有価証券報告書-第27期(平成29年1月1日-平成29年12月31日)

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2018/03/22 15:57
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【項目】
123項目

業績等の概要

(1)業績
当社グループは「すべての人にインターネット」のコーポレートキャッチのもと、成長性の高いインターネット市場に経営資源を集中しております。当該市場は、スマートフォンやタブレット型多機能端末といったデバイスの普及および多様化、Twitter、Facebook、LINE、Instagramなどソーシャルメディアの利用、クラウド技術などテクノロジーの進化といった要因に加え、O2O・CtoC・IoTといった新しい動きもあり、特にモバイルインターネットを中心に拡大を続けております。また、改正資金決済法の施行もあり、中央集権型システムである法定通貨に対して、分散型システムである仮想通貨の可能性も広く認識されてまいりました。これらの動きもあり、インターネット市場は今後も更なる拡大が見込まれ、インターネット上のデータ量、トランザクションは級数的に増加しており、インターネットのインフラ、サービスインフラを提供する当社グループの収益機会も大きく広がっていると考えております。
このような良好な事業環境のもと、当連結会計年度における当社グループは、前連結会計年度に続き「強いところはより強く、弱いところはNo.1の商材をもつ」を基本方針に事業を展開してまいりました。(1)多くのサービスが国内No.1となっているインターネットインフラ事業においては、決済事業を中心に既存の事業が拡大する中、CtoCハンドメイドマーケット『minne』を圧倒的No.1のサービスとするため、前連結会計年度に続き積極的なプロモーション投資を行ないました。(2)インターネット金融事業においては、主力事業である国内店頭のFXの収益率向上・サービスの利便性向上に取り組んでまいりました。(3)インターネット広告・メディア事業においては、テクノロジーシフトに対応すべく、自社商材の機能強化・販売に注力してまいりました。(4)モバイルエンターテイメント事業においては、継続的なコストコントロールを行ないながら、新規タイトルの開発に取り組んでまいりました。また(5)12月には新規事業として、仮想通貨マイニング事業へ参入をしております。
これらの結果、当連結会計年度における売上高は154,256百万円(前年同期比14.2%増)、営業利益は17,642百万円(同3.7%増)、経常利益は17,315百万円(同3.8%増)に、親会社株主に帰属する当期純利益は8,030百万円(同11.0%増)となりました。
当連結会計年度のセグメント別の業績は以下のとおりです。
(単位:百万円)
前連結会計年度当連結会計年度増減額増減率
インターネットインフラ事業
売上高65,41484,72319,30829.5%
営業利益6,5988,4931,89428.7%
インターネット広告・メディア事業
売上高44,18544,079△105△0.2%
営業利益1,293975△317△24.5%
インターネット金融事業
売上高27,35027,121△229△0.8%
営業利益9,6118,175△1,436△14.9%
モバイルエンターテイメント事業
売上高2,138894△1,244△58.2%
営業利益△497△43462-
インキュベーション事業
売上高4481,316868193.4%
営業利益△29668698-
その他
売上高1951,088893457.4%
営業利益△106△306△199-
調整額
売上高△4,706△4,967△260-
営業利益14769△77-
合計
売上高135,026154,25619,22914.2%
営業利益17,01717,6426253.7%


①インターネットインフラ事業
当該セグメントにおいては、インターネットビジネスを手掛けるお客様のビジネス基盤となるサービスをワンストップで提供しております。主な商材は、インターネットにおける住所となる「ドメイン」、データを保管するための「サーバー」、ネットショップ導入のためのシステムを提供する「EC支援」、ECで必須の「決済」、これら取引の安全を図る「セキュリティ」です。これら5大商材全てを自社グループ内で開発・提供しており、いずれも国内トップシェアを有しております。この他、個人向けにインターネット接続サービスを提供するアクセス事業を運営しております。当該セグメントの各事業別の業績は下記のとおりです。
1)ドメイン事業
当該事業では、他のインフラ商材の起点となる事業であり、低価格戦略による顧客基盤の拡大を継続しております。当連結会計年度のドメイン登録・更新数は512万件(前年同期比0.0%増)、当連結会計年度末の管理累計ドメイン数は611万件(同1.7%増)となっております。売上高は8,196百万円(同4.5%増)となっております。
2)クラウド・ホスティング事業
当該事業では、お客様の利用ニーズの多様化に対応するため、共用サーバー、VPS、専用サーバー、クラウドの各サービスにおいて、多ブランド展開を行なっております。当該市場では、従来型のサーバーに替わり、クラウドサービスに対する需要が高まっており、モバイルゲームの開発・運営に特化した『GMOアプリクラウド』、汎用型のクラウドサービスの比重が増えております。これらの結果、当連結会計年度末の契約件数は80.1万件(前年同期比2.5%増)、売上高は14,072百万円(同1.4%増)となっております。
3)EC支援事業
当該事業では、ネットショップ向けのASPカートサービス、CtoCハンドメイドマーケット『minne』、O2O支援サービスなどを提供しております。EC市場の拡大という追い風の中、ASPカートサービスでは機能改善、セミナー・イベント開催により顧客であるEC事業者の売上拡大支援に取り組んでまいりました。また『minne』を圧倒的No.1のサービスとするため、プロモーション投資に加え、リアルイベントの開催、スマートフォンアプリの機能強化、決済手段の拡充・クーポンによる販促強化に取り組んでまいりました。
これらの結果、当連結会計年度末のASPカートサービスの有料店舗数は7.5万(前年同期比0.1%減)、流通総額は2,721億円(同4.1%増)に、また『minne』の流通総額は102億円(同22.6%増)となり、売上高は8,872百万円(同8.5%増)となっております。
4)セキュリティ事業
当該事業では、GMOクラウドの連結子会社であるGMOグローバルサインが『GlobalSign』ブランドを世界展開しております。大手顧客への直販、販売代理店の活用により国内外のシェア拡大を進めております。売上高は5,299百万円(前年同期比8.1%増)となっており、海外売上高比率は約70%となっております。
5)決済事業
当該事業では、GMOペイメントゲートウェイを中核として、クレジットカード等の決済代行サービスを提供しております。物販のみならず、物販以外のサービス領域のEC化も進んでおり、事業環境は良好に推移しております。当連結会計年度においては、流通額(決済処理件数、決済処理金額)の増大のため、早期入金サービス・トランザクションレンディング・後払いといったマネーサービスビジネスの拡充により、顧客である加盟店の売上拡大支援に継続的に取り組んでまいりました。
これらの結果、決済処理件数と決済処理金額についても順調に増大いたしました。既存の決済サービスの継続的な拡大に加え、大口顧客における後払いの取扱高の急増及びMACROKIOSKの連結子会社化の影響もあり、売上高は24,389百万円(同83.1%増)と大きく伸長しております。
6)アクセス事業
当該事業では、個人向けのインターネット接続サービスを提供しております。昨今のモバイルインターネットの普及という良好な外部環境のもと、効果効率的なWebマーケティングにより、当連結会計年度末の会員数は60.0万件(前年同期比52.8%増)、売上高は18,397百万円(同36.5%増)となっております。
以上、各事業において顧客基盤が拡大した結果、インターネットインフラ事業セグメントの売上高は84,723百万円(前年同期比29.5%増)となりました。利益面では、『minne』のプロモーション投資(約1,180百万円)があったものの、決済・セキュリティといった利益率の高い商材が伸びたことから、8,493百万円(同28.7%増)と好調に推移しました。
②インターネット広告・メディア事業
当該セグメントにおいては、インターネットビジネスを手掛けるお客様の集客支援サービスを提供しております。当該セグメントの各事業別の業績は下記のとおりです。
1)インターネット広告事業
当該事業では、広告代理、アドプラットフォームの提供など総合的なネット広告サービスを提供しております。インターネット広告市場では、枠売りである純広告から、アドテクノロジーを介した運用型広告へのシフトが続いております。当連結会計年度においては、事業再編による一時的な売上の落ち込みがありましたが、これまで行なってきたテクノロジーシフトの成果もあり、スマートフォン向けアドネットワーク『AkaNe』、レコメンドウィジェット『TAXEL』といった自社商材に加え運用型広告が好調に推移しました。これらの結果、売上高は28,280百万円(前年同期比5.7%増)となりました。
2)インターネットメディア事業
当該事業では、自社メディアの運営を通じた広告枠の提供、集客支援サービスを提供しております。アドネットワーク広告のレギュレーション変更によるバナー広告の減少に加え、既存商材の落ち込みがあったことから売上高は12,634百万円(同12.6%減)となりました。
以上、これらを含めたインターネット広告・メディア事業セグメントの売上高は44,079百万円(前年同期比0.2%減)、営業利益は連結子会社GMO NIKKOにおける売上高の取消処理を行った影響(232百万円)もあり975百万円(同24.5%減)となりました。引き続き、市場のニーズをとらえた自社商材の開発・販売に注力してまいります。
③インターネット金融事業
当該セグメントにおいては、個人投資家向けにインターネット金融サービスを展開しております。当連結会計年度においても顧客基盤、取引高の拡大に努めてまいりました。当連結会計年度末における取引口座数は、店頭FX口座が69.2万口座(前年同期比8.7%増)、証券取引口座が33.0万口座(同8.9%増)と顧客基盤は拡大しました。当該セグメントの売上・利益の過半を占める店頭FX取引については、ビッグデータの活用により収益性の向上がみられた一方、取引高は相場影響もあり前年を下回る水準で推移いたしました。また、取引高が急拡大している仮想通貨の領域においては、GMOコインが改正資金決済法に規定される仮想通貨交換業者として金融庁より登録されております。
以上、インターネット金融事業セグメントの売上高は27,121百万円(前年同期比0.8%減)、営業利益は8,175百万円(同14.9%減)となりました。
④モバイルエンターテイメント事業
当該セグメントにおいては、スマートフォン・オンライン向けゲームの提供を行なっております。当連結会計年度においても既存タイトルが配信開始からの経年もあり、売上の減少傾向が続いております。一方、新規タイトルの開発に取り組んでまいりましたが、ヒットタイトルの創出には至りませんでした。
以上、モバイルエンターテイメント事業セグメントの売上高は894百万円(前年同期比58.2%減)、営業損失は434百万円となりました(前年同期は497百万円の営業損失)。今後は、組織再編(2017年10月23日付けで開示しております「連結子会社の吸収合併(簡易合併)に関するお知らせ」をご参照下さい)により、コストコントロールを徹底するとともに、内製化と運用ノウハウの蓄積により、引き続きヒットタイトルの創出に取り組んでまいります。
⑤インキュベーション事業
当該セグメントにおいては、キャピタルゲインを目的としたインターネット関連企業への投資、事業拡大への支 援、企業価値向上支援を行なっております。当連結会計年度の売上高は1,316百万円(前年同期比193.4%増)、営業利益は668百万円(前年同期は29百万円の営業損失)と上場・未上場株式の売却があったことから大幅増となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末(平成29年12月31日)における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末(平成28年12月31日)に比べ27,692百万円増加し、117,817百万円(30.7%増)となっております。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動においては、5,481百万円の資金流入(前年同期は3,118百万円の資金流入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の計上により16,124百万円、減価償却費の計上により5,091百万円、のれん償却額の計上により790百万円、預り金の増加により10,052百万円の資金流入があった一方、仕入債務の減少により9,320百万円、法人税等の支払により6,271百万円の資金流出があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動においては、13,212百万円の資金流出(前年同期は11,204百万円の資金流出)となりました。これは主に、無形固定資産の取得により8,234百万円、有形固定資産の取得により2,770百万円の資金流出があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動においては、35,074百万円の資金流入(前年同期は23,749百万円の資金流入)となりました。これは主に、配当金の支払により2,665百万円、非支配株主への配当金の支払により1,649百万円、自己株式の取得により1,182百万円の資金流出があった一方、有利子負債の純増(短期借入金の増加、長期借入金の増加)により41,134百万円の資金流入があったことによるものです。