有価証券報告書-第28期(2025/04/01-2026/03/31)

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2026/06/25 15:48
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【項目】
177項目
文中の将来に関する事項は、当期末現在において当企業グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当企業グループは、Strategic Business Innovator(戦略的事業の革新者)として、創業時から常に時流を捉え、革新的な事業を創造することを目指しています。同時に、企業は社会に帰属しているからこそ存続できるという考えのもと、事業を通じて、社会の維持・発展に貢献することを志しています。
また、当企業グループには、持続的に成長する企業グループであり続けるため、今後も継承すべきと考える企業文化のDNAが4つあります。それは、常にチャレンジし続けるために「起業家精神を持ち続けること」、「スピード重視」の意思決定と行動、過去の成功体験にとらわれず「イノベーションを促進すること」、環境の変化を敏感に察知して「自己進化し続けること」です。
そして、全ての役職員が共有する規範として、当企業グループでは5つの経営理念を掲げています。
当企業グループの5つの経営理念
正しい倫理的価値観を持つ
「法律に触れないか」、「儲かるか」ではなく、「それをすることが社会正義に照らして正しいかどうか」を判断基準として事業を行う。
金融イノベーターたれ
革新的技術を導入し、より顧客便益性を高める金融商品やサービスを提供することで、従来の金融のあり方に変革を与える。
新産業クリエーターを目指す
21世紀の中核的産業の創造および育成を担うリーディング・カンパニーとなる。
セルフエボリューションの継続
「創意工夫」と「自己変革」により経済環境の変化に柔軟に適応すべく、自己進化し続ける。
社会的責任を全うする
当企業グループ各社は、社会の一構成要素としての社会性を認識し、さまざまなステークホルダー(利害関係者)の要請に応えつつ、社会の維持・発展に貢献していく。
当企業グループでは、企業価値は顧客価値の創出を土台に、株主価値及び人材価値を加えた3つの価値が相互に連関する好循環を生むことによって増大していくと認識しています。創業以来、掲げてきた価値観である「顧客中心主義」を徹底的に実践することで、お客様のために、投資家のために、より革新的なサービス、ビジネスの創出に努め、顧客価値、株主価値、人材価値の総和たる企業価値の極大化を追求します。
(2)経営環境及び対処すべき課題等
当企業グループの事業構築の基本観
当企業グループの事業構築は6つの基本観、即ち(1)「顧客中心主義」の徹底、(2)「企業生態系」の形成とシナジーの徹底追求、(3)革新的技術に対する徹底的な信奉、(4)近未来を予見した戦略の策定と遂行、(5)公益は私益に繋がる、(6)金融を核に金融を超える、に基づき行われています。
「顧客中心主義」の徹底とは、より安い手数料・より良い金利でのサービス、金融商品の一覧比較、魅力ある投資機会、安全性と信頼性の高いサービス、豊富かつ良質な金融コンテンツの提供といった、真に顧客の立場に立ったサービスを徹底的に追求するものです。
「企業生態系」の形成とシナジーの徹底追求とは、「全体は部分の総和以上である」「全体には部分に見られない新しい性質がある」という「複雑系の科学」の二大命題をもとに、当企業グループを構成する企業間でシナジーを発揮することで、単一の企業では成し得ない相乗効果と相互進化による高い成長ポテンシャルを実現する「企業生態系」を構築し、当企業グループ全体で飛躍的な成長を実現させるものです。
革新的技術に対する徹底的な信奉とは、テクノロジーこそが社会に新たな潮流を生み出すとの考えのもと、フィンテック領域やAI、ブロックチェーン、デジタルアセット、量子コンピュータ、核融合といった先端領域において、革新的技術を有する国内外の有望なベンチャー企業に「投資」し、投資先企業の技術等をグループ内の事業会社へ「導入」、そしてそれらの技術を業界横断的に「拡散」するという3つのプロセスを通じ、持続的な事業拡大を目指すものです。
近未来を予見した戦略の策定と遂行とは、効率的なシナジーを生むとともに相互に一体感を高めるべく、社会問題や国家目標などに合致し、時代の変遷を踏まえて当企業グループを挙げて取り組む「全体戦略」を策定し、その全体戦略が効率的に各子会社に伝播され、各々に応じた具体的な「個別戦略」として遂行されることで、統一的な目標を達成する戦略です。
公益は私益に繋がるとは、「社会なくして企業なく、企業なくして社会なし」という考えのもと、「世のため人のため」となる「公益」に資する企業活動を続けることは、自ずと当企業グループの利益にも繋がることを意味しています。
また金融を核に金融を超えるとは、あらゆる財貨・サービスの動きと金融は表裏一体であるという認識のもと、当企業グループは金融のプロフェッショナルとしてこれからも金融事業を推進するとともに、金融事業と相乗的な効果を生み出す新たな事業領域へも進出し、国内外の様々な社会課題の解決に挑む事業体であり続けることを目指すものです。
これらの基本観の実践を通じ、当企業グループは時代の変化を逸早く察知し、その変化に対応する戦略を実行することで、事業領域や事業規模を加速度的に拡大してきました。例えば、証券・銀行・保険を中心とする金融サービス事業では、銀証連携を始めとしたシナジーの発揮を通じて、競合他社を大きく上回る口座数や預り資産などの顧客基盤を築き上げ、高いマーケットシェアを獲得し、外部の各種顧客満足度調査においても好評価をいただいています。日本の国家戦略でもある地方創生の領域においては、全国各地の地域金融機関との提携を拡大し、それによって、地域金融機関に質的転換を促すことで、地域金融機関の収益力強化とそれに伴う地域経済の活性化に貢献する取り組みを進めています。また金融業と大きなシナジーを発揮できる分野として、次世代の金融商品にもつながるデジタルアセットに関連する事業を展開しています。
目標とする経営指標
当企業グループでは、資本効率を考慮しながら、「金融イノベーター」や「新産業クリエーター」として、事業の「選択と集中」で回収した資金を成長分野や革新的な事業展開を可能とする分野へ再投資することで、グループ全体としての持続的な成長を目指しています。このように、経営資源を国内外の注力分野に投下することで、更なる利益成長につなげていきます。
また、当企業グループは、株主への利益還元を充実させることを、株主価値を高めることにつながる重要な経営施策の1つとして捉え株主還元を決定しています。当社の株主還元は、配当金総額に自己株式取得額を加えた総還元額を、当面の間は金融サービス事業において子会社等株式売却益などの特殊要因を除いた税引前利益の30%程度とすることとしています。
このほか、当企業グループが創業以来掲げる「顧客中心主義」の考え方に基づき、常に顧客の目線に立った商品ラインナップ拡充や、便益性の高い多様なサービスの提供を図ることで、業界最高水準のサービス提供を目指しています。そのため、当企業グループの金融サービス事業各社では、第三者評価機関が実施する顧客満足度調査において、継続して高評価を得ることを志向しています。
中長期的な経営戦略
当企業グループは、1999年の創業以来、「顧客中心主義」の徹底と、金融サービス事業を中心とする「企業生態系」の構築を通じて、証券・銀行・保険・資産運用・投資・暗号資産・次世代事業を有機的に結合させた、世界的にもユニークな総合金融グループとして発展してまいりました。2026年3月末時点における当企業グループの国内外顧客基盤は8,256万件となり、国内顧客基盤は約4,981万件、海外金融サービス事業の顧客基盤は約3,274万件となっています。
今後の持続的成長に向けて、当企業グループは創業30周年となる2029年3月期を見据え、企業価値のさらなる向上に向けた三大戦略目標を定めています。具体的には、①迅速なトップダウンでの意思決定の下、当企業グループの完全なAIドリブン化を断行すること、②オンチェーン化に向けた組織変革を断行し、世界に先駆けて次世代の金融サービスを提供すること、③既に融合しつつある既存の金融生態系とデジタルスペース生態系にネオメディア生態系を新たに構築・融合し、国内外でグループ顧客基盤の飛躍的に拡大させることです。
当社業績と企業価値の持続的成長に向け定める当企業グループの三大戦略目標
① 迅速なトップダウンでの意思決定の下、当企業グループの完全なAIドリブン化を断行
AI技術は、従来の業務効率化ツールの域を超え、顧客接点、商品・サービス開発、リスク管理、セキュリティ、さらには組織運営そのものを再設計する基盤技術へと進化しています。金融業界においても、海外大手金融機関を事例として、AIエージェントが顧客対応や業務プロセスを代替・補完し、人間はAIが生成・実行する成果物を監督・確認する役割へと移行する動きがすでに始まっています。
当企業グループは、このような事業環境の変化を、既存事業の生産性向上にとどまらない構造的な成長機会と捉え、迅速なトップダウンでの意思決定の下、グループ全体を完全にAIドリブンな組織へと再構築することを重要課題と位置付けています。
この方針の実現に向け、当企業グループは株式会社Ridge-iとの協業を通じ、AI戦略の具体化を進めてまいります。なお当社は株式会社Ridge-iを持分法適用関連会社としており、同社代表の柳原尚史氏を社外取締役として招聘する予定です。
当企業グループは、AI活用における顧客向けの中核施策として、顧客の金融知識が十分でない場合でも、複雑な選択や判断の負担を軽減し、最適な資産形成や金融行動を提案・実行できるAIエージェント「金融AIコンシェルジュ」の構築を目指します。同コンシェルジュは、顧客の金融リテラシー、関心、資産状況、ライフイベント等に応じて、幅広い金融ニーズを横断的に把握し、当企業グループ各社のサービスの中から最適な選択肢を提示することを想定しています。
また、AIの活用領域は顧客対応に限られません。当企業グループは、AIとブロックチェーンを組み合わせることで、従来の金融システムでは実現しにくかった自律的な金融取引・決済の仕組みを構築してまいります。
② オンチェーン化に向けた組織変革を断行し、世界に先駆けて次世代の金融サービスを提供
ブロックチェーン・分散型台帳技術の進展により、金融取引の基盤は、取引結果を既存のサーバー上に記録する従来型の仕組みから、様々なアセットがトークン化され、取引・決済・記録もまたブロックチェーン上で完結するオンチェーン型の仕組みへと移行していくと考えられます。これに伴い、取引にも決済にもトークンを活用するトークンエコノミーが誕生し、24時間365日、国境を越えて、より高速かつ低コストに金融取引を行うことが可能となります。また、AIエージェントが金融取引に本格的に関与する未来においては、AIエージェント同士の取引が人間同士の取引に比べて高速かつ大量に発生することが想定されるため、オンチェーン金融の必要性はさらに高まると考えられます。
当企業グループは、オンチェーン金融の実装に向け、これまで構築してきたデジタルスペース生態系を最大限に活用します。暗号資産交換業、電子決済手段等取引業、第一種金融商品取引業を取得しているSBI VCトレード株式会社と、発行体・カストディアン機能を果たすSBI新生信託銀行株式会社をハブとして、各事業を横断したオンチェーン金融の展開を目指しています。
また、当企業グループは、Startale Group Pte. Ltd.との協業を中心に、オンチェーン化に向けた戦略を加速させてまいります。当社はStartale Group Pte. Ltd.を持分法適用関連会社としており、同社代表の渡辺創太氏を社外取締役として招聘する予定です。これにより、当企業グループが有する金融ライセンス、顧客基盤、事業運営ノウハウと、Startale Group Pte. Ltd.が有するブロックチェーン技術・開発力を組み合わせることで、オンチェーン金融における競争優位性を高めます。具体的な取り組みとして、グローバル市場向けの円建てステーブルコイン「JPYSC」及びレイヤー1ブロックチェーン「Strium Network」の共同開発が挙げられます。JPYSCは、日本初の信託銀行発行型で、送金・滞留にかかる100万円制限を受けない円建てステーブルコインとして、国内外での流通を視野に入れ、早ければ2026年度第1四半期でのローンチを目指しています。Strium Networkは、RWAトークンを含む金融資産のオンチェーン取引に特化したレイヤー1のブロックチェーンとして、AIエージェントによる取引も視野に入れて設計しています。
また、ドル建てステーブルコインの領域においても、USDCを発行する米国のCircle Internet Group, Inc.と提携を深めております。SBI VCトレード株式会社が日本で初めてUSDCの取り扱いを開始した他、Circle Internet Group, Inc.とは合弁会社を設立しており、国内におけるUSDCの流通を促進していきます。
なお、当企業グループでは、顧客に最も便益性の高いサービスを提供するため、単一のブロックチェーンに依存しないマルチチェーン戦略を推進しています。例えば、Ripple Labs Inc.とは10年来に渡って深い関係性を有し、Canton Networkではアジア地域で唯一のスーパーバリデータとなっています。また、B2C2 Limitedがステーブルコイン取引の決済ネットワークの一つとしてSolanaを採用するなど、世界の大手ブロックチェーンとの関係性構築を行っています。
組織面においては、グループCEO直下に強力な戦略推進機能を置き、グループ全体の金融知見、データ、計算資源を一元的に活用できる体制を整備し、業務プロセスそのものをAIネイティブなものへと変革してまいります。
③ 既に融合しつつある既存の金融生態系とデジタルスペース生態系にネオメディア生態系を新たに構築・融合し、国内外でグループ顧客基盤の飛躍的拡大を企図
近年、情報流通の中心は、新聞・テレビ等の従来型メディアから、SNS、動画、配信、コミュニティ、インフルエンサー、AIによるレコメンドへと急速に広がっています。メディアは、単に情報を発信する場ではなく、顧客の行動変容を促し、購買行動や金融取引へとつなげるプラットフォームへと変化しています。
当企業グループは、この変化を金融サービス事業の顧客基盤拡大と新たな収益機会の創出につながる重要な潮流と捉え、ネオメディア生態系を新たに構築し、既存の金融生態系及びデジタルスペース生態系と融合してまいります。
SBIネオメディアホールディングス株式会社を統括会社として構築を進めているネオメディア生態系は、生態系を構成する各社を有機的に結合し、既存事業との相互送客・相互活用を促進するものです。具体的には、同社はインハウスエージェンシーとして広告・マーケティング機能を集約し、グループ全体のブランド価値向上と顧客基盤の強化を図ります。
また、コンテンツ・IP領域への投資も、ネオメディア生態系の重要な施策です。当企業グループは、1,000億円規模のSBIネオコンテンツファンドの組成を進め、国際競争力を有する漫画、アニメ、ゲーム等のコンテンツ・IPへの投資を行います。
さらに、ネオメディア生態系は、従来型メディアやSNSが抱える課題の解消にも取り組みます。既存メディアには偏向報道、読者が情報を検証しにくい構造、広告モデルへの依存といった課題があり、SNSにはエコーチェンバー化、フェイクニュースや炎上等の問題があります。これに対し、AIを活用した透明性と信頼性の高い新たなメディア配信基盤の構築を目指します。
加えて、当企業グループ各社の金融商品・サービス等を一元化するスーパーアプリ「SBI金融エージェント」(仮称)にメディア機能を統合する構想も進めています。金融、メディア、広告、コンテンツ、AI、オンチェーン技術を一体化することで、顧客は情報収集から意思決定、金融取引、決済、資産形成、コンテンツ消費までをシームレスに行うことが可能となります。

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