有価証券報告書-第26期(2024/01/01-2024/12/31)
(継続企業の前提に関する事項)
医薬品事業は、製品化までに多額の資金と長い時間を要する等の特性があり、創薬ベンチャーである当社グループは、継続的に営業損失及び営業キャッシュ・フローのマイナスを計上している状況にあります。そのため、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。
当社グループは当該状況を解消すべく、下記を重要な課題として取組んでおります。
①自社既存プロジェクトの推進
当社グループは、現在開発している医薬品等のプロジェクトを確実に進捗させることが重要な課題と認識しております。
当社グループでは、2019年3月にHGF遺伝子治療用製品コラテジェンの条件及び期限付承認を厚生労働省から取得し、同年9月から販売を開始いたしました。その後、2023年5月に厚生労働省に条件解除に向けた製造販売承認の申請を行いましたが、米国の良好な臨床試験結果を踏まえて、戦略的な観点から2024年6月に申請を一旦取り下げ、販売も終了いたしました。一方、米国での後期第Ⅱ相臨床試験は2024年6月に良好な結果が得られ、同年9月に米国FDAからブレイクスルーセラピー(画期的新薬)に指定され、2024年11月の米国心臓病学会において臨床試験の主導医師からトップラインデータが発表されました。
椎間板性腰痛症向けの核酸医薬NF-κBデコイオリゴDNAは、米国において後期第Ⅰ相臨床試験を完了し、2023年10月から日本国内における第Ⅱ相臨床試験を実施し、予定どおり症例登録を実施しております。
Vasomune社と共同開発しているTie2受容体アゴニストはこれまで重度の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による肺炎を対象としておりましたが、重症化リスクが低いオミクロン株への置き換わりが進んだことから、対象疾患をインフルエンザ等のウイルス性及び細菌性肺炎を含む急性呼吸切迫症候群(ARDS)に広げて米国FDAに申請し承認を受け前期第Ⅱ相臨床試験を進めております。
これら開発中の医薬品について、今後も優先順位を意識しながら開発を進めてまいります。
②開発パイプラインの拡充と事業基盤の拡大
当社グループの主力事業である医薬品開発では、開発品の製品化は非常に難易度が高いため、常に開発パイプラインを充実させることが重要な課題と認識しております。
当社グループでは上記プロジェクトに加え、ゲノム編集における先進技術を持つ米国の子会社Emendo社において、ゲノム編集治療の研究開発を進めております。同社は、ゲノム編集の安全な医療応用を目指し、新規CRISPRヌクレアーゼを探索・最適化するOMNI Platformを確立し、多数のOMNIヌクレアーゼを開発しております。2024年には同社のOMNIヌクレアーゼの技術をスウェーデンのAnocca社へライセンスする契約を締結しており、今後は米国においてゲノム編集技術の導出等を進める目的で体制強化を進めるとともに、今後スタンフォード大学とがんゲノム編集治療の共同研究を進めます。
また、広範な免疫応答を刺激し、ウイルスの増殖防止、拡散の阻止が期待される改良型DNAワクチンの経鼻投与製剤に関してスタンフォード大学と共同研究を実施し、薬物送達システムを開発いたしました。
これらの研究開発並びに提携先との共同開発などにより、事業基盤の拡大を目指してまいります。
開発パイプラインの拡充実績として、2022年5月に米国のバイオ医薬品企業 Eiger社と早老症治療薬ゾキンヴィの日本における独占販売契約を締結し、厚生労働省から希少疾病治療薬(オーファンドラッグ)の指定を受け2023年5月に、同省に国内製造販売承認申請を行い、2024年1月に厚生労働省から製造販売承認を取得いたしました。
また、事業基盤の拡大として、希少遺伝性疾患の拡大新生児スクリーニング検査を受託しているACRLでは自治体や民間の検査センター等との連携により受託拡大を進めております。さらに、これまでの拡大新生児スクリーニング検査に加え、希少遺伝性疾患の遺伝学的検査(確定検査)や治療の効果をモニタリングするバイオマーカーの検査など、希少遺伝性疾患の診断から治療に至るまでの包括的な検査を実施できる体制の構築を進め、検査業務の売上拡大を目指してまいります。
今後も、ライセンス導入や共同開発、他社に対する資本参加や他社の買収等により開発品パイプラインの拡充による事業基盤の拡大を図り、将来の成長を実現してまいります。
③開発プロジェクトにおける提携先の確保
当社グループでは、製薬会社との提携により、開発リスクを低減するとともに、契約一時金・マイルストーンや開発協力金を受け取ることにより財務リスクを低減しながら開発を進め、上市後にロイヤリティを受領するという提携モデルを事業運営の基本方針としております。
これまでの提携状況といたしましては、コラテジェンに関しましては、田辺三菱製薬と締結していた日本と米国を対象とした独占的販売契約が終了となりますが、患者数が日本に比べて圧倒的に多い米国及び欧州の当該医療事情に精通している、欧米地域を中心にグローバル展開を行っていくことができるパートナーとの提携を検討しております。NF-κBデコイオリゴDNAの日本国内における慢性椎間板性腰痛症を対象とした第Ⅱ相臨床試験では、塩野義製薬株式会社から臨床試験費用の一部負担などの協力を受けるとともに、続く第Ⅲ相臨床試験の実施について協議いたします。
今後も、更なる製薬会社等との提携を検討するとともに、開発プロジェクトに協力いただける企業を開拓し、事業基盤の強化に努めてまいります。
④資金調達の実施
当社グループにとって、上記①②を実現するために機動的に資金調達を行うことは重要な課題と認識しており、以下のようにこの課題に取り組んでおります。
2023年7月にBofA証券株式会社を割当先とする第43回新株予約権(第三者割当て)を発行し、調達開始から2024年3月末日までに12億8百万円を調達いたしました。また、2024年4月にCantor Fitzgerald Europeを割当先とした第1回無担保転換社債型新株予約権付社債を発行し、13億円の調達を行い5月24日までにすべての当該社債が株式に転換されました。Cantor Fitzgerald Europeを割当先とした第44回新株予約権は6月14日から行使が開始され、2024年9月30日までに14億73百万円(新株予約権発行に伴う入金を含む)を調達いたしました。さらに、2024年9月にCantor Fitzgerald Europeを割当先とした第1回無担保普通社債を発行し、13億円の調達を行い、2024年12月20日までにすべての当該社債を償還いたしました。加えて、Cantor Fitzgerald Europeを割当先とした第45回新株予約権(第三者割当て)を発行し、2024年12月末日までに14億32百万円(新株予約権発行に伴う入金を含む)を調達いたしました。
今後も、研究開発活動推進及び企業活動維持のために必要となる資金調達の可能性を適宜検討してまいります。
しかしながら、現時点において、第45回新株予約権の行使は株価等の動向に左右されることから未確定であり、また上記に記載したプロジェクトを継続的に進めるための更なる資金調達の方法、調達金額、調達時期については確定しておらず、当社は継続企業の前提に関する重要な不確実性が存在していると判断しております。
なお、連結財務諸表は継続企業を前提としており、上記のような継続企業の前提に関する重要な不確実性の影響を連結財務諸表には反映しておりません。
医薬品事業は、製品化までに多額の資金と長い時間を要する等の特性があり、創薬ベンチャーである当社グループは、継続的に営業損失及び営業キャッシュ・フローのマイナスを計上している状況にあります。そのため、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。
当社グループは当該状況を解消すべく、下記を重要な課題として取組んでおります。
①自社既存プロジェクトの推進
当社グループは、現在開発している医薬品等のプロジェクトを確実に進捗させることが重要な課題と認識しております。
当社グループでは、2019年3月にHGF遺伝子治療用製品コラテジェンの条件及び期限付承認を厚生労働省から取得し、同年9月から販売を開始いたしました。その後、2023年5月に厚生労働省に条件解除に向けた製造販売承認の申請を行いましたが、米国の良好な臨床試験結果を踏まえて、戦略的な観点から2024年6月に申請を一旦取り下げ、販売も終了いたしました。一方、米国での後期第Ⅱ相臨床試験は2024年6月に良好な結果が得られ、同年9月に米国FDAからブレイクスルーセラピー(画期的新薬)に指定され、2024年11月の米国心臓病学会において臨床試験の主導医師からトップラインデータが発表されました。
椎間板性腰痛症向けの核酸医薬NF-κBデコイオリゴDNAは、米国において後期第Ⅰ相臨床試験を完了し、2023年10月から日本国内における第Ⅱ相臨床試験を実施し、予定どおり症例登録を実施しております。
Vasomune社と共同開発しているTie2受容体アゴニストはこれまで重度の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による肺炎を対象としておりましたが、重症化リスクが低いオミクロン株への置き換わりが進んだことから、対象疾患をインフルエンザ等のウイルス性及び細菌性肺炎を含む急性呼吸切迫症候群(ARDS)に広げて米国FDAに申請し承認を受け前期第Ⅱ相臨床試験を進めております。
これら開発中の医薬品について、今後も優先順位を意識しながら開発を進めてまいります。
②開発パイプラインの拡充と事業基盤の拡大
当社グループの主力事業である医薬品開発では、開発品の製品化は非常に難易度が高いため、常に開発パイプラインを充実させることが重要な課題と認識しております。
当社グループでは上記プロジェクトに加え、ゲノム編集における先進技術を持つ米国の子会社Emendo社において、ゲノム編集治療の研究開発を進めております。同社は、ゲノム編集の安全な医療応用を目指し、新規CRISPRヌクレアーゼを探索・最適化するOMNI Platformを確立し、多数のOMNIヌクレアーゼを開発しております。2024年には同社のOMNIヌクレアーゼの技術をスウェーデンのAnocca社へライセンスする契約を締結しており、今後は米国においてゲノム編集技術の導出等を進める目的で体制強化を進めるとともに、今後スタンフォード大学とがんゲノム編集治療の共同研究を進めます。
また、広範な免疫応答を刺激し、ウイルスの増殖防止、拡散の阻止が期待される改良型DNAワクチンの経鼻投与製剤に関してスタンフォード大学と共同研究を実施し、薬物送達システムを開発いたしました。
これらの研究開発並びに提携先との共同開発などにより、事業基盤の拡大を目指してまいります。
開発パイプラインの拡充実績として、2022年5月に米国のバイオ医薬品企業 Eiger社と早老症治療薬ゾキンヴィの日本における独占販売契約を締結し、厚生労働省から希少疾病治療薬(オーファンドラッグ)の指定を受け2023年5月に、同省に国内製造販売承認申請を行い、2024年1月に厚生労働省から製造販売承認を取得いたしました。
また、事業基盤の拡大として、希少遺伝性疾患の拡大新生児スクリーニング検査を受託しているACRLでは自治体や民間の検査センター等との連携により受託拡大を進めております。さらに、これまでの拡大新生児スクリーニング検査に加え、希少遺伝性疾患の遺伝学的検査(確定検査)や治療の効果をモニタリングするバイオマーカーの検査など、希少遺伝性疾患の診断から治療に至るまでの包括的な検査を実施できる体制の構築を進め、検査業務の売上拡大を目指してまいります。
今後も、ライセンス導入や共同開発、他社に対する資本参加や他社の買収等により開発品パイプラインの拡充による事業基盤の拡大を図り、将来の成長を実現してまいります。
③開発プロジェクトにおける提携先の確保
当社グループでは、製薬会社との提携により、開発リスクを低減するとともに、契約一時金・マイルストーンや開発協力金を受け取ることにより財務リスクを低減しながら開発を進め、上市後にロイヤリティを受領するという提携モデルを事業運営の基本方針としております。
これまでの提携状況といたしましては、コラテジェンに関しましては、田辺三菱製薬と締結していた日本と米国を対象とした独占的販売契約が終了となりますが、患者数が日本に比べて圧倒的に多い米国及び欧州の当該医療事情に精通している、欧米地域を中心にグローバル展開を行っていくことができるパートナーとの提携を検討しております。NF-κBデコイオリゴDNAの日本国内における慢性椎間板性腰痛症を対象とした第Ⅱ相臨床試験では、塩野義製薬株式会社から臨床試験費用の一部負担などの協力を受けるとともに、続く第Ⅲ相臨床試験の実施について協議いたします。
今後も、更なる製薬会社等との提携を検討するとともに、開発プロジェクトに協力いただける企業を開拓し、事業基盤の強化に努めてまいります。
④資金調達の実施
当社グループにとって、上記①②を実現するために機動的に資金調達を行うことは重要な課題と認識しており、以下のようにこの課題に取り組んでおります。
2023年7月にBofA証券株式会社を割当先とする第43回新株予約権(第三者割当て)を発行し、調達開始から2024年3月末日までに12億8百万円を調達いたしました。また、2024年4月にCantor Fitzgerald Europeを割当先とした第1回無担保転換社債型新株予約権付社債を発行し、13億円の調達を行い5月24日までにすべての当該社債が株式に転換されました。Cantor Fitzgerald Europeを割当先とした第44回新株予約権は6月14日から行使が開始され、2024年9月30日までに14億73百万円(新株予約権発行に伴う入金を含む)を調達いたしました。さらに、2024年9月にCantor Fitzgerald Europeを割当先とした第1回無担保普通社債を発行し、13億円の調達を行い、2024年12月20日までにすべての当該社債を償還いたしました。加えて、Cantor Fitzgerald Europeを割当先とした第45回新株予約権(第三者割当て)を発行し、2024年12月末日までに14億32百万円(新株予約権発行に伴う入金を含む)を調達いたしました。
今後も、研究開発活動推進及び企業活動維持のために必要となる資金調達の可能性を適宜検討してまいります。
しかしながら、現時点において、第45回新株予約権の行使は株価等の動向に左右されることから未確定であり、また上記に記載したプロジェクトを継続的に進めるための更なる資金調達の方法、調達金額、調達時期については確定しておらず、当社は継続企業の前提に関する重要な不確実性が存在していると判断しております。
なお、連結財務諸表は継続企業を前提としており、上記のような継続企業の前提に関する重要な不確実性の影響を連結財務諸表には反映しておりません。