有価証券報告書-第25期(令和3年1月1日-令和3年12月31日)

【提出】
2022/03/30 15:00
【資料】
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【項目】
142項目
3. 重要な会計上の見積り及び判断
(1) 重要な会計上の見積り及び仮定
IFRSに準拠した連結財務諸表の作成に当たって、当社グループは、将来に関する見積り及び仮定の設定を行っています。会計上の見積りの結果は、その性質上、関連する実際の結果と異なる場合があります。翌連結会計年度における資産や負債の帳簿価額に重要な影響を生じさせるようなリスクを伴う見積り及び仮定は、次のとおりです。
① 非金融資産の減損
1) 当連結会計年度の連結財務諸表に計上した金額
有形固定資産 975,362百万円
無形資産 858,997百万円
2) 識別した項目に係る重要な会計上の見積りの内容に関する情報
a) 見積りの算出方法
注記2. 重要な会計方針 (10) 非金融資産の減損をご参照ください。
b) 金額の算出に用いた主要な仮定
注記17. 有形固定資産及び注記18. 無形資産をご参照ください。
c) 翌連結会計年度の連結財務諸表に与える影響
当該判断及び仮定の前提とした状況が変化すれば、回収可能価額の算定結果が著しく異なる結果となる可能性があります。
② 繰延税金資産の回収可能性
1) 当連結会計年度の連結財務諸表に計上した金額
繰延税金資産 225,100百万円
2) 識別した項目に係る重要な会計上の見積りの内容に関する情報
a) 見積りの算出方法
注記2. 重要な会計方針 (19) 法人所得税をご参照ください。
b) 金額の算出に用いた主要な仮定
注記26. 繰延税金及び法人所得税費用をご参照ください。
c) 翌連結会計年度の連結財務諸表に与える影響
当該判断及び仮定の前提とした状況の変化や将来の税法の改正等により、繰延税金資産や繰延税金負債の金額に重要な影響を及ぼす可能性があります。
③ デリバティブを含む公正価値で測定する金融商品の公正価値の決定方法
1) 当連結会計年度の連結財務諸表に計上した金額
注記40. 金融商品の公正価値をご参照ください。
2) 識別した項目に係る重要な会計上の見積りの内容に関する情報
a) 見積りの算出方法
当社グループが保有するデリバティブを含む公正価値で測定する金融資産及び金融負債は、同一の資産又は負債について、活発な市場における公表価格、当該資産又は負債について直接に又は間接に観察可能な前述の公表価格以外のインプットを使用して算定された公正価値、もしくは観察不能なインプットを含む評価技法によって算定された公正価値を用いて評価しています。
b) 金額の算出に用いた主要な仮定
観察不能なインプットを含む評価技法によって算定される公正価値は、適切な基礎率、仮定及び採用する計算モデルの選択等、当社グループの経営者による判断及び仮定を前提としています。
c) 翌連結会計年度の連結財務諸表に与える影響
当該判断及び仮定の前提とした状況の変化等により、金融商品の公正価値の算定に重要な影響を及ぼす可能性があります。
④ 償却原価で測定する金融資産及びその他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融商品の減損
1) 当連結会計年度の連結財務諸表に計上した金額
注記15. 貸倒引当金及び注記43. 財務リスク管理をご参照ください。
2) 識別した項目に係る重要な会計上の見積りの内容に関する情報
a) 見積りの算出方法
当社グループは、償却原価で測定する金融資産及びその他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融商品にかかる予想信用損失は、契約に従って受け取る契約上の将来キャッシュ・フローと、受け取ると見込んでいる将来キャッシュ・フローとの差額の現在価値について認識しています。
b) 金額の算出に用いた主要な仮定
将来キャッシュ・フローの見積りに際しては、債務不履行の可能性、発生損失額に関する過去の傾向、合理的に予想される将来の事象等を考慮しています。
c) 翌連結会計年度の連結財務諸表に与える影響
当該判断及び仮定の前提とした状況が変化すれば、償却原価及びその他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融商品の減損損失の金額が著しく異なる可能性があります。
(2) 会社の会計方針を適用する際の重要な判断
当社グループの会計方針を適用する過程において、当社グループの経営者は、連結財務諸表で認識される金額に重要な影響を与えるような判断を行っています。
当社グループは、主として銀行事業やカード事業において支配の決定に際して、議決権又は類似の権利が支配の決定的な要因とならないように設計された事業体(以下「組成された事業体」)への関与を有しており、当社グループの経営者は、当該事業体を支配しているかどうかの判断を行っています。判断においては、組成された事業体への関与に関する全ての関連性のある事実と状況を考慮し、決定を行っています。
(3) 新型コロナウイルス感染症拡大に伴う会計上の見積り
新型コロナウイルス感染症の拡大を原因とする個人消費の低迷、失業率の増加、企業の倒産といった経済状況の悪化等の不確実性があるものの、新型コロナウイルス感染症が拡大し経済状況の悪化がみられ始めた前第1四半期連結会計期間以降の実績においても、当社グループは多岐にわたる分野で70を超えるサービスを提供していることから当社グループの経営成績への影響は限定的です。
今後も新型コロナウイルス感染症の拡大が当社の事業上のリスクとなりますが、当社グループは各事業のモデルを柔軟に変化させつつ成長していく戦略を検討しています。したがって、後述のカード事業の貸付金に係る貸倒引当金の見積りを除き、新型コロナウイルス感染症は当連結会計年度に係る連結財務諸表に全体として重要な影響を与える会計上の見積り及び判断の変更をもたらすものではありません。
カード事業の貸付金の回収状況は当連結会計年度末において重要な悪化はありませんが、今後の新型コロナウイルス感染症の拡大を原因とする不確実性を考慮し、信用リスクの悪化に備え、発生するであろう損失を予想し貸倒引当金の会計上の見積りを必要に応じて修正しています。
ただし、新型コロナウイルス感染症拡大の状況が大きく変動し不確実性が高まった場合には、のれんの回収可能性、繰延税金資産の回収可能性、負債性金融商品の減損、関連会社に対する投資等、重要な会計上の見積り及び判断に影響を及ぼすおそれがあります。
(4) 会計上の見積りの変更
当連結会計年度に係る連結財務諸表の金額に重要な影響を与える見積り及び判断は、以下の会計上の見積りの変更を除き、新型コロナウイルス感染症拡大に係るものも含め、原則として前連結会計年度に係る連結財務諸表と同様です。
当社グループは、ポイント引当金を計上しています。ポイント引当金は、当社グループが運営する楽天ポイント等のポイントプログラムにおいて、会員へ付与したポイントの将来の使用に備えて、過年度の実績等を考慮し、引当金の金額を算定しています。
従来、楽天ポイントの付与・充当に係る事業者間取引は消費税の課税対象とし、過年度の使用実績等を考慮して、将来使用されると見込まれる金額から消費税相当額を控除した額をポイント引当金として負債計上していましたが、下記のとおり、2022年4月1日より規約等を見直す方針を決定したため、第3四半期連結会計期間から、当該見直しの適用日以降に使用されると見込まれる金額については、消費税相当額を控除しない額をポイント引当金として負債計上する方法に変更しました。
楽天ポイントは、楽天経済圏における共通販促ツールとしての在り方のみならず、支払ツールとしての側面においても発展しています。一方で、昨今、消費税率の変更や軽減税率の導入等により、事業者における消費税への対応が煩雑化するとともに負担が増加しています。こうした状況を踏まえ、当社グループは、2022年4月1日以降、楽天ポイントが消費税の影響を受けない形に規約等を見直すことを決定しました。
この結果、ポイント引当金の算定において、2022年4月1日以降に使用されると見込まれる金額について消費税相当額の控除がなくなる影響により、従来の方法で算定した場合と比較して、負債の部の引当金は8,789百万円増加し、営業費用は同額増加しています。また、当連結会計年度の営業損失及び税引前当期損失は、それぞれ8,789百万円増加しています。