有価証券報告書-第25期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/30 12:04
【資料】
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【項目】
114項目

業績等の概要

(1) 業績
国内の情報通信分野においては、スマートフォンやタブレット型多機能端末の普及が一層進みフィーチャーフォンが減少するなか、平成28年10月から12月までのスマートフォンからのインターネット平均利用者数は前年同期比13%増の5,897万人と引き続き増加しており(※1)、スマートフォンへの切り替えに伴うサービスの変容が引き続き求められています。
音楽コンテンツ市場においては、平成28年の国内音楽ソフト売上高はほぼ横ばいながら2,985億円と減少いたしました。また、有料音楽配信の売上は前年同期比12%増の529億円となりましたが(※2)、月額定額料金で音楽が聴き放題になるサブスクリプションサービスがシングルトラック(1曲ごとのダウンロード)の売上を初めて上回るなど、音楽を楽しむ環境が変化しており、今後も消費者の嗜好やライフスタイルに合わせたサービスを機敏に提供していくことの重要さが増しています。
※1ニールセン株式会社「DIGITAL TRENDS 2016」
※2一般社団法人日本レコード協会「日本のレコード産業 2017」

このような環境の下、当社は、創業以来コンテンツのデジタル流通に注力してきた取組みを活かし、引き続き『マルチコンテンツ&マルチデバイス戦略(様々なコンテンツを、必要なときに、必要な場所で楽しむことができる環境の創造)』を推進し、インターネット上に溢れる情報を収集、整理し、付加価値を高めてユーザーに提供するプラットフォームの開発など市場環境の変化に応じた新規サービスの展開に取り組んでまいりました。
また、当社は、平成29年3月1日付で、株式会社ドリーミュージックの過半数の株式を取得し、同社を新たにフェイス・グループに迎え入れました。株式会社ドリーミュージックは、平成13年に設立された日本レコード協会加盟のメジャーレーベルであり、加山雄三、森山良子、小野リサをはじめ、ファンキーモンキーベイビーズ、平原綾香など、J-POPを代表する多数のアーティストを輩出するとともに、アニメレーベルFeel Mee(フィールミー)においては、「新テニスの王子様」を中心に多くのファンに支持されています。フェイス・グループが進めるアーティスト向けプラットフォーム事業やアーティストの育成・開発、楽曲制作、宣伝・販売などの事業に対する相乗効果を発揮してまいります。
当社グループの当連結会計年度の業績については、主要な売上である既存配信サービスの売上は引き続き減少しているものの、市場環境に応じた新たなサービスの投入のほか、連結子会社である日本コロムビア株式会社の業績が好調に推移したことにより、売上高は前期比3.1%増の20,795百万円、営業利益は前期比14.6%増の1,757百万円、経常利益は前期比0.6%増の1,539百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比11.5%減の571百万円となりました。また、平成29年3月28日付で、当社を株式交換完全親会社とし、日本コロムビア株式会社を株式交換完全子会社とする株式交換を行うことを両社の取締役会で決議し、両社間で株式交換契約を締結いたしました。本株式交換は、当社においては平成29年6月29日、日本コロムビア株式会社においては平成29年6月23日にそれぞれ開催の定時株主総会の決議による株式交換契約の承認を受けております。当社が日本コロムビア株式会社を完全子会社化することにより、フェイス・グループにおける音楽業界の変革期に対応する創造力を一層強化でき、日本コロムビア株式会社の企業価値向上に資するものであるのみならず、フェイス・グループ全体の企業価値の向上のためにも非常に有益であると考えております。
セグメントの業績は、次のとおりであります。なお、株式会社ドリーミュージックを連結子会社としたことにより、当連結会計年度から報告セグメントの名称について、コロムビア事業に同社を加え、レーベル事業としております。
<コンテンツ事業>コンテンツ事業においては、スマートフォンなどの普及や音楽視聴スタイルの変化など市場環境に応じた新たな商品開発を積極的に進めているほか、多様化する収益源の獲得に向けてプラットフォーム化などを行うとともに、既存の事業を含めたサービス内容や市場性の結果検証を行い、機能の改善や各サービスの連動など、より付加価値を高める施策を推進しております。
「FaRao PRO」は、業務用BGMの提供のみならず、店舗のブランディングを提案するソリューションやアナウンス機能など、店舗運営に必要な機能拡充、営業活動を積極的に展開しております。日本でのサービスを基盤として、フランス、インドネシアにおいて「FaRao PRO」事業を開始しており、今後とも、国内外において新たなBGM市場の創造と活性化を目指してまいります。
アーティスト向けプラットフォーム「Fans'」は、オフィシャルサイトの構築、楽曲・映像配信、アーティストグッズの販売、ファンクラブ運営などアーティスト活動に必要な機能の拡充を行っております。より多くのアーティストが作品や情報を自由に発信できるサービスとして、利用者の獲得、拡大を目指すとともに、使いやすさの追求等サービス品質の向上に努めてまいります。
この結果、コンテンツ事業の売上高は、市場環境の変化に合わせた新たなサービス展開を積極的に進めたものの、フィーチャーフォン向けサービスの売上減少により前期比3.2%減の4,405百万円となり、営業損失は56百万円(前期は営業利益128百万円)となりました。
<ポイント事業>ポイント事業においては、新規事業の立ち上がりの遅れがあるものの、ポイントカード加盟店でのポイント発行が堅調に推移し、セルフリキデーション(※3)事業も好調であったことにより、売上高は前期比4.6%増の2,413百万円となりました。一方、営業利益は、販売費及び一般管理費が人材投資等で増加したことにより前期比56.8%減の85百万円となりました。
※3 シールなどのポイントを貯めて、様々な商品を割引価格で購入できるキャンペーン
<レーベル事業>レーベル事業においては、音楽市場の縮小に伴う音楽・映像関連業界の厳しい環境の下、パッケージ商品に依存している状況からの脱却を図るため、新規事業強化への構造改革が急務であるという認識に基づき、成長分野への経営資源の集中投下を進めております。
業績につきましては、日本コロムビア株式会社のアニメ関連作品、ゲームソフトおよびアーティストマネジメント関連事業の売上が好調に推移したことなどにより、売上高は前期比5.0%増の13,975百万円となりました。損益につきましては、売上の増加に加え、利益率の高い過年度発売作品の売上が堅調に推移したことなどにより、営業利益は前期比43.8%増の1,728百万円となりました。
※本文書に記載されている商品・サービス名は当社の日本またはその他の国における商標または登録商標です。
(2) キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ2,855百万円増加し、前期比26.2%増の13,768百万円となりました。
当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益1,709百万円にのれん償却額161百万円、減価償却費337百万円を加算したこと、仕入債務の増加480百万円、法人税等の支払い336百万円があったことなどにより前期比37.2%増の2,471百万円の収入となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の払戻による収入が2,008百万円、投資有価証券売却による収入が233百万円および連結の範囲変更を伴う子会社株式の取得による収入が188百万円あったものの、定期預金の預入による支出が500百万円、ソフトウエアの取得による支出が269百万円、投資有価証券の取得による支出が403百万円、有価証券の取得による支出が230百万円あったことなどにより、前期比33.7%減の839百万円の収入となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出が396百万円、配当金の支払額が99百万円あったことなどにより、前期比65.8%減の512百万円の支出となりました。