有価証券報告書-第25期(2022/04/01-2023/03/31)

【提出】
2023/06/30 10:00
【資料】
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【項目】
148項目
②戦略
人間性を重視した登用、社会の維持・発展に貢献する人材の育成こそがお客さまに役立つ財・サービスを提供するために必要不可欠であり、サステナブルな経営を推進していく上で重要な構成要素の一つであるとの考えのもと、人材育成、ダイバーシティ&インクルージョンならびに働きやすい職場づくりに係る各種施策を通じて「人材価値」向上に取り組んでいます。
<人材育成>施策1. 開かれた雇用機会の提供
当企業グループでは採用において、プロフェッショナルとしての職歴だけではなく人間性を重要視した基準を設けています。従業員には、仕事ができ人間的にも優れた人物であることを求めますが、人種・国籍・性別や学歴等は一切問いません。2006年度から開始した新卒採用活動においてもこの基準に照らし、多様なバックグラウンドを持つ将来性の高い人材を多数採用してきました。
また、今後は高度な専門性が必要な業務を担当する人材の確保がより一層重要になると考え、中途・新卒に関わらず、優秀な人材を積極的に登用しています。2018年には給与処遇および勤務形態について、既存の枠組みとは異なる対応が可能となる高度専門職制度を設けました。2022年4月からは、新卒初任給および入社3年目までの給与テーブルの大幅な引き上げを行うとともに、役職員全員にグループ連結業績を反映させた報酬制度を導入しています。
施策2. 企業理念の浸透
社員の9割超が中途採用であることを踏まえ、当企業グループの理念・企業文化を理解し実践できる人材の育成に取り組んでいます。自身が所属する部署のみを近視眼的に考えるのではなく、グループ全体の相乗効果も視野に入れた取り組みを行えるよう、継続的に研修を実施しています。更に、経営トップが自らの経営論・企業観について執筆した書籍を通じて、従業員の人間学や経営学の教育向上、社内における一体感の醸成、相互の意思疎通を図っています。
施策3. 公正で意欲に応える処遇
従業員の処遇は成果のみならず、結果にいたるプロセスをも重視しています。また、公正・公平な評価に努める観点から、上司だけでなく部下や同僚など多方面より評価を行う360度評価を実施しています。このような多面的な評価と半期ごとの目標達成度をもとに、経験、能力、業績への貢献度等に応じた総合的な判断で各従業員の処遇が決定される仕組みとなっており、「功ある者には禄を与え、良識・見識ある者には地位を与える」という方針を貫いています。
施策4.「有為な人材」を育成するための取り組み
当企業グループは、日本の未来を担う「有為な人材」を一人でも多く輩出していきたいと考えています。私たちが育成を目指す「有為な人材」とは、一部門・一企業の利益に貢献するだけではなく、広く経済・社会に貢献しようとする高い志を有し、ビジネスにおける高い専門性を備え、国際的視野を持ち、確たる倫理的価値観と実行力を伴う胆識を備えた人物のことを言います。
そうした観点から、2008年にSBIグループの全面支援によりSBI大学院大学が開校しました。SBI大学院大学では、高い意欲と志を有する受講生を社外から広く集め、知識を詰め込む「知育」ではなく、人間力を磨くことを主眼とした「徳育」を重視し、人間学を学ぶ機会を提供しています。また、教育プログラムに最先端の経営学の知見を取り入れ、実践的な学問=「実学」を学ぶ機会も提供しています。一方的に知識を吸収するだけではなく、様々な背景と個性を有する人々―教える者と学ぶ者、あるいは学ぶ者同士―との相互対話と切磋琢磨とによって、「有為な人材」の育成を図ります。
当企業グループにおける人材育成にあたっては、各種専門知識に関するOJTに加え、このSBI大学院大学を活用した研修を行っています。上級管理職を目指す社員に向けては「SBIグループ上級管理職研修」の修了を昇格要件と定めるほか、より広範にマネジメントを学びたい社員に向けてはSBI大学院大学への企業派遣制度を設けています。2023年3月末現在、この制度を通じて157名がMBAを取得しています。また新入社員に対しては、早期から当企業グループの経営幹部としての知見や経営観を習得させるべく、当社独自の課題研修を行っています。2週間に一度、新入社員に小論文の提出を課し、社長を含めた経営陣が評価しています。
その他、従業員の自己啓発の促進のために、2016年10月に導入した資格取得支援制度の対象となる資格の見直しを行い、従来制度で対象としていた33資格から新たに19資格を追加し、受験料補助の対象を52の資格にまで拡大しています(2023年3月1日施行)。
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<ダイバーシティ&インクルージョン>イノベーションを生み出す企業であり続けるため、役職員の多様性を尊重すると共に、あらゆる人材が活躍できる職場環境づくりに注力しています。
施策5. 多様な人材の活用
当企業グループでは、持続的成長を実現しイノベーションを生み出す企業であり続けるには、人種、国籍、性別、性的指向、障がいの有無等にかかわらず、多様な人材が互いの価値観や個性を認め合い、それぞれの能力を最大限に発揮し、共に成長できる環境が必要であると考えています。こうした考え方のもと、SBIホールディングスでは人事担当役員がダイバーシティ&インクルージョンの責任者を務めています。
25ヵ国・地域へ展開する当企業グループにあって、海外拠点の従業員割合は21.7%となっています。また、優秀な人材に対しては、その属性を問わず積極的に登用・昇進させる姿勢を徹底しており、現在では女性管理職の比率(国内連結)も18.4%となっています(いずれも、2023年3月末時点の値)。なお、2015年3月からは定年後の再雇用の上限年齢を撤廃しています。
<働きやすい職場環境づくり>当企業グループでは、あらゆる人材が常に最大限のパフォーマンスを発揮することができる働きやすい職場環境を整えるべく、様々な施策を行っています。
施策6. 柔軟な働き方の推進
男女問わず、介護・育児といった特定の理由に限定せずに正社員が短時間勤務を選択できる短時間正社員制度を導入しています。更に、新型コロナウイルス感染症予防対策の一環として導入していた時差出勤も正式に制度化しました。
また、2018年には「健康経営宣言」を制定し、従業員が健康保持・増進に取り組みやすい環境を積極的に整えています。産業医による「健康個別相談会」を毎月実施し、希望者に応じて対面及び電話、文書等での面談を実施するなど、従業員の健康に配慮しています。長時間労働はメンタルヘルス不調を誘引する可能性があることから、当社では2015年から全社的に是正に向けた取り組みを積極的に実施しています。2016年からは、従業員向けに実施が義務付けられたストレスチェックを行っており、今後はストレスチェックから収集した定量データを丹念に分析し、グループ各社の業務特性や職場環境の把握に努めるとともに、より従業員の健康維持に効果的な施策を検討していきます。
また、従業員の自己実現の場を提供するとともに、人材の有効活用や適材適所を実現する意図から、「キャリアオープン制度」を導入しています。この制度は従業員自らが希望するグループ内の事業会社等への異動願いを申告するもので、これまで多数の従業員がキャリアチェンジを実現しています。
さらに、業務の効率化・生産性の向上に向けては、グループを挙げてRPAの導入を推進し、各種ルーティン業務の自動化を図っています。