有価証券報告書-第29期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)
有報資料
当社グループでは、空間情報コンサルティング事業において、国際航業株式会社の調査研究開発部と同社の技術本部が連携して、新技術・新商品に関する研究開発活動を行っております。
その体制は、調査研究開発部が中心となって先端・基礎研究を行い、応用技術の開発、新製品の開発及び既存商品の機能強化等については、個別の研究開発案件に基づきプロジェクトチームを編成し取り組んでおります。
当連結会計年度に支出した研究開発費は、基礎研究費、応用技術の開発、新製品の開発及び既存商品の機能強化等1億1千4百万円となっております。
主な研究開発活動の内容
コンピュータネットワーク社会における空間情報の利活用を大きなテーマとして研究開発活動を進めているほか、 環境、防災、社会資本の整備・維持管理などに関わる個別テーマについての研究開発活動も進めております。
(1) 空間情報の利活用に関するもの
① 基礎研究
○空間情報技術の規格化及び体系化に関する研究
空間情報の流通促進と利用拡大を目的に、国際標準化機構(ISO)による地理情報標準専門委員会(ISO/TC211),同国内委員会、及びJIS化推進委員会などに委員として貢献するなど、地理情報規格化及びその応用に関する研究を行っております。研究成果は、事業部門が行う空間情報コンサルティング、海外援助案件への利用、さらには技術者教育や大学での基礎教育などに役立てられております。平成27年度には本研究の担当者が、長年の当該分野への貢献が認められ、地理情報システム学会から、GIS名誉上級技術者の称号を授与されました。
○空間情報デザイン及び利活用に関する研究
ユビキタス空間情報社会といわれる今日、ユニバーサルデザイン(健常者,障がい者の区別無く理解できるデザイン)やパーソナリゼイション(ユーザーの個性を尊重するデザイン)の視点が一層重要になっております。本研究では、複雑化する空間情報をよりシンプルに提供する仕組みを主な研究対象としております。また、屋内外測位技術の発展によるシームレス位置情報サービスの実現に向けて、GPSや準天頂衛星システムに加え、ビーコンやIMES(インドアGPS)、Wi-Fi、PDR等の融合と、取得される人やモノの位置情報の解析手法を推進しております。
平成27年度も国土交通省が主催する「高精度測位社会の実現に向けた東京駅周辺における実証実験」に参加しております。このプロジェクトは今後も引き続き行われる予定で、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、屋内外の測位技術等を活用した様々なサービスを生みだし、国内外に広くアピールすることを目指しています。
○デジタルセンシング技術に関する研究
空間情報産業に展開する国際航業株式会社のコアコンピタンスである、空間データ取得のためのデジタルセンシング技術の高度化に取り組んでおります。衛星、航空機、自動車や自転車(MMS)、地上設置架台、船舶等の様々なプラットフォームに搭載されたレーダ、超多波長分光放射計、デジタルカメラ、波形記録型レーザスキャナ、音波計測装置などの各種最新センサによる、最先端の空間デ-タ取得技術の調査・検討を行っております。とくに、超小型衛星やUAV(小型無人飛行機)などの新しいプラットフォームを用いた空間データ取得技術の調査・検討を積極的に実施しております。また、調査・検討結果に基づき、最新機器の導入も進めております。
○空間情報抽出技術に関する研究
さまざまなセンサを用いたデジタルセンシングにより取得された空間データから、地形・地物の位置や属性などの空間情報を効率的に抽出する技術の研究開発に取り組んでおります。写真測量技術をベースにした空間情報の抽出に関する研究開発では、昨年度に引き続き、異なる時期に取得された、あるいは異なるプラットフォームで取得された、画像データと点群データを統合的に処理することにより、効率的に高精度な空間情報を抽出する技術の開発に重点を置いて研究を進めております。
② 応用技術開発
○リモートセンシング技術の開発
デジタルセンシングにより得られる空間データを、インフラ、防災、環境等の多分野にわたるソリューションサービスで活用するため、リモートセンシングを中核とした解析・応用技術の高度化に取り組んでおります。空間データの高次解析による各応用分野に最適な地理空間情報の抽出から、エンドユーザーに届ける付加価値ソリューションに至るまで、トータルかつ実用的な空間情報ハンドリング技術とその成果を活用した応用商品の創出に取り組んでおります。とくに、波形記録式レーザスキャナやレーダセンサの利活用技術の開発に重点的に取り組み、複数の特許出願を行っております。また、超小型衛星など、次世代衛星リソースの特長を生かして、リアルタイムモニタリング事業での利活用研究も行っております。
○3次元モデリング技術の開発
世界中の建設業界がBIM(Building Information Modeling)やCIM(Construction Information Modeling)を活用し始めています。また、2016年度から「i-Construction」の推進が謳われています。当社はこれらの社会からの要請に応えるため、さらには、そのベースとなる面的3次元モデルをグリーン・コミュニティを支えるインフラのコアとするために、精密3次元モデリング技術の高精度化と低価格化を目指しております。その実現に向けて、最先端のセンシングやモニタリング技術を最大限に活用し、高性能で低価格な地理空間情報を構築する生産技術の開発を行っています。具体的には、操作性の良い3次元モデリングツールの独自開発や、高度な画像認識技術を用いた空間情報の自動抽出技術の開発などを行っています。これらの技術で創出される面的3次元モデルを基盤に、測量・設計から、施工、さらに管理にいたる建設現場の全プロセスにおける活用や、BIM/CIMなどの建物・構造物モデルを繋げることによる、スマートシティーの運営や、高度なアセットマネジメントへの活用を推進していきたいと考えております。
(2) 環境に関するもの
① 基礎研究
○環境に関する先端計測技術の研究
東京電力福島第一発電所での過酷事故から5年が経過し、放射能汚染地域での空間線量率は、物理減衰、除染、ウェザリング(自然要因による減衰)等により大きく低下しています。これに伴い、汚染状況重点調査地域での除染業務はほぼ収束に向かい、同地域での関心は、住宅等現場に保管された除去土壌を仮置き場へ、さらには中間貯蔵施設への安全な運搬、農業用ため池を含む水域、また住宅近接部分以外は手付かずであった森林等での除染および汚染土壌管理業務に移行しています。このため、当社は、従来技術に加えて、森林等ではGNSSと放射線検出器を搭載した歩行サーベイ機器や汚染土壌管理業務では面的な放射線分布の把握が可能なガンマカメラ等で対応するべく計測体制を整備しております。ここで、森林等ではGNSSのみの測位では上空視界が遮蔽されることが多いため、準天頂衛星や自律航法技術を併用する方式の検討も進めております。
② 応用技術開発
○地球温暖化防止のための森林調査技術開発
国連の気候変動枠組条約での対策検討が進み、その一つとして、REDD+など途上国における森林保全の取り組みも進展している中、森林の経年変化や二酸化炭素吸収能力を定量的に評価する技術の確立が、国内外を問わず注目されております。グリ-ン・コミュニティ創出に取り組む国際航業株式会社では、そのための有効な手法である、航空機搭載型レーザスキャナやレーダセンサによる樹木成長量やバイオマスの把握、国レベルの広域森林情報整備に必要となる大量の衛星データの高速処理技術などについて研究開発を行い、急速に進展するREDD+事業の業績拡大等に大きく寄与しております。また、REDD+に関しては、開発成果や事業への適用例をとりまとめ、この分野で本邦初の書籍「概説REDD+」をアスキー・メディアワークスより2013年に出版し、現在でも好評を博しております。また、これらの活動などが評価され、独立行政法人国際協力機構(JICA)と独立行政法人森林総合研究所が設立した「森から世界を変えるREDD+プラットフォーム」の実行委員に就任しております。
(3) 防災(安全・安心な社会)及び社会資本の整備・維持管理に関するもの
① 基礎研究
○斜面災害に関する解析技術の開発
斜面防災関連技術として、航空機搭載型レーザスキャナデータによる地形解析、合成開口レーダ衛星のデータ解析および数値シミュレーション技術などの最先端技術と、地形判読技術などの既存技術の融合によって、住宅・道路・鉄道等の斜面防災、火山防災、環境調査などにおける高度な解析を行うための実用的なシステムの開発を、基礎技術研究の側面から支援しております。また、リアルタイムハザードマップなど、先端的計測技術を用いた調査および危険度評価方法の確立と普及に向けた研究を進めております。
○地震・津波防災に関する解析技術の開発
津波防災においては、航空機搭載型等のレーザスキャナ計測による詳細地形モデル構築と、海洋レーダ観測技術と津波シミュレーション技術の融合による、リアルタイム津波防災システムの構築に向けた研究を進めております。また、数値気象データを新たに開発した独自の手法で画像化した気象立体表現図は、平成27年度日本地図学会「地図展優秀賞選定」において優秀賞の評価をいただきました。
② 応用技術開発
○斜面災害に関する応用技術の開発
平成27年度は、昨年度に引き続き、高い忠実度をもつ細密地形モデルと、3D-GIV(地表面変動解析システム)、ELSAMAP(カラー標高傾斜図)作成システムなど最先端特許技術の、現場技術への適用を進めました。先端的な地盤変動抽出手法である3D-GIVは、これまで公的研究機関が行う研究などに適用して技術的信頼性を実証してまいりましたが、平成27年度は、斜面災害対策の実務にも適用されたほか、新たにダム関連の調査マニュアルにおける調査手法として導入されることになりました。
災害時緊急対応においては、平成27年5月の箱根火山噴火に際しては、UAVの活用による迅速な状況把握、また8月の鬼怒川堤防決壊による洪水災害に際しても、航空写真撮影等による状況把握に取り組み、関係機関へのリアルタイムな情報提供に寄与しました。
○GPSを用いた新しい防災モニタリング事業の開拓
国際航業株式会社の独自のGPSを用いた地盤変位モニタリング事業(shamen-net事業)は、今日オンリーワンの技術として高く評価され、土木工事現場や災害現場の監視システムとして利用されております。しかし衛星測位もGPSのみに頼る時代から、準天頂衛星などのGPS以外の衛星を相互利用する時代(GNSS時代)に移行しようとしている中で、更にshamen-netの技術を発展させ、また普及させるために、shamen-net事業を発展させた新しい防災モニタリング事業の開拓に取り組んでおります。
なお、shamen-net事業は、我が国の宇宙開発利用推進に大きな成果を収め、また先導的に取り組んだ功績により、平成28年3月に「第2回宇宙開発利用大賞 国土交通大臣賞」を受賞しました。
○アセットマネジメントのための技術開発
社会資本施設の老朽化が進み構造物維持管理への要請が益々高まる中、特色ある診断・管理技術の開発・高度化の研究に取り組んでおります。具体的には、MMS(Mobile Measurement System)やUAV(小型無人飛行機)を用いた道路・河川構造物の点検技術や、非破壊検査技術として赤外線画像法によるコンクリート構造物・路面などの剥離診断、画像処理技術を用いた橋梁点検に取り組み、アセットマネジメント事業の開拓と拡大に活用しております。また、土木研究所、NEXCOが中心となり、ゼネコン、コンサル、電気・通信メーカー等14社で設立した「モニタリングシステム技術研究組合」に参画し、社会インフラの損傷・劣化の状態を監視するモニタリングシステムの技術開発の推進、基準化・標準化による早期実用化を目指しております。
(4) 環境エネルギーに関するもの(応用技術開発)
○再生可能エネルギーの導入に関わる空間情報解析技術の開発
平成23年の東日本大震災の発生や平成24年の固定価格買い取り制度の開始以来、再生可能エネルギーの導入が進むのに合わせて、導入支援のみならず、大量導入時の電力需給の安定化、さらには発電施設の維持管理に関する情報提供が求められています。このため、当社は平成26年に公益財団法人東京都環境公社に「東京ソーラー屋根台帳」を納入したのを皮切りに、太陽光発電のみならず、風力発電、小水力発電等に対しても、各種の3次元地理空間情報や気象情報からエネルギー資源の賦存量をGIS上に展開して設計や運用に供する技術の開発を実施してきております。ソーラー屋根台帳作成では、航空写真やレーザ点群から、通常の数値地表モデルではなく、個別の建物ごとのモデルが自動的に作成できる、市場では数少ないソフトを使用することでデータの生産効率を高めております。
(5) その他
空間情報コンサルティング事業全般に関わる技術の向上や交流を主な目的として、①技術シンポジウムの開催、②国の関連研究機関などへの研修派遣、③学識経験者などを講師とする専門分野の研究会活動や海外でのワークショップなどを、国際航業株式会社の調査研究開発部、技術本部が中心となって継続的に実施しております。
その体制は、調査研究開発部が中心となって先端・基礎研究を行い、応用技術の開発、新製品の開発及び既存商品の機能強化等については、個別の研究開発案件に基づきプロジェクトチームを編成し取り組んでおります。
当連結会計年度に支出した研究開発費は、基礎研究費、応用技術の開発、新製品の開発及び既存商品の機能強化等1億1千4百万円となっております。
主な研究開発活動の内容
コンピュータネットワーク社会における空間情報の利活用を大きなテーマとして研究開発活動を進めているほか、 環境、防災、社会資本の整備・維持管理などに関わる個別テーマについての研究開発活動も進めております。
(1) 空間情報の利活用に関するもの
① 基礎研究
○空間情報技術の規格化及び体系化に関する研究
空間情報の流通促進と利用拡大を目的に、国際標準化機構(ISO)による地理情報標準専門委員会(ISO/TC211),同国内委員会、及びJIS化推進委員会などに委員として貢献するなど、地理情報規格化及びその応用に関する研究を行っております。研究成果は、事業部門が行う空間情報コンサルティング、海外援助案件への利用、さらには技術者教育や大学での基礎教育などに役立てられております。平成27年度には本研究の担当者が、長年の当該分野への貢献が認められ、地理情報システム学会から、GIS名誉上級技術者の称号を授与されました。
○空間情報デザイン及び利活用に関する研究
ユビキタス空間情報社会といわれる今日、ユニバーサルデザイン(健常者,障がい者の区別無く理解できるデザイン)やパーソナリゼイション(ユーザーの個性を尊重するデザイン)の視点が一層重要になっております。本研究では、複雑化する空間情報をよりシンプルに提供する仕組みを主な研究対象としております。また、屋内外測位技術の発展によるシームレス位置情報サービスの実現に向けて、GPSや準天頂衛星システムに加え、ビーコンやIMES(インドアGPS)、Wi-Fi、PDR等の融合と、取得される人やモノの位置情報の解析手法を推進しております。
平成27年度も国土交通省が主催する「高精度測位社会の実現に向けた東京駅周辺における実証実験」に参加しております。このプロジェクトは今後も引き続き行われる予定で、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、屋内外の測位技術等を活用した様々なサービスを生みだし、国内外に広くアピールすることを目指しています。
○デジタルセンシング技術に関する研究
空間情報産業に展開する国際航業株式会社のコアコンピタンスである、空間データ取得のためのデジタルセンシング技術の高度化に取り組んでおります。衛星、航空機、自動車や自転車(MMS)、地上設置架台、船舶等の様々なプラットフォームに搭載されたレーダ、超多波長分光放射計、デジタルカメラ、波形記録型レーザスキャナ、音波計測装置などの各種最新センサによる、最先端の空間デ-タ取得技術の調査・検討を行っております。とくに、超小型衛星やUAV(小型無人飛行機)などの新しいプラットフォームを用いた空間データ取得技術の調査・検討を積極的に実施しております。また、調査・検討結果に基づき、最新機器の導入も進めております。
○空間情報抽出技術に関する研究
さまざまなセンサを用いたデジタルセンシングにより取得された空間データから、地形・地物の位置や属性などの空間情報を効率的に抽出する技術の研究開発に取り組んでおります。写真測量技術をベースにした空間情報の抽出に関する研究開発では、昨年度に引き続き、異なる時期に取得された、あるいは異なるプラットフォームで取得された、画像データと点群データを統合的に処理することにより、効率的に高精度な空間情報を抽出する技術の開発に重点を置いて研究を進めております。
② 応用技術開発
○リモートセンシング技術の開発
デジタルセンシングにより得られる空間データを、インフラ、防災、環境等の多分野にわたるソリューションサービスで活用するため、リモートセンシングを中核とした解析・応用技術の高度化に取り組んでおります。空間データの高次解析による各応用分野に最適な地理空間情報の抽出から、エンドユーザーに届ける付加価値ソリューションに至るまで、トータルかつ実用的な空間情報ハンドリング技術とその成果を活用した応用商品の創出に取り組んでおります。とくに、波形記録式レーザスキャナやレーダセンサの利活用技術の開発に重点的に取り組み、複数の特許出願を行っております。また、超小型衛星など、次世代衛星リソースの特長を生かして、リアルタイムモニタリング事業での利活用研究も行っております。
○3次元モデリング技術の開発
世界中の建設業界がBIM(Building Information Modeling)やCIM(Construction Information Modeling)を活用し始めています。また、2016年度から「i-Construction」の推進が謳われています。当社はこれらの社会からの要請に応えるため、さらには、そのベースとなる面的3次元モデルをグリーン・コミュニティを支えるインフラのコアとするために、精密3次元モデリング技術の高精度化と低価格化を目指しております。その実現に向けて、最先端のセンシングやモニタリング技術を最大限に活用し、高性能で低価格な地理空間情報を構築する生産技術の開発を行っています。具体的には、操作性の良い3次元モデリングツールの独自開発や、高度な画像認識技術を用いた空間情報の自動抽出技術の開発などを行っています。これらの技術で創出される面的3次元モデルを基盤に、測量・設計から、施工、さらに管理にいたる建設現場の全プロセスにおける活用や、BIM/CIMなどの建物・構造物モデルを繋げることによる、スマートシティーの運営や、高度なアセットマネジメントへの活用を推進していきたいと考えております。
(2) 環境に関するもの
① 基礎研究
○環境に関する先端計測技術の研究
東京電力福島第一発電所での過酷事故から5年が経過し、放射能汚染地域での空間線量率は、物理減衰、除染、ウェザリング(自然要因による減衰)等により大きく低下しています。これに伴い、汚染状況重点調査地域での除染業務はほぼ収束に向かい、同地域での関心は、住宅等現場に保管された除去土壌を仮置き場へ、さらには中間貯蔵施設への安全な運搬、農業用ため池を含む水域、また住宅近接部分以外は手付かずであった森林等での除染および汚染土壌管理業務に移行しています。このため、当社は、従来技術に加えて、森林等ではGNSSと放射線検出器を搭載した歩行サーベイ機器や汚染土壌管理業務では面的な放射線分布の把握が可能なガンマカメラ等で対応するべく計測体制を整備しております。ここで、森林等ではGNSSのみの測位では上空視界が遮蔽されることが多いため、準天頂衛星や自律航法技術を併用する方式の検討も進めております。
② 応用技術開発
○地球温暖化防止のための森林調査技術開発
国連の気候変動枠組条約での対策検討が進み、その一つとして、REDD+など途上国における森林保全の取り組みも進展している中、森林の経年変化や二酸化炭素吸収能力を定量的に評価する技術の確立が、国内外を問わず注目されております。グリ-ン・コミュニティ創出に取り組む国際航業株式会社では、そのための有効な手法である、航空機搭載型レーザスキャナやレーダセンサによる樹木成長量やバイオマスの把握、国レベルの広域森林情報整備に必要となる大量の衛星データの高速処理技術などについて研究開発を行い、急速に進展するREDD+事業の業績拡大等に大きく寄与しております。また、REDD+に関しては、開発成果や事業への適用例をとりまとめ、この分野で本邦初の書籍「概説REDD+」をアスキー・メディアワークスより2013年に出版し、現在でも好評を博しております。また、これらの活動などが評価され、独立行政法人国際協力機構(JICA)と独立行政法人森林総合研究所が設立した「森から世界を変えるREDD+プラットフォーム」の実行委員に就任しております。
(3) 防災(安全・安心な社会)及び社会資本の整備・維持管理に関するもの
① 基礎研究
○斜面災害に関する解析技術の開発
斜面防災関連技術として、航空機搭載型レーザスキャナデータによる地形解析、合成開口レーダ衛星のデータ解析および数値シミュレーション技術などの最先端技術と、地形判読技術などの既存技術の融合によって、住宅・道路・鉄道等の斜面防災、火山防災、環境調査などにおける高度な解析を行うための実用的なシステムの開発を、基礎技術研究の側面から支援しております。また、リアルタイムハザードマップなど、先端的計測技術を用いた調査および危険度評価方法の確立と普及に向けた研究を進めております。
○地震・津波防災に関する解析技術の開発
津波防災においては、航空機搭載型等のレーザスキャナ計測による詳細地形モデル構築と、海洋レーダ観測技術と津波シミュレーション技術の融合による、リアルタイム津波防災システムの構築に向けた研究を進めております。また、数値気象データを新たに開発した独自の手法で画像化した気象立体表現図は、平成27年度日本地図学会「地図展優秀賞選定」において優秀賞の評価をいただきました。
② 応用技術開発
○斜面災害に関する応用技術の開発
平成27年度は、昨年度に引き続き、高い忠実度をもつ細密地形モデルと、3D-GIV(地表面変動解析システム)、ELSAMAP(カラー標高傾斜図)作成システムなど最先端特許技術の、現場技術への適用を進めました。先端的な地盤変動抽出手法である3D-GIVは、これまで公的研究機関が行う研究などに適用して技術的信頼性を実証してまいりましたが、平成27年度は、斜面災害対策の実務にも適用されたほか、新たにダム関連の調査マニュアルにおける調査手法として導入されることになりました。
災害時緊急対応においては、平成27年5月の箱根火山噴火に際しては、UAVの活用による迅速な状況把握、また8月の鬼怒川堤防決壊による洪水災害に際しても、航空写真撮影等による状況把握に取り組み、関係機関へのリアルタイムな情報提供に寄与しました。
○GPSを用いた新しい防災モニタリング事業の開拓
国際航業株式会社の独自のGPSを用いた地盤変位モニタリング事業(shamen-net事業)は、今日オンリーワンの技術として高く評価され、土木工事現場や災害現場の監視システムとして利用されております。しかし衛星測位もGPSのみに頼る時代から、準天頂衛星などのGPS以外の衛星を相互利用する時代(GNSS時代)に移行しようとしている中で、更にshamen-netの技術を発展させ、また普及させるために、shamen-net事業を発展させた新しい防災モニタリング事業の開拓に取り組んでおります。
なお、shamen-net事業は、我が国の宇宙開発利用推進に大きな成果を収め、また先導的に取り組んだ功績により、平成28年3月に「第2回宇宙開発利用大賞 国土交通大臣賞」を受賞しました。
○アセットマネジメントのための技術開発
社会資本施設の老朽化が進み構造物維持管理への要請が益々高まる中、特色ある診断・管理技術の開発・高度化の研究に取り組んでおります。具体的には、MMS(Mobile Measurement System)やUAV(小型無人飛行機)を用いた道路・河川構造物の点検技術や、非破壊検査技術として赤外線画像法によるコンクリート構造物・路面などの剥離診断、画像処理技術を用いた橋梁点検に取り組み、アセットマネジメント事業の開拓と拡大に活用しております。また、土木研究所、NEXCOが中心となり、ゼネコン、コンサル、電気・通信メーカー等14社で設立した「モニタリングシステム技術研究組合」に参画し、社会インフラの損傷・劣化の状態を監視するモニタリングシステムの技術開発の推進、基準化・標準化による早期実用化を目指しております。
(4) 環境エネルギーに関するもの(応用技術開発)
○再生可能エネルギーの導入に関わる空間情報解析技術の開発
平成23年の東日本大震災の発生や平成24年の固定価格買い取り制度の開始以来、再生可能エネルギーの導入が進むのに合わせて、導入支援のみならず、大量導入時の電力需給の安定化、さらには発電施設の維持管理に関する情報提供が求められています。このため、当社は平成26年に公益財団法人東京都環境公社に「東京ソーラー屋根台帳」を納入したのを皮切りに、太陽光発電のみならず、風力発電、小水力発電等に対しても、各種の3次元地理空間情報や気象情報からエネルギー資源の賦存量をGIS上に展開して設計や運用に供する技術の開発を実施してきております。ソーラー屋根台帳作成では、航空写真やレーザ点群から、通常の数値地表モデルではなく、個別の建物ごとのモデルが自動的に作成できる、市場では数少ないソフトを使用することでデータの生産効率を高めております。
(5) その他
空間情報コンサルティング事業全般に関わる技術の向上や交流を主な目的として、①技術シンポジウムの開催、②国の関連研究機関などへの研修派遣、③学識経験者などを講師とする専門分野の研究会活動や海外でのワークショップなどを、国際航業株式会社の調査研究開発部、技術本部が中心となって継続的に実施しております。