有価証券報告書-第29期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/23 15:14
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業績等の概要

当社グループの当連結会計年度の業績の概要は次のとおりであります。
(1) 業績
当連結会計年度(平成27年4月1日から平成28年3月31日まで)におけるわが国経済は、企業収益の好調期に策定された投資計画が実行される等、設備投資が堅調に推移しましたが賃金の伸び悩み、暖冬の影響による個人消費の低迷等により2015年10月~12月期の実質経済成長率は2四半期ぶりにマイナスとなりました。また、海外需要の鈍化を背景とした生産の伸び悩みがみられる一方で、海外からの訪日外国人によるインバウンド消費等が引き続き景気を下支えしております。
このような環境の中で、当社グループは活動の根幹に「Save the Earth, Make Communities Green」を掲げ、「グリーン・コミュニティ」の創造を通じ、持続可能な社会の形成に一丸となって取り組んでまいりました。更に、収益性と成長性にはこれまで以上にこだわりを持ち、構造改革や人材・技術開発を推進しています。
当連結会計年度の当社グループの業績は、空間情報コンサルティング事業及びグリーンエネルギー事業の技術事業部門においては順調に推移したものの、市況変動の影響に伴いファイナンシャルサービス事業の減収幅が大きくなりました。
この結果、売上高は前期比0.5%減の75,524百万円(前期の売上高75,903百万円)、営業利益は3,887百万円(前期の営業利益5,352百万円)、経常利益は2,563百万円(前期の経常利益3,737百万円)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、特別損失として子会社による偶発損失引当金1,360百万円を繰入れたことにより411百万円(前期の親会社株主に帰属する当期純利益3,739百万円)となりました。
各セグメントの業績は次のとおりであります。なお、当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しており、当連結会計年度の比較・分析は、変更後の区分に基づいております。
<空間情報コンサルティング事業>空間情報コンサルティング事業においては、当セグメントの中核企業である国際航業株式会社の組織体制を変更して技術力・営業力並びに新規事業の開発力の強化を図るとともに、事業領域を「エネルギー」「防災・環境保全」「社会インフラ」「地理空間情報」と再定義し、それぞれの事業の規模拡大を目指しております。
当セグメントにおいては、平成27年度の国の公共事業関係費が当初予算ベースで微増にとどまる中、まち・ひと・しごと創生関連事業、防災・減災・老朽化対策等への積極的な対応によって都道府県、市町村顧客の開拓を推進してまいりました。受注・生産ラインの情報共有化推進や前倒し生産による業務量の平準化等、生産基盤の強化も進めてまいりました。また、大手製造企業を中心とした顧客基盤を持つ国際環境ソリューションズ株式会社との合併・協働によって、民間顧客の開拓も進めてまいりました。
このような活動の結果、受注高は前期比2.0%増の42,146百万円(前期の受注高41,320百万円)、売上高は前期比1.6%増の42,681百万円(前期の売上高41,989百万円)と堅調な推移となりました。損益面ではセグメント利益が1,746百万円(前期のセグメント利益1,381百万円)と前期比365百万円の増加となりました。

<グリーンエネルギー事業>グリーンエネルギー事業を担ってきたJAG国際エナジー株式会社とグリーンプロパティ事業を担う国際ランド&ディベロップメント株式会社との平成27年7月1日付けの合併を踏まえ、事業を統合し、今期より新「グリーンエネルギー事業」セグメントといたしました。また、「省・創・蓄エネルギー」をコンセプトにこれまでも不動産・戸建住宅事業について取り組んでまいりましたが、中核会社の合併とセグメントの統合を機に、この分野への取組みも更に強化しております。
当セグメントは、太陽光発電所・電力買取制度等による「売電事業」と、太陽光発電所等の企画・開発や運営業務を行う「受託事業」を中心として、不動産賃貸、アセットマネジメント、プロパティマネジメント、プロジェクトマネジメント及び不動産関連ソリューションについてJAG国際エナジー株式会社を中心に提供するほか、株式会社KHCが「戸建住宅事業」を行っております。
「売電事業」では、今期に稼動した岡山県玉野市(4.0MW)、香川県仲多度郡まんのう町(2.0MW)、茨城県牛久市(0.3MW)、北海道札幌市(0.95MW)、滋賀県長浜市(0.83MW)、北海道滝川市(0.61MW)、佐賀県唐津市(0.31MW)の太陽光発電所が収益に寄与していることに加え、現在も新たな太陽光発電所建設に向けた取り組みを進めております。稼働済みの発電所は49箇所以上、合計で74MWを超える規模となりました。「受託事業」と「戸建住宅事業」は共に堅調に推移し、受注物件の引き渡しも計画通り進みました。
このような活動の結果、受注高は昨年度の大型案件受注の反動等もあり、前期比26.7%減の17,931百万円(前期の受注高24,456百万円)となりました。売上高は好調な「売電事業」に加え、前期に受託した太陽光発電所開発により「受託事業」も順調に進捗し、前期比8.1%増の25,007百万円(前期の売上高23,127百万円)となりました。損益面ではセグメント利益が前期比10.9%増の1,856百万円(前期のセグメント利益1,674百万円)となりました。
<ファイナンシャルサービス事業>ファイナンシャルサービス事業においては、日本アジア証券株式会社及びおきなわ証券株式会社の証券業並びに、日本アジア・アセット・マネジメント株式会社の投信委託・投資顧問業等を中心に展開しております。
当連結会計年度における株式市場は、好調な企業収益や政策への期待等に支えられ7月には21,000円台に迫る場面がありました。その後、中国上海市場を震源地とする世界同時株安に原油価格の下落を背景とした世界経済悪化への警戒感、円高の進行による企業業績下振れ懸念等により、16,000円台-20,000円台と値動きの大きな展開が続いています。円ドル相場は、12月にかけて120円前後で推移し大きく動き難い展開が続いていましたが、米国の利上げペースが穏やかであるという見方に加え、日米株価の大幅な下落を受けて投資家のリスク回避姿勢が強まったことから、3月には111円台前半まで円高・ドル安が進みました。
当セグメントにおいては、日本アジア証券株式会社では、今期の運営方針に基づき、「米国M&Aフォーカス株式ファンド」を新規に販売する等、顧客基盤強化に向け預かり資産の拡大に向けた活動を推進しましたが、世界的なリスク回避の動きから、特に外国株式関連の収益が減少し前年度を下回る水準にとどまりました。また、おきなわ証券株式会社においても、投資信託を中心とした募集商品に加え、外国株式の取扱いを拡大させてきたことから同様に収益減少となりました。
このような活動の結果、売上高は前期比27.5%減の7,795百万円(前期の売上高10,755百万円)となりました。損益面ではセグメント利益が前期比78.9%減の551百万円(前期のセグメント利益2,608百万円)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前期末に比べ4,832百万円減少し、19,762百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、3,555百万円のプラスと前期比3,661百万円の減少(前期は7,216百万円のプラス)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益1,903百万円(前期比1,684百万円収入減少)、売上債権の増加1,086百万円(前期比2,849百万円収入減少)、たな卸資産の減少2,034百万円(前期比1,663百万円収入増加)、仕入債務の減少1,500百万円(前期比3,362百万円収入減少)、証券業における預り金の減少542百万円(前期比1,185百万円収入減少)、預託金の減少等によるその他営業キャッシュ・フロー2,343百万円(前期比4,346百万円収入増加)などによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、16,376百万円のマイナス(前期は7,658百万円のマイナス)となりました。これは主に、資金の増加要因として保有資産の効率化を目的とした投資有価証券の売却による収入1,303百万円、資金の減少要因として太陽光発電所の建設などによる有形固定資産の取得による支出8,377百万円及び定期預金等の増加7,622百万円などによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、8,001百万円のプラス(前期は6,634百万円のプラス)となりました。これは主に太陽光発電所の開発資金を調達したことなどによる借入金及び社債の純収入額5,064百万円、及びセール・アンド・リースバックによる収入2,682百万円があったことなどによるものです。