訂正有価証券報告書-第23期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2016/06/27 12:08
【資料】
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【項目】
123項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりまして、以下の事項が当社グループの重要な判断および見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
① 収益の認識
コンテンツ事業につきましては、数多くのコンテンツを所有するカラオケメーカー、ゲームメーカーなどのコンテンツプロバイダに対し、当社グループのコンテンツ配信ソリューションを提供することにより、当該サービスに加入する会員数またはコンテンツのダウンロード数に応じてユーザーより回収した金額をもとに所定のロイヤリティをコンテンツプロバイダからの報告書をもとに売上計上しております。また、当社グループ自らがコンテンツプロバイダとして行っているサービスについては、会員数の推移等を総合的に勘案しつつ、合理的な方法で売上高を発生基準により見積り計上しております。
ポイント事業につきましては、原則として出荷基準にて加盟店(代理店を含む)へのポイント登録カード販売額(契約に基づく掛率による)を計上しております。
コロムビア事業につきましては、市販事業における製品に係る売上高は、製品がレコード特約店等に出荷された時点で認識し、総売上高から返品高を控除した純売上高を計上しております。
② 売上原価
コンテンツ事業につきましては、サービスをするにあたって必要なサーバー保守費用やシステム構築費用、楽曲等を制作するための費用及び著作権料等並びにそれらに係る労務費や諸経費を売上原価としております。
ポイント事業につきましては、加盟店から返却されるフルマークカード(交換済ポイント)ならびにポイント交換のための仕入商品、加盟店に販売する販促ツールの制作費等を販売原価としております。また、売上高と売上原価を期間対応させるため出荷ポイントのうち未交換ポイント残高を一定の計算方式により見積原価として計上しております。見積原価は、総未交換ポイント残高のうち4年(統計的分析結果に基づく最終的な未使用状態の固定化に要する年数)を経過した未交換ポイントは使用される可能性が低いことから当該見積原価より控除して計上しております。
コロムビア事業につきまして、録音費、アーティスト印税、他社所有原盤権使用料などの原盤制作費は、関連作品に係る売上高を認識するまで資産計上し、同時点で原価に計上しております。関連作品の売上予定が無くなったと判断した場合、資産計上されていた原盤制作費は、その事由が判明した時点で全額原価として処理しております。前払費用にはアーティストに支払う契約金や前払印税が含まれております。契約金は契約期間に対応して償却を行っており、前払印税は売上高に対応して原価計上し、また個々のアーティストの過去の作品の販売実績等に基づく販売見込み額を勘案し、予想される将来の売上高に対応して原価計上しております。
③ 投資の減損
売買目的有価証券以外の有価証券のうち時価のあるものについて、時価が著しく下落したときは、回復する見込みがあると認められる場合を除き、投資の減損を行います。この場合における「時価が著しく下落したとき」とは、個々の銘柄の有価証券の時価が取得原価に比べ50%以上下落した場合をいいます。また、下落率が30%以上50%未満の銘柄については、過去の株価の推移や発行会社の業績等を勘案し、減損処理の要否を検討しております。市場価格のない株式については、当該株式の発行会社の財政状態の悪化により実質価額が著しく低下したときは、投資の減損を行います。この場合における「実質価額が著しく低下したとき」とは、株式の実質価額が取得原価に比べ50%以上低下した場合をいいます。ただし、当該発行会社の財政状態及び経営成績、将来の事業計画等により回復可能性が認められる場合には、投資の減損を行わない場合もあります。
④ 返品制度と返品調整引当金
著作権保護の観点から著作物であるCD等に関しては、レコード会社が市場での販売価格を定め、小売店が決められた定価で販売する再販売価格維持制度が定められております。これを背景として、一般にレコード会社と特約店等との販売契約において、レコード会社に製品を返品することができる旨約定されております。このため当社グループは将来の返品に備えて、過去の返品実績に基づく合理的な見積りにより算出した返品調整引当金を計上しております。
⑤ 貸倒引当金
当社グループは、債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しております。なお、取引先の財政状態が悪化し、その支払能力が低下した場合、追加引当が必要となる場合があります。
⑥ 退職給付に係る会計処理
従業員の退職給付に備えるため、当連結会計年度末における退職給付債務から年金資産の額を控除した額を退職給付に係る負債として計上し、未認識数理計算上の差異、未認識過去勤務費用及び会計基準変更時差異の未処理額を退職給付に係る調整累計額として計上しております。
日本コロムビア㈱及び一部の子会社においては、受給者向けには確定給付企業年金制度を、従業員向けには退職慰労金支給規定に基づく退職一時金制度と確定拠出年金制度を併用した年金制度を採用しております。
また、当社及び一部の国内連結子会社は、退職一時金制度又は確定拠出年金制度を採用しており、退職給付に係る期末自己都合要支給額を退職給付債務とする方法を適用しております。
退職給付費用及び退職給付債務は数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率、死亡率及び年金資産の期待収益率などが含まれております。割引率は日本証券業協会の「格付けマトリクス表」によるダブルA格相当以上を得ている社債の利回りを勘案して算出しており、年金資産の期待収益率は年金資産が投資されている資産の種類毎の中期期待収益率に基づいて算出しております。将来、年金資産の運用利回りが低下した場合や、退職給付債務を計算する前提となる数理上の前提・仮定に変更があった場合には、退職給付債務や退職給付費用が増加し、影響を及ぼす可能性があります。
(2) 当連結会計年度の経営成績の分析
当連結会計年度における売上高は19,597百万円(前期比209.1%増)、売上原価は12,805百万円(同250.1%増)、販売費及び一般管理費は7,683百万円(同253.4%増)、営業損失は891百万円(前期は508百万円の営業利益)、経常損失は862百万円(前期は586百万円の経常利益)、当期純損失は3,340百万円(前期は403百万円の当期純利益)となりました。
① 売上高
売上高は、コンテンツ事業においてフィーチャーフォン向け配信サービスの減少したものの、ポイント事業においてポイントセールプロモーションの実施による増加、コロムビア事業において日本コロムビア㈱の業績を当連結会計年度の期首より算入していることによる増加により、前期比13,256百万円増の19,597百万円となりました。
② 売上原価、販売費及び一般管理費
売上原価は、主として①の売上高の増加に伴う売上原価の増加により、前期比9,148百万円増の12,805百万円となりました。販売費及び一般管理費は、主として日本コロムビア㈱の業績を当連結会計年度の期首より算入していることにより、前期比5,509百万円増の7,683百万円となりました。
③ 営業損失
コンテンツ事業の売上高の減少およびコロムビア事業での利益率の高い過年度発売パッケージ商品の売上が大きく減少したため営業損失は891百万円(前期は508百万円の営業利益)となりました。
④ 経常損失
営業損失が891百万円であったもののコロムビア事業において未払印税整理益を計上していること等により、経常損失は862百万円(前期は586百万円の経常利益)となりました。
⑤ 当期純損失
経常損失が862百万円であったことに加え、当社の一部の連結子会社において取得時計画に比べ利益計上が遅れている等からのれん減損損失2,062百万円を計上したこと、日本コロムビア㈱において組織改革関連損失434百万円を計上したこと等により税金等調整前当期純損失となりました。さらに、繰延税金資産を取り崩したことによる税負担の増加および少数株主損失を計上したことにより、当期純損失は3,340百万円(前期は403百万円の当期純利益)となりました。
(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について
「4 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(4) 戦略的現状と見通し
日本の音楽コンテンツ市場は、諸外国と比べて新たな成長分野への進展が立ち遅れている状況にありますが、今後はインターネットとスマートフォン普及・高機能化を背景に、デジタル化時代に沿ったサービスへの移行が加速していくものと見込まれ、環境の変化に合わせたサービス展開を機敏に提供していくことがますます重要となっています。
このような環境の下、当社グループは引き続き『マルチコンテンツ&マルチデバイス戦略(様々なコンテンツを、必要なときに、必要な場所で楽しむことができる環境の創造)』を推進し、インターネット上に溢れる情報を収集、整理し、付加価値を高めてユーザーに提供するプラットフォームの開発など市場環境の変化に応じた新規サービス展開に取り組んでおります。
国内のコンテンツ産業は、次々と出現する新たな発想による技術や情報伝達手段等により成長を続けております。また、これに伴いユーザーニーズの多様化・複雑化もさらに加速し、市場では無料配信をはじめとする種々雑多なコンテンツが氾濫しております。当社グループは、グループシナジーの追求とグループ全体での効率的な事業運営を行うとともに、市場環境に対応した付加価値の高い優良なコンテンツをネットワークや情報端末にとらわれず横断的に提供することを目指し、中長期的な観点で事業戦略を推進いたします。
また、コンテンツビジネスへの先行投資やM&Aをはじめとする様々な施策を実行し、戦略的に活用することで当社グループの中核事業である音楽を中心としたコンテンツ事業に経営資源を集中してまいります。
(5) 資本の財源および資金の流動性についての分析
当社グループの資金状況は、営業活動によるキャッシュ・フローでは9百万円の収入(前期比99.4%減)、投資活動によるキャッシュ・フローでは1,456百万円の支出(前連結会計年度は4,093百万円の収入)、財務活動によるキャッシュ・フローでは634百万円の支出(前期比21.6%増)となり、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ2,069百万円減少し、9,346百万円(前期比18.1%減)となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純損失3,701百万円にのれん減損損失2,062百万円、組織改革関連損失434百万円、減価償却費368百万円、売上債権の減少額363百万円、のれん償却額266百万円、海外事業整理損143百万円、減損損失116百万円を加算したこと等により9百万円の資金を得ております。
投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の払戻による収入が4,036百万円あったものの、定期預金の預入による支出が5,034百万円あったこと、ソフトウエアの取得による支出が373百万円あったこと等により1,456百万円の資金を使用しております。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入が1,000百万円があったものの、自己株式取得による支出が500百万円、長期借入金の返済による支出が456百万円、短期借入金の純減額による支出が270百万円、配当金の支払額が114百万円あったこと等により634百万円の資金を使用しております。
(6) 経営者の問題意識と今後の方針について
当社グループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するように努めております。
日本の音楽コンテンツ市場は、諸外国と比べて新たな成長分野への進展が立ち遅れている状況にありますが、今後はインターネットとスマートフォン普及・高機能化を背景に、デジタル化時代に沿ったサービスへの移行が加速していくものと見込まれ、環境の変化に合わせたサービス展開を機敏に提供していくことがますます重要と認識しております。
このような環境の下、当社グループは『マルチコンテンツ&マルチデバイス戦略(様々なコンテンツを、必要なときに、必要な場所で楽しむことができる環境の創造)』を推進し、インターネット上に溢れる情報を収集、整理し、付加価値を高めてユーザーに提供するプラットフォームの開発など市場環境の変化に応じた新規サービス展開に取り組んでまいります。