訂正有価証券報告書-第23期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2016/06/27 12:08
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123項目

業績等の概要

(1) 業績
世界的にインターネット環境の整備とともにスマートフォン・タブレット等の高機能なモバイル端末が普及しつつある中、国内の情報通信分野においては、平成26年には携帯電話端末全体に占めるスマートフォン契約数の比率が過半数にまで達しており(※1)、MVNOをはじめ安価で多様な機種やサービスプランも登場するなど、今後もこの拡大傾向は続くと予測されております。
このようにスマートフォン・タブレット端末の急速な普及とモバイル端末の性能の進化や通信インフラの発達に伴い、音楽コンテンツ市場においても、CDからデジタル配信へ、PCからモバイルへ、さらにダウンロードからストリーミングへと市場環境と流通のしくみが変化しています。世界的には、平成26年に初めて音楽配信の年間売上高がCDやレコードなどの音楽ソフトを上回ったほか、データを受信しながら音楽再生するストリーミングや、月額の定額料金で音楽が聴き放題となるサブスクリプションといったサービスが大きく伸長(※2)し、ライブビジネスとリアルタイムでライブを発信するライブストリーミングや、音楽への接点が多様化することに伴う著作権管理などが成長分野として注目されています。
日本の音楽コンテンツ市場は、諸外国と比べて新たな成長分野への進展が立ち遅れている状況にありますが、今後はインターネットとスマートフォンの普及・高機能化を背景に、デジタル化時代に沿ったサービスへの移行が加速していくものと見込まれ、環境の変化に合わせたサービス展開を機敏に提供していくことがますます重要となっています。
※1 総務省「平成26年版情報通信白書」
※2 国際レコード産業連盟(IFPI)「Digital Music Report 2015」
このような環境のもと、当社グループは引き続き『マルチコンテンツ&マルチデバイス戦略(様々なコンテンツを、必要なときに、必要な場所で楽しむことができる環境の創造)』を推進し、インターネット上に溢れる情報を収集、整理し、付加価値を高めてユーザーに提供するプラットフォームの開発など市場環境の変化に応じた新規サービス展開に取り組んでまいりました。また、音楽事業においては、グループ間の事業シナジーを活かした音楽サービスのプラットフォーム構築や、サブスクリプションをはじめとする音楽配信事業にいち早く取り組み、注力いたしました。
当社グループの当連結会計年度の業績については、スマートフォン向けサービスの売上は堅調に伸びているものの、当社グループの主要な売上であるフィーチャーフォン向け配信サービスの売上が減少したほか、当連結会計年度の期首より連結子会社として業績を算入している日本コロムビア株式会社での利益率の高い過年度発売パッケージ商品の売上が全般的に大きく減少し、コロムビア事業セグメントの売上高および営業損失が加わったため、売上高は前期比209.1%増の19,597百万円、営業損失は891百万円(前期は508百万円の営業利益)、経常損失は862百万円(前期は586百万円の経常利益)となりました。また、当社の一部の連結子会社において取得時計画に比べ利益計上が遅れている等からのれん減損損失2,062百万円を特別損失に計上したこと、日本コロムビア株式会社において組織改革関連損失434百万円を特別損失に計上したこと等により、当期純損失は3,340百万円(前期は403百万円の当期純利益)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
<コンテンツ事業>コンテンツ事業においては、スマートフォン等の普及、ライフスタイルの変化など市場環境に応じた新たな商品開発を積極的に進めているほか、多様化する収益の獲得に向けて各サービスの連動やプラットフォーム化などを行うとともに、既存の事業を含めたサービス内容や市場性の結果検証を行い、機能の改善や他のサービスとの組み合わせなど、より付加価値を高める施策を推進しております。これらの取組みは、国内にとどまらず高い成長率が見込めるアジア諸国などグローバルでの事業展開を見据えており、引き続き新たな成長機会へチャレンジしております。
また、平成26年11月より飲食店や小売店向けにBGM機能に加え販売促進などの店舗運営に必要な機能を兼ね備えた店舗ソリューションサービス「FaRao PRO」を新たに販売開始いたしました。平成27年3月には専用タブレットチューナーモデルを投入し、店舗の希望に沿ったカスタマイズチャンネルを武器に、チェーン店のほか未開拓の中小店舗市場もターゲットとして導入拡大を図っております。今後は、海外展開も視野に入れ、国内外において新たなBGM市場の創造を目指してまいります。
ファンクラブ運営やライブチケット等の販売などアーティスト活動のすべてをワンストップで提供できる「Fans'」は、当社グループの多様な音楽・アーティスト関連サービスの機能を活用した音楽ビジネスの総合プラットフォームとして平成27年4月に本格始動し、平成26年6月に事業譲受した国内最大のバンドメンバー募集ソーシャルメディア「with9」とも連携することで機能充実を図るなど、今後もアーティストとファンの交流に必要となる機能を付加し、さらなる利用者拡大を図ってまいります。
さらに、アーティスト育成・開発の取り組み「POP ICON PROJECT TOKYO」をはじめ、平成26年9月には日本コロムビア株式会社からメジャーデビューしたガールズボーカルユニット「color-code(カラーコード)」など、「Fans'」を活用して世界に向け日本文化を発信するポップアイコンとして世界展開を開始しております。
音楽以外の教育コミュニケーションの分野では、世界展開中の知育アプリ専門ブランド「Kidzapplanet/キッザプラネット」から、実際に子育て中のママ&パパが企画開発した育児アプリ「Baby Smile」をはじめ計5タイトルをリリースいたしました。これら育児、教育に関わるスマートフォン向けサービスは、国や自治体でも活用が検討されているニーズの高い分野であり、今後も新たなサービスの投入を予定しております。
この結果、コンテンツ事業の売上高は、市場環境の変化に合わせた新たなサービス展開を積極的に進めているものの、フィーチャーフォン向けの売上減少により、前期比9.1%減の4,550百万円となりました。営業利益は、売上減少による要因のほか新規サービス立ち上げに伴うコスト増加などにより前期比64.0%減の168百万円となりました。
<ポイント事業>ポイント事業においては、ポイント加盟店の新規出店のほか、積極的なポイントセールプロモーションの実施によって、ポイント発行が増加し、売上高は前期比84.2%増の2,454百万円となりました。営業利益は、販売費及び一般管理費を抑制したものの、サーバー管理型への移行に伴う旧ポイントの一時的な回収増により、前期比35.6%減の26百万円となりました。
<コロムビア事業>コロムビア事業においては、音楽市場の縮小に伴う音楽・映像関連業界の厳しい環境のもと、音楽CD・配信や通販会社向け商品販売の売上が全般的に減少しているため、構造改革を進めております。
業績につきましては、利益率の高い過年度発売作品の売上割合の減少が利益水準を押し下げる要因となり、売上高は12,591百万円、営業損失は1,104百万円となりました。なお、コロムビア事業の売上高および営業損失は、当連結会計年度の期首より当社グループの業績として算入しているため、前期との比較は行っておりません。
※本文書に記載されている商品・サービス名は株式会社フェイスの日本またはその他の国における商標または登録商標です。
(2) キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ2,069百万円減少し、前期比18.1%減の9,346百万円となりました。
当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純損失3,701百万円にのれん減損損失2,062百万円、組織改革関連損失434百万円、減価償却費368百万円、売上債権の減少額363百万円、のれん償却額266百万円、海外事業整理損143百万円、減損損失116百万円を加算したこと等により、前期比99.4%減の9百万円の収入となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の払戻による収入が4,036百万円あったものの、定期預金の預入による支出が5,034百万円あったこと、ソフトウエアの取得による支出が373百万円あったこと等により、1,456百万円の支出(前期は4,093百万円の収入)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入が1,000百万円があったものの、自己株式取得による支出が500百万円、長期借入金の返済による支出が456百万円、短期借入金の純減額による支出が270百万円、配当金の支払額が114百万円あったこと等により、前期比21.6%増の634百万円の支出となりました。