訂正四半期報告書-第14期第2四半期(平成26年7月1日-平成26年9月30日)
有報資料
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間末日現在において、当社グループが判断したものであります。なお、当社及び連結子会社は単一事業であり、当社及び連結子会社のセグメントは「医薬品の研究及び開発」となっておりますので、セグメントごとの記載はしておりません。
(1)業績の状況
経営成績の分析
当第2四半期連結累計期間における連結事業収益につきましては、提携先製薬企業からのマイルストーンおよび開発協力金などの受領により、351百万円(前年同四半期比 17百万円の増加)となりました。
また、研究開発費につきましては、医薬品候補物質等の基礎研究、創薬研究の継続的な実施による費用の計上に加え、がん幹細胞の維持に重要な分子であるMELKを標的としたOTS167の米国での第Ⅰ相臨床試験費用や細胞分裂に重要ながん特異的新規標的分子TOPKに対する最適化化合物の臨床試験開始を目指した非臨床試験費用などが増加した一方、がんワクチン療法剤OTS102の胆道がんを対象とした第Ⅱ相臨床試験の終了、がんペプチドカクテルワクチン療法剤C01の膵臓がんに対する第Ⅲ相臨床試験の中止による費用の減少を主な要因として、1,255百万円(前年同四半期比 980百万円の減少)となりました
これらにより、連結営業損失は1,080百万円(前年同四半期比 1,004百万円の減少)、連結経常損失は1,055百万円(同 1,020百万円の減少)、連結四半期純損失は747百万円(同 1,266百万円の減少)となりました。
(2)財政状態の分析
当第2四半期連結会計期間の総資産は、17,619百万円(前連結会計年度末比 959百万円減少)となりました。流動資産は17,206百万円(同 934百万円減少)、これは、現金及び預金が前連結会計年度末と比べて898百万円減少したことが主な要因となっております。固定資産は、413百万円(同 24百万円減少)となっております。
負債は、708百万円(前連結会計年度末比 88百万円減少)となりました。流動負債は、499百万円(同 87百万円減少)、これは、前連結会計年度末と比べて未払金が9百万円増加した一方、前受金が76百万円減少したことが主な要因となっております。固定負債は208百万円(同 0百万円減少)となっております。
純資産は16,911百万円(前連結会計年度末比 871百万円減少)となりました。これは、利益剰余金が前連結会計年度末と比べて747百万円減少したことが主な要因になっております。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、5,926百万円(前第2四半期連結累計期間比 13,088百万円減少)となりました。
当第2四半期連結累計期間における営業活動によるキャッシュ・フローは、822百万円の資金の減少(前第2四半期連結累計期間は479百万円の減少)となりました。これは、税金等調整前四半期純損失789百万円を計上したことが主な要因となっております。
当第2四半期連結累計期間における投資活動によるキャッシュ・フローは、1,923百万円の資金の増加(同 20百万円の減少)となりました。これは預入期間3ヶ月超の定期預金が2,000百万円減少したことが要因となっております。
当第2四半期連結累計期間における財務活動によるキャッシュ・フローは、ありませんでした(同 11,017百万円の増加)。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、新たに発生した事業上及び財務上の対処すべき課題はありません。
なお、当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりであります。
①基本方針の内容
当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社の財務及び事業の内容や当社の企業価値の源泉を十分に理解し、当社の企業価値・株主共同の利益を確保、向上していくことを可能にする者であるべきと考えています。
当社は、金融商品取引所に株式を上場していることから、当社株式の取引は、株主、投資家の自由意思に委ねるのが原則であり、大規模買付行為がなされた場合においても、当社の企業価値・株主共同の利益の確保、向上に資するものである限り、これをすべて否定するものではありません。最終的には、株式の大規模買付提案に応じるべきかどうかは株主の皆様の決定に委ねられるべきと考えています。
しかしながら、大規模買付提案の中には、例えばステークホルダーとの良好な関係を保持し続けることが困難であると予測されるなど、当社グループの企業価値・株主共同の利益を損なう恐れのあるものや、当社グループの企業価値を十分に反映しているとは言えないもの、あるいは株主の皆様が最終的に決定をされるために必要な情報が十分に提供されずに、大規模買付行為が行われる可能性も否定できません。
とりわけ当社グループは、「より副作用の少ないがん治療薬・治療法を一日も早くがんに苦しむ患者さんに届けること、がんとの闘いに勝つこと」を企業使命として掲げており、患者様の生命や健康に直結する事業を進めていることから、その経営においては高い倫理観と遺伝子治療薬開発をはじめとするバイオテクノロジーに関する専門的な知識・ノウハウ等が要求されます。
このようなことから、当社は、大規模買付行為がなされた場合には、株主の皆様に提供される情報、検討機会を十分確保する方策が必要であると考えています。
②基本方針の実現に資する取組み
当社の研究開発は、平成13年4月からの東京大学医科学研究所との共同研究により出発致しました。当該研究は、各がん種において特異的に発現する遺伝子を網羅的に解析することにより、創薬ターゲットとなるがん関連遺伝子及び遺伝子産物を単離することを目的としており、主に基礎研究領域に重点を置いたものとなっています。
その後、基礎研究の継続的な実施による進展とともに、当社グループの事業領域は、より医薬品の開発に近い創薬研究へと拡大しており、がんペプチドワクチン、低分子医薬、抗体医薬、核酸医薬の各領域において、臨床応用を目指した創薬研究を実施しております。さらに、国内外において、各提携先製薬企業と共同で、または当社グループ独自で複数の臨床試験を実施しております。
このように、当社グループは「より副作用の少ないがん治療薬・治療法を一日も早くがんに苦しむ患者さんに届けること、がんとの闘いに勝つこと」という企業使命の実現のため、日々研究開発を推進しています。当社グループは、これらの研究開発の進展こそが当社グループの企業価値向上の源泉であると考えています。
③基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み
当社は、上記基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みの一つとして、平成21年5月27日に取締役会において、当社株式の大規模買付行為に関する対応策を導入することに関して決定を行い、平成21年6月26日開催の第8回定時株主総会において承認可決され、平成24年5月28日の取締役会において原施策に軽微な修正を施したうえで内容に大幅な変更無く継続導入することに関して決定を行い、平成24年6月27日開催の第11回定時株主総会において承認可決されております。
(a)本プランの概要
(ⅰ)本プランの発動に係る手続き
本プランは以下の(a)または(b)に該当する当社株式の買付けまたはこれに類似する行為(ただし、当社取締役会が承認したものを除きます。当該行為を、以下、 「大規模買付け等」といいます。)がなされる場合を適用対象とします。大規模買付け等を行い、または行おうとする者 (以下、「買付者等」といいます。)は、予め本プランに定められる手続きに従わなければならないものとします。
(a)当社が発行者である株式について、保有者の株式保有割合が20%以上となる買付け
(b)当社が発行者である株式について、公開買付けに係る株式の株式所有割合およびその特別関係者の株式所有割合の合計が20%以上となる公開買付け
(ⅱ)対抗措置の内容
上記(ⅰ)記載の対抗措置として、当社は、上記(ⅰ)記載の買付者による行使は認められないとの条項及び当社が当該買付者以外の者から当社株式と引き換えに当該新株予約権を取得する旨の条項等が付された新株予約権を、当社株式1株に対し1個を上限として、当社取締役会が本新株予約権無償割当決議において別途定める割合で、その時点の全ての株主に対して割り当てる手法による無償割当て、その他法令または当社定款が取締役会の権限として認める措置を行います。
(b)本プランの有効期間
本プランの有効期間は、平成24年3月期の事業年度に関する定時株主総会終結の時から平成27年6月開催予定の定時株主総会終結の時までと定めています。
(c)本プランの廃止及び変更
当社の株主総会において本プランの変更または廃止の決議がなされた場合には、本プランは当該決議に従い、その時点で変更または廃止されるものとします。また、当社の株主総会で選任された取締役で構成される取締役会により本プランの廃止の決議がなされた場合には、本プランはその時点で廃止されるものとします。
なお、当社取締役会は、会社法、金融商品取引法、その他の法令若しくは金融商品取引所規則の変更またはこれらの解釈・運用の変更、または税制、裁判例等の変更により合理的に必要と認められる範囲で独立委員会の承認を得た上で、本プランを修正し、または変更する場合があります。当社は、本プランが廃止または変更された場合には、当該廃止または変更の事実および(変更の場合には)変更内容その他当社取締役会が適切と認める事項について、情報開示を行います。
④上記取組みが基本方針に沿い、当社の株主の共同の利益を損なうものではなく、当社役員の地位の維持を目的とするものでないこと及びその理由
本プランは、経済産業省および法務省が平成17年5月27日に発表した「企業価値・株主共同の利益の確保または向上のための買収防衛策に関する指針」の定める三原則(企業価値・株主共同の利益の確保・向上の原則、事前開示・株主意思の原則、必要性・相当性確保の原則)を充足しています。また、本プランは、企業価値研究会が平成20年6月30日に発表した「近時の諸環境の変化を踏まえた買収防衛策の在り方」を踏まえて設計されているものです。
(a) 企業価値・株主共同の利益の確保・向上の原則
本プランは、上記に記載の通り、当社株式に対する大規模買付け等がなされた際に、当該大規模買付け等に応じるべきか否かを株主がご判断し、あるいは当社取締役会が代替案を提示するために必要な情報や期間を確保し、株主の皆様のために買付者等と交渉を行うこと等を可能とすることにより、当社の企業価値・株主共同の利益を確保し、向上させるという目的をもって導入されるものです。
(b) 事前開示・株主意思の原則
本プランは、定時株主総会において株主の承認を得たうえで導入するものです。
また、上記に記載した通り、株主総会において本プランの変更または廃止の決議がなされた場合には、本プランも当該決議に従い変更または廃止されることになります。従いまして、本プランの導入および廃止には、株主の意思が十分反映される仕組みとなっています。
(c) 必要性・相当性確保の原則
(ⅰ) 独立委員会による判断の重視と情報開示
本プランは、大規模買付け等への対抗措置の発動等に関する取締役会の恣意的判断を排し、取締役会の判断および対応の客観性および合理性を確保することを目的として独立委員会を設置します。独立委員会は、当社の業務執行を行う経営陣から独立している、当社社外取締役、当社社外監査役または社外の有識者(実績のある会社経営者、官庁出身者、弁護士、公認会計士若しくは学識経験者またはこれらに準じる者)から選任される委員3名以上により構成されます。また、当社は、その判断の概要については株主および投資家の皆様に情報開示を行うこととし、当社の企業価値・株主共同の利益に資するよう本プランの透明な運営が行われる仕組みを確保しています。
(ⅱ)合理的かつ客観的な発動要件の設定
本プランは、合理的かつ客観的な発動要件が充足されなければ発動されないように設定されており、当社取締役会による恣意的な発動を防止するための仕組みを確保しています。
(ⅲ)デッドハンド型の買収防衛策ではないこと
本プランは、当社の株主総会で選任された取締役で構成される取締役会により、いつでも廃止することができるものとされています。従って、本プランは、デッドハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の過半数を交代させても、なお発動を阻止できない買収防衛策)ではありません。
(5)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間の研究開発費の総額は1,255百万円であります。
当社グループは、元東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター長(現、シカゴ大学教授)中村祐輔教授と共同で、ほぼ全てのがんを対象とした網羅的な遺伝子発現解析等を実施し、既に多くのがん治療薬開発に適した標的分子を同定しております。また、それらの標的に対し、がんペプチドワクチン、低分子医薬、抗体医薬、核酸医薬(siRNA医薬等)の、各領域における創薬研究を積極的に展開し、これら創薬研究の成果を基にした複数の臨床試験を実施しており、臨床試験準備中の医薬品候補物質も複数有しております。
なお、平成26年9月30日現在、当社は全世界で284件の特許を取得しております。
<基礎研究領域>創薬ターゲットの特定等を行う基礎研究領域においては、ヒト全遺伝子の遺伝子発現パターンを網羅的に検索できるcDNAマイクロアレイ(※1、※2)のシステムによる大腸がん、胃がん、肝臓がん、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、食道がん、前立腺がん、膵臓がん、乳がん、腎臓がん、膀胱がんおよび軟部肉腫等について発現解析が終了しております。これらの発現解析情報からがんで発現が高く正常臓器では発現がほとんどない遺伝子を選択し、更に機能解析により、がん細胞の生存に必須な多数の遺伝子を分子標的治療薬の標的として同定しております。
<創薬研究領域>医薬品候補物質の同定及び最適化を行う創薬研究領域においては、医薬品の用途毎に、より製品に近い研究を積極的に展開しております。
がんペプチドワクチンにつきましては、これまでに日本人および欧米人に多く見られるHLA-A*24:02およびA*02:01を中心に、大腸がん、胃がん、肺がん、膀胱がん、腎臓がん、膵臓がん、乳がんおよび肝臓がんなどを標的とした計43遺伝子を対象としたペプチドワクチンを既に同定しておりますが、それら以外にもA*11:01, A*33:03, A*01:01およびA*03:01など、様々なHLAに対応したより多くのエピトープペプチドのスクリーニングを実施しております。さらに、塩野義製薬株式会社と、ペプチドワクチンの迅速かつ確実な創薬化を目指した共同研究を実施しております。
低分子医薬につきましては、7種のがん特異的タンパク質を標的とする創薬研究を進めております。そのうち1種の標的であるリン酸化酵素(キナーゼ)については、米国にて第Ⅰ相臨床試験を実施中です。(詳細は、以下、⦅医薬開発領域⦆低分子薬臨床開発の更なる加速 をご覧ください。)他の1種のリン酸化酵素については、これまでに得た高活性化合物に基づきリード最適化作業を進め、in vivo(※3)で強力な腫瘍増殖抑制効果を示すOTS964等複数の高活性化合物を同定しております。これらについては、医薬品開発候補化合物として臨床開発することを決定し、より詳細な薬効薬理・薬物動態・毒性試験を進めております。さらに、別の1種の標的酵素タンパク質に関して、これまでの構造活性相関研究による新規化合物合成の結果得られた複数の高活性化合物に基づきリード最適化作業を進めるとともに、in vivoでの薬効試験を実施中です。また、さらに別の4種の標的酵素タンパク質に関して、大規模化合物ライブラリのスクリーニングから得た高活性化合物骨格につき、リード化合物獲得に向けた新規化合物合成と構造活性相関研究を進めるとともに、in vivoでの薬効試験を開始いたしました。
抗体医薬につきましては、3分子に絞り込んだ治療標的となるがん特異的抗原について、マウスモノクローナル抗体ならびにキメラ抗体のがん治療用抗体としての評価を行っております。1標的については、フランスで臨床試験を実施しております。(詳細は、以下、⦅医薬開発領域⦆抗体薬開発の促進 をご覧ください。)残りの2標的については、放射性同位体で標識した抗体を担がんマウスに投与することで、高い治療効果が得られることが判明しております。これらの抗体については臨床開発を視野に入れた抗腫瘍効果の検討および安全性の評価を進めております。
核酸医薬については、高い効果が期待でき、かつ将来的に幅広いがん種への応用が期待できる開発候補として4分子を抽出し、なかでも特に効果の高い1分子に関して、in vivoでの抗腫瘍効果の検討を進めております。現在、新規ドラッグ・デリバリー・システムの探索に継続して取り組んでおります。
<医薬開発領域>医薬開発領域においては、当社グループ独自で、ならびに複数の製薬企業との提携による開発を、以下の通りそれぞれ進めております。
がん特異的ペプチドワクチンの優先的臨床開発
胃がんに対する治療用カクテルワクチンOTSGC-A24は、アジア国際共同医師主導治験として、シンガポール、日本及び韓国において、第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験を実施しております。
大塚製薬株式会社と提携しておりますペプチドワクチンの開発については、膵臓がんに対する治療用ワクチンOCV-101の第Ⅱ相臨床試験を実施しており、大腸がんペプチドワクチンについては、大塚製薬株式会社にて第Ⅰ相臨床試験を実施しております。
塩野義製薬株式会社と提携しておりますオンコアンチゲン(※4)由来のペプチドワクチンの開発については、塩野義製薬株式会社が、膀胱がんを対象としたがん治療用ワクチン製剤S-588410で、日欧第Ⅱ相臨床試験を実施しております。また、頭頸部がんを対象とした複数のペプチドワクチンを用いたがん治療用ワクチン製剤S-488210は欧州において塩野義製薬株式会社が第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験を実施中、加齢黄斑変性症治療用ペプチドワクチンS-646240につきましては、国内において塩野義製薬株式会社が第Ⅱa相臨床試験を実施し完了しております。
小野薬品工業株式会社と提携しておりますオンコアンチゲン由来のペプチドワクチンONO-7268MX1ならびにONO-7268MX2については、小野薬品工業株式会社が肝細胞がんを対象とした第Ⅰ相臨床試験をそれぞれ実施しております。
その他、医師主導治験として2つの臨床試験を実施しております。
低分子薬臨床開発の更なる加速
がん幹細胞の維持に重要な分子であるMELK(Maternal Embryonic Leucine zipper Kinase) を標的としたOTS167については、標準療法不応の固形がんに対する第Ⅰ相臨床試験を米国にて実施中です。すでにプロトコールに規定されている初期安全性段階は終了し、引き続き用量を増やした臨床試験を進めております。現時点までに、重篤な副作用はなく順調に試験が経過しております。OTS167は動物実験で乳がん、肺がん、前立腺がん、膵臓がんなどに対し、強力な抗腫瘍効果を確認しており、今後これらのがん種への適応拡大を諮ってまいります。
また、細胞分裂に重要ながん特異的新規標的分子(TOPK)に対する最適化化合物を同定しております。動物実験で、がんの消失等顕著な結果が得られたことから、早期の臨床試験開始を目途に、製剤化検討及び非臨床試験を進めております。
これらに加え、複数のリン酸化酵素以外の新規標的分子(メチル化転移酵素など)に対するリード化合物をすでに同定しており、現在、それらの最適化を進めております。これらの低分子医薬候補物質の臨床開発を強力に推進してまいります。
抗体薬開発の促進
がん治療用抗体OTSA101 については、現在フランスで肉腫治療の世界的権威であり、欧州がん研究・治療機構(European Organization for Research and Treatment of Cancer:EORTC)元会長のJean-Yves Blay 教授主導のもと、軟部肉腫の一種である滑膜肉腫患者に対する第Ⅰ相臨床試験を実施しており、これまでに重篤な副作用もなく順調に経過しております。なおOTSA101は、欧州委員会(European Commission)及び米国食品医薬品局(FDA)より、軟部肉腫に対するオーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)に指定されております。第Ⅰ相臨床試験終了を視野に入れ、有効性を検証するための最終臨床試験デザインの検討を行っております。
また、当社連結子会社であるイムナス・ファーマ株式会社が、協和発酵キリン株式会社にライセンスアウトしております抗アミロイドβ(Aβ)ペプチド抗体KHK6640については、協和発酵キリン株式会社がアルツハイマー病に対する第Ⅰ相臨床試験を欧州にて開始しました。
[用語解説]
(※1) mRNA、RNA、cDNA
RNAはリボ核酸、mRNAはRNAのうち、メッセンジャーすなわち「伝令」の役割をするものであります。人間の体は約60兆個の細胞によって作られていますが、体の構造や働きはおもにタンパク質によって決まっております。そのタンパク質の設計図は遺伝子であり、そして、遺伝子の本体はDNAであります。このDNAは細胞の核の中にある染色体に存在しておりますが、タンパク質は設計図であるDNAから直接作られるのではなく、一旦、DNAからRNAが作られ、そのRNAが翻訳されてタンパク質となります。この一旦作られるRNAを「伝令」すなわちメッセンジャーRNA(mRNA)といいます。つまり、遺伝子情報の流れはDNA→mRNA→タンパク質というようになっております。cDNAは、mRNA から逆転写酵素を用いた逆転写反応によって合成されたDNAで、イントロンを含まない状態の遺伝子(塩基配列)を知ることができることから、遺伝子のクローニングに広く利用されております。
(※2)マイクロアレイ
小さな基盤上に非常に高密度にDNAを配置し、それらを手がかりに大量の遺伝子情報を獲得することを目的として開発されたシステム。現在、遺伝子発現情報の解析において有用なものであると考えられております。
(※3) in vivo
in vitroとは対比的に用いられ「体の中で」を意味する医学・化学用語です。一般に生体内(主に実験動物)での実験的検証を意味します。
(※4)オンコアンチゲン
がん細胞に特異的に発現し、増殖能などがん細胞に必須の機能を有する一方、正常細胞には極めて発現の低い分子で、細胞傷害性T細胞から認識される抗原性を持った腫瘍特異的な標的分子を指します。
(1)業績の状況
経営成績の分析
当第2四半期連結累計期間における連結事業収益につきましては、提携先製薬企業からのマイルストーンおよび開発協力金などの受領により、351百万円(前年同四半期比 17百万円の増加)となりました。
また、研究開発費につきましては、医薬品候補物質等の基礎研究、創薬研究の継続的な実施による費用の計上に加え、がん幹細胞の維持に重要な分子であるMELKを標的としたOTS167の米国での第Ⅰ相臨床試験費用や細胞分裂に重要ながん特異的新規標的分子TOPKに対する最適化化合物の臨床試験開始を目指した非臨床試験費用などが増加した一方、がんワクチン療法剤OTS102の胆道がんを対象とした第Ⅱ相臨床試験の終了、がんペプチドカクテルワクチン療法剤C01の膵臓がんに対する第Ⅲ相臨床試験の中止による費用の減少を主な要因として、1,255百万円(前年同四半期比 980百万円の減少)となりました
これらにより、連結営業損失は1,080百万円(前年同四半期比 1,004百万円の減少)、連結経常損失は1,055百万円(同 1,020百万円の減少)、連結四半期純損失は747百万円(同 1,266百万円の減少)となりました。
(2)財政状態の分析
当第2四半期連結会計期間の総資産は、17,619百万円(前連結会計年度末比 959百万円減少)となりました。流動資産は17,206百万円(同 934百万円減少)、これは、現金及び預金が前連結会計年度末と比べて898百万円減少したことが主な要因となっております。固定資産は、413百万円(同 24百万円減少)となっております。
負債は、708百万円(前連結会計年度末比 88百万円減少)となりました。流動負債は、499百万円(同 87百万円減少)、これは、前連結会計年度末と比べて未払金が9百万円増加した一方、前受金が76百万円減少したことが主な要因となっております。固定負債は208百万円(同 0百万円減少)となっております。
純資産は16,911百万円(前連結会計年度末比 871百万円減少)となりました。これは、利益剰余金が前連結会計年度末と比べて747百万円減少したことが主な要因になっております。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、5,926百万円(前第2四半期連結累計期間比 13,088百万円減少)となりました。
当第2四半期連結累計期間における営業活動によるキャッシュ・フローは、822百万円の資金の減少(前第2四半期連結累計期間は479百万円の減少)となりました。これは、税金等調整前四半期純損失789百万円を計上したことが主な要因となっております。
当第2四半期連結累計期間における投資活動によるキャッシュ・フローは、1,923百万円の資金の増加(同 20百万円の減少)となりました。これは預入期間3ヶ月超の定期預金が2,000百万円減少したことが要因となっております。
当第2四半期連結累計期間における財務活動によるキャッシュ・フローは、ありませんでした(同 11,017百万円の増加)。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、新たに発生した事業上及び財務上の対処すべき課題はありません。
なお、当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりであります。
①基本方針の内容
当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社の財務及び事業の内容や当社の企業価値の源泉を十分に理解し、当社の企業価値・株主共同の利益を確保、向上していくことを可能にする者であるべきと考えています。
当社は、金融商品取引所に株式を上場していることから、当社株式の取引は、株主、投資家の自由意思に委ねるのが原則であり、大規模買付行為がなされた場合においても、当社の企業価値・株主共同の利益の確保、向上に資するものである限り、これをすべて否定するものではありません。最終的には、株式の大規模買付提案に応じるべきかどうかは株主の皆様の決定に委ねられるべきと考えています。
しかしながら、大規模買付提案の中には、例えばステークホルダーとの良好な関係を保持し続けることが困難であると予測されるなど、当社グループの企業価値・株主共同の利益を損なう恐れのあるものや、当社グループの企業価値を十分に反映しているとは言えないもの、あるいは株主の皆様が最終的に決定をされるために必要な情報が十分に提供されずに、大規模買付行為が行われる可能性も否定できません。
とりわけ当社グループは、「より副作用の少ないがん治療薬・治療法を一日も早くがんに苦しむ患者さんに届けること、がんとの闘いに勝つこと」を企業使命として掲げており、患者様の生命や健康に直結する事業を進めていることから、その経営においては高い倫理観と遺伝子治療薬開発をはじめとするバイオテクノロジーに関する専門的な知識・ノウハウ等が要求されます。
このようなことから、当社は、大規模買付行為がなされた場合には、株主の皆様に提供される情報、検討機会を十分確保する方策が必要であると考えています。
②基本方針の実現に資する取組み
当社の研究開発は、平成13年4月からの東京大学医科学研究所との共同研究により出発致しました。当該研究は、各がん種において特異的に発現する遺伝子を網羅的に解析することにより、創薬ターゲットとなるがん関連遺伝子及び遺伝子産物を単離することを目的としており、主に基礎研究領域に重点を置いたものとなっています。
その後、基礎研究の継続的な実施による進展とともに、当社グループの事業領域は、より医薬品の開発に近い創薬研究へと拡大しており、がんペプチドワクチン、低分子医薬、抗体医薬、核酸医薬の各領域において、臨床応用を目指した創薬研究を実施しております。さらに、国内外において、各提携先製薬企業と共同で、または当社グループ独自で複数の臨床試験を実施しております。
このように、当社グループは「より副作用の少ないがん治療薬・治療法を一日も早くがんに苦しむ患者さんに届けること、がんとの闘いに勝つこと」という企業使命の実現のため、日々研究開発を推進しています。当社グループは、これらの研究開発の進展こそが当社グループの企業価値向上の源泉であると考えています。
③基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み
当社は、上記基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みの一つとして、平成21年5月27日に取締役会において、当社株式の大規模買付行為に関する対応策を導入することに関して決定を行い、平成21年6月26日開催の第8回定時株主総会において承認可決され、平成24年5月28日の取締役会において原施策に軽微な修正を施したうえで内容に大幅な変更無く継続導入することに関して決定を行い、平成24年6月27日開催の第11回定時株主総会において承認可決されております。
(a)本プランの概要
(ⅰ)本プランの発動に係る手続き
本プランは以下の(a)または(b)に該当する当社株式の買付けまたはこれに類似する行為(ただし、当社取締役会が承認したものを除きます。当該行為を、以下、 「大規模買付け等」といいます。)がなされる場合を適用対象とします。大規模買付け等を行い、または行おうとする者 (以下、「買付者等」といいます。)は、予め本プランに定められる手続きに従わなければならないものとします。
(a)当社が発行者である株式について、保有者の株式保有割合が20%以上となる買付け
(b)当社が発行者である株式について、公開買付けに係る株式の株式所有割合およびその特別関係者の株式所有割合の合計が20%以上となる公開買付け
(ⅱ)対抗措置の内容
上記(ⅰ)記載の対抗措置として、当社は、上記(ⅰ)記載の買付者による行使は認められないとの条項及び当社が当該買付者以外の者から当社株式と引き換えに当該新株予約権を取得する旨の条項等が付された新株予約権を、当社株式1株に対し1個を上限として、当社取締役会が本新株予約権無償割当決議において別途定める割合で、その時点の全ての株主に対して割り当てる手法による無償割当て、その他法令または当社定款が取締役会の権限として認める措置を行います。
(b)本プランの有効期間
本プランの有効期間は、平成24年3月期の事業年度に関する定時株主総会終結の時から平成27年6月開催予定の定時株主総会終結の時までと定めています。
(c)本プランの廃止及び変更
当社の株主総会において本プランの変更または廃止の決議がなされた場合には、本プランは当該決議に従い、その時点で変更または廃止されるものとします。また、当社の株主総会で選任された取締役で構成される取締役会により本プランの廃止の決議がなされた場合には、本プランはその時点で廃止されるものとします。
なお、当社取締役会は、会社法、金融商品取引法、その他の法令若しくは金融商品取引所規則の変更またはこれらの解釈・運用の変更、または税制、裁判例等の変更により合理的に必要と認められる範囲で独立委員会の承認を得た上で、本プランを修正し、または変更する場合があります。当社は、本プランが廃止または変更された場合には、当該廃止または変更の事実および(変更の場合には)変更内容その他当社取締役会が適切と認める事項について、情報開示を行います。
④上記取組みが基本方針に沿い、当社の株主の共同の利益を損なうものではなく、当社役員の地位の維持を目的とするものでないこと及びその理由
本プランは、経済産業省および法務省が平成17年5月27日に発表した「企業価値・株主共同の利益の確保または向上のための買収防衛策に関する指針」の定める三原則(企業価値・株主共同の利益の確保・向上の原則、事前開示・株主意思の原則、必要性・相当性確保の原則)を充足しています。また、本プランは、企業価値研究会が平成20年6月30日に発表した「近時の諸環境の変化を踏まえた買収防衛策の在り方」を踏まえて設計されているものです。
(a) 企業価値・株主共同の利益の確保・向上の原則
本プランは、上記に記載の通り、当社株式に対する大規模買付け等がなされた際に、当該大規模買付け等に応じるべきか否かを株主がご判断し、あるいは当社取締役会が代替案を提示するために必要な情報や期間を確保し、株主の皆様のために買付者等と交渉を行うこと等を可能とすることにより、当社の企業価値・株主共同の利益を確保し、向上させるという目的をもって導入されるものです。
(b) 事前開示・株主意思の原則
本プランは、定時株主総会において株主の承認を得たうえで導入するものです。
また、上記に記載した通り、株主総会において本プランの変更または廃止の決議がなされた場合には、本プランも当該決議に従い変更または廃止されることになります。従いまして、本プランの導入および廃止には、株主の意思が十分反映される仕組みとなっています。
(c) 必要性・相当性確保の原則
(ⅰ) 独立委員会による判断の重視と情報開示
本プランは、大規模買付け等への対抗措置の発動等に関する取締役会の恣意的判断を排し、取締役会の判断および対応の客観性および合理性を確保することを目的として独立委員会を設置します。独立委員会は、当社の業務執行を行う経営陣から独立している、当社社外取締役、当社社外監査役または社外の有識者(実績のある会社経営者、官庁出身者、弁護士、公認会計士若しくは学識経験者またはこれらに準じる者)から選任される委員3名以上により構成されます。また、当社は、その判断の概要については株主および投資家の皆様に情報開示を行うこととし、当社の企業価値・株主共同の利益に資するよう本プランの透明な運営が行われる仕組みを確保しています。
(ⅱ)合理的かつ客観的な発動要件の設定
本プランは、合理的かつ客観的な発動要件が充足されなければ発動されないように設定されており、当社取締役会による恣意的な発動を防止するための仕組みを確保しています。
(ⅲ)デッドハンド型の買収防衛策ではないこと
本プランは、当社の株主総会で選任された取締役で構成される取締役会により、いつでも廃止することができるものとされています。従って、本プランは、デッドハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の過半数を交代させても、なお発動を阻止できない買収防衛策)ではありません。
(5)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間の研究開発費の総額は1,255百万円であります。
当社グループは、元東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター長(現、シカゴ大学教授)中村祐輔教授と共同で、ほぼ全てのがんを対象とした網羅的な遺伝子発現解析等を実施し、既に多くのがん治療薬開発に適した標的分子を同定しております。また、それらの標的に対し、がんペプチドワクチン、低分子医薬、抗体医薬、核酸医薬(siRNA医薬等)の、各領域における創薬研究を積極的に展開し、これら創薬研究の成果を基にした複数の臨床試験を実施しており、臨床試験準備中の医薬品候補物質も複数有しております。
なお、平成26年9月30日現在、当社は全世界で284件の特許を取得しております。
<基礎研究領域>創薬ターゲットの特定等を行う基礎研究領域においては、ヒト全遺伝子の遺伝子発現パターンを網羅的に検索できるcDNAマイクロアレイ(※1、※2)のシステムによる大腸がん、胃がん、肝臓がん、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、食道がん、前立腺がん、膵臓がん、乳がん、腎臓がん、膀胱がんおよび軟部肉腫等について発現解析が終了しております。これらの発現解析情報からがんで発現が高く正常臓器では発現がほとんどない遺伝子を選択し、更に機能解析により、がん細胞の生存に必須な多数の遺伝子を分子標的治療薬の標的として同定しております。
<創薬研究領域>医薬品候補物質の同定及び最適化を行う創薬研究領域においては、医薬品の用途毎に、より製品に近い研究を積極的に展開しております。
がんペプチドワクチンにつきましては、これまでに日本人および欧米人に多く見られるHLA-A*24:02およびA*02:01を中心に、大腸がん、胃がん、肺がん、膀胱がん、腎臓がん、膵臓がん、乳がんおよび肝臓がんなどを標的とした計43遺伝子を対象としたペプチドワクチンを既に同定しておりますが、それら以外にもA*11:01, A*33:03, A*01:01およびA*03:01など、様々なHLAに対応したより多くのエピトープペプチドのスクリーニングを実施しております。さらに、塩野義製薬株式会社と、ペプチドワクチンの迅速かつ確実な創薬化を目指した共同研究を実施しております。
低分子医薬につきましては、7種のがん特異的タンパク質を標的とする創薬研究を進めております。そのうち1種の標的であるリン酸化酵素(キナーゼ)については、米国にて第Ⅰ相臨床試験を実施中です。(詳細は、以下、⦅医薬開発領域⦆低分子薬臨床開発の更なる加速 をご覧ください。)他の1種のリン酸化酵素については、これまでに得た高活性化合物に基づきリード最適化作業を進め、in vivo(※3)で強力な腫瘍増殖抑制効果を示すOTS964等複数の高活性化合物を同定しております。これらについては、医薬品開発候補化合物として臨床開発することを決定し、より詳細な薬効薬理・薬物動態・毒性試験を進めております。さらに、別の1種の標的酵素タンパク質に関して、これまでの構造活性相関研究による新規化合物合成の結果得られた複数の高活性化合物に基づきリード最適化作業を進めるとともに、in vivoでの薬効試験を実施中です。また、さらに別の4種の標的酵素タンパク質に関して、大規模化合物ライブラリのスクリーニングから得た高活性化合物骨格につき、リード化合物獲得に向けた新規化合物合成と構造活性相関研究を進めるとともに、in vivoでの薬効試験を開始いたしました。
抗体医薬につきましては、3分子に絞り込んだ治療標的となるがん特異的抗原について、マウスモノクローナル抗体ならびにキメラ抗体のがん治療用抗体としての評価を行っております。1標的については、フランスで臨床試験を実施しております。(詳細は、以下、⦅医薬開発領域⦆抗体薬開発の促進 をご覧ください。)残りの2標的については、放射性同位体で標識した抗体を担がんマウスに投与することで、高い治療効果が得られることが判明しております。これらの抗体については臨床開発を視野に入れた抗腫瘍効果の検討および安全性の評価を進めております。
核酸医薬については、高い効果が期待でき、かつ将来的に幅広いがん種への応用が期待できる開発候補として4分子を抽出し、なかでも特に効果の高い1分子に関して、in vivoでの抗腫瘍効果の検討を進めております。現在、新規ドラッグ・デリバリー・システムの探索に継続して取り組んでおります。
<医薬開発領域>医薬開発領域においては、当社グループ独自で、ならびに複数の製薬企業との提携による開発を、以下の通りそれぞれ進めております。
がん特異的ペプチドワクチンの優先的臨床開発
胃がんに対する治療用カクテルワクチンOTSGC-A24は、アジア国際共同医師主導治験として、シンガポール、日本及び韓国において、第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験を実施しております。
大塚製薬株式会社と提携しておりますペプチドワクチンの開発については、膵臓がんに対する治療用ワクチンOCV-101の第Ⅱ相臨床試験を実施しており、大腸がんペプチドワクチンについては、大塚製薬株式会社にて第Ⅰ相臨床試験を実施しております。
塩野義製薬株式会社と提携しておりますオンコアンチゲン(※4)由来のペプチドワクチンの開発については、塩野義製薬株式会社が、膀胱がんを対象としたがん治療用ワクチン製剤S-588410で、日欧第Ⅱ相臨床試験を実施しております。また、頭頸部がんを対象とした複数のペプチドワクチンを用いたがん治療用ワクチン製剤S-488210は欧州において塩野義製薬株式会社が第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験を実施中、加齢黄斑変性症治療用ペプチドワクチンS-646240につきましては、国内において塩野義製薬株式会社が第Ⅱa相臨床試験を実施し完了しております。
小野薬品工業株式会社と提携しておりますオンコアンチゲン由来のペプチドワクチンONO-7268MX1ならびにONO-7268MX2については、小野薬品工業株式会社が肝細胞がんを対象とした第Ⅰ相臨床試験をそれぞれ実施しております。
その他、医師主導治験として2つの臨床試験を実施しております。
低分子薬臨床開発の更なる加速
がん幹細胞の維持に重要な分子であるMELK(Maternal Embryonic Leucine zipper Kinase) を標的としたOTS167については、標準療法不応の固形がんに対する第Ⅰ相臨床試験を米国にて実施中です。すでにプロトコールに規定されている初期安全性段階は終了し、引き続き用量を増やした臨床試験を進めております。現時点までに、重篤な副作用はなく順調に試験が経過しております。OTS167は動物実験で乳がん、肺がん、前立腺がん、膵臓がんなどに対し、強力な抗腫瘍効果を確認しており、今後これらのがん種への適応拡大を諮ってまいります。
また、細胞分裂に重要ながん特異的新規標的分子(TOPK)に対する最適化化合物を同定しております。動物実験で、がんの消失等顕著な結果が得られたことから、早期の臨床試験開始を目途に、製剤化検討及び非臨床試験を進めております。
これらに加え、複数のリン酸化酵素以外の新規標的分子(メチル化転移酵素など)に対するリード化合物をすでに同定しており、現在、それらの最適化を進めております。これらの低分子医薬候補物質の臨床開発を強力に推進してまいります。
抗体薬開発の促進
がん治療用抗体OTSA101 については、現在フランスで肉腫治療の世界的権威であり、欧州がん研究・治療機構(European Organization for Research and Treatment of Cancer:EORTC)元会長のJean-Yves Blay 教授主導のもと、軟部肉腫の一種である滑膜肉腫患者に対する第Ⅰ相臨床試験を実施しており、これまでに重篤な副作用もなく順調に経過しております。なおOTSA101は、欧州委員会(European Commission)及び米国食品医薬品局(FDA)より、軟部肉腫に対するオーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)に指定されております。第Ⅰ相臨床試験終了を視野に入れ、有効性を検証するための最終臨床試験デザインの検討を行っております。
また、当社連結子会社であるイムナス・ファーマ株式会社が、協和発酵キリン株式会社にライセンスアウトしております抗アミロイドβ(Aβ)ペプチド抗体KHK6640については、協和発酵キリン株式会社がアルツハイマー病に対する第Ⅰ相臨床試験を欧州にて開始しました。
[用語解説]
(※1) mRNA、RNA、cDNA
RNAはリボ核酸、mRNAはRNAのうち、メッセンジャーすなわち「伝令」の役割をするものであります。人間の体は約60兆個の細胞によって作られていますが、体の構造や働きはおもにタンパク質によって決まっております。そのタンパク質の設計図は遺伝子であり、そして、遺伝子の本体はDNAであります。このDNAは細胞の核の中にある染色体に存在しておりますが、タンパク質は設計図であるDNAから直接作られるのではなく、一旦、DNAからRNAが作られ、そのRNAが翻訳されてタンパク質となります。この一旦作られるRNAを「伝令」すなわちメッセンジャーRNA(mRNA)といいます。つまり、遺伝子情報の流れはDNA→mRNA→タンパク質というようになっております。cDNAは、mRNA から逆転写酵素を用いた逆転写反応によって合成されたDNAで、イントロンを含まない状態の遺伝子(塩基配列)を知ることができることから、遺伝子のクローニングに広く利用されております。
(※2)マイクロアレイ
小さな基盤上に非常に高密度にDNAを配置し、それらを手がかりに大量の遺伝子情報を獲得することを目的として開発されたシステム。現在、遺伝子発現情報の解析において有用なものであると考えられております。
(※3) in vivo
in vitroとは対比的に用いられ「体の中で」を意味する医学・化学用語です。一般に生体内(主に実験動物)での実験的検証を意味します。
(※4)オンコアンチゲン
がん細胞に特異的に発現し、増殖能などがん細胞に必須の機能を有する一方、正常細胞には極めて発現の低い分子で、細胞傷害性T細胞から認識される抗原性を持った腫瘍特異的な標的分子を指します。