有価証券報告書-第34期(令和1年6月1日-令和2年5月31日)
有報資料
(1)経営環境
当連結会計年度の世界経済は、米中貿易摩擦を背景に減速基調が続いたことに加え、下期後半から新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響により急速に悪化しました。当社においても、これらの影響により旅客・貨物輸送を主要事業とする顧客の経営状況が悪化し、航海気象・航空気象の売上へのマイナス影響が発生しています。今後は回復傾向を見込むものの未だ予断を許さない状況が継続すると認識しております。
気象環境については、気候変動によるオーストラリアの山火事など世界的な極端気象や激甚災害が増加しており、気象リスクが顕在化してきています。日本においても2019年の台風15号・19号の大雨や強風の影響による堤防の決壊や大規模な停電など自然災害による甚大な被害が相次ぎ、気象リスクに対する一層の対応策のニーズを実感しております。こうした気象と企業を取り巻く環境の変化に対して、当社では気象サービスを通じて世界中の企業・人々の生活に対する気象リスクを軽減することをミッションとして、気象会社としての本分に努めてまいります。
また、SDGsの17目標の一つである「気候変動に具体的な対策を」に示されるように、気象・気候に対して社会の関心が高まるとともに、企業経営においてもESGへの取り組みが促進されています。ESGに係る企業価値向上への当社の取り組みとしては、当社が扱う事業ドメインの性質を活用し、気象サービスの提供を通じて顧客の環境貢献のサポートを行うと共に、減災の観点で企業・個人の生活の支援に取り組み、その実績を定量的・定性的にディスクローズしてまいります。
(2)対処すべき課題(中期経営計画)
1.中長期的な会社の経営戦略
<当社のミッション>当社グループは「全世界77億人の情報交信台」という夢に向かって、サポーターとともに最多・最速・最新の気象コンテンツサービスにより気象・環境に関する社会的リスクに対応する「気象コンテンツ・メーカー」になることを基本コンセプトとしており、気象コンテンツ市場のフロントランナーとして、独創的に新たな市場を創造しながら「サポーター価値創造」と企業価値の最大化を目指します。
また、このコンセプトの実現のため、「世界最大のデータベース・世界No.1の予報精度・あらゆる市場でのRisk Communicator」をコアコンピタンスと考え、Full Service“Weather & Climate” Companyとなることが当社のミッションであると認識しています。
<第4成長期のビジョン>当社では、第1成長期(1986年6月から1995年5月)は「事業の成長性」、第2成長期(1995年6月から2004年5月)は「ビジネスモデルの多様性」、第3成長期(2004年6月から2012年5月)は「経営の健全性」をテーマに掲げ、事業を展開してまいりました。第4成長期(2012年6月から2022年5月)は「革新性」をテーマに掲げ、サービスを本格的にグローバル展開することを目指します。
<第4成長期の基本戦略>「Service CompanyからService & Infrastructure Company with the Supporterへ」
当社には、RC(Risk Communication)サービスを組織的に運営すると同時に顧客とともに革新的なインフラを整備し、交通気象・環境気象を中心としたビジネスを立ち上げてきた経験があります。この経験を基にアジア、ヨーロッパ、アメリカにおいて新たなグローバルビジネスを展開してまいります。
2020年5月期より、各市場の売上及び利益の責任を明確にするために、主要な事業をPlanning(Sea Planning:航海気象、Sky Planning:航空気象、Land Planning:陸上気象、Environment Planning:環境気象、Mobile・Internet Planning: モバイル・インターネット気象、Broadcast Planning:放送気象、Sports Planning:スポーツ気象)と称し、各市場に特化したサービス企画・運営・開発・営業を行い事業を推進しています。そしてBtoB市場において国内・海外のTG売上比率50:50を目指します。
なお、各Planningに共通する部門(共同利用インフラ運営及び開発・管理部門)をSSIと称し、各Planningを専門的な見地でサポートし、会社全体での品質及び生産性の向上を実現します。また、取締役は執行範囲を定めず事業全体を監督し、執行体制においてチェック・アンド・バランスを働かせます。
(事業分野別の戦略)
<エリア展開>既に展開中のアジア市場に加え、2021年5月期後半以降は、航空気象ではヨーロッパ・アメリカ市場のマーケティングの継続、環境気象ではヨーロッパ市場の更なる展開を推進します。
2.中期経営計画の概要とその進捗
当社では、2020年5月期からの3年間(2019年6月~2022年5月)を、「革新性」をテーマに交通気象のグローバル展開を目指す第4成長期のStage3とし、以下の4点を重点テーマとして推進することで事業の土台を一層安定させると共に、第5成長期を見据えた新規発展事業の創出を目指します。
1)既存事業の継続成長による収益基盤の強化
既存事業である航海気象、航空気象、環境気象、モバイル・インターネット気象は当社の基盤事業かつグローバルビジネスのポテンシャルを有していると認識しており、TG売上の増加及びBtoB事業における国内・海外のTG売上比率の50:50の達成に向けて、継続的に成長させ、収益基盤の強化を目指します。
<航海気象>航海気象は、国によるサービスが行われていない「公認民間市場(顕在化市場)」と言えます。当社は既にグローバル市場において航海気象サービスを展開しておりますが、サービス提供船は世界の外航船約20,000隻のうち30%程度です。第4成長期にはサービス品質を改善すると共に新サービスを開始し、世界の外航船約20,000隻の50%にあたる10,000隻へのサービス提供を目指します。なお、新型コロナウイルス感染症拡大による市況低迷の影響を受け、10,000隻達成のタイミングは1年の遅れを見込んでいます。
本サービスはサービスを提供する航海毎に課金することからサービス対象となる隻数をKPI(重要業績評価指標)として設定し、売上だけでなく市場占有率を含めた市場におけるポジショニングを示しています。
<航空気象>航空気象では日本・アジア市場を中心にサービス提供を進め、各国における当社のブランド認知度を高めています。第4成長期後半はヨーロッパ・アメリカ市場でも市場シェア及び当社のブランド認知度を高めるため展開を推進しています。
本サービスは航空会社別に契約を締結しサービスを提供しており、目的地となる空港数で価格が決定するためお客様の就航路線により契約金額が異なります。市場占有率など市場におけるポジショニングと進捗を明確にするため、KPIは全世界の航空会社320社の約25%にあたる85社へのサービス提供を目指しています。
<環境気象>全世界的な自然エネルギー利活用へ向けた構造変革を受け新たな顧客ニーズを認識しており、ヨーロッパ、日本、アジアのエネルギー企業に対し、需要予測の提供を中心とした環境気象の立ち上げと新規顧客の獲得を目指します。
新規市場においては象徴的な顧客(Symbolic Customer)と共に当社サービスを構築し拡販サービスの開発に繋ぐことから、市場展開の進捗度を示すKPIにSymbolic Customerの数を設定し、顧客数を29社まで拡大することを目指します。
<モバイル・インターネット気象>各国の気象庁から提供される観測データ(Observation)だけでなく、独自の衛星、レーダー、小型観測機、ライブカメラ等に加え、サポーターから送られてくる膨大な写真や体感データに代表される“感測”データ(Eye-servation)をAI・Deep Learningなどの最新技術を活用して解析し、他社には模倣できないコンテンツを創造していきます。これらのコンテンツを自社以外の多様化する様々なプラットフォームにも展開することで有料会員を増やすと共に、広告事業も伸ばしていきます。
アプリ「ウェザーニュース」へのトラフィックの流入が有料会員数の増加や広告事業のブランドに繋がると分析しており、継続的なサービス利用者を示す指標である月間利用者数(MAU)をKPIと設定し、MAU4,470万人の到達を目指します。
2)世界最高品質の予報精度の追究とコンテンツ生産力の飛躍的向上
世界最大規模の気象・気候データベース及び独自AI解析を用いた世界No.1の予報精度の実現と、新たな基幹データベース・開発プラットフォーム及び独自AI技術を用いたコンテンツ生産力の向上を目指します。
当社ではこれまで整備してきたWNI衛星・WITHレーダーなどの独自気象観測インフラで観測した気象データ、各市場の顧客とコミュニケーションを交わす中で蓄積されてきたビジネスデータ、サポーターから提供される感測データなどから構成される世界最大規模の気象・気候データベースと、AIによる解析・予測等のIT技術を駆使することで、90%以上の予報精度を実現し、当社の気象予報におけるブランド価値を高めます。また、画一的な予測ではない、市場毎のニーズに合わせた「世界No.1の予報精度」の実現を目指しています。RCサービスの提供においても、従来の人による予測値の修正やコミュニケーションの一部を最新IT技術によって代替し、品質と生産力を高めて利益率の向上に繋げます。
当期は、ナウキャスト(数時間先までの予報)及び欧州における気温の予報精度が向上しました。また、次世代の独自観測インフラ「Eagle Radar」の準備が進み、来期の実装を目指します。独自AI解析による業務改善も進んでおり、引き続き予報精度と生産力の向上に努めます。
3)マーケットを加速するITサービス基盤の整備
全世界77億人がデバイスなどの環境に関わらず迅速かつグローバルに気象情報を活用できるインフラ環境の整備、そして「事業継続計画(以下、BCP: Business Continuity Plan)」を踏まえた事業の継続性の実現を目指しています。開発プラットフォームの整備に伴うシステム開発スピードの向上及びサーバーの一極集中による災害時のシステム障害リスクに対するレジリエンスの強化を見据え、物理サーバからクラウドサーバへの移行を推進します。また、気象情報の外部連携によるマーケットへの価値創造サイクルの推進を目指し、ITインフラのクラウド化を通じてサービス開発の高速化と迅速な顧客へのサービス提供を可能とし、市場展開や他業種・グローバルでのコラボレーションを加速します。
当期はクラウド化のガイドライン作成等クラウドへ全面移行するための環境整備に取り組み、一部では実際に移行を開始しました。
4)気候変動に対応した新規発展事業の創出
市場におけるビジネスリスクの調査と詳細分析、極端気象や気候変動による事業リスクに適応するサービスの創造など、気象リスクに対するあらゆる角度からのサービスの開発・提供を目指します。従来の気象環境による事業運営リスクに対する支援だけでなく、継続的に経済的損害が発生するような事業構造リスクへの対応へと事業領域を拡大することで長期的な成長を実現します。
当期は、長期的な事業構造リスクの調査分析及びリスクへの適応支援サービスの立ち上げを目標に各市場のマーケティングを推進し、航海気象市場では日本国内の船会社を対象とした、極端気象による到着遅延に対応する補償サービスの試験運用を検討しています。
(3) 今後の見通し
新型コロナウイルスの感染拡大の影響やその収束時期は依然として不透明ですが、経済活動の水準は緩やかに回復していくと想定しております。各事業分野の動向や特性に応じた要素を現時点で可能な限り加味し、2021年5月期の11月末まで新型コロナウイルスの感染拡大の影響が継続する前提で業績見通しを策定しております。
売上面では、米中貿易摩擦や新型コロナウイルス感染症拡大などによる経済低迷の影響を受け、BtoB市場では航海・航空気象市場を中心に販売進捗の遅れが見込まれるものの、沿岸部における座礁・衝突リスクに対応するサービスなど、各市場における極端気象に対応したサービスの投下を通じて、BtoB市場は堅調に成長することを見込んでおります。BtoS市場においては、モバイル・インターネット気象のグロースハック体制による自社配信コンテンツの充実とTVCMなど認知度向上によるトラフィックの増加に伴うスマートフォン向けサービス売上と広告売上の成長を見込んでおります。利益面では、ビジネスを成長させる広告投資の増加はあるものの、前中期経営計画の積極投資期間中に採用した人財及び基幹システムの整備によるソフトウェア開発効率向上とサービス運営人員の最適化を図ることで、当期と同程度の利益を見込んでおります。
なお、新型コロナウイルスの感染拡大の影響が見込みより長引く可能性を更なるリスクとして認識しております。この場合、影響継続によって営業活動が減速し、それに伴って売上が減少することが見込まれますが、費用面においても営業活動のための旅費交通費の減少や売上を前提とした開発時期の先送りなどが併せて発生するため、大幅な利益影響は発生しないと予想しています。
こうした取り組みの結果として、2021年5月期は、売上高19,200百万円、営業利益2,300百万円、経常利益2,300百万円、親会社株主に帰属する当期純利益1,700百万円と見込んでいます。
(当期の進捗)
当連結会計年度の世界経済は、米中貿易摩擦を背景に減速基調が続いたことに加え、下期後半から新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響により急速に悪化しました。当社においても、これらの影響により旅客・貨物輸送を主要事業とする顧客の経営状況が悪化し、航海気象・航空気象の売上へのマイナス影響が発生しています。今後は回復傾向を見込むものの未だ予断を許さない状況が継続すると認識しております。
気象環境については、気候変動によるオーストラリアの山火事など世界的な極端気象や激甚災害が増加しており、気象リスクが顕在化してきています。日本においても2019年の台風15号・19号の大雨や強風の影響による堤防の決壊や大規模な停電など自然災害による甚大な被害が相次ぎ、気象リスクに対する一層の対応策のニーズを実感しております。こうした気象と企業を取り巻く環境の変化に対して、当社では気象サービスを通じて世界中の企業・人々の生活に対する気象リスクを軽減することをミッションとして、気象会社としての本分に努めてまいります。
また、SDGsの17目標の一つである「気候変動に具体的な対策を」に示されるように、気象・気候に対して社会の関心が高まるとともに、企業経営においてもESGへの取り組みが促進されています。ESGに係る企業価値向上への当社の取り組みとしては、当社が扱う事業ドメインの性質を活用し、気象サービスの提供を通じて顧客の環境貢献のサポートを行うと共に、減災の観点で企業・個人の生活の支援に取り組み、その実績を定量的・定性的にディスクローズしてまいります。
(2)対処すべき課題(中期経営計画)
1.中長期的な会社の経営戦略
<当社のミッション>当社グループは「全世界77億人の情報交信台」という夢に向かって、サポーターとともに最多・最速・最新の気象コンテンツサービスにより気象・環境に関する社会的リスクに対応する「気象コンテンツ・メーカー」になることを基本コンセプトとしており、気象コンテンツ市場のフロントランナーとして、独創的に新たな市場を創造しながら「サポーター価値創造」と企業価値の最大化を目指します。
また、このコンセプトの実現のため、「世界最大のデータベース・世界No.1の予報精度・あらゆる市場でのRisk Communicator」をコアコンピタンスと考え、Full Service“Weather & Climate” Companyとなることが当社のミッションであると認識しています。
<第4成長期のビジョン>当社では、第1成長期(1986年6月から1995年5月)は「事業の成長性」、第2成長期(1995年6月から2004年5月)は「ビジネスモデルの多様性」、第3成長期(2004年6月から2012年5月)は「経営の健全性」をテーマに掲げ、事業を展開してまいりました。第4成長期(2012年6月から2022年5月)は「革新性」をテーマに掲げ、サービスを本格的にグローバル展開することを目指します。
<第4成長期の基本戦略>「Service CompanyからService & Infrastructure Company with the Supporterへ」
当社には、RC(Risk Communication)サービスを組織的に運営すると同時に顧客とともに革新的なインフラを整備し、交通気象・環境気象を中心としたビジネスを立ち上げてきた経験があります。この経験を基にアジア、ヨーロッパ、アメリカにおいて新たなグローバルビジネスを展開してまいります。
2020年5月期より、各市場の売上及び利益の責任を明確にするために、主要な事業をPlanning(Sea Planning:航海気象、Sky Planning:航空気象、Land Planning:陸上気象、Environment Planning:環境気象、Mobile・Internet Planning: モバイル・インターネット気象、Broadcast Planning:放送気象、Sports Planning:スポーツ気象)と称し、各市場に特化したサービス企画・運営・開発・営業を行い事業を推進しています。そしてBtoB市場において国内・海外のTG売上比率50:50を目指します。
なお、各Planningに共通する部門(共同利用インフラ運営及び開発・管理部門)をSSIと称し、各Planningを専門的な見地でサポートし、会社全体での品質及び生産性の向上を実現します。また、取締役は執行範囲を定めず事業全体を監督し、執行体制においてチェック・アンド・バランスを働かせます。
(事業分野別の戦略)
| 事業分野 | 事業戦略 |
| 航海気象 | ・10,000隻へルーティングサービスを拡大 (※新型コロナウイルス感染症拡大による市況低迷の影響で達成時期は1年の遅れを見込む) |
| 航空気象 | ・欧州、アメリカ市場への展開 |
| 陸上気象 | ・国内向けを中心とした極端気象に伴うサービス開発及びその強化 ・道路鉄道分野におけるアジア市場への展開 |
| 環境気象 | ・需要予測によるエネルギー会社等の環境エネルギー市場展開 ・販売量予測をもとにした流通小売市場展開 |
| 放送気象 | ・市場の維持と共に、放送局向けインターネット型サービスの模索 |
| モバイル・ インターネット気象 | ・日本における圧倒的No.1の気象コンテンツプラットフォーム |
| スポーツ気象 | ・国内外のスポーツ大会の運営支援、代表チームへのサポート ・アスリート向け新サービスの検討 |
<エリア展開>既に展開中のアジア市場に加え、2021年5月期後半以降は、航空気象ではヨーロッパ・アメリカ市場のマーケティングの継続、環境気象ではヨーロッパ市場の更なる展開を推進します。
2.中期経営計画の概要とその進捗
当社では、2020年5月期からの3年間(2019年6月~2022年5月)を、「革新性」をテーマに交通気象のグローバル展開を目指す第4成長期のStage3とし、以下の4点を重点テーマとして推進することで事業の土台を一層安定させると共に、第5成長期を見据えた新規発展事業の創出を目指します。
1)既存事業の継続成長による収益基盤の強化
既存事業である航海気象、航空気象、環境気象、モバイル・インターネット気象は当社の基盤事業かつグローバルビジネスのポテンシャルを有していると認識しており、TG売上の増加及びBtoB事業における国内・海外のTG売上比率の50:50の達成に向けて、継続的に成長させ、収益基盤の強化を目指します。
<航海気象>航海気象は、国によるサービスが行われていない「公認民間市場(顕在化市場)」と言えます。当社は既にグローバル市場において航海気象サービスを展開しておりますが、サービス提供船は世界の外航船約20,000隻のうち30%程度です。第4成長期にはサービス品質を改善すると共に新サービスを開始し、世界の外航船約20,000隻の50%にあたる10,000隻へのサービス提供を目指します。なお、新型コロナウイルス感染症拡大による市況低迷の影響を受け、10,000隻達成のタイミングは1年の遅れを見込んでいます。
本サービスはサービスを提供する航海毎に課金することからサービス対象となる隻数をKPI(重要業績評価指標)として設定し、売上だけでなく市場占有率を含めた市場におけるポジショニングを示しています。
<航空気象>航空気象では日本・アジア市場を中心にサービス提供を進め、各国における当社のブランド認知度を高めています。第4成長期後半はヨーロッパ・アメリカ市場でも市場シェア及び当社のブランド認知度を高めるため展開を推進しています。
本サービスは航空会社別に契約を締結しサービスを提供しており、目的地となる空港数で価格が決定するためお客様の就航路線により契約金額が異なります。市場占有率など市場におけるポジショニングと進捗を明確にするため、KPIは全世界の航空会社320社の約25%にあたる85社へのサービス提供を目指しています。
<環境気象>全世界的な自然エネルギー利活用へ向けた構造変革を受け新たな顧客ニーズを認識しており、ヨーロッパ、日本、アジアのエネルギー企業に対し、需要予測の提供を中心とした環境気象の立ち上げと新規顧客の獲得を目指します。
新規市場においては象徴的な顧客(Symbolic Customer)と共に当社サービスを構築し拡販サービスの開発に繋ぐことから、市場展開の進捗度を示すKPIにSymbolic Customerの数を設定し、顧客数を29社まで拡大することを目指します。
<モバイル・インターネット気象>各国の気象庁から提供される観測データ(Observation)だけでなく、独自の衛星、レーダー、小型観測機、ライブカメラ等に加え、サポーターから送られてくる膨大な写真や体感データに代表される“感測”データ(Eye-servation)をAI・Deep Learningなどの最新技術を活用して解析し、他社には模倣できないコンテンツを創造していきます。これらのコンテンツを自社以外の多様化する様々なプラットフォームにも展開することで有料会員を増やすと共に、広告事業も伸ばしていきます。
アプリ「ウェザーニュース」へのトラフィックの流入が有料会員数の増加や広告事業のブランドに繋がると分析しており、継続的なサービス利用者を示す指標である月間利用者数(MAU)をKPIと設定し、MAU4,470万人の到達を目指します。
2)世界最高品質の予報精度の追究とコンテンツ生産力の飛躍的向上
世界最大規模の気象・気候データベース及び独自AI解析を用いた世界No.1の予報精度の実現と、新たな基幹データベース・開発プラットフォーム及び独自AI技術を用いたコンテンツ生産力の向上を目指します。
当社ではこれまで整備してきたWNI衛星・WITHレーダーなどの独自気象観測インフラで観測した気象データ、各市場の顧客とコミュニケーションを交わす中で蓄積されてきたビジネスデータ、サポーターから提供される感測データなどから構成される世界最大規模の気象・気候データベースと、AIによる解析・予測等のIT技術を駆使することで、90%以上の予報精度を実現し、当社の気象予報におけるブランド価値を高めます。また、画一的な予測ではない、市場毎のニーズに合わせた「世界No.1の予報精度」の実現を目指しています。RCサービスの提供においても、従来の人による予測値の修正やコミュニケーションの一部を最新IT技術によって代替し、品質と生産力を高めて利益率の向上に繋げます。
当期は、ナウキャスト(数時間先までの予報)及び欧州における気温の予報精度が向上しました。また、次世代の独自観測インフラ「Eagle Radar」の準備が進み、来期の実装を目指します。独自AI解析による業務改善も進んでおり、引き続き予報精度と生産力の向上に努めます。
3)マーケットを加速するITサービス基盤の整備
全世界77億人がデバイスなどの環境に関わらず迅速かつグローバルに気象情報を活用できるインフラ環境の整備、そして「事業継続計画(以下、BCP: Business Continuity Plan)」を踏まえた事業の継続性の実現を目指しています。開発プラットフォームの整備に伴うシステム開発スピードの向上及びサーバーの一極集中による災害時のシステム障害リスクに対するレジリエンスの強化を見据え、物理サーバからクラウドサーバへの移行を推進します。また、気象情報の外部連携によるマーケットへの価値創造サイクルの推進を目指し、ITインフラのクラウド化を通じてサービス開発の高速化と迅速な顧客へのサービス提供を可能とし、市場展開や他業種・グローバルでのコラボレーションを加速します。
当期はクラウド化のガイドライン作成等クラウドへ全面移行するための環境整備に取り組み、一部では実際に移行を開始しました。
4)気候変動に対応した新規発展事業の創出
市場におけるビジネスリスクの調査と詳細分析、極端気象や気候変動による事業リスクに適応するサービスの創造など、気象リスクに対するあらゆる角度からのサービスの開発・提供を目指します。従来の気象環境による事業運営リスクに対する支援だけでなく、継続的に経済的損害が発生するような事業構造リスクへの対応へと事業領域を拡大することで長期的な成長を実現します。
当期は、長期的な事業構造リスクの調査分析及びリスクへの適応支援サービスの立ち上げを目標に各市場のマーケティングを推進し、航海気象市場では日本国内の船会社を対象とした、極端気象による到着遅延に対応する補償サービスの試験運用を検討しています。
(3) 今後の見通し
新型コロナウイルスの感染拡大の影響やその収束時期は依然として不透明ですが、経済活動の水準は緩やかに回復していくと想定しております。各事業分野の動向や特性に応じた要素を現時点で可能な限り加味し、2021年5月期の11月末まで新型コロナウイルスの感染拡大の影響が継続する前提で業績見通しを策定しております。
売上面では、米中貿易摩擦や新型コロナウイルス感染症拡大などによる経済低迷の影響を受け、BtoB市場では航海・航空気象市場を中心に販売進捗の遅れが見込まれるものの、沿岸部における座礁・衝突リスクに対応するサービスなど、各市場における極端気象に対応したサービスの投下を通じて、BtoB市場は堅調に成長することを見込んでおります。BtoS市場においては、モバイル・インターネット気象のグロースハック体制による自社配信コンテンツの充実とTVCMなど認知度向上によるトラフィックの増加に伴うスマートフォン向けサービス売上と広告売上の成長を見込んでおります。利益面では、ビジネスを成長させる広告投資の増加はあるものの、前中期経営計画の積極投資期間中に採用した人財及び基幹システムの整備によるソフトウェア開発効率向上とサービス運営人員の最適化を図ることで、当期と同程度の利益を見込んでおります。
なお、新型コロナウイルスの感染拡大の影響が見込みより長引く可能性を更なるリスクとして認識しております。この場合、影響継続によって営業活動が減速し、それに伴って売上が減少することが見込まれますが、費用面においても営業活動のための旅費交通費の減少や売上を前提とした開発時期の先送りなどが併せて発生するため、大幅な利益影響は発生しないと予想しています。
こうした取り組みの結果として、2021年5月期は、売上高19,200百万円、営業利益2,300百万円、経常利益2,300百万円、親会社株主に帰属する当期純利益1,700百万円と見込んでいます。
(当期の進捗)
| 事業分野 | KPI | 進捗 | ||
| 22.5期末 目標 | 20.5期末 計画 | 20.5期末 実績 | ||
| BtoB事業全体の TG売上比率 (国内:海外) | 50:50 | 60:40 | 61:39 | ・BtoB事業全体(TG)は増収したが、海外売上を牽引する航海気象及び航空気象が新型コロナウイルス感染症拡大の影響による販売計画未達で海外売上比率は停滞 |
| 1)既存事業の継続成長による収益基盤の強化 | ||||
| 航海気象 (隻数) | 8,000 | 6,000 | 4,600 | ・市況低迷によるサービス提供隻数が計画を下回る。 ・新サービス「NAR (Navigation Assessment & Routeing)」の開発状況は計画通り。来期からのサービス拡大を見込む。 |
| 航空気象 (顧客数) | 85 | 57 | 60 | ・東南アジア顧客を中心にサービス提供が拡大するも新型コロナウイルス感染症拡大の影響等で計画値を下回る。 ・来期にはヨーロッパ、アメリカ市場での顧客獲得を目指し、新サービスの投入を推進する。 |
| 環境気象 (顧客数) | 29 | 8 | 8 | ・計画通りSymbolic Customer8社を獲得。 ・来期からは新規市場でのサービスメニューの共創に取り組む。 |
| モバイル・インターネット気象 (MAU:万人) | 4,470 | 2,950 | 3,242 | ・グロースハック体制の強化や広告投資の効果で当期計画値を大きく上回る。 ・来期も継続して広告投資を実施し、MAU増加を見込む。 |
| 2)世界最高品質の予報精度の追究とコンテンツ生産力の飛躍的向上 | ||||
| 予報精度 (%) | 90.0 以上 | 90.0 | 93.3 | ・ナウキャスト及び欧州における気温の予報精度が向上。 ・来期からは的中率向上にも取り組むことから降水捕捉率は変動するものの、90%維持を目指す。 |