有価証券報告書-第44期(2023/04/01-2024/03/31)
3.重要性がある会計方針
当社グループの重要な会計方針は次のとおりであり、他の記載がない限り、連結財務諸表が表示されているすべての期間について適用しております。
(1) 連結の基礎
① 子会社
子会社とは、当社グループにより支配されている企業であります。支配とは、投資先に対するパワーを有し、投資先への関与により生じるリターンの変動に晒され又は権利を有し、かつ投資先に対するパワーを通じてリターンに影響を与える能力を有する場合をいいます。
子会社の財務諸表は、支配獲得日から支配喪失日までの間、連結財務諸表に含まれております。支配を喪失した場合には、支配の喪失に関連した利得又は損失を純損益で認識しております。支配の喪失を伴わない当社グループの持分変動は、資本取引として会計処理し、非支配持分の修正額と支払又は受取対価の公正価値との差額を資本に直接認識し、親会社の所有者に帰属させております。
子会社が適用する会計方針が当社グループの会計方針と異なる場合には、必要に応じて当社グループの会計方針と整合させるため当該子会社の財務諸表に調整を加えております。当社グループ内の債権債務残高、取引高、及びグループ会社間取引によって発生した未実現損益は、全額を相殺消去しております。ただし、未実現損失については、減損が生じていると認められる部分は消去しておりません。
② 関連会社に対する投資
関連会社とは、当社グループが投資先の財務及び経営の方針決定等に対し、支配には至らないものの重要な影響力を有している企業であります。通常、当社グループが投資先の議決権の20%以上50%以下を保有する場合には、原則として該当する企業に対して重要な影響力を有していると推定されます。保有状況のほかにも経営機関への参画等の諸要素を総合的に勘案し、重要な影響力を行使し得る場合には関連会社に含めております。
関連会社に対する投資は、当社グループが重要な影響力を有することとなった日からその影響力を喪失する日まで、持分法を用いて会計処理しております。持分法では、当初認識時に関連会社に対する投資は取得原価で認識され、投資日における投資が、これに対応する被投資会社の識別可能な資産及び負債の正味の公正価値を超える場合には、当該差額はのれんとして投資の帳簿価額に含めております。それ以降は投資先である関連会社の純損益及びその他の包括利益の持分の変動に応じて当社グループ持分相当額を認識しております。損失に対する当社グループの負担が、持分法適用会社に対する投資を上回った場合には、当該投資の帳簿価額をゼロまで減額し、当社グループが持分法適用会社に代わって債務を負担又は支払を行う場合を除き、それ以上の損失を認識しておりません。
関連会社に該当しなくなり、持分法の適用を中止した場合には、持分法の適用を中止したことから生じた利得又は損失を純損益として認識しております。
関連会社に対する投資の帳簿価額の一部を構成するのれんは区別して認識されないため、個別に減損テストを行っておりません。その代わり、関連会社に対する投資額が減損している可能性が示唆される場合には、投資全体の帳簿価額について減損テストを行っております。減損については注記「3.重要な会計方針 (10) 非金融資産の減損」に記載のとおりであります。
(2) 企業結合
企業結合は、支配が獲得された時点で取得法を用いて会計処理しております。被取得企業における識別可能資産及び負債は、支配獲得日の公正価値で認識しております。
当社グループは、取得対価と被取得企業の非支配持分の金額、及び取得企業が以前に所有していた被取得企業の資本持分の公正価値の合計額が、支配獲得日における被取得企業の識別可能な取得資産から引受負債を差し引いた正味金額を上回る場合には、その超過額をのれんとして認識しております。反対に下回る場合には、その下回る金額を純損益として認識しております。
取得対価は、取得企業が移転した資産、取得企業に発生した被取得企業の旧所有者に対する負債及び取得企業が発行した資本持分の公正価値の合計で算定されます。なお、段階取得の場合には当社グループが支配獲得日以前に保有していた被取得企業の資本持分の公正価値を含みます。
取得関連コストは、発生した期間において費用として認識しております。
非支配持分は、個々の企業結合取引ごとに、公正価値又は被取得企業の識別可能な純資産に対する非支配持分の比例的持分として測定しております。
当社グループは、純損益及びその他の包括利益の各内訳項目を、当社の所有者と非支配持分に帰属させております。
共通支配下における企業結合、すなわち、企業結合の前後で結合企業又は結合事業のすべてが同じ企業によって支配されている企業結合は、帳簿価額に基づき会計処理をしております。
(3) 外貨換算
① 機能通貨及び表示通貨
当社グループの各企業の個々の財務諸表は、その企業が事業活動を行う主たる経済環境の通貨である機能通貨で表示しております。当社グループの連結財務諸表は、当社の機能通貨である日本円を表示通貨としております。
② 外貨建取引
外貨建取引は、取引日における直物為替レートまたそれに近似するレートを用いて当社グループの各機能通貨に換算しております。
各報告期間の末日において、外貨建の貨幣性項目は、各報告期間の末日現在の決算日レートで機能通貨に換算しております。取得原価で測定する外貨建の非貨幣性項目は、取引日の為替レートにより機能通貨に換算しております。公正価値で測定する外貨建の非貨幣性項目は、公正価値が測定された日の為替レートにより機能通貨に換算しております。当該換算及び決済により生じる換算差額は、その他の包括利益として認識する場合を除き、純損益として認識しております。
③ 在外営業活動体
表示通貨とは異なる機能通貨を使用しているすべての在外営業活動体の業績及び財政状態は、下記の方法で表示通貨に換算しております。
(ⅰ)資産と負債は、期末日現在の決算日レートで換算
(ⅱ)収益及び費用は、為替レートに著しい変動がある場合を除き平均レートで換算
(ⅲ)結果として生じるすべての為替換算差額はその他の包括利益で認識
在外営業活動体の処分時には、その他の包括利益に認識された換算差額は利得又は損失として純損益に振り替えております。
(4) 金融商品
① 非デリバティブ金融資産
(ⅰ)認識及び測定
当社グループは、契約の当事者となった時点で金融資産を認識しております。金融資産はその当初認識時に、償却原価で測定する金融資産、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産及びその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しております。
(a) 償却原価で測定する金融資産
次の条件がともに満たされる金融資産を償却原価で測定する金融資産に分類しております。
・契約上のキャッシュ・フローを回収するために金融資産を保有することを目的とする事業モデルに基づいて、金融資産が保有されている。
・金融資産の契約条件により、元本及び元本残高に対する利息の支払のみであるキャッシュ・フローが特定の日に生じる。
償却原価で測定する金融資産は、当初認識時に公正価値にその取得に直接起因する取引コストを加算して測定しております。ただし、重大な金融要素を含んでいない営業債権は取引価格で測定しております。また、当初認識後は実効金利法を適用した総額の帳簿価額から減損損失を控除しております。
(b) 純損益を通じて公正価値で測定する金融資産
公正価値で測定する金融資産のうち、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類されたもの以外の金融資産については、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しております。
純損益を通じて公正価値で測定する金融資産は、当初認識時に公正価値により測定し、その取得に直接起因する取引コストは、発生時に純損益で認識しております。また、当初認識後は公正価値で測定し、その事後的な変動を純損益として認識しております。
(c) その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産
償却原価で測定する金融資産以外の金融資産は、公正価値で測定する金融資産に分類しております。
売買目的ではない資本性金融資産への投資については、当初認識時に、その公正価値の事後的な変動をその他の包括利益に表示するという取消不能な選択を行うことが認められており、当社グループでは金融商品ごとに当該指定を行い、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融資産に分類しております。
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融資産は、当初認識時に公正価値にその取得に直接起因する取引コストを加算して測定しております。また、当初認識後は公正価値で測定し、その事後的な変動をその他の包括利益として認識しております。その他の包括利益として認識した金額は、認識を中止した場合もしくは公正価値が著しく低下した場合にその累積額を利益剰余金に振り替えており、純損益には振り替えておりません。なお、配当については、当該配当金が明らかに投資の取得原価の回収を示している場合を除いて純損益として認識しております。
(ⅱ)認識の中止
金融資産は、金融資産からのキャッシュ・フローに対する契約上の権利が消滅した場合、又は金融資産のキャッシュ・フローを受け取る契約上の権利を譲渡し、当該金融資産の所有に係るリスクと経済価値のほとんどすべてが移転している場合において、認識を中止しております。
(ⅲ)償却原価で測定する金融資産及び契約資産の減損
当社グループは、償却原価で測定する金融資産及び契約資産の減損の認識に関して期末日ごとに予想信用損失の見積りを行っております。
予想信用損失の金額は次のように測定しております。
・営業債権、契約資産
IFRS第9号に規定される単純化したアプローチに基づき、全期間の予想信用損失を測定しております。
・償却原価で測定されるその他の金融資産
原則的なアプローチに基づき、信用リスクが著しく増加していると判断されていない債権については、同種の資産の過去の信用損失の実績率に将来の経済状況等の予測を加味した引当率を総額の帳簿価額に乗じて12か月の予想信用損失に等しい金額で算定しております。信用リスクが著しく増加していると判定された金融資産及び信用減損金融資産については、見積将来キャッシュ・フローを当該資産の当初の実効金利で割り引いた現在価値の額と、総額の帳簿価額との差額をもって全期間の予想信用損失を算定しております。
信用リスクが著しく増大しているかどうかは、債務不履行発生リスクの変動に基づき判断しており、債務不履行の発生リスクに変動があるかどうかの判断にあたっては、以下を考慮しております。
・発行体又は債務者の著しい財務状態の悪化
・利息又は元本の支払不履行又は遅延等の契約違反
・債務者が破産又は他の財務的再編成に陥る可能性が高くなったこと
信用リスクが著しく増大している金融資産のうち、債務者が深刻な財政難を理由に弁済条件の大幅な見直しを要請してきた場合等、債権の全部又は一部について回収が極めて困難であると判断された場合には債務不履行とみなしております。当社グループは債務者が債務不履行と判断される場合や債務者の破産等による法的整理手続の開始等があった場合には、当該金融資産は信用減損したものと判断しております。
また、あらゆる回収手段を講じても金融資産が回収不能であると合理的に判断される場合は、金融資産の帳簿価額を直接償却しております。
② 非デリバティブ金融負債
(ⅰ)認識及び測定
当社グループは、非デリバティブ金融負債について、契約条項の当事者となった取引日に公正価値で当初認識しております。また、当初認識後は償却原価で測定しております。
(ⅱ)認識の中止
当社グループは、契約上の義務が免責、取消し又は失効となった時に認識を中止しております。
③ 金融資産と金融負債の相殺
金融資産と金融負債は、認識した金額を相殺する法的に強制力のある権利を有しており、かつ、純額で決済する又は資産の実現と負債の決済を同時に実行する意図を有している場合に、相殺して純額で表示しております。
(5) 現金及び現金同等物
現金及び現金同等物は、手許現金、随時引き出し可能な預金及び容易に換金可能であり、かつ価値の変動について僅少なリスクしか負わない取得日から3ヶ月以内に償還期限の到来する短期投資から構成されております。
(6) 棚卸資産
棚卸資産は、取得原価と正味実現可能価額とのいずれか低い金額で測定しております。取得原価には、購入原価、加工費及び棚卸資産が現在の場所及び状態に至るまでに発生したその他のコストのすべてを含んでおり、原価の算定にあたっては、仕掛品については主として個別法、原材料及び貯蔵品については主として総平均法を用いております。正味実現可能価額は、通常の営業過程における見積売価から、完成までの見積原価及び販売に要する見積コストを控除した額であります。
(7) 有形固定資産
① 認識及び測定
有形固定資産については、原価モデルを採用し、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した額で計上しております。
取得原価には資産の取得に直接関連するコスト、資産の解体及び除去コスト、原状回復コストの当初見積額が含まれております。
② 減価償却
土地、建設仮勘定以外の有形固定資産は、使用が可能となった時点から、それぞれの耐用年数にわたって定額法で減価償却しております。主要な有形固定資産の耐用年数は次のとおりであります。
建物及び構築物 :6~50年
工具、器具及び備品 :4~15年
なお、減価償却方法、残存価額及び耐用年数は毎年見直し、必要に応じて調整しております。
(8) のれん及び無形資産
① のれん
当社グループは、取得対価と被取得企業の非支配持分の金額、及び取得企業が以前に所有していた被取得企業の資本持分の公正価値の合計額が、支配獲得日における被取得企業の識別可能な取得資産から引受負債を差し引いた正味金額を上回る場合には、その超過額をのれんとして認識しております。
のれんは償却を行わず、資金生成単位又は資金生成単位グループに配分し、毎年同時期及び減損の兆候を識別した時はその都度、減損テストを実施しております。のれんの減損損失は純損益として認識されますが、戻入れは行っておりません。
当初認識後、のれんは取得原価から減損損失累計額を控除した価額で計上しております。
② 無形資産
無形資産については、取得原価から償却累計額及び減損損失累計額を控除した価額で計上しております。
個別に取得した無形資産は取得原価で測定しており、企業結合により取得した無形資産の取得原価は支配獲得日の公正価値で測定しております。また、自己創設の無形資産については、資産化の要件を満たす開発支出を除き、その支出額をすべて発生した期の費用として認識しております。
耐用年数を確定できる無形資産はそれぞれの耐用年数にわたり、定額法で償却しております。主要な無形資産の耐用年数は次のとおりであります。
・ソフトウェア :3~5年
・その他無形資産 :10年
耐用年数を確定できない無形資産及び未だ使用可能でない無形資産は償却を行わず、毎年同時期に、加えて減損の兆候が存在する場合にはその資産の回収可能価額を見積っております。
なお、償却方法、残存価額及び耐用年数は毎年見直し、必要に応じて調整しております。
(9) リース
当社グループは、契約がリースであるか否か、又は契約にリースが含まれているか否かについては、法的にはリースの形態をとらないものであっても、契約の実質に基づき判断しております。
当社グループは、リース又は契約にリースが含まれていると判定したリース契約の開始時に使用権資産とリース負債を認識しております。リース負債は、リース開始日におけるリース料総額の未決済分の割引現在価値として測定を行っております。使用権資産については、リース負債の当初測定額に当初直接コスト、前払リース料等を調整し、契約に基づき要求される原状回復義務等のコストを加えた額で当初の測定を行っております。また、リース期間は、リースの解約不能期間に、行使することが合理的に確実な延長オプションの対象期間及び行使しないことが合理的に確実な解約オプションの対象期間を加えたものとしております。使用権資産は、リース期間にわたり定額法により減価償却を行っております。金利費用は連結損益計算書上、使用権資産に係る減価償却費と区分して表示しております。
なお、当社グループは、リース期間が12ヶ月以内の短期リース及び少額資産リースについて、IFRS第16号「リース」の免除規定を適用し、使用権資産及びリース負債を認識しないことを選択しております。これらのリースに関連したリース料を、リース期間にわたり主として定額法により費用として認識しております。
(10) 非金融資産の減損
棚卸資産及び繰延税金資産を除く非金融資産については、資産が減損している可能性を示す兆候があるか否かを評価しております。
減損の兆候が存在する場合には、個別の資産又は資金生成単位ごとの回収可能価額を測定しております。なお、のれん、耐用年数を確定できない無形資産及び未だ使用可能でない無形資産は償却を行わず、毎期同時期及び減損の兆候を識別した時はその都度、減損テストを実施しております。
減損テストにおいて、資産は、継続的な使用により他の資産又は資産グループのキャッシュ・インフローから概ね独立したキャッシュ・インフローを生み出す最小の資産グループ(資金生成単位)に集約しております。企業結合から生じたのれんは、結合のシナジーが得られると期待される資金生成単位又は資金生成単位グループに配分しております。当社グループの全社資産は、独立したキャッシュ・インフローを生成しないため、全社資産に減損の兆候がある場合、全社資産が帰属する資金生成単位又は資金生成単位グループの回収可能価額を見積っております。
回収可能価額は、使用価値と処分コスト控除後の公正価値のいずれか高い方で測定しております。使用価値は、見積将来キャッシュ・フローを貨幣の時間価値及びその資産の固有のリスクを反映した税引前割引率を用いて現在価値に割り引いて算定しております。
個別の資産又は資金生成単位の帳簿価額が回収可能価額を上回る場合には純損益にて減損損失を認識し、当該資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額しております。資金生成単位に関連して認識した減損損失は、まずその資金生成単位に配分されたのれんの帳簿価額を減額し、次に資金生成単位内のその他の資産の帳簿価額を比例的に減額するように配分しております。
のれんに係る減損損失は、戻入れを行っておりません。のれん以外の非金融資産に係る減損損失の戻入れは、過去の期間に認識した減損損失を戻し入れる可能性を示す兆候が存在し、回収可能価額の見積りを行った結果、回収可能価額が帳簿価額を上回る場合に行っております。戻し入れる金額は、過年度に減損損失を認識した時点から戻入れが発生した時点まで減価償却又は償却を続けた場合における帳簿価額を上限としております。
(11) 従業員給付
従業員給付には、短期従業員給付、退職給付及びその他の長期従業員給付が含まれております。
① 短期従業員給付
短期従業員給付については、割引計算を行わず、関連するサービスが提供された時点で費用として認識しております。
賞与については、当社グループが、従業員から過去に提供された労働の結果として支払うべき現在の法的又は推定的義務を負っており、かつその金額が信頼性をもって見積ることができる場合、それらの制度に基づいて支払われると見積られる額を負債として認識しております。
② 退職給付
退職給付制度は、退職一時金制度及び確定拠出年金制度からなっております。また、一部の子会社では確定給付制度に分類される複数事業主による年金制度に加入しております。
1) 退職一時金制度
確定給付制度に関連する負債又は資産の金額は、確定給付制度債務の現在価値から制度資産の公正価値を控除した金額で認識しております。
確定給付制度債務の現在価値は、毎年、予測単位積増方式を用いて算定しております。この算定に用いる割引率は、将来の給付支払見込日までの期間を基に割引期間を設定し、割引期間に対応した期末日時点の優良社債の利回りに基づいております。
数理計算上の差異を含む確定給付負債(資産)の純額の再測定は、発生時にその他の包括利益として認識し、直ちに利益剰余金に振り替えております。また、過去勤務費用は純損益として認識しております。
2) 確定拠出年金制度
確定拠出年金制度への拠出は、従業員が役務を提供した期間に費用として認識しております。
3) 複数事業主制度
確定給付の会計処理を行うために十分な情報を入手できないことから、従業員が関連するサービスを提供した期間に費用として認識する確定拠出年金制度と同様の処理を行っております。
③ その他の長期従業員給付
退職給付制度以外の長期従業員債務として、一定の勤続年数に応じた特別休暇や報奨金制度を有しております。その他の長期従業員給付に対する債務額は、従業員が過年度及び当年度において提供したサービスの対価として稼得した将来給付の見積額を現在価値に割り引いた額で計上しております。
(12) 引当金
引当金は、過去の事象の結果として、当社グループが現在の法的義務又は推定的義務を有し、その義務を決済するために経済的便益を有する資源の流出の可能性が高く、かつその資源の流出の金額について信頼できる見積りができる場合に認識しております。
当社グループは引当金として、主に受注損失引当金及び資産除去債務を認識しております。
① 受注損失引当金
受注契約に係る将来の損失に備えるため、各連結会計年度末における受注契約による義務を履行するための不可避的なコストが、当該契約により受け取ると見込まれる経済的便益を上回る可能性が高く、かつ上回る金額について信頼性をもって見積もることができる場合に、当該金額を受注損失引当金として計上しております。
② 資産除去債務
資産除去債務は、資産の解体・除去費用、原状回復費用、並びに資産を使用した結果生じる支出に関して引当金を認識するとともに、当該資産の取得原価に加算しております。将来の見積費用及び適用された割引率は毎年見直され、修正が必要と判断された場合は会計上の見積りの変更として処理しております。
(13) 資本
① 普通株式
普通株式は資本に分類しております。普通株式の発行に直接関連して発生したコスト(税効果考慮後)は資本から控除して認識しております。
② 自己株式
自己株式を取得した場合には、直接関連して発生したコスト(税効果考慮後)を含めた支払対価を資本から控除して認識しております。自己株式を処分した場合には、受取対価と自己株式の帳簿価額との差額を資本として認識しております。
③ 配当金
当社の株主に対する配当は取締役会により承認された日の属する期間の負債として認識しております。
(14) 株式報酬
当社グループは、当社の取締役(監査等委員である取締役及び社外取締役を除く。)及び執行役員(以下、「対象者」という。)に対する持分決済型の株式に基づく報酬制度として、譲渡制限付株式報酬制度を採用しております。
対象者に付与される譲渡制限付株式は、受領したサービスの対価を付与日における当該株式の公正価値で測定したうえで、権利確定までの期間にわたり費用として認識し、同額を資本の増加として認識しております。なお、当該株式の公正価値は、取締役会決議日の前営業日の東京証券取引所における当社の普通株式の終値を基礎として算定しております。
(15) 売上収益
収益は、次の5つのステップを適用し認識しております。
ステップ1:顧客との契約を識別する。
ステップ2:契約における履行義務を識別する。
ステップ3:取引価格を算定する。
ステップ4:契約における履行義務に取引価格を配分する。
ステップ5:履行義務を充足した時に又は充足するにつれて収益を認識する。
当社グループは、約束した財又はサービスを顧客に移転することによって履行義務を充足した時に、又は充足するにつれて、収益を認識します。具体的な収益認識基準は、次のとおりであります。
なお、取引の対価は履行義務を充足してから概ね1年以内に回収しているため、重大な金融要素の調整は行っておりません。
また、複数の財又はサービスを提供する取引に係る収益については、契約に含まれる履行義務を識別し、対価の額を配分する必要がある場合には、取引価格を主に予想コストにマージンを加算するアプローチにより見積った独立販売価格に基づき配分しております。
(a) 一時点で充足される履行義務
当社グループにおいては機器の販売等がありますが、これらは、主として顧客への引渡時に当該機器に対する支配が移転し、履行義務が充足されると判断していることから、当該時点で収益を認識しております。
(b) 一定の期間にわたり充足される履行義務
当社グループにおいて、一定の期間にわたり充足される履行義務に関する収益としては、開発請負契約、保守・運用サービスの履行義務等があります。開発請負契約については、開発の進捗によって履行義務が充足されていくものと判断しており、支配が一定期間にわたり移転することから、履行義務の進捗に応じて収益を認識しております。進捗度は、原価の発生が開発の進捗を適切に表すと判断しているため、見積総原価に対する実際発生原価の割合で算出しております(インプット法)。
保守・運用サービスについては、日常的又は反復的なサービスであり、契約に基づき顧客にサービスが提供される時間の経過に応じて履行義務が充足されると判断しているため、役務を提供する期間にわたり定額で収益を認識しております。
(16) 金融収益及び金融費用
金融収益は、受取利息、受取配当金、為替差益、投資事業組合運用益等から構成されております。受取利息は、実効金利法を用いて発生時に認識しております。受取配当金は、当社グループの受領権が確定した時点で認識しております。
金融費用は、支払利息、為替差損、投資事業組合運用損等から構成されております。支払利息は、実効金利法を用いて発生時に認識しております。
(17) 法人所得税
法人所得税は、当期税金と繰延税金の合計として表示しております。これらは、企業結合に関連するもの及び直接資本又はその他の包括利益で認識される項目を除き、当期の純損益にて認識しております。
当期税金は、決算日において制定され又は実質的に制定されている税率を用いて、税務当局に対する納付又は税務当局からの還付の見積りに、前年までの未払法人所得税及び未収法人所得税を調整したものであります。未収法人所得税と未払法人所得税は、特定の要件を満たす場合に相殺しております。
繰延税金資産及び負債は、決算日までに制定又は実質的に制定されている税法に基づいて、資産が実現する期又は負債が決済される期に適用されると予想される税率で算定しております。繰延税金資産は、将来減算一時差異、税務上の繰越欠損金及び繰越税額控除に対して、それらを利用できる課税所得が生じる可能性が高い範囲で認識し、繰延税金負債は、原則としてすべての将来加算一時差異について認識しております。
なお、以下の一時差異については、繰延税金資産及び繰延税金負債を認識しておりません。
・のれんの当初認識から生じる将来加算一時差異
・取引時に、会計上の利益にも税務上の課税所得にも影響を与えず、かつ、同額の将来加算一時差異と将来減算一時差異とを生じさせない取引(企業結合取引を除く)によって発生する資産及び負債の当初認識により生じる一時差異
・子会社及び関連会社に対する投資に係る将来加算一時差異のうち、解消時期をコントロールでき、かつ予測可能な期間内に当該一時差異が解消しない可能性が高い場合
・子会社及び関連会社に対する投資に係る将来減算一時差異のうち、当該一時差異から便益を利用するのに十分な課税所得が稼得される可能性が高くない場合、又は予測可能な将来に当該一時差異が解消する可能性が高くない場合
繰延税金資産及び繰延税金負債は、当期税金資産と当期税金負債を相殺する法律上強制力のある権利を有し、かつ同一の税務当局によって同一の納税主体に対して課される法人所得税に関するものである場合に相殺しております。
当社グループは「国際的な税制改革-第2の柱モデルルール(IAS第12号「法人所得税」の改訂)(2023年5月公表)」を適用しており、第2の柱の法人所得税に係る繰延税金資産及び繰延税金負債の認識及び情報開示に関しては、本基準書に定められた例外を適用しております。
(18) 1株当たり利益
基本的1株当たり当期利益は、親会社の普通株主に帰属する当期利益を、その期間の自己株式を調整した発行済普通株式の期中平均株式数で除して算定しております。
当社グループの重要な会計方針は次のとおりであり、他の記載がない限り、連結財務諸表が表示されているすべての期間について適用しております。
(1) 連結の基礎
① 子会社
子会社とは、当社グループにより支配されている企業であります。支配とは、投資先に対するパワーを有し、投資先への関与により生じるリターンの変動に晒され又は権利を有し、かつ投資先に対するパワーを通じてリターンに影響を与える能力を有する場合をいいます。
子会社の財務諸表は、支配獲得日から支配喪失日までの間、連結財務諸表に含まれております。支配を喪失した場合には、支配の喪失に関連した利得又は損失を純損益で認識しております。支配の喪失を伴わない当社グループの持分変動は、資本取引として会計処理し、非支配持分の修正額と支払又は受取対価の公正価値との差額を資本に直接認識し、親会社の所有者に帰属させております。
子会社が適用する会計方針が当社グループの会計方針と異なる場合には、必要に応じて当社グループの会計方針と整合させるため当該子会社の財務諸表に調整を加えております。当社グループ内の債権債務残高、取引高、及びグループ会社間取引によって発生した未実現損益は、全額を相殺消去しております。ただし、未実現損失については、減損が生じていると認められる部分は消去しておりません。
② 関連会社に対する投資
関連会社とは、当社グループが投資先の財務及び経営の方針決定等に対し、支配には至らないものの重要な影響力を有している企業であります。通常、当社グループが投資先の議決権の20%以上50%以下を保有する場合には、原則として該当する企業に対して重要な影響力を有していると推定されます。保有状況のほかにも経営機関への参画等の諸要素を総合的に勘案し、重要な影響力を行使し得る場合には関連会社に含めております。
関連会社に対する投資は、当社グループが重要な影響力を有することとなった日からその影響力を喪失する日まで、持分法を用いて会計処理しております。持分法では、当初認識時に関連会社に対する投資は取得原価で認識され、投資日における投資が、これに対応する被投資会社の識別可能な資産及び負債の正味の公正価値を超える場合には、当該差額はのれんとして投資の帳簿価額に含めております。それ以降は投資先である関連会社の純損益及びその他の包括利益の持分の変動に応じて当社グループ持分相当額を認識しております。損失に対する当社グループの負担が、持分法適用会社に対する投資を上回った場合には、当該投資の帳簿価額をゼロまで減額し、当社グループが持分法適用会社に代わって債務を負担又は支払を行う場合を除き、それ以上の損失を認識しておりません。
関連会社に該当しなくなり、持分法の適用を中止した場合には、持分法の適用を中止したことから生じた利得又は損失を純損益として認識しております。
関連会社に対する投資の帳簿価額の一部を構成するのれんは区別して認識されないため、個別に減損テストを行っておりません。その代わり、関連会社に対する投資額が減損している可能性が示唆される場合には、投資全体の帳簿価額について減損テストを行っております。減損については注記「3.重要な会計方針 (10) 非金融資産の減損」に記載のとおりであります。
(2) 企業結合
企業結合は、支配が獲得された時点で取得法を用いて会計処理しております。被取得企業における識別可能資産及び負債は、支配獲得日の公正価値で認識しております。
当社グループは、取得対価と被取得企業の非支配持分の金額、及び取得企業が以前に所有していた被取得企業の資本持分の公正価値の合計額が、支配獲得日における被取得企業の識別可能な取得資産から引受負債を差し引いた正味金額を上回る場合には、その超過額をのれんとして認識しております。反対に下回る場合には、その下回る金額を純損益として認識しております。
取得対価は、取得企業が移転した資産、取得企業に発生した被取得企業の旧所有者に対する負債及び取得企業が発行した資本持分の公正価値の合計で算定されます。なお、段階取得の場合には当社グループが支配獲得日以前に保有していた被取得企業の資本持分の公正価値を含みます。
取得関連コストは、発生した期間において費用として認識しております。
非支配持分は、個々の企業結合取引ごとに、公正価値又は被取得企業の識別可能な純資産に対する非支配持分の比例的持分として測定しております。
当社グループは、純損益及びその他の包括利益の各内訳項目を、当社の所有者と非支配持分に帰属させております。
共通支配下における企業結合、すなわち、企業結合の前後で結合企業又は結合事業のすべてが同じ企業によって支配されている企業結合は、帳簿価額に基づき会計処理をしております。
(3) 外貨換算
① 機能通貨及び表示通貨
当社グループの各企業の個々の財務諸表は、その企業が事業活動を行う主たる経済環境の通貨である機能通貨で表示しております。当社グループの連結財務諸表は、当社の機能通貨である日本円を表示通貨としております。
② 外貨建取引
外貨建取引は、取引日における直物為替レートまたそれに近似するレートを用いて当社グループの各機能通貨に換算しております。
各報告期間の末日において、外貨建の貨幣性項目は、各報告期間の末日現在の決算日レートで機能通貨に換算しております。取得原価で測定する外貨建の非貨幣性項目は、取引日の為替レートにより機能通貨に換算しております。公正価値で測定する外貨建の非貨幣性項目は、公正価値が測定された日の為替レートにより機能通貨に換算しております。当該換算及び決済により生じる換算差額は、その他の包括利益として認識する場合を除き、純損益として認識しております。
③ 在外営業活動体
表示通貨とは異なる機能通貨を使用しているすべての在外営業活動体の業績及び財政状態は、下記の方法で表示通貨に換算しております。
(ⅰ)資産と負債は、期末日現在の決算日レートで換算
(ⅱ)収益及び費用は、為替レートに著しい変動がある場合を除き平均レートで換算
(ⅲ)結果として生じるすべての為替換算差額はその他の包括利益で認識
在外営業活動体の処分時には、その他の包括利益に認識された換算差額は利得又は損失として純損益に振り替えております。
(4) 金融商品
① 非デリバティブ金融資産
(ⅰ)認識及び測定
当社グループは、契約の当事者となった時点で金融資産を認識しております。金融資産はその当初認識時に、償却原価で測定する金融資産、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産及びその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しております。
(a) 償却原価で測定する金融資産
次の条件がともに満たされる金融資産を償却原価で測定する金融資産に分類しております。
・契約上のキャッシュ・フローを回収するために金融資産を保有することを目的とする事業モデルに基づいて、金融資産が保有されている。
・金融資産の契約条件により、元本及び元本残高に対する利息の支払のみであるキャッシュ・フローが特定の日に生じる。
償却原価で測定する金融資産は、当初認識時に公正価値にその取得に直接起因する取引コストを加算して測定しております。ただし、重大な金融要素を含んでいない営業債権は取引価格で測定しております。また、当初認識後は実効金利法を適用した総額の帳簿価額から減損損失を控除しております。
(b) 純損益を通じて公正価値で測定する金融資産
公正価値で測定する金融資産のうち、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類されたもの以外の金融資産については、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しております。
純損益を通じて公正価値で測定する金融資産は、当初認識時に公正価値により測定し、その取得に直接起因する取引コストは、発生時に純損益で認識しております。また、当初認識後は公正価値で測定し、その事後的な変動を純損益として認識しております。
(c) その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産
償却原価で測定する金融資産以外の金融資産は、公正価値で測定する金融資産に分類しております。
売買目的ではない資本性金融資産への投資については、当初認識時に、その公正価値の事後的な変動をその他の包括利益に表示するという取消不能な選択を行うことが認められており、当社グループでは金融商品ごとに当該指定を行い、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融資産に分類しております。
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融資産は、当初認識時に公正価値にその取得に直接起因する取引コストを加算して測定しております。また、当初認識後は公正価値で測定し、その事後的な変動をその他の包括利益として認識しております。その他の包括利益として認識した金額は、認識を中止した場合もしくは公正価値が著しく低下した場合にその累積額を利益剰余金に振り替えており、純損益には振り替えておりません。なお、配当については、当該配当金が明らかに投資の取得原価の回収を示している場合を除いて純損益として認識しております。
(ⅱ)認識の中止
金融資産は、金融資産からのキャッシュ・フローに対する契約上の権利が消滅した場合、又は金融資産のキャッシュ・フローを受け取る契約上の権利を譲渡し、当該金融資産の所有に係るリスクと経済価値のほとんどすべてが移転している場合において、認識を中止しております。
(ⅲ)償却原価で測定する金融資産及び契約資産の減損
当社グループは、償却原価で測定する金融資産及び契約資産の減損の認識に関して期末日ごとに予想信用損失の見積りを行っております。
予想信用損失の金額は次のように測定しております。
・営業債権、契約資産
IFRS第9号に規定される単純化したアプローチに基づき、全期間の予想信用損失を測定しております。
・償却原価で測定されるその他の金融資産
原則的なアプローチに基づき、信用リスクが著しく増加していると判断されていない債権については、同種の資産の過去の信用損失の実績率に将来の経済状況等の予測を加味した引当率を総額の帳簿価額に乗じて12か月の予想信用損失に等しい金額で算定しております。信用リスクが著しく増加していると判定された金融資産及び信用減損金融資産については、見積将来キャッシュ・フローを当該資産の当初の実効金利で割り引いた現在価値の額と、総額の帳簿価額との差額をもって全期間の予想信用損失を算定しております。
信用リスクが著しく増大しているかどうかは、債務不履行発生リスクの変動に基づき判断しており、債務不履行の発生リスクに変動があるかどうかの判断にあたっては、以下を考慮しております。
・発行体又は債務者の著しい財務状態の悪化
・利息又は元本の支払不履行又は遅延等の契約違反
・債務者が破産又は他の財務的再編成に陥る可能性が高くなったこと
信用リスクが著しく増大している金融資産のうち、債務者が深刻な財政難を理由に弁済条件の大幅な見直しを要請してきた場合等、債権の全部又は一部について回収が極めて困難であると判断された場合には債務不履行とみなしております。当社グループは債務者が債務不履行と判断される場合や債務者の破産等による法的整理手続の開始等があった場合には、当該金融資産は信用減損したものと判断しております。
また、あらゆる回収手段を講じても金融資産が回収不能であると合理的に判断される場合は、金融資産の帳簿価額を直接償却しております。
② 非デリバティブ金融負債
(ⅰ)認識及び測定
当社グループは、非デリバティブ金融負債について、契約条項の当事者となった取引日に公正価値で当初認識しております。また、当初認識後は償却原価で測定しております。
(ⅱ)認識の中止
当社グループは、契約上の義務が免責、取消し又は失効となった時に認識を中止しております。
③ 金融資産と金融負債の相殺
金融資産と金融負債は、認識した金額を相殺する法的に強制力のある権利を有しており、かつ、純額で決済する又は資産の実現と負債の決済を同時に実行する意図を有している場合に、相殺して純額で表示しております。
(5) 現金及び現金同等物
現金及び現金同等物は、手許現金、随時引き出し可能な預金及び容易に換金可能であり、かつ価値の変動について僅少なリスクしか負わない取得日から3ヶ月以内に償還期限の到来する短期投資から構成されております。
(6) 棚卸資産
棚卸資産は、取得原価と正味実現可能価額とのいずれか低い金額で測定しております。取得原価には、購入原価、加工費及び棚卸資産が現在の場所及び状態に至るまでに発生したその他のコストのすべてを含んでおり、原価の算定にあたっては、仕掛品については主として個別法、原材料及び貯蔵品については主として総平均法を用いております。正味実現可能価額は、通常の営業過程における見積売価から、完成までの見積原価及び販売に要する見積コストを控除した額であります。
(7) 有形固定資産
① 認識及び測定
有形固定資産については、原価モデルを採用し、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した額で計上しております。
取得原価には資産の取得に直接関連するコスト、資産の解体及び除去コスト、原状回復コストの当初見積額が含まれております。
② 減価償却
土地、建設仮勘定以外の有形固定資産は、使用が可能となった時点から、それぞれの耐用年数にわたって定額法で減価償却しております。主要な有形固定資産の耐用年数は次のとおりであります。
建物及び構築物 :6~50年
工具、器具及び備品 :4~15年
なお、減価償却方法、残存価額及び耐用年数は毎年見直し、必要に応じて調整しております。
(8) のれん及び無形資産
① のれん
当社グループは、取得対価と被取得企業の非支配持分の金額、及び取得企業が以前に所有していた被取得企業の資本持分の公正価値の合計額が、支配獲得日における被取得企業の識別可能な取得資産から引受負債を差し引いた正味金額を上回る場合には、その超過額をのれんとして認識しております。
のれんは償却を行わず、資金生成単位又は資金生成単位グループに配分し、毎年同時期及び減損の兆候を識別した時はその都度、減損テストを実施しております。のれんの減損損失は純損益として認識されますが、戻入れは行っておりません。
当初認識後、のれんは取得原価から減損損失累計額を控除した価額で計上しております。
② 無形資産
無形資産については、取得原価から償却累計額及び減損損失累計額を控除した価額で計上しております。
個別に取得した無形資産は取得原価で測定しており、企業結合により取得した無形資産の取得原価は支配獲得日の公正価値で測定しております。また、自己創設の無形資産については、資産化の要件を満たす開発支出を除き、その支出額をすべて発生した期の費用として認識しております。
耐用年数を確定できる無形資産はそれぞれの耐用年数にわたり、定額法で償却しております。主要な無形資産の耐用年数は次のとおりであります。
・ソフトウェア :3~5年
・その他無形資産 :10年
耐用年数を確定できない無形資産及び未だ使用可能でない無形資産は償却を行わず、毎年同時期に、加えて減損の兆候が存在する場合にはその資産の回収可能価額を見積っております。
なお、償却方法、残存価額及び耐用年数は毎年見直し、必要に応じて調整しております。
(9) リース
当社グループは、契約がリースであるか否か、又は契約にリースが含まれているか否かについては、法的にはリースの形態をとらないものであっても、契約の実質に基づき判断しております。
当社グループは、リース又は契約にリースが含まれていると判定したリース契約の開始時に使用権資産とリース負債を認識しております。リース負債は、リース開始日におけるリース料総額の未決済分の割引現在価値として測定を行っております。使用権資産については、リース負債の当初測定額に当初直接コスト、前払リース料等を調整し、契約に基づき要求される原状回復義務等のコストを加えた額で当初の測定を行っております。また、リース期間は、リースの解約不能期間に、行使することが合理的に確実な延長オプションの対象期間及び行使しないことが合理的に確実な解約オプションの対象期間を加えたものとしております。使用権資産は、リース期間にわたり定額法により減価償却を行っております。金利費用は連結損益計算書上、使用権資産に係る減価償却費と区分して表示しております。
なお、当社グループは、リース期間が12ヶ月以内の短期リース及び少額資産リースについて、IFRS第16号「リース」の免除規定を適用し、使用権資産及びリース負債を認識しないことを選択しております。これらのリースに関連したリース料を、リース期間にわたり主として定額法により費用として認識しております。
(10) 非金融資産の減損
棚卸資産及び繰延税金資産を除く非金融資産については、資産が減損している可能性を示す兆候があるか否かを評価しております。
減損の兆候が存在する場合には、個別の資産又は資金生成単位ごとの回収可能価額を測定しております。なお、のれん、耐用年数を確定できない無形資産及び未だ使用可能でない無形資産は償却を行わず、毎期同時期及び減損の兆候を識別した時はその都度、減損テストを実施しております。
減損テストにおいて、資産は、継続的な使用により他の資産又は資産グループのキャッシュ・インフローから概ね独立したキャッシュ・インフローを生み出す最小の資産グループ(資金生成単位)に集約しております。企業結合から生じたのれんは、結合のシナジーが得られると期待される資金生成単位又は資金生成単位グループに配分しております。当社グループの全社資産は、独立したキャッシュ・インフローを生成しないため、全社資産に減損の兆候がある場合、全社資産が帰属する資金生成単位又は資金生成単位グループの回収可能価額を見積っております。
回収可能価額は、使用価値と処分コスト控除後の公正価値のいずれか高い方で測定しております。使用価値は、見積将来キャッシュ・フローを貨幣の時間価値及びその資産の固有のリスクを反映した税引前割引率を用いて現在価値に割り引いて算定しております。
個別の資産又は資金生成単位の帳簿価額が回収可能価額を上回る場合には純損益にて減損損失を認識し、当該資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額しております。資金生成単位に関連して認識した減損損失は、まずその資金生成単位に配分されたのれんの帳簿価額を減額し、次に資金生成単位内のその他の資産の帳簿価額を比例的に減額するように配分しております。
のれんに係る減損損失は、戻入れを行っておりません。のれん以外の非金融資産に係る減損損失の戻入れは、過去の期間に認識した減損損失を戻し入れる可能性を示す兆候が存在し、回収可能価額の見積りを行った結果、回収可能価額が帳簿価額を上回る場合に行っております。戻し入れる金額は、過年度に減損損失を認識した時点から戻入れが発生した時点まで減価償却又は償却を続けた場合における帳簿価額を上限としております。
(11) 従業員給付
従業員給付には、短期従業員給付、退職給付及びその他の長期従業員給付が含まれております。
① 短期従業員給付
短期従業員給付については、割引計算を行わず、関連するサービスが提供された時点で費用として認識しております。
賞与については、当社グループが、従業員から過去に提供された労働の結果として支払うべき現在の法的又は推定的義務を負っており、かつその金額が信頼性をもって見積ることができる場合、それらの制度に基づいて支払われると見積られる額を負債として認識しております。
② 退職給付
退職給付制度は、退職一時金制度及び確定拠出年金制度からなっております。また、一部の子会社では確定給付制度に分類される複数事業主による年金制度に加入しております。
1) 退職一時金制度
確定給付制度に関連する負債又は資産の金額は、確定給付制度債務の現在価値から制度資産の公正価値を控除した金額で認識しております。
確定給付制度債務の現在価値は、毎年、予測単位積増方式を用いて算定しております。この算定に用いる割引率は、将来の給付支払見込日までの期間を基に割引期間を設定し、割引期間に対応した期末日時点の優良社債の利回りに基づいております。
数理計算上の差異を含む確定給付負債(資産)の純額の再測定は、発生時にその他の包括利益として認識し、直ちに利益剰余金に振り替えております。また、過去勤務費用は純損益として認識しております。
2) 確定拠出年金制度
確定拠出年金制度への拠出は、従業員が役務を提供した期間に費用として認識しております。
3) 複数事業主制度
確定給付の会計処理を行うために十分な情報を入手できないことから、従業員が関連するサービスを提供した期間に費用として認識する確定拠出年金制度と同様の処理を行っております。
③ その他の長期従業員給付
退職給付制度以外の長期従業員債務として、一定の勤続年数に応じた特別休暇や報奨金制度を有しております。その他の長期従業員給付に対する債務額は、従業員が過年度及び当年度において提供したサービスの対価として稼得した将来給付の見積額を現在価値に割り引いた額で計上しております。
(12) 引当金
引当金は、過去の事象の結果として、当社グループが現在の法的義務又は推定的義務を有し、その義務を決済するために経済的便益を有する資源の流出の可能性が高く、かつその資源の流出の金額について信頼できる見積りができる場合に認識しております。
当社グループは引当金として、主に受注損失引当金及び資産除去債務を認識しております。
① 受注損失引当金
受注契約に係る将来の損失に備えるため、各連結会計年度末における受注契約による義務を履行するための不可避的なコストが、当該契約により受け取ると見込まれる経済的便益を上回る可能性が高く、かつ上回る金額について信頼性をもって見積もることができる場合に、当該金額を受注損失引当金として計上しております。
② 資産除去債務
資産除去債務は、資産の解体・除去費用、原状回復費用、並びに資産を使用した結果生じる支出に関して引当金を認識するとともに、当該資産の取得原価に加算しております。将来の見積費用及び適用された割引率は毎年見直され、修正が必要と判断された場合は会計上の見積りの変更として処理しております。
(13) 資本
① 普通株式
普通株式は資本に分類しております。普通株式の発行に直接関連して発生したコスト(税効果考慮後)は資本から控除して認識しております。
② 自己株式
自己株式を取得した場合には、直接関連して発生したコスト(税効果考慮後)を含めた支払対価を資本から控除して認識しております。自己株式を処分した場合には、受取対価と自己株式の帳簿価額との差額を資本として認識しております。
③ 配当金
当社の株主に対する配当は取締役会により承認された日の属する期間の負債として認識しております。
(14) 株式報酬
当社グループは、当社の取締役(監査等委員である取締役及び社外取締役を除く。)及び執行役員(以下、「対象者」という。)に対する持分決済型の株式に基づく報酬制度として、譲渡制限付株式報酬制度を採用しております。
対象者に付与される譲渡制限付株式は、受領したサービスの対価を付与日における当該株式の公正価値で測定したうえで、権利確定までの期間にわたり費用として認識し、同額を資本の増加として認識しております。なお、当該株式の公正価値は、取締役会決議日の前営業日の東京証券取引所における当社の普通株式の終値を基礎として算定しております。
(15) 売上収益
収益は、次の5つのステップを適用し認識しております。
ステップ1:顧客との契約を識別する。
ステップ2:契約における履行義務を識別する。
ステップ3:取引価格を算定する。
ステップ4:契約における履行義務に取引価格を配分する。
ステップ5:履行義務を充足した時に又は充足するにつれて収益を認識する。
当社グループは、約束した財又はサービスを顧客に移転することによって履行義務を充足した時に、又は充足するにつれて、収益を認識します。具体的な収益認識基準は、次のとおりであります。
なお、取引の対価は履行義務を充足してから概ね1年以内に回収しているため、重大な金融要素の調整は行っておりません。
また、複数の財又はサービスを提供する取引に係る収益については、契約に含まれる履行義務を識別し、対価の額を配分する必要がある場合には、取引価格を主に予想コストにマージンを加算するアプローチにより見積った独立販売価格に基づき配分しております。
(a) 一時点で充足される履行義務
当社グループにおいては機器の販売等がありますが、これらは、主として顧客への引渡時に当該機器に対する支配が移転し、履行義務が充足されると判断していることから、当該時点で収益を認識しております。
(b) 一定の期間にわたり充足される履行義務
当社グループにおいて、一定の期間にわたり充足される履行義務に関する収益としては、開発請負契約、保守・運用サービスの履行義務等があります。開発請負契約については、開発の進捗によって履行義務が充足されていくものと判断しており、支配が一定期間にわたり移転することから、履行義務の進捗に応じて収益を認識しております。進捗度は、原価の発生が開発の進捗を適切に表すと判断しているため、見積総原価に対する実際発生原価の割合で算出しております(インプット法)。
保守・運用サービスについては、日常的又は反復的なサービスであり、契約に基づき顧客にサービスが提供される時間の経過に応じて履行義務が充足されると判断しているため、役務を提供する期間にわたり定額で収益を認識しております。
(16) 金融収益及び金融費用
金融収益は、受取利息、受取配当金、為替差益、投資事業組合運用益等から構成されております。受取利息は、実効金利法を用いて発生時に認識しております。受取配当金は、当社グループの受領権が確定した時点で認識しております。
金融費用は、支払利息、為替差損、投資事業組合運用損等から構成されております。支払利息は、実効金利法を用いて発生時に認識しております。
(17) 法人所得税
法人所得税は、当期税金と繰延税金の合計として表示しております。これらは、企業結合に関連するもの及び直接資本又はその他の包括利益で認識される項目を除き、当期の純損益にて認識しております。
当期税金は、決算日において制定され又は実質的に制定されている税率を用いて、税務当局に対する納付又は税務当局からの還付の見積りに、前年までの未払法人所得税及び未収法人所得税を調整したものであります。未収法人所得税と未払法人所得税は、特定の要件を満たす場合に相殺しております。
繰延税金資産及び負債は、決算日までに制定又は実質的に制定されている税法に基づいて、資産が実現する期又は負債が決済される期に適用されると予想される税率で算定しております。繰延税金資産は、将来減算一時差異、税務上の繰越欠損金及び繰越税額控除に対して、それらを利用できる課税所得が生じる可能性が高い範囲で認識し、繰延税金負債は、原則としてすべての将来加算一時差異について認識しております。
なお、以下の一時差異については、繰延税金資産及び繰延税金負債を認識しておりません。
・のれんの当初認識から生じる将来加算一時差異
・取引時に、会計上の利益にも税務上の課税所得にも影響を与えず、かつ、同額の将来加算一時差異と将来減算一時差異とを生じさせない取引(企業結合取引を除く)によって発生する資産及び負債の当初認識により生じる一時差異
・子会社及び関連会社に対する投資に係る将来加算一時差異のうち、解消時期をコントロールでき、かつ予測可能な期間内に当該一時差異が解消しない可能性が高い場合
・子会社及び関連会社に対する投資に係る将来減算一時差異のうち、当該一時差異から便益を利用するのに十分な課税所得が稼得される可能性が高くない場合、又は予測可能な将来に当該一時差異が解消する可能性が高くない場合
繰延税金資産及び繰延税金負債は、当期税金資産と当期税金負債を相殺する法律上強制力のある権利を有し、かつ同一の税務当局によって同一の納税主体に対して課される法人所得税に関するものである場合に相殺しております。
当社グループは「国際的な税制改革-第2の柱モデルルール(IAS第12号「法人所得税」の改訂)(2023年5月公表)」を適用しており、第2の柱の法人所得税に係る繰延税金資産及び繰延税金負債の認識及び情報開示に関しては、本基準書に定められた例外を適用しております。
(18) 1株当たり利益
基本的1株当たり当期利益は、親会社の普通株主に帰属する当期利益を、その期間の自己株式を調整した発行済普通株式の期中平均株式数で除して算定しております。