有価証券報告書-第35期(令和2年7月1日-令和3年6月30日)

【提出】
2021/09/27 16:04
【資料】
PDFをみる
【項目】
128項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当企業集団が判断したものであります。
(1) 経営方針
当企業集団は、「クライアントとともに社会問題をビジネスで解決する、価値共創企業」となることを方針として掲げております。これまで当社が培ってきた真の課題を探り出す能力、リソースの埋もれた価値を炙り出す能力、及び課題とリソースの最適な組み合わせを提案・実行し価値を最大化する能力、これら3つのケイパビリティを基に、国内の民間企業のみならず、国内外の民間・政府・自治体へサービス提供を行います。そのために、既存事業の価値創造力の強化、新規事業への投資、及びM&Aを積極的に進めてまいります。
(2) 経営戦略等
当企業集団は、IT/AI/IoTを中心とする幅広い事業領域のポートフォリオを通じて、とりわけ価値創造経営支援事業、IT/AI/IoT関連事業、及び社会問題解決型事業に注力しつつ、上記ケイパビリティをベースに顧客価値を最大化してまいります。グループ内の連携のみならず、各業界のスペシャリストやパートナー企業をはじめ社外と有機的に連携し、これを実現してまいります。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当企業集団は、中長期的な企業価値の向上を図るという観点から、Non-GAAP指標における売上収益及び営業利益、投下資本利益率(ROIC)、及び加重平均資本コスト(WACC)を重要視しております。
(4) 経営環境
技術革新や新型コロナウイルスの影響も相まって、国内外を問わず、経済や社会のデジタルシフトが加速しております。企業や自治体等の公的機関は、その変化に適応できるよう更なるデジタル化に力を入れています。例えば、コンタクトセンターの受電業務や、申込書等書類の入出力作業等のAIによる無人化、ロボティクス技術を活用した省力化等へのデジタル投資が積極的に行われ、IT/AI/IoT市場は今後も急速な成長が続くことが予測されます。
当企業集団としては、IT/AI/IoTを中心とする幅広い事業領域のポートフォリオを通じ、新しいイノべーションを創出しつつ、社会課題やニーズを捉え、解決に導くことで、この成長を取り込んでまいります。
(5) 事業上及び財務上の対処すべき課題
① M&Aや事業提携による成長の加速
SaaS/ASPを含むIT/AI/IoT市場において、競争の優位性を確保するとともに、次の効果創出を目的としたM&Aや事業提携を積極的に検討・実施してまいります。
(ⅰ) 持続的な成長の柱となりうる新規事業ドメインへの参入
(ⅱ) 顧客基盤の獲得、既存サービスのシェア拡大
(ⅲ) 新たなノウハウや技術の獲得、サービスラインナップの充実によるサービス力の強化
(ⅳ) 有能なエンジニアの補強、開発体制の強化
② 人材採用・育成及び組織力の強化
当企業集団は、人材を最も重要な資産として捉えております。今後も事業の成長を支える優秀な人材の採用・育成に注力しています。年齢等属性を問わず、ポテンシャルが高く、やる気に溢れたスタッフを採用するとともに、専門分野を有するエキスパートの採用を強化しています。
更に、グループ内の適材適所への配置を柔軟に行い、グループ全体の生産性・機動性を高め、社内全体の士気向上、従業員のモチベーションアップ、ひいては組織力の強化に取り組んでまいります。
(6) 事業別の課題
① IT/AI/IoT/DX事業
(ⅰ) 技術開発
主力サービスであるFAQ管理サービス、Webチャットボット、有人チャット、IVRサービス等で使用するテクノロジーをはじめ、SaaS/ASPサービスの進化に伴うAI/IoTの技術を取り入れ、品質の向上及び新たなサービスの展開に取り組んでおります。今後も技術力を更に磨き上げ、外部開発会社連携プラットフォームを新たに開発し、アプリケーション開発や既存のデータベースやメディアとの融合等、ユーザーのニーズにマッチするサービス提供を展開してまいります。
(ⅱ) 現行サービスの更なる改善と新サービスの提供
AI/IoTの技術を取り入れ、現行サービスを更に機能強化していくとともに、サービス間の関連性を高めた、付加価値の高い新サービスの開発・提供に注力いたします。
具体的には、カスタマーサポート部門の業務効率化を目的として、既存サービスのFAQシステム『i-ask』やWebチャットボットシステム『i-assist』の運用の自動化、電話で自動音声応答する『IVRサービス』とAIを連携させた、無人オペレーターでの対応の実現、人に替わりに作業を行う、IVRとAIOCR、RPAの連携サービスの実現に向けた取り組みを進めてまいります。
(ⅲ) 共創による事業の創出
大企業・自治体に対してデジタルID・AIツールについての提案活動を強化し、案件を効率的に拡大していくための外部関係会社連携プラットフォームの構築に取り組んでいます。これまで培ってきたIT/AI/IoT技術を用いて、大企業クライアントのDXを推進するとともに、新規事業、新規サービスの創出や、既存事業を再定義し、再成長を加速するというテーマの中で、国内外のDXを推進するために各業界、関連技術に精通したパートナーとの協業を積極的に進めております。
② カスタマーサポート事業
リモートワーク下のコンタクトセンターに必要なAI、ITツール活用における課題解決の提案、加えて、多くのパートナーとのフレキシブルかつ迅速な情報連携を武器とした、パンデミック禍等による突発的な人手不足における応急、恒久的なBPOの受託の提案を推進してまいります。従前型のコールセンター業務に代わるサービス、特にWithコロナの新時代のニーズを捉えたカスタマーサポート業務全般に対するコンサルティングを通じて支援し、このサービスの範囲拡大によって、サービス提供体制の強化に取り組んでおります。
③ 人材・教育事業
人材事業において、従前の体育会学生に焦点を当てた採用支援、関連イベントの企画・運営支援にとどまらず、女子学生に特化した採用支援『女子キャリ』事業にも力を入れ、近時の女性活躍推進の流れを受けた顧客企業の取り組みを採用からその能力発揮まで幅広く支援してまいります。
教育事業において、子育てが社会コミュニティーの重要な構成要素である点を踏まえ、コミュニティー開発に積極的に取り組む他業種・他社との協業・連携を進めております。これにより、従来の幼保施設の運営やサービスにとどまらない、コミュニティーと一体になった付加価値が高い独自のサービスを築いてまいります。
④ EC事業
対戦型ゲームのトレーディングカード(TCG)業界におけるネットショップの大手としてサービスの研鑽に取り組んでおり、その一環として、内製化したシステムの改修・改善に取り組み、併せてSEOをはじめデジタルマーケティングの強化等に取り組んでおります。
⑤ 投資・インキュベーション事業
当企業集団の持続的な成長と企業価値向上につながるM&A等の投資活動、及び新規性のある事業やサービスの開発に向けたインキュベーションに取り組んでおります。