿うものと考えます。
(ハ)基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み
当社は、2023年6月28日開催の当社定時株主総会にて株主の皆様のご承認をいただき、「当社株式等の大規模買付行為に関する対応策」(以下「現対応策」といいます。)を継続いたしました。
これを受けて、当社は、当社を取り巻く事業環境や情勢の変化等を踏まえ、基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み(会社法施行規則第 118 条第3号ロ(2))として、「当社株式等の大規模買付行為に関する対応策」(以下「本対応策」といいます。)を3年間更新することを、2023年5月12日開催の当社取締役会で決議し、第47期定時株主総会で株主の皆様の承認を得ました。
Ⅰ.本対応策更新の目的
本対応策は、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を毀損することを防止するための取組みとして更新されるものです。
上記のとおり、当社グループが、経営理念(上記(ロ)Ⅰ.ⅱをご参照下さい。)を実現させるとともに、企業価値を向上させるためには、専門知識・経験・ノウハウ、優秀な人材、役務提供能力(教え育む能力)、生徒・保護者及び地域社会その他のステークホルダーの皆様との間に築かれた適切な信頼関係を維持すること、これらを向上させるとともに、独自の教育プログラム及び教育やシステムの開発、新たな需要・市場の創造を行うことが必要不可欠です。これらが、当社株式等の大規模買付行為を行う者により中長期的に確保され、向上させられるのでなければ、当社の企業価値ひいては株主共同の利益は毀損されることになります。
また、当社は広域通信制単位制高等学校の運営を通じて公教育の一翼を担うという公共的役割を果たしており、当社株式等の大規模買付行為を行う者が公共的使命についての認識を共有しないとすれば、当社グループの社会的信頼を損ね、当社の企業価値を毀損する結果につながる可能性もあります。
さらに、外部者である買付者からの当社株式等の大規模買付行為の提案を受けた際には、当社の有形無形の経営資源、将来を見据えた施策の潜在的効果、その他当社の企業価値を構成する事項等を、株主の皆様が適切に把握し、当該買付者による当社株式等の大規模買付行為が当社の企業価値ひいては株主共同の利益に及ぼす影響を判断していただく必要があります。
以上より、当社取締役会は、当社株式等の大規模買付行為が一定の合理的なルールに従って行われることが、株主の皆様が大規模買付行為に応じるか否かを判断するために必要な情報や現に当社の経営を担っている取締役会の意見等の提供を受けること、また、代替案の提示を受ける機会の確保につながり、これにより株主の皆様が十分な情報のもとで大規模買付行為に応じるか否かについて適切な判断をすることが可能となり、もって当社の企業価値ひいては株主共同の利益を維持・向上させ、これらを毀損することを防止するものと考えております。
なお、当社の株主構成において、当社創業者及びその関係会社と関係者(以下「当社創業者関係者ら」といいます。)の当社株式の保有割合は、現在、合計で20.00%でありますが、その保有割合が50%を下回っていることに鑑みますと、今後、当社株式に対して企業価値及び株主共同の利益を毀損するような大量買付行為が行われる可能性は十分に有り得るものと認められ、また、当社創業者関係者らの保有割合も譲渡又は相続等各々の事情に基づき減少していく可能性も否定できません。
以上の次第で、大規模買付行為がなされる場合における情報提供等に関する一定のルール(以下「大規模買付ルール」といいます。)を設定するとともに、上記の基本方針に照らして不適切な者によって大規模買付行為がなされる場合には、それらの者によって当社の財務及び事業の決定が支配されることを防止するための取組みとして対抗措置を含めた本対応策を更新することといたしました。
Ⅱ.本対応策の対象となる当社株式等の買付行為
本対応策の対象となる当社株式等の大規模買付行為とは、特定株主グループ(注1)の議決権割合(注2)を20%以上とすることを目的とする当社株式等(注3)の買付行為、又は結果として特定株主グループの議決権割合が20%以上となる当社株式等の買付行為(いずれについてもあらかじめ当社取締役会が同意したものを除きます。また市場取引、公開買付け等の具体的な買付方法の如何を問いません。以下、このような買付行為を「大規模買付行為」といい、大規模買付行為を行おうとする者を「大規模買付者」といいます。)とします。
注1.特定株主グループとは、①当社の株式等(金融商品取引法第27条の23第1項に規定する株券等をいいます。)の保有者(同法第27条の23第1項に規定する保有者をいい、同条第3項に基づき保有者とみなされる者を含みます。以下同じとします。)及びその共同保有者(同法第27条の23第5項に規定する共同保有者をいい、同条第6項に基づき共同保有者とみなされる者を含みます。以下同じとします。)又は②当社の株式等(同法第27条の2第1項に規定する株券等をいいます。)の買付け等(同法第27条の2第1項に規定する買付け等をいい、取引所金融商品市場において行われるものを含みます。)を行う者及びその特別関係者(同法第27条の2第7項に規定する特別関係者をいいます。)を意味します。
注2.議決権割合とは、①特定株主グループが、注1の①記載の場合は、当該保有者の株式等保有割合(金融商品取引法第27条の23第4項に規定する株券等保有割合をいいます。この場合においては、当該保有者の共同保有者の保有株式等の数(同項に規定する保有株券等の数をいいます。)も加算するものとします。)又は②特定株主グループが、注1の②記載の場合は、当該大規模買付者及び当該特別関係者の株券等所有割合(同法第27条の2第8項に規定する株券等所有割合をいいます。)の合計をいいます。株式等保有割合又は株券等所有割合の算出に当たっては、総議決権の数(同法第27条の2第8項に規定するものをいいます。)及び発行済株式の総数(同法第27条の23第4項に規定するものをいいます。)は、有価証券報告書、四半期報告書及び自己株券買付状況報告書並びにその他金融商品取引法に基づき当社が提出し、公衆の縦覧に供される書類のうち直近に提出されたものを参照することができるものとします。
注3.金融商品取引法第27条の23第1項に規定する株券等を意味します。以下、特に断りがない限り同じとします。
Ⅲ.大規模買付ルールの概要
本対応策における大規模買付ルールとは、①事前に大規模買付者が当社取締役会に対して必要かつ十分な情報を提供し、②当社取締役会による一定の評価期間が経過した後、又は株主意思確認総会(下記Ⅳ.ⅰにて定義いたします。以下同じ。)を開催する場合にあっては当該株主意思確認総会終了後に、当社取締役会において対抗措置の発動又は不発動の決議がなされるまでは大規模買付行為を開始することができない、というものであり、その具体的内容は以下のとおりです。
ⅰ 意向表明書の提出
大規模買付者が大規模買付行為を行おうとする場合には、まず当社取締役会宛に、大規模買付ルールに従う旨の誓約文言及び以下の内容等を記載した意向表明書を、日本語にてご提出いただきます。なお、誓約文言については、当社取締役会と独立委員会(本対応策の適正な運用及び本対応策に関する当社取締役会の恣意的な判断を排除し、その決定の客観性・合理性を確保するために設置される会議体であり、業務執行を行う経営陣から独立している社外取締役、社外監査役、又は社外有識者のいずれかに該当する者により構成され、大規模買付者が大規模買付ルールを遵守したか否か、対抗措置の発動の是非等について、当社取締役会の諮問に対して勧告を行います。詳細は下記Ⅴ.ⅰをご参照下さい。以下同じ。)が妥当と認める文言とします。
① 大規模買付者の名称及び住所
② 設立準拠法
③ 代表者の氏名
④ 国内連絡先
⑤ 提案する大規模買付行為の概要
ⅱ 大規模買付情報の提供
当社取締役会は、上記ⅰに記載の意向表明書受領後、10営業日以内に株主及び投資家の皆様の判断並びに取締役会としての意見形成のために必要かつ十分と考える情報(以下「大規模買付情報」といいます。)のリストを大規模買付者に対して交付いたしますので、大規模買付者には、リストに従って十分な情報を日本語で当社に提供していただきます。当初提供していただいた情報を精査した結果、それだけでは不足していると考えられる場合には、当社取締役会は大規模買付者に対して十分な大規模買付情報が揃うまで追加的に情報提供を求めます。大規模買付情報の具体的内容は大規模買付者の属性及び大規模買付行為の内容によって異なりますが、一般的な項目は以下のとおりです。
a 大規模買付者及びそのグループ(共同保有者、特別関係者、主要な株主又は出資者、並びに重要な子会社及び関連会社を含み、大規模買付者がファンド又はその出資に係る事業体である場合は主要な組合員、出資者(直接又は間接を問いません。)その他の構成員、業務執行組合員及び投資に関する助言を継続的に行っている者を含みます。)の詳細(具体的名称、資本構成、出資割合、財務内容、事業内容、役員等の氏名及び略歴、並びに当社グループの事業と同種の事業についての経験等に関する情報を含みます。)
b 大規模買付行為の目的、方法及び内容(大規模買付行為の対価の価額・種類、大規模買付行為の時期、関連する取引の仕組み、大規模買付行為の方法の適法性、大規模買付行為の実現の可能性、大規模買付行為完了後に当社株式等が上場廃止となる見込みがある場合にはその旨及びその理由を含みます。なお、大規模買付行為の方法の適法性については資格を有する弁護士による意見書を併せて提出していただく場合があります。)
c 大規模買付行為に係る買付けその他の取得の対価の算定根拠等(算定の前提となる事実及び仮定、算定方法、算定に用いた数値情報及び大規模買付行為に係る一連の取引により生じることが予想されるシナジー効果の内容(そのうち他の株主に対して分配されるシナジーの内容を含みます。)及びその算定根拠等を含みます。)
d 大規模買付行為に係る買付けその他の取得の資金の裏付け(当該資金の提供者(実質的提供者を含みます。)の具体的名称、調達方法、担保の内容、資金提供が実行されるための条件の有無、資金提供後の誓約事項並びに内容並びに関連する取引の内容を含みます。)
e 大規模買付行為完了後に意図している当社グループの経営方針、事業計画、財務計画、資金計画、投資計画、資本政策及び配当政策等(大規模買付行為完了後における当社グループの資産の売却、担保提供その他の処分に関する計画・予定を含みます。)
f 大規模買付行為完了後における当社グループの従業員、取引先、顧客その他の当社グループに係るステークホルダーの処遇方針
g その他当社取締役会及び独立委員会が合理的に必要と判断する情報
大規模買付情報のリストの交付後、大規模買付者には、当社取締役会に対して適宜当社取締役会が要求した追加の大規模買付情報を提供していただき、当社取締役会から大規模買付者に対して大規模買付情報のリストが交付されてから60日以内に大規模買付情報の提供を完了していただくこととします(以下「大規模買付情報提供期間」といいます。)。もっとも、大規模買付情報の具体的な内容は大規模買付行為の内容及び規模によって異なることもありうるため、当社取締役会は、大規模買付行為の内容及び規模並びに大規模買付情報の具体的な提供状況を考慮して、大規模買付情報提供期間を延長することができるものとします(ただし、延長の期間は上限を30日間とします。)。他方、当社取締役会は、大規模買付情報提供期間満了前であっても大規模買付情報の提供が完了した場合には、直ちに大規模情報提供期間を終了し、取締役会評価期間を開始するものとします。大規模買付者から提供された大規模買付情報が十分か否か、当社取締役会が要求した大規模買付情報の内容・範囲が妥当か否か、大規模買付情報の提供が完了したと判断できるか否か、及び大規模買付情報提供期間を延長するか否かについては、当社取締役会が独立委員会の勧告等(下記Ⅴ.ⅱに定義いたします。以下同じ。)を最大限尊重した上で決定いたします。
当社取締役会は、大規模買付行為の提案があった事実等を、法令及び当社が上場する金融商品取引所の規則等に従って適時適切に開示いたします。また、当社取締役会に提供された大規模買付情報につき、当社取締役会が株主及び投資家の皆様の判断のために必要であると認めた場合には、その全部又は一部を公表することといたします。
また、当社取締役会は、大規模買付者による大規模買付情報の提供が十分になされたと認めた場合又は大規模買付情報提供期間が満了した場合には、その旨を大規模買付者に通知(以下「大規模買付情報提供完了通知」といいます。)するとともに、速やかにその旨を開示いたします。
ⅲ 当社取締役会における評価・検討、意見の開示
当社取締役会は、大規模買付行為の評価等の難易度に応じ、大規模買付情報提供完了通知を行った後、その翌日を起算日として、最大60日間(対価を現金(円貨)のみとする公開買付けによる当社全株式の買付けの場合)又は最大90日間(その他の大規模買付行為の場合)を当社取締役会による大規模買付行為の評価、検討、交渉、意見形成、代替案立案のための期間(以下「取締役会評価期間」といいます。)とします。大規模買付行為は、取締役会評価期間の経過後、又は下記Ⅳ.ⅲにより株主意思確認総会を開催する場合には株主意思確認総会終了後、当社取締役会において対抗措置の発動又は不発動の決議がなされた後にのみ開始されるものとします。当社取締役会は、取締役会評価期間の開始時及び終了時には、それぞれ法令及び当社が上場する金融商品取引所の規則等に従って適時適切に開示いたします。
取締役会評価期間中、当社取締役会は、独立委員会に対抗措置発動の是非、株主意思確認総会の要否その他当該大規模買付行為に関連する事項について諮問し、また、弁護士、公認会計士、フィナンシャル・アドバイザー等の外部専門家(以下「外部専門家」といいます。)の助言を受けながら、当該大規模買付行為が当社株主の共同の利益を向上させるものか否かという観点から、提供された大規模買付情報を真摯に評価・検討し、独立委員会からの勧告を最大限尊重した上で、当社取締役会としての意見を慎重にとりまとめ、開示いたします。また、大規模買付行為に関する条件の改善により当該大規模買付行為が当社株主の共同の利益に資するものとなる可能性がある場合には、大規模買付者との間で大規模買付行為に関する条件改善について真摯に交渉し、当社取締役会として株主の皆様への代替案を提示することもあります。
なお、独立委員会が取締役会評価期間内に勧告をなすに至らない場合、又は当社取締役会が、取締役会評価期間内に大規模買付行為に対する当社取締役会の意見を形成し、下記Ⅳ.に記載の当社取締役会の決定による対抗措置を講じるか否か、又は、株主意思確認総会を招集するか否かの判断を行うに至らない場合(取締役会決議による対抗措置を講じないとの判断に至った場合でも、株主意思確認総会を招集するか否かの判断を行うに至らない場合を含みます。)、当社取締役会は、独立委員会に諮問の上、必要な範囲内で取締役会評価期間を延長することができるものとします(ただし、延長の期間は上限を30日間とします。)。この場合、当社取締役会は、取締役会評価期間の延長を必要とする理由、延長期間、その他当社取締役会又は独立委員会が適切と認める事項について、速やかに開示いたします。
Ⅳ.大規模買付行為がなされた場合の対応
ⅰ 大規模買付者が大規模買付ルールを遵守しない場合
大規模買付者が大規模買付ルールを遵守しない場合には、具体的な買付方法の如何にかかわらず、当社取締役会は、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の毀損を防止することを目的として、対抗措置を講じ、大規模買付行為に対抗する場合があります。対抗措置は、新株予約権無償割当てとします。
大規模買付者が大規模買付ルールを遵守しているか否かの認定、及び対抗措置発動の適否については、外部専門家の助言を参考にし、かつ、当社取締役会の諮問による独立委員会の勧告等を最大限尊重した上で、当社取締役会が決定します。
なお、大規模買付者により、大規模買付ルールが遵守されなかった場合でも、当社取締役会は、下記ⅱb.に定める要領(ただし、かかる場合、下記ⅱbに記載する独立委員会に対する諮問を行わないこともできるものとします。)に従って当社株主総会(以下「株主意思確認総会」といいます。)を開催し、対抗措置を発動することの是非について株主の皆様にご判断いただくこともできるものとします。
ⅱ 大規模買付者が大規模買付ルールを遵守した場合
a 原則
大規模買付者が大規模買付ルールを遵守した場合、原則として当該大規模買付行為に対する対抗措置は講じません。この場合、大規模買付行為に応じるか否かは、株主の皆様において、大規模買付者又は当社取締役会が提示する意見や代替案等をご検討のうえ、ご判断いただくことになります。ただし、下記b又はcに該当する場合を除くものとします。
b 取締役会による対抗措置発動の場合
大規模買付ルールが遵守されている場合であっても、外部専門家の助言を参考にし、かつ、当社取締役会の諮問による独立委員会の勧告等を最大限尊重した上で、当社取締役会が、当該大規模買付行為が当社に回復し難い損害をもたらすなど、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を著しく損なうものであり、かつ対抗措置の発動が相当と判断した場合には、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を守るため、当社取締役会の決定により、対抗措置を講じることがあります。具体的には、以下のいずれかの類型に該当すると判断された場合には、当該大規模買付行為は原則として当社の企業価値ひいては株主共同の利益を著しく損なうと認められる場合に該当するものと考えます。この場合、当社取締役会は、当該決定について、法令及び当社が上場する金融商品取引所の規則等に従って適時適切に開示いたします。
なお、当社取締役会が、大規模買付者による当該大規模買付行為が当社に回復し難い損害をもたらすなど、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を著しく損なうと判断した場合でも、当社取締役会は、下記ⅲbに定める要領に従って株主意思確認総会を開催し、対抗措置を発動することの是非について株主の皆様にご判断いただくこともできるものとします。
① 真に当社の経営に参画する意思がないにもかかわらず、ただ株価をつり上げて高値で当社の株式等を当社及び当社関係者に引き取らせる目的で当社の株式等の取得を行っている又は行おうとしている者(いわゆるグリーンメイラー)である場合
② 当社の経営を一時的に支配して、当社の事業活動に必要な資産、知的財産権、ノウハウ、顧客及びその他の営業秘密等を大規模買付者及びそのグループ会社等に廉価で移譲させる等、いわゆる焦土化経営を行う目的で、当社の株式等の取得を行っている又は行おうとしている者である場合
③ 当社の経営を支配した後に、当社の資産を大規模買付者やそのグループ会社等の債務の担保や弁済原資として流用する目的で、当社の株式等の取得を行っている又は行おうとしている者である場合
④ 当社の経営を一時的に支配して、当社又は当社のグループ会社の事業に当面関係していない不動産、有価証券など高額資産等を売却等処分させ、その処分利益をもって、一時的な高配当をさせるか、或いは一時的高配当による株価の急上昇の機会を狙って株式等の高値売り抜けをする目的で、当社の株式等の取得を行っている又は行おうとしている者である場合
⑤ 大規模買付行為における当社株式の買付方法が、いわゆる強圧的二段階買収(最初の買付けで当社の株式等の全部の買付けを勧誘することなく、二段階目の買収条件を不利に設定し、或いは明確にしないで公開買付け等の株式等の買付けを行うことをいいます。)など、株主の皆様の判断の機会又は自由を制約し、株主の皆様に株式の売却を事実上強要するおそれがあると判断される場合
⑥ 大規模買付者による支配権取得により、当社の企業価値の維持向上のため不可欠な生徒を始めとする顧客、取引先、従業員、地域社会等との信頼関係が害され、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の著しい毀損が予想され、企業価値の維持及び向上を著しく妨げるおそれがあると合理的な根拠をもって判断される場合
⑦ 大規模買付者の経営者又は主要株主に反社会的勢力と関係を有する者が含まれている場合等、公序良俗の観点から大規模買付者が当社の支配権を取得することが不適切であると合理的な根拠をもって判断される場合
c 株主意思確認総会による意思確認
大規模買付ルールが遵守されている場合であっても、当社取締役会が、(ⅰ)上記bの①ないし⑦に該当するおそれがあり、当該大規模買付行為が当社の企業価値ひいては株主共同の利益を損なうおそれがあると判断した場合、(ⅱ)大規模買付行為における株式等の買付条件(買付対価の価額、種類、内容、時期、方法、違法性の有無、実現可能性を含むがこれに限られない。)が当社の企業価値に照らして不十分又は不適切であると判断した場合、(ⅲ)その他対抗措置の発動につき株主の皆様のご意思を確認するのが相当であると判断した場合には、下記ⅲbに定める要領に従って株主意思確認総会を開催し、対抗措置を発動すべきか否かについて、株主の皆様にご判断いただくことができるものとします。ただし、株主意思確認総会の招集に先立って、独立委員会現任委員の全員の一致によって、当該株主意思確認総会を招集する必要がない旨の勧告がなされた場合には、当社取締役会は取締役としての善管注意義務に反する特段の事情がない限り、当該勧告に従うものとします。なお、当社取締役会が大規模買付者の提案が株主共同の利益を向上させる提案であると判断した場合には、株主意思確認総会で株主の意思を問うまでもなく直ちに対抗措置の不発動を決議するものとします。
ⅲ 対抗措置を講じる場合の手続
a 上記Ⅳ.ⅰに記載のとおり当社取締役会の決定により対抗措置を講じる場合、並びに上記Ⅳ.ⅱ bに記載のとおり当社取締役会の決定により対抗措置を講じる場合には、対抗措置を講じるに先立ち、当社取締役会は対抗措置の発動の是非について、独立委員会に諮問を行います。独立委員会は、当該大規模買付行為について、中立的な立場から慎重に評価・検討し、当社取締役会に対して勧告等を行うものとします。これを受けて、当社取締役会は、独立委員会の勧告等を最大限尊重した上で、対抗措置を発動するか否かについて、取締役会評価期間内に速やかに決定するものとします。当社取締役会は、当該決定の概要その他当社取締役会が必要と判断する事項について、速やかに公表いたします。
なお、独立委員会は、上記の勧告等を行うに際し、対抗措置を発動すべきか否かについて株主意思確認総会を招集すべきである旨の勧告を行うことができるものとします(以下「株主意思確認総会招集勧告」といいます。)。独立委員会から株主意思確認総会招集勧告があった場合には、当社取締役会は取締役としての善管注意義務に反する特段の事情がない限り、Ⅳ.ⅲ bに定める要領に従って株主意思確認総会を開催し、対抗措置を発動すべきか否かについて、株主の皆様にご判断いただくものとします。
b 上記Ⅳ.ⅱ c又は上記Ⅳ.ⅰなお書きあるいは上記Ⅳ.ⅱ bなお書きに記載のとおり株主意思確認総会を開催する場合には、当社取締役会は、株主意思確認総会を招集するに先立ち、当該株主意思確認総会開催の是非について、独立委員会に諮問を行います。独立委員会は、当該諮問事項について、当該大規模買付行為について、中立的な立場から慎重に評価・検討し、独立委員会現任委員の全員が当該株主意思確認総会の開催を不要と判断したときは、当社取締役会に対して株主意思確認総会の開催を不要とする旨の勧告(以下「株主意思確認総会不要勧告」といいます。)を行うものとします。
ただし、独立委員会は、一旦株主意思確認総会不要勧告をした後も、当該勧告の前提となった事実関係等に変動が生じた場合には、当該勧告を撤回して、再度異なる勧告をすることができるものとします。
株主意思確認総会不要勧告がなされた場合には、当社取締役会は取締役としての善管注意義務に反する特段の事情がない限り、当該勧告に従って、株主意思確認総会の決議に基づく対抗措置を発動しない旨の決議を行うものとします。
この場合、当社取締役会は、当該決定について、法令及び当社が上場する金融商品取引所の規則等に従って適時適切に開示いたします。
株主意思確認総会不要勧告がなされなかった場合(株主意思確認総会を開催すべき旨の勧告がなされた場合を含みます。)には、当社取締役会は以下の要領に従って、株主意思確認総会を開催するものとします。
① 当社取締役会は、株主意思確認総会において議決権を行使できる株主を確定するために基準日(以下「本基準日」といいます。)を定め、本基準日の2週間前までに当社定款に定める方法により公告します。
② 株主意思確認総会において議決権を行使できる株主は、本基準日の最終の株主名簿に記録された株主とします。
③ 株主意思確認総会の決議は、出席した議決権を行使できる株主の議決権の過半数によって決するものとします。
④ 当社取締役会は、株主意思確認総会において発動の是非を御判断いただくべき対抗措置の内容を、事前に決定の上、公表します。
⑤ 大規模買付者は、株主意思確認総会が終結し、当社取締役会において対抗措置の発動又は不発動の決議がなされるまでは当社株式等の買付を開始してはならないものとします。なお、大規模買付者が当社取締役会決議時までに当社株式等の買付を開始した場合には、当社取締役会は、上記Ⅳ.ⅰの定めに従い、対抗措置を発動することができるものとします。
⑥ 株主意思確認総会の結果はその決議後速やかに開示するものといたします。対抗措置の発動が承認された場合には、当社取締役会は株主意思確認総会の決議に従って、遅滞なく対抗措置の発動を決定するものといたします。
c 対抗措置としての新株予約権無償割当ての概要は2023年5月12日発表の「当社株式等の大規模買付行為に関する対応策(買収防衛策)の更新について」の別紙3に記載のとおりですが、実際に新株予約権無償割当てをする場合には、当社取締役会は、議決権割合が一定割合以上の特定株主グループに属さないことを新株予約権の行使条件としたり、当該行使条件のため新株予約権の行使が認められない者以外の者が有する新株予約権を当社が取得し、新株予約権1個につき当社取締役会が別途定める数の当社普通株式を交付することができる旨の取得条項を定めるなど、対抗措置としての効果を勘案した行使期間、行使条件等を設けることがあります。
Ⅴ.対抗措置の合理性及び公正性を担保するための制度及び手続
ⅰ 独立委員会の設置
本対応策の適正な運用及び本対応策に関する当社取締役会の恣意的な判断を排除し、その決定の客観性・合理性を確保するため、当社は、独立委員会規程を定め、独立委員会を設置しております。
独立委員会の委員は3名以上とし、その職務内容に照らし公正・中立な判断が求められることから、当社の業務執行を行う経営陣から独立している社外取締役、社外監査役、又は社外有識者のいずれかに該当する者の中から選任することといたします。本対応策更新時における独立委員会の委員には、2023年5月12日発表の「当社株式等の大規模買付行為に関する対応策(買収防衛策)の更新について」の別紙5に記載の3氏が就任する予定となっております。
また、独立委員会の委員に異動が生じた場合には、当社取締役会は、その旨を速やかに開示いたします。
ⅱ 独立委員会の勧告等の最大限の尊重
当社取締役会は、大規模買付者が大規模買付ルールを遵守しているか、大規模買付ルールが遵守されている場合でも当該大規模買付行為が当社に回復し難い損害をもたらし当社の企業価値ひいては株主共同の利益を著しく損なうものであるか、また、対抗措置の発動の是非、一旦発動した対抗措置の停止の是非等本対応策にかかる重要な事項及びその他本対応策にかかる事項(以下「諮問事項等」といいます。)について、当社取締役会の判断の合理性・公正性を担保するために、大規模買付者が出現した場合において、当社取締役会は諮問事項等について、独立委員会に諮問又は照会を行います。独立委員会は、諮問事項等について、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の毀損防止の観点から、当該大規模買付行為について、中立的な立場で慎重に評価・検討の上で、当社取締役会に対し勧告又は意見(以下「勧告等」といいます。)を行います。なお、当社取締役会は、対抗措置の発動の是非を含む独立委員会に対する諮問事項等につき最終的な決定を行うにあたっては、独立委員会の勧告等を最大限尊重いたします。独立委員会の勧告内容については、その概要を適宜公表することとします。
また、株主意思確認総会を開催する場合には、対抗措置発動の是非について株主の皆様のご意思を直接確認することになります。
ⅲ 対抗措置発動の停止等
当社取締役会が対抗措置を発動することを決定した後であっても、当該大規模買付者が大規模買付行為もしくはその提案の撤回又は変更を行った場合など対抗措置の発動が適切でないと当社取締役会が判断した場合には、当社取締役会は、独立委員会の勧告等を十分に尊重した上で、対抗措置の発動の停止又は変更等を行うことがあります。例えば、対抗措置として新株予約権無償割当てを実施する場合において、権利の割当てを受けるべき株主が確定した後に、大規模買付者が大規模買付行為もしくはその提案の撤回又は変更を行うなど対抗措置の発動が適切でないと当社取締役会が判断した場合には、効力発生日までの間は、独立委員会の勧告等を受けた上で、新株予約権無償割当てを中止することとし、また、新株予約権無償割当ての効力発生日後においては、独立委員会の勧告等を受けた上で、当該新株予約権を無償取得(当社が新株予約権を無償で取得することにより、株主の皆様は新株予約権を失います。)することにより、対抗措置発動の停止を行うことができるものとします。
反対に、大規模買付行為又はその提案に対して、当社取締役会が対抗措置の発動をしないことを決定した後に、当該大規模買付行為が当社の企業価値ひいては株主共同の利益を著しく損なうものであり、かつ対抗措置の発動が相当と判断される状況となった場合には、当社取締役会は独立委員会に対して改めて当該大規模買付行為に関する勧告等を求め、独立委員会の再勧告等を最大限尊重したうえで、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の毀損を防止することを目的として、当該大規模買付行為に対する対抗措置を発動することがあります。
このような対抗措置発動の停止等を行う場合は、当社取締役会又は独立委員会が適切と認める事項とともに、速やかに開示いたします。
Ⅵ.本対応策の更新手続き、有効期間、廃止及び変更
本対応策の更新について本定時株主総会において出席株主の皆様の議決権の過半数のご賛同をいただけました場合、本対応策の有効期間は、本定時株主総会終結の時から3年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会終結の時までとし、以降、本対応策の更新については当社の定時株主総会の承認を経ることとします。
本対応策は、①株主総会において本対応策を廃止する旨の決議が行われた場合、又は②当社の株主総会で選任された取締役で構成される取締役会により本対応策を廃止する旨の決議が行われた場合には、その時点で廃止されるものとします。
また、法令・金融商品取引所規則の改正・解釈の変更や司法判断の動向を踏まえ、必要に応じて本対応策に変更する必要が生じることがあり得ます。原則として、株主総会において改めて出席株主の皆様の議決権の過半数のご賛同をいただいた上で、変更するものといたしますが、本対応策の内容及びその趣旨を変えず、かつ、当社株主に不利益を与えないことが明らかな場合には、独立委員会の承認を得た上で、取締役会の決議により本対応策を変更する場合があります。
当社取締役会は、本対応策が廃止又は変更された場合には、当該廃止又は変更の事実及び(変更の場合には)変更内容その他当社取締役会又は独立委員会が適切と認める事項について、速やかに開示いたします。
Ⅶ.本対応策が株主及び投資家の皆様に与える影響等
ⅰ 大規模買付ルールが株主及び投資家の皆様に与える影響等
大規模買付ルールは、株主の皆様が大規模買付行為に応じるか否かを判断するために必要な情報や、現に当社の経営を担っている取締役会の意見を提供し、株主の皆様が代替案の提示を受ける機会を確保することを目的としております。これにより株主の皆様は、十分な情報のもとで大規模買付行為に応じるか否かについて適切な判断をすることが可能となり、そのことが当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上につながるものと考えます。従いまして、大規模買付ルールの設定は、株主及び投資家の皆様が適切な投資判断を行う上での前提となるものであり、株主及び投資家の皆様の利益に資するものであると考えております。
なお、上記Ⅳ.に記載のとおり、大規模買付者が大規模買付ルールを遵守するか否かにより大規模買付行為に対する当社の対応が異なりますので、株主及び投資家の皆様におかれましては、大規模買付者の動向にご注目をお願いいたします。
ⅱ 対抗措置発動時に株主及び投資家の皆様に与える影響
当社取締役会は、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を守ることを目的として、当社取締役が上記Ⅳ.に記載した対抗措置を講じることを決定した場合には、法令及び当社が上場する金融商品取引所の規則等に従って、当該決定について適時適切に開示いたします。
対抗措置の発動時には、大規模買付者等以外の株主の皆様が、法的権利又は経済的側面において格別の損失を被るような事態は想定しておりません。例えば、対抗措置として新株予約権無償割当てが行われる場合は、割当期日における株主の皆様は、その保有する株式数に応じて新株予約権を無償で割当てられることとなります。また、新株予約権の行使により新株を取得するために、株主の皆様には、行使期間内に一定の金額の払込みをしていただく必要があります。株主の皆様が新株予約権の行使期間内に金銭の払込みその他新株予約権の行使に係る手続を経なければ、他の株主の皆様による新株予約権の行使により、その保有する当社株式が希釈化されることになります。また、当社取締役会が新株予約権を当社株式と引換えに取得できる旨の条項に従い新株予約権を取得することを決定した場合には、当該新株予約権を保有する株主の皆様は、行使価額相当の金額を払い込むことなく、当社による新株予約権の取得の対価として、当社株式の交付を受けることができます。新株予約権の行使や取得に際しては、新株予約権の割当てを受ける株主の皆様に対し、別途ご自身が大規模買付者等ではないこと等を誓約する内容の当社が定める様式による書面の提出を求めることがございます。
上記のほか、割当方法、行使の方法、当社による取得の方法の詳細につきましては、新株予約権の無償割当てに関する当社取締役会の決議が行なわれた後、法令等に基づき別途お知らせいたします。
なお、独立委員会の勧告を受けて、当社が新株予約権無償割当ての中止又は株主の皆様に割り当てられた新株予約権の無償取得を行う場合には、1株当たりの株式の価値の希釈化は生じませんので、当該新株予約権無償割当てを受けるべき株主が確定した後(権利落ち日以降)に当社株式の価値の希釈化が生じることを前提にして売買等を行った株主及び投資家の皆様は、株価の変動により相応の損害を被る可能性があります。
大規模買付者等については、大規模買付ルールを遵守しない場合や、大規模買付ルールを遵守した場合であっても、当該大規模買付行為が当社の企業価値ひいては株主共同の利益を著しく損なうものであり、かつ対抗措置の発動が相当と判断される場合には、当社が対抗措置を講じることにより、結果的にその法的権利又は経済的側面において不利益が発生する可能性があります。本対応策は、大規模買付者が大規模買付ルールに違反することがないようにあらかじめ注意を喚起するものであります。
(ニ)本対応策が基本方針に沿うものであること、株主共同の利益を損なうものではないこと、及び当社役員の地位の維持を目的とするものではないこと、並びにそれらの理由
Ⅰ.本対応策が当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針に沿うものであること
本対応策は、大規模買付ルールの内容、大規模買付行為がなされる場合の対応策、独立委員会の設置、株主及び投資家の皆様に与える影響等を規定するものです。
本対応策は、大規模買付者が大規模買付行為に関する必要かつ十分な情報を当社取締役会に事前に提供すること、及び当社取締役会のための一定の評価期間が経過した後にのみ当該大規模買付行為を開始することを求め、これを遵守しない大規模買付者に対して当社取締役会が対抗措置を講じることがあることを明記しております。
また、大規模買付ルールが遵守されている場合であっても、当該大規模買付行為が当社の企業価値ひいては株主共同の利益を著しく損なうと判断される場合には、当該大規模買付者に対して当社取締役会は当社の企業価値ひいては株主共同の利益を守るために対抗措置を講じることがあることを明記しております。
さらに、株主意思確認総会を開催する場合には、対抗措置発動の是非について株主の皆様のご意思を直接確認することになります。
このように本対応策は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針の考え方に沿うものであるといえます。
Ⅱ.本対応策が株主共同の利益を損なうものではないこと
上記Ⅰに記載のとおり、当社の財務及び事業の方針の決定を支配するものの在り方に関する基本方針は、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を尊重することを前提としております。本対応策は、このような基本方針の考え方に沿って設計されるとともに、経済産業省及び法務省が2005年5月27日に発表した「企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針」の定める三原則を充足しております。さらに、本対応策は、企業価値研究会が2008年6月30日に発表した「近時の諸環境の変化を踏まえた買収防衛策の在り方」を踏まえて設計しているものであり、当社株主の皆様が大規模買付行為に応じるか否かを判断するために必要な情報や当社取締役会の意見の提供、代替案の提示を受ける機会の提供を保障することを目的としております。本対応策によって、当社株主及び投資家の皆様は適切な投資判断を行うことができるものと考えております。
また、当社は、株主の皆様のご意思を反映するため、第47期定時株主総会において、本対応策の更新に関する議案をお諮りさせていただきました。さらに、本対応策は、有効期間の満了前であっても、当社の株主総会で選任された取締役により構成される取締役会又は株主総会において、本対応策を廃止する決議がなされた場合には、その時点で廃止されることになり、本対応策の更新及び廃止は、株主の皆様のご意思に沿うものとなっており、この点でも本対応策は当社の株主共同の利益を損なうものではないと考えます。
Ⅲ.デッドハンド型やスロー・ハンド型の買収防衛策ではないこと
本対応策は、当社の株主総会で選任された取締役で構成される当社取締役会によりいつでも廃止することができるものとされております。
したがって、本対応策は、デッドハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の過半数を交代させてもなお発動を阻止できない買収防衛策)ではありません。また、当社は、取締役任期を1年とし、期差任期制を採用していないため、本対応策はスロー・ハンド型(取締役の交替を一度に行うことができないため、その発動を阻止するのに時間を要する買収防衛策)でもありません。
Ⅳ.本対応策が当社役員の地位の維持を目的とするものではないこと
本対応策は、大規模買付行為を受け入れるか否かが最終的には当社株主の皆様の判断に委ねられるべきことを大原則にしつつ、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を守るために必要な範囲で大規模買付ルールの遵守の要請や対抗措置の発動を行うものです。本対応策は、上記のとおり、合理的かつ詳細な客観的要件が充足されなければ発動されないよう設定されており、当社取締役会による恣意的な運用を防止するための仕組みが確保されております。
また、当社取締役会は単独で本対応策の更新を行うことはできず、当社株主の皆様の承認を要します。
さらに、大規模買付行為に関して当社取締役会が評価・検討、取締役会としての意見のとりまとめ、代替案の提示、大規模買付者との交渉を行い、又は対抗措置を発動する際には、外部専門家の助言を得るとともに、独立委員会の勧告等を得て、これを最大限尊重することとしております。
加えて、株主意思確認総会を開催する場合には、対抗措置発動の是非について株主の皆様のご意思を直接確認することになります。
このように、本対応策には、当社取締役会による適正な運用を担保するための手続が盛り込まれております。
以上から、本対応策が当社役員の地位の維持を目的とするものではないことが明らかであると考えております。