有価証券報告書-第39期(令和3年7月1日-令和4年6月30日)

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2022/09/28 11:45
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(1) 【コーポレート・ガバナンスの概要】
(コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方)
当社は、「次代の情報化社会の安全性と利便性を創出する」ことを経営理念に掲げており、それに則って、「高速、安全、高品質で利便性の高いIT基盤を提供する」事業を推進することによって企業価値を高め、社会に貢献することを経営方針に掲げています。
当社が開発するシステムは、社会にとって必要不可欠なIT基盤(インフラストラクチャー)であり、システムの安定性を必須の条件として、高速かつ安全に取引を完遂するために、高い水準の品質が求められています。当社は、多くの開発実績と安定的な運用実績を有しており、この実績によって顧客から得られる信頼が、当社の事業を支え、発展させる基盤になるものと考えています。
当社は、今後ともより多くの顧客に信頼されるIT基盤の提供を通じて、当社の事業基盤を拡大、発展させていくことで、当社のステークホルダーの期待に応えることを経営方針にしています。
当社は、独立社外取締役、独立社外監査役を選任し、これら独立役員を主要な構成員とする指名・報酬委員会を取締役会の下に設置し、経営監督機能の強化を進めています。
また、当社の経営と事業の状況を理解するうえで有益な情報を公正かつ速やかに開示し、市場との対話を促進することで、経営の透明性を確保することを基本方針にしています。併せて、社員のコンプライアンス意識を高めるための教育を徹底し、総合的にコーポレート・ガバナンスの充実に努めています。
(コーポレート・ガバナンス体制の概要及び採用理由)
当社は、取締役会及び監査役会によるコーポレート・ガバナンス体制を構築しています。当社は本報告時点で独立役員として取締役6名中2名、監査役5名中3名を選任しており、取締役会に独立役員が出席することで客観的、中立的な監視のもと経営意思決定が行われています。また独立社外取締役と監査役会が連携する現在の体制は、外部的な視点をもって経営の監視、監督が可能であり適正なガバナンスが確保されることから、当社において現在の体制が有用であると考えて選択しています。加えて、当社では執行役員制度の導入、任意の委員会の設置、運営により取締役会の適正性を確保し、コーポレート・ガバナンスの強化を図っています。
①取締役会
当社は、経営上重要な事項の審議及び決定を行い、また取締役の職務執行の監督を行う機関として、取締役6名(うち独立社外取締役2名)で構成される取締役会を設置しています。当社は、取締役会は以下の責務を適切に果たすものと規定しています。
1.企業戦略等の大きな方向性を示すこと
2.健全な企業家精神に基づき企業価値向上に資する施策を検討、実行すること
3.取締役または執行役員に対する実効性の高い監督を行うこと
2022年6月期の取締役会の活動実績については、以下のとおりです。
当社は、定例の取締役会を毎月開催するほか、随時に臨時取締役会を開催しており、当期は19回開催しました。
19回の開催の内、監査役1名が1回欠席しましたが、それ以外は取締役と監査役が、全ての取締役会に出席しました。なお、2020年9月25日付で執行役員制度を導入し経営の監視と業務執行責任の明確化を図ったことと、経営会議において議案に係る情報の説明と共有が事前に行われていることにより、取締役会は効率的かつ十分な議論の機会をもつことができました。
2022年6月期の取締役会では、経営上重要な事項として、中期経営計画の検討、承認や、従業員の人事制度に関する議案、組織改編及び幹部人事等に関する議案を含む74件の決議を行いました。
研究開発に関する議案については、一定以上の規模または内容から重要性が高いとされた案件について検討し、議決しました。財務に関する議案としては、主に決算及び予算の承認に関する議案について議決しました。
また、業績予想及び事業の進捗状況、委員会からの報告事項、関連当事者取引、稟議決裁の状況について等、62件の報告事項を個別に検討し、議論することで、取締役及び執行役員の職務執行の監督を行いました。
決議事項、報告事項のいずれにおいても、独立社外取締役から担当取締役に対して詳細な説明が求められ、議事に対して積極的な意見交換が行われました。
当社は、取締役会の開催頻度及び出席率の高さや実際の議論の内容等から、取締役会による経営意思決定及び取締役の職務執行の監督が適切に行われており、コーポレート・ガバナンスの観点から有効に機能していると評価しています。また、当社取締役会は、定期的に外部機関に委託して全役員に取締役会の実効性に関するアンケート調査を行い、結果の報告を受けています。
当社は、経営会議において、幅広い議案について必要な情報の説明報告、質疑応答を行っており、取締役会の議論の充実化に努めています。また、これまで、ペーパーレス会議のツールやWeb会議を導入して取締役会資料の閲覧と共有を行う等、効率的な運営と情報管理の強化のための改善を行っています。こうした取組みを通じて、取締役会の実効性の向上を進めています。
取締役会は、経営上の重要な意思決定を行い、執行役員の業務執行の状況について監督することで、コーポレート・ガバナンスの強化に取組みます。
②指名・報酬委員会
当社は、「指名・報酬委員会規則」に基づき、取締役会の諮問機関として指名・報酬委員会を設置、運営しています。指名・報酬委員会は、独立社外取締役2名全員及び代表取締役社長で構成され、社外役員の構成が過半数を超えることで外部的な視点を確保したうえで、取締役から諮問を受けた取締役候補者及び監査役候補者の指名と、報酬に係る議題について審議のうえ意見を集約し、取締役会に答申します。このような指名・報酬委員会の設置、運営が、取締役の指名、報酬に係る取締役会の機能の独立性、客観性と説明責任の強化に寄与しています。
指名・報酬委員会は2022年6月期に5回開催され、各開催時間は1時間程度でした。主な議題として、取締役候補者及び執行役員の選任、常勤取締役の報酬制度の見直しについて、社外監査役3名全員がオブザーバとして立ち合い、検討、議論を行いました。
取締役会は、2022年7月27日に開催した定時取締役会において、指名・報酬委員会の答申を受け、2020年9月9日の定時取締役会にて決議した現行の報酬制度が、業績連動部分の構成比が42%から47%に高まっていることを踏まえ、取締役にとって、当社の持続的な成長と企業価値向上に貢献する意識を高め、当社の中長期的な飛躍に資すると判断し、報酬制度を2023年9月まで継続することを決議しました。
なお、取締役会は、2021年9月29日に開催した定時取締役会において、独立社外取締役三木健一、独立社外取締役渡部晃、代表取締役社長佐藤邦光の3名を指名・報酬委員会委員に選任することを決議しました。併せて指名・報酬委員会は、同日開催した指名・報酬委員会において、独立社外取締役三木健一を指名・報酬委員会委員長に選任しました。
③特別委員会
当社は、「特別委員会規程」に基づき、支配株主である大日本印刷株式会社と少数株主との利益が相反する重要な取引、行為が生じる場合、その他必要と認められる事項が生じる場合、審議・検討の上、取締役会に対して答申を行う機関として2021年12月8日に特別委員会を設置しました。特別委員会は、独立社外取締役2名全員及び独立社外監査役1名の社外役員のみで構成され、議案の提出者として代表取締役社長は委員会に出席できますが、議決権を有していません。
特別委員会は2022年6月期に2回開催され、各開催時間は15分程度でした。特別委員会は、毎年6月に開催する定めとなっており、2022年6月23日に開催いたしましたが、審議する該当事項はありませんでした。
なお、取締役会は、2021年12月8日に開催した臨時取締役会において、独立社外取締役渡部晃、独立社外取締役三木健一、独立社外監査役佐藤宏の3名を特別委員会委員に選任し、2022年1月13日に開催した特別委員会において、独立社外取締役渡部晃を特別委員会委員長に選任しました。
④リスク管理委員会
当社は、信頼性のある財務報告の作成のため、適切な階層の経営者、管理者を関与させる有効なリスク評価の仕組みとして、社内規程に基づき、リスク管理委員会の制度を設置、運営しています。リスク管理委員会は、取締役会の直轄であり、代表取締役社長を委員長とし、執行役員を委員として、四半期に一度、及び必要に応じて随時開催し、社内規程に基づき、各会議体等からリスクの抽出、分析、評価及び改善策の策定状況の報告を受け、その網羅性、妥当性についての確認、評価並びに今後の対応方針に係る必要な指導と監督、対応中のリスクに対するフォローアップを行っています。また、組織の変更やITの開発など、信頼性のある財務報告の作成に重要な影響を及ぼす可能性のある変化が発生する都度、リスクを再評価する仕組みを設定し、適切な対応を行っています。
2022年6月期は、全4回開催し、各開催時間は1時間程度でした。リスク管理委員会は、業務運用管理委員会、セキュリティ委員会等の各会議体等が管轄するリスク対応について網羅的に報告を受け、企業の内外の諸要因及び当該要因が信頼性のある財務報告の作成に及ぼす影響を適切に考慮したうえで、各リスクを認識、評価し、必要な指示、指導を行っています。前期において開始した、新型コロナウィルス感染症リスクの調査、報告及び評価は、当期以降、経営会議にて継続しています。
リスク管理委員会は、当社の経営者をはじめとする経営幹部が積極的に関与して、事業活動に関わるリスクや不測の事態の損害抑制、また信頼性のある財務報告の作成のための各種リスクを評価、管理する仕組みとして有効に機能しているものと評価しています。
⑤経営会議
当社は、「経営会議規則」に基づき、経営会議を設置、運営しています。経営会議は、全ての取締役、執行役員及び監査役の出席のもと、執行役員、各部門長や事業責任者、その他社内の関係者から、取締役会への付議が予定される議案に関する背景等の補足情報や論点の理解に必要となる情報の説明が行われます。また、進行中の研究開発案件、個別の開発案件についての進捗状況や関連リスクの報告、あるいは、当社製品及びサービスに関する技術的な知識又は専門的な情報についての説明も行われ、取締役及び監査役はこれらの理解を深めています。いずれも、取締役会での議論の質的向上及び取締役会の実効性の向上を目的とした情報連携を趣旨としているため、経営会議としては決裁権限を有しておらず意思決定は行いません。
2022年6月期は、全11回開催し、議題は31件、各開催時間は1時間30分程度でした。クラウドサービス事業の新規大型事業に関わる開発投資の案件の報告が最も多く、当社製品の次世代版開発といった研究開発の案件の報告、新規事業の展望、計画、進捗状況についての報告、個別開発案件の機能強化等についての報告が中心の議題となり、17件を占めました。
2022年6月期の経営会議での議題の一部は、その後の取締役会において議案として上程され、充分かつ効率的な議論の結果、決議されています。経営会議の設置、運営が、当社のコーポレート・ガバナンス、特に取締役会での議論を充実させ、適切な意思決定プロセスに寄与できているものと評価しています。
⑥内部統制委員会
当社は、財務報告に係る内部統制の整備、運用及び評価に関して、「内部統制基本規程」に従い、内部統制委員会を設置、運営しています。内部統制委員会は、代表取締役社長を委員長とし、各部門の担当執行役員を委員として、年2回、また必要に応じて随時開催しています。
2022年6月期は全2回開催し、当期の内部統制の整備、運用及び評価に関する全体計画として策定した内部統制基本計画書の承認を行いました。また、財務報告の虚偽記載リスクは何であるかを明確にしたうえで、内部統制基本計画書に従って行われた当社の内部統制の整備状況及び運用状況の報告の受領、並びにこれらを評価担当者が独立的立場から確認した各種評価資料及び報告書を受領し、その説明を受け、内容のレビューを行いました。その結論として、内部統制委員会では当社の内部統制が有効に機能していると判断しました。
内部統制委員会は、当社の財務報告の信頼性を確保するために取り組んでいる内部統制の最終的な確認機関として、財務諸表に重大な影響を及ぼす可能性のある情報の把握と管理を行っており、当社のコーポレート・ガバナンスに寄与できているものと評価しています。
⑦業務運用管理委員会
当社は「業務運用管理委員会規程」に基づき、業務運用管理委員会を設置、運営しています。業務運用管理委員会は、経営管理本部担当執行役員を委員長とし、経営管理本部長のほか、経営管理本部、監査部及び経営企画室の管理職を委員として、次の事項に対して重点的に取り組み、強化に向けた具体的な協議を行い、課題の改善活動を推進しています。
1.規程の見直しと運用状況の確認及び改訂又は廃止のために必要な施策の立案と実施
2.適正なコーポレート・ガバナンスの実現に係る具体的な施策の運用管理に関することや、内部統制システム の運用と改善に係る具体的な施策の検討
3.法令違反行為や不正行為の未然防止、生じた場合の把握と対応、再発防止策の指示、その他不正リスクの低減のために必要となる具体的な施策の検討
2022年6月期は、全21回開催し、各開催時間は1時間半程度でした。業務運用管理委員会は、当社の内部統制システムや社内管理体制の具体的な整備と運用の状況を確認し、必要な具体的施策の立案と実施を行っています。また、単に不正に関する表面的な事実だけでなく、不正を犯させるに至る動機、原因、背景等を踏まえ、社内調査したうえで、適切にリスクを評価し、リスク管理委員会に報告しています。
具体例として、他社において近年発生した不正会計事件を題材として、同様の手口での犯行が当社において可能であるか等の不正リスク要因の有無について社内調査を行い、不正行為を可能とする環境要因及びその対策について検討を行いました。
業務運用管理委員会は、当社が整備する内部統制システムの具体的な整備状況及び運用状況を点検し、具体的な対応を検討する常設の会議体であり、当社のコーポレート・ガバナンスの状況を点検し、具体的な対応策を実施しているものと評価しています。
⑧個人情報保護推進事務局
プライバシーマーク制度とは、個人情報について適切な保護措置を講ずる体制を整備している事業者等を評価して、その旨を示すプライバシーマークを付与し、事業活動に関してプライバシーマークの使用を認める制度です。
当社は、2002年5月にプライバシーマーク制度の初回認定を受けて以来、制度認証を維持してきました。個人情報保護推進事務局は、プライバシーマーク制度の整備、運用の主管部門として設置され、個人情報の適正な取り扱いと運用を推進するための機関として機能しており、2022年6月期は、2年に1度のプライバシーマーク制度の更新審査の年にあたり、今回で11回目の認証を取得することができました。また、2022年4月1日施行の個人情報保護法(2020年6月12日公布)改正に応じて公開文書(「個人情報の取扱いについて」)や社内規程等の改訂を事務局が中心となり進めました。個人情報保護推進事務局は、四半期毎の活動実績をリスク管理委員会へ報告しています。
個人情報保護の重要性は一層増しており、より適切な対応が求められます。法令やガイドラインの改正も注視しつつ、個人情報保護に関する高品質な管理運営を進めます。
⑨セキュリティ委員会
当社は、当社の事業を阻害するセキュリティリスクを排除して事業の継続性を確保することを目的として、情報セキュリティ管理のための『情報セキュリティポリシー』を制定し当社のウェブサイトに掲示しています。
情報セキュリティポリシーに定められた理念や施策を実現するために、社内の情報セキュリティ部門及び情報システム部門の従業員で構成されるセキュリティ委員会を設置して、具体的な情報セキュリティ対策を推進しています。
2022年6月期は、定例のセキュリティ委員会を隔週で26回開催しました。
各種の情報セキュリティ対策を検討し、社内規程や運用方法等に具体化して社内へ周知しています。また、定められたルールの運用検査を行い、関係者へ具体策を指示しています。顧客からのセキュリティ対策についての要望や問合せを一元的に委員会で検討し、対策を具体化しつつ遺漏がないように努めています。
当期は、特に全従業員のテレワーク業務に関わるセキュリティを担保しながら、利便性を向上させるツールへの更改と、テレワークに関わるセキュリティ関連規程類の再整備と施行を実施しました。このほか、社内に導入している各種セキュリティ対策システムやツールの運用状況について、詳細かつ具体的な評価検討と、必要な対策の追加、オンライン教育研修のためのコンテンツの制作等を行いました。また、BCP対策の一環として、情報資産を保管する各種サーバ類のバックアップシステムの更改を実施して、自然災害等の発生時にもサービスを継続させることができるDR(ディザスタリカバリ)サイトの構築を推進しました。
委員会の活動は、当社の情報セキュリティ対策の強化を推進し、セキュリティリスクの低減と当社事業の継続性に貢献しているものと評価しています。
⑩サステナビリティ委員会制度
当社は、持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)の趣旨に則り、環境、社会、ガバナンスに関する課題解決に自律的に取組むことで、当社事業の持続的な成長と、社会の持続可能な発展に貢献します。
サステナビリティ委員会は、代表取締役社長である佐藤邦光を委員長とし、常勤取締役を主な委員として構成しており、2022年6月期は、定例のサステナビリティ委員会を4回開催しました。委員会と事務局を分離することで、それぞれ認証機関、執行機関としての役割を持ち、監視・牽制の機能を果たしています。また、取締役会はサステナビリティ委員会で協議、決議された内容の報告を受け、課題への対応、計画等について議論、監督を行っています。
サステナビリティ委員会は、当社の企業行動基準が掲げる「社会への貢献」「良い企業風土の構築」「多様性の尊重」「地球環境への配慮」その他の実践に係る方針を定め、全社的な活動推進の継続性を確保するための基幹的な組織として活動しています。
重要な社会インフラを担うシステム開発会社である当社にとって、人的資本である従業員等は最も重要な経営資源であり、健康経営宣言のもと健康増進を進め、2022年3月9日、経済産業省指定の「健康経営優良法人2022(大規模法人部門)」に認定されました。
当委員会及び事務局は、2022年7月より推進体制をさらに強化し、ESG経営の考えを社内に浸透させると同時に、気候変動のリスクと機会を特定して分析、管理を進め、当社の強みを生かした新たなソリューション創出を目指します。
(体制図)

⑪内部通報制度
当社は、公益通報者保護法が規定する社員等からの組織的又は個人的な法令違反行為等に関する相談又は通報の適正な処理の仕組みを定め、不正行為等の早期発見と是正を図ることを目的に、「内部通報者の保護に関する規程」を定めています。
本規程に基づき、当社は経営管理本部担当執行役員を内部通報対応責任者に定めるとともに、経営管理本部内に内部通報対応事務局(以下、事務局とする)を設置しています。内部通報及び相談窓口は、内部通報者保護の観点から外部機関に委託しており、外部機関との連絡窓口を事務局が担っています。外部機関のほか、事務局や当社監査役に直接通報及び相談することもできます。事務局の構成員は「内部通報対応責任者等名簿」に記載され、社内周知しています。当社は、通報対応の実効性を確保することを目的に、事務局の構成員に対して、定期的に社外研修等の教育を受けさせるとともに、「秘密保持誓約書」に署名捺印のうえ、内部通報対応責任者に提出させています。
外部機関に通報された事項に関する事実関係の調査は、内部通報対応責任者の指揮の下、事務局が行います。監査役に対して直接通報があった場合は、監査役又は監査役が適当と認め指名した者が、内部通報対応担当者として本規程に基づいた調査及び是正措置等を行います。調査の結果、不正行為が明らかになった場合には、当該行為に関与した者に対し、当社就業規則に従って処分を課します。
当社は、内部通報者及び調査協力者の保護の観点から、内部通報者に対して解雇やその他いかなる不利益な取り扱いも行いません。本規程上も、内部通報者が内部通報又は相談したことを理由として、職場環境が悪化することのないように適切な措置を講ずることを定めています。これは調査協力者についても同様です。
実際の通報については社内調査のうえ、定められた手続きで対応が完了しています。運用状況について、内部通報責任者は、個人情報に十分留意のうえ、リスク管理委員会に報告しており、処理の適正さについて評価を受けています。
⑫研修、教育制度
当社は、社員一人ひとりのコンプライアンスの意識を高めるために、定期的な社員研修、教育制度を構築し、運用しています。
2022年6月期においては、「内部統制とコンプライアンス、個人情報保護研修」をテーマとして、「コンプライアンス概論」「内部統制」「反社会的勢力への対応」「地球環境への配慮」「ダイバーシティ基本講座」「ハラスメント防止」など、当社で研修資料を作成した16のプログラムを、常勤役員のほか全社員及び派遣社員にEラーニング形式で受講させ、全員が受講しました。また、「インサイダー取引規制研修」も実施し、日本取引所自主規制法人が提供するプログラムについて同様に全員が受講しました。
このようなコンプライアンスに関する教育機会を継続的に提供することで、コンプライアンスの徹底を図り、コーポレート・ガバナンスの充実を図っています。
⑬監査役会
当社は、監査役設置会社であり、本報告書提出日現在において、5名の監査役(うち、常勤監査役1名、社外監査役3名)で監査役会を構成しています。定例の監査役会を毎月開催するほか、随時に臨時監査役会を開催して、監査に関する重要な事項の決議、協議及び報告を行っています。各監査役は、監査役会で策定された監査計画に基づき監査役監査を実施することにより、取締役の職務執行を監視しています。
2022年6月期における監査役会の活動実績については、後出(3)[監査の状況]①監査役監査の状況に記載のとおりです。
なお、本報告書提出日現在における上記の会議体等の各機関の長及び構成員は、下表のとおりです。
役職氏名/機関取締役会指名・報酬委員会特別
委員会
リスク
管理
委員会
内部統制
委員会
経営会議監査役会
代表取締役社長佐藤邦光
取締役 専務執行役員立野岡健一
取締役 常務執行役員後藤泰佐
取締役 執行役員佐古都江
独立社外取締役渡部 晃
独立社外取締役三木健一
常勤監査役松田 剛
非常勤監査役別府直之
独立社外監査役佐藤 宏
独立社外監査役竹林 昇
独立社外監査役堀江正之

※各機関の長に該当する者を「◎」、構成員を「〇」で示しています。
上記の内容を含む当社のコーポレート・ガバナンス体制の模式図は、以下のとおりです。


(内部統制システムに関する基本的な考え方及びその整備状況)
当社は、会社法及び会社法施行規則に基づき、当社及び当社グループの業務の適正を確保するための体制の基本方針として、取締役会において次のとおり「内部統制システム整備基本方針」を決議しています。
なお、「内部統制システム整備基本方針」においては子会社に係る規定を設けていますが、報告時点において該当する子会社は存在しません。
「内部統制システム整備基本方針」
1.当社の取締役及び使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制
当社の取締役及び使用人が、法令及び定款を遵守し、社会的責任並びに企業倫理の確立に努めるため、「コンプライアンス基本方針」及び「企業行動基準」を定める。
また、コンプライアンス体制の維持、向上のために、「コンプライアンス・マニュアル」を整備して、社内研修等の教材に活用し、周知徹底を図る。
反社会的勢力対応の基本姿勢として「コンプライアンス基本方針」、「企業行動基準」及び「コンプライアンス・マニュアル」を社内外に明確に宣言し、毅然とした態度で臨み、必要に応じて警察及び顧問弁護士、また外部専門機関(暴力追放運動推進センター)等に通報し、連携することで、これら反社会的勢力との関係を一切遮断する。
監査部は「内部監査規程」に従い、法令、定款及び社内諸規程を遵守して、社内業務が実施されているかを定期的に確認し、社長に報告する。
2.当社の取締役の職務の執行に係る情報の保存及び管理に関する体制
当社の取締役の職務の執行に係る情報及びその他の重要な情報については、法令に準拠した「文書管理規程」を始めとする社内諸規程に基づき、電磁的記録を含む文書の作成、保存、管理及び廃棄等の取扱いを明確にするとともに、必要に応じて取締役、監査役、会計監査人等が閲覧可能な状態を維持する。
3.当社の損失の危険の管理に関する規程その他の体制
当社は、当社及びグループ会社の事業活動の全般に係わる様々なリスク、又は不測の事態が発生した場合の損害、影響等を最小限にとどめるため、「リスク管理規程」、「リスク管理細則」、「リスク管理委員会規程」を定め、当社の経営及び事業上の重要なリスクを管理する各会議体による統制と、各会議体によるリスク管理状況をモニタリングするリスク管理委員会の体制を整える。
4.当社の取締役の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制
当社は、定例取締役会を毎月開催し、また必要に応じて臨時取締役会を開催して、経営上の重要事項の意思決定並びに各取締役の業務執行状況を監督するとともに、各取締役間の意思疎通を図り、職務遂行の効率化を確保する。
また、取締役会には、取締役会で業務執行を委任された業務部門責任者を適宜同席させ、担当業務の執行状況の報告を受ける。
取締役会の他では、取締役、執行役員、監査役及び各取締役に指名された幹部社員が出席する会議、本部長による会議、その他業務上必要とする重要な会議を定期又は適宜に開催し、的確で効率的な意思決定による職務執行を行う。
5.当社並びにその親会社及び子会社から成る企業集団における業務の適正を確保するための体制
当社は、親会社である大日本印刷株式会社(以下、「DNP」という。)が定める「DNPグループ・コンプライアンス管理基本規程」に準拠し、DNPグループにおける一員としての業務の適正を確保する。
また、当社の子会社及び関連会社に対しては、当社にて「関係会社管理規程」をはじめ諸規程を整備し、その方針、規程に従い、グループ各社の自主性を尊重しつつ、当社グループとして透明性のある適切な経営管理を行う。更に、子会社に対しては、業務の適正を確保すべく、次に掲げる①~④の体制を構築する。
①当社の取締役は、子会社社長との定期的な会議や、子会社取締役会その他重要な会議に適宜出席することを通じて、子会社職務の執行に係る事項の報告を受ける。
また、子会社管理業務を管掌する当社経営管理本部経理部は、子会社各部門から職務の執行に係る報告を受ける。
②子会社においても当社の「リスク管理規程」を準用し、子会社が行う事業活動上のリスクを子会社でも独自に管理する体制を整備する。
③当社の役員又は使用人が子会社取締役等を兼任し、当社が間接的に子会社経営に関与することにより、グループの経営方針に基づいた子会社業務を推進するとともに、子会社の職務の執行の効率化も確保する。
④当社グループ全体で遵守すべき「企業行動基準」「コンプライアンス基本方針」を子会社においても順守させ、法令及び定款に適合する体制を確保する。また、当社の監査部は、「内部監査規程」に従い、適正な監査を確保する体制を整備し、子会社業務に対しても実施、点検、評価、改善を指導する。
6.当社の監査役がその職務を補助すべき使用人を置くことを求めた場合における当該使用人に関する事項、当該使用人の取締役からの独立性に関する事項及び当該使用人への監査役の指示の実効性の確保に関する事項
監査役その職務を補助すべき使用人を求めた場合には、その要請に応じて、適切な人材を配置する。
監査役より必要な命令を受けて業務を行う使用人は、当該業務に関しては、取締役からの独立性を確保し、当該使用人の人事異動、人事考課及び懲戒処分等は、事前に監査役会の同意を得る。
また、監査役の指示の実効性を確保するために、監査役から指示命令があった場合にはこれを最優先に取り扱い、監査役監査に必要な情報を収集し、監査役へ業務執行状況を適切に報告する。
7.当社の取締役及び使用人が監査役に報告をするための体制並びに当社の子会社の取締役、監査役、使用人の当社の監査役への報告に関する体制
当社及び当社子会社の取締役、監査役及び使用人は、会社に著しい損害を及ぼすおそれがある事実を発見した時、又は、職務執行に関して不正行為、法令、定款に違反する重大な事実、その他コンプライアンス上重要な事項について速やかに当社監査役に報告する。
なお、報告した者に対しては、「内部通報者の保護に関する規程」に準じた保護と秘密保持に最大限の配慮をする。
8.当社の監査役の職務の遂行について生ずる費用の前払い又は償還の手続きその他の職務遂行について生ずる費用又は債務の処理に係る方針に関する事項
当社の監査役がその職務の執行について費用の前払等を請求した場合は、監査役の職務の執行に必要でないと認められた場合を除き、会社は速やかにその請求に応じる。
9.その他当社の監査役の監査が実効的に行われることを確保するための体制
当社の監査役は、取締役会及びその他重要な会議に出席し、必要な助言又は勧告を行う。
また、稟議書、報告書等を閲覧し、会社経営全般の状況を把握し、必要に応じて、代表取締役社長、会計監査人との意思疎通を図り、定期的に意見交換を行い、監査部とも連携し、監査の実効性を高める。
(取締役の定数)
当社は、定款で取締役の定数を15名以内と定めています。
(取締役の選任の決議事項)
当社は、取締役の選任決議において、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の過半数をもって行う旨、及び累積投票によらない旨を、定款で定めています。
(株主総会決議事項を取締役会で決議することができることとした事項)
1.自己株式の取得
当社は、資本効率の向上と経営環境に応じた機動的な資本政策の遂行のため、会社法第165条第2項の規定により、取締役会の決議によって市場取引等により、自己の株式を取得することができる旨を定款で定めています。
2.責任限定契約の内容の概要
当社は、会社法第427条第1項の規定に基づき、取締役(業務執行取締役等であるものを除く)及び監査役との間において、会社法第423条第1項の賠償責任を限定する契約を締結しています。なお、当該契約に基づく賠償責任限度額は、善意でかつ重大な過失がないときは、法令が規定する額としています。
3.役員等賠償責任保険契約の内容の概要
当社は、取締役、監査役、執行役員を被保険者として、会社法第430条の3第1項に規定する役員等賠償責任保険契約を保険会社との間で締結しており、保険料は、全額当社が負担しています。
当該保険契約では、被保険者がその地位に基づき行った行為に起因して損害賠償請求がなされた場合に、被保険者が被る損害賠償金や争訟費用を当該保険契約により填補することとしています。
ただし、法令違反を認識して行った行為に起因して生じた損害は填補されないなど、一定の免責事由があります。
4.中間配当
当社は、株主への機動的な利益還元のため、取締役会決議によって毎年12月31日の最終の株主名簿に記載又は記録された株主又は登録株式質権者に対して、会社法第454条第5項に定める金銭による剰余金の配当をすることができる旨を定款で定めています。
(株主総会の特別決議要件)
当社は、株主総会の円滑な運営のため、会社法第309条第2項に定める株主総会の特別決議要件について、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の3分の2以上をもって決議を行う旨を定款で定めています。