有価証券報告書-第39期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/24 10:08
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【項目】
150項目

研究開発活動

当連結会計年度の研究開発活動は、システムの構築・運用における品質向上・生産性向上、情報システムの高度化に関する技術開発に加え、クラウドをはじめとするITサービスの競争力強化、お客様との価値共創に寄与する研究開発を進めました。またIoTやAIに代表される、情報システムの高度化およびお客様の知的作業支援に役立つ技術領域に対し、差別性のある情報技術の研究開発に積極的に取り組みました。
当連結会計年度における研究開発費の総額は、1,678百万円であり、主な研究開発成果は以下のとおりです。
(1)システムの構築・運用における品質および生産性の向上
システム構築・運用のアジリティを向上する手法としてDevOps(注1)やアジャイルを含む開発プロセス、非定
型業務の知的作業支援について研究活動を継続しています。
また、利用が拡大しているクラウド上で、そのメリットを活かした高品質なシステム構築・運用を実現するた
め、クラウドネイティブ技術、コンテナ技術などの研究開発に取り組んでいます。
加えて、派生開発(注2)における品質・生産性の向上を目的としたプロセス整備、支援ツールの研究開発を継
続しています。
(2)ITサービスの競争力強化、価値共創の取り組み
重要システムに適用範囲が拡大しているクラウドについて、OpenStack(注3)などで構成される次世代クラウド
サービスは技術検証フェーズを完了し、実サービスにその技術を適用しています。
また、お客様との価値共創を実現するための一つの手法であるデザインシンキング領域についての研究開発活動
を継続しており、実適用案件数も着実に増加しています。今後の更なる適用案件の増加に向けて社内エンジニアに
対する教育活動等も行っています。
(3)IoT、AI・データ利活用領域への取り組み
IoTに関しては、「ヒトの安全」をサポートする「安全見守りアプリケーション」やセンサーデータを利用した
「設備の異常検知・予防保全」の仕組みの開発および現場への適用を継続しています。
AIを用いた知的作業支援については、自然言語処理や機械学習を応用してチーム活動の強化・支援を行う技術
や、複数の目的関数間のトレードオフを考慮して多数の最適解候補を導く多目的最適化技術等の研究開発を進めて
います。
データ利活用については、活用可能なデータの幅を広げるデータ匿名化技術の研究開発、業務およびデータの変
化に追随し継続的な業務の高度化を実現するためのデジタルツインの研究開発や、データライフサイクル全体のシ
ステム化の研究開発を進めています。またそれらの研究成果を活用してお客様の課題解決を進めていくために
「データ・レバレッジ・センター(DLC)」をシステム研究開発センター内に設置しました。
なお、AI関連技術を含む高度IT技術の活用において、引き続き日本製鉄 (株)のインテリジェントアルゴリズム
研究センター(略称IA3センター)と連携することで、製造現場におけるニーズの捕捉、操業データを用いた深層学
習などの最新技術活用に向けた研究開発を継続し、そこで得られた成果は積極的に社外へ発表して行きます。
(注1) DevOps:ソフトウェア開発手法の一つ。開発担当者と運用担当者が連携の上、推進する開発手法。
(注2) 派生開発 : 新規開発と対峙する概念。既存システムの基本構造を保ったまま機能を拡張していく手法。
影響範囲分析や回帰テスト、属人化・暗黙知化が特徴的な課題。
(注3) OpenStack:オープンソースで開発されているクラウド環境構築用のソフトウェア群の名称。