有価証券報告書-第28期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

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2015/06/26 11:21
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有報資料

当社グループでは、空間情報コンサルティング事業において、国際航業㈱の技術開発センターと同社の各事業部門が連携して、新技術・新商品に関する研究開発活動を行っております。
その体制は、技術開発センターの各研究室が中心となって基礎研究を行い、応用技術の開発、新製品の開発及び既存商品の機能強化等については、個別の研究開発案件に基づきプロジェクトチームを編成し取り組んでおります。
当連結会計年度に支出した研究開発費は、基礎研究費、応用技術の開発、新製品の開発及び既存商品の機能強化等1億8千3百万円となっております。
主な研究開発活動の内容
コンピュータネットワーク社会における空間情報の利活用を大きなテーマとして研究開発活動を進めているほか、環境、防災、社会資本の整備・維持管理などに関わる個別テーマについての研究開発活動も進めております。
(1) 空間情報の利活用に関するもの
① 基礎研究
○空間情報技術の規格化及び体系化に関する研究
空間情報の流通促進と利用拡大を目的に、ISO(国際標準化機構)による地理情報標準専門委員会(ISO/TC211)、JIS化推進委員会などに委員として参加し、地理情報規格化及びその応用に関する研究を行っております。研究成果は、事業部門が行う空間情報コンサルティング、新商品開発、さらには社内の技術者教育や大学での基礎教育に役立てられております。平成26年度には研究担当者が、規格普及も兼ねた地理空間情報技術の教育用ソフトウェア開発によって、国土地理院長による「電子国土賞」、及び地理情報システム学会による「GIS学会賞」を受賞しました。
○空間情報デザイン及び利活用に関する研究
ユビキタス空間情報社会といわれる今日、ユニバーサルデザイン(健常者,障がい者の区別無く理解できるデザイン)やパーソナリゼイション(ユーザーの個性を尊重するデザイン)の視点が一層重要になっております。本研究では、複雑化する空間情報をよりシンプルに提供する仕組みを主な研究対象としております。また、屋内外測位技術の発展によるシームレス位置情報サービスの実現に向けて、GPSや準天頂衛星システムに加え、ビーコンやIMES(インドアGPS)、Wi-Fi、PDR等の融合と、取得される人やモノの位置情報の解析手法を推進しております。平成26年度は国土交通省が主催する「高精度測位社会の実現に向けた東京駅周辺における実証実験」に参加し、成果を報告しております。
○デジタルセンシング技術に関する研究
空間情報産業に展開する国際航業㈱のコアコンピタンスである、空間データ取得のためのデジタルセンシング技術の高度化に取り組んでおります。衛星、航空機、MMS(車両)、地上設置、船舶等の様々なプラットフォームに搭載されたレーダ、超多波長分光放射計、デジタルカメラ、波形記録型レーザスキャナ、音波計測装置などの各種最新センサによる、最先端の空間デ-タ取得技術の調査・検討を行っております。とくに、超小型衛星やUAV(小型無人飛行機)などの次世代プラットフォームを用いた空間データ取得技術の調査・検討を積極的に実施しております。また、調査・検討結果に基づき、最新機器の導入も進めております。
○空間情報抽出技術に関する研究
さまざまなセンサを用いたデジタルセンシングにより取得された空間データから、地形・地物の位置や属性などの空間情報を効率的に抽出する技術の研究開発に取り組んでおります。写真測量技術をベースにした空間情報の抽出に関する研究開発では、昨年度に引き続き、異なる時期に取得された、あるいは異なるプラットフォームで取得された、画像データと点群データを統合的に処理することにより、効率的に高精度な空間情報を抽出する技術の開発に重点を置いて研究を進めております。
② 応用技術開発
○リモートセンシング技術の開発
デジタルセンシングにより得られる空間データを、インフラ、防災、環境等の多分野にわたるソリューションサービスで活用するため、リモートセンシングを中核とした解析・応用技術の高度化に取り組んでおります。空間データの高次解析による各応用分野に最適な地理空間情報の抽出から、エンドユーザーに届ける付加価値ソリューションに至るまで、トータルかつ実用的な空間情報ハンドリング技術とその成果を活用した応用商品の創出に取り組んでおります。とくに、波形記録式レーザスキャナやレーダセンサの利活用技術の開発に重点的に取り組み、複数の特許出願を行っております。また、超小型衛星など、次世代衛星リソースの特長を生かして、リアルタイムモニタリング事業での利活用研究も行っております。
○3次元モデリング技術の開発
世界中の建設業界がBIM(Building Information Modeling)やCIM(Construction Information Modeling)を活用し始めています。当社はこれらの技術を有効活用するため、さらには、そのベースとなる面的3次元モデルをグリーン・コミュニティを支えるインフラのコアとするために、精密3次元空間情報の低価格化を目指しております。その実現に向けて、最先端のセンシングやモニタリング技術を最大限に活用し、高性能で低価格な地理空間情報を構築する生産技術の開発を行っています。具体的には、操作性の良い3次元モデリングツールの独自開発や、高度な画像認識技術を用いた空間情報の自動抽出技術の開発などを行っています。これらの技術で創出される面的3次元モデルを基盤としてBIM/CIMなどの建物・構造物モデルを繋げて、スマートシティーの運営や、高度なアセットマネジメントに活用していただきたいと考えております。
(2) 環境に関するもの
① 基礎研究
○環境に関する先端計測技術の研究
東京電力福島第一発電所での過酷事故から4年が経過し、放射能汚染地域での空間線量率は、物理減衰、除染、ウェザリング(自然要因による減衰)等により大きく低下しています。しかしながら、生活圏においても集水枡、舗装の亀裂、植生等の構造的要因による停留や風雨による移動で形成される放射性物質のホットスポットを効率的に探索する技術が求められております。このため、当社は、従来技術に加えて、住宅内ではGNSSと放射線検出器を搭載した歩行サーベイ機器、コンクリート蓋のある道路側溝内に対しても適用可能な大容量検出器搭載機器、さらには面的な放射線分布の把握が可能なガンマカメラ等で種々の汚染状況に対応しようとしております。また、これまでほとんど手付かずであった森林や農業用ため池を含む水域等の自然環境、除去土壌の現場保管や仮置き場での放射線管理業務に対応するための放射線計測にも備えております。
② 応用技術開発
○地球温暖化防止のための森林調査技術開発
国連の気候変動枠組条約での対策検討が進み、その一つとして、REDD+など途上国における森林保全の取り組みも進展している中、森林の経年変化や二酸化炭素吸収能力を定量的に評価する技術の確立が、国内外を問わず注目されております。グリ-ン・コミュニティ創出に取り組む国際航業㈱では、そのための有効な手法である、航空機搭載型レーザスキャナやレーダセンサによる樹木成長量や材積の把握、国レベルの広域森林情報整備に必要となる大量の衛星データの高速処理技術などについて研究開発を行い、急速に進展するREDD+事業の業績拡大等に大きく寄与しております。また、REDD+に関しては、開発成果や事業への適用例をとりまとめ、この分野で本邦初の書籍「概説REDD+」をアスキー・メディアワークスより2013年に出版し、現在でも好評を博しております。また、これらの活動などが評価され、独立行政法人国際協力機構(JICA)と独立行政法人森林総合研究所が設立した「森から世界を変えるREDD+プラットフォーム」の実行委員に就任しております。
(3) 防災(安全・安心な社会)及び社会資本の整備・維持管理に関するもの
① 基礎研究
○斜面災害に関する解析技術の開発
斜面防災関連技術の基礎研究として、昨年度に引き続き、航空機搭載型等のレーザスキャナ計測による地形モデル構築手法のさらなる高精度化を図り、これまでにない忠実度をもつ細密地形モデルと、3D-GIV(地表面変動解析システム)、ELSAMAP(カラー標高傾斜図)作成システムなどの最先端特許技術の改良を進めております。また、道路・鉄道路線等における斜面災害軽減のため、先端的計測技術を用いた調査および危険度評価方法の確立に向けた検討を進めております。
○地震・津波防災に関する解析技術の開発
航空機搭載型レーザスキャナデータによる地形解析および数値シミュレーション技術などの最先端技術と、地形判読技術などの既存技術の融合によって、洪水ハザードマップ作成や道路・鉄道等の斜面防災、地震・津波・火山防災、環境調査などにおける高度な解析を行うための実用的なシステムの開発を、基礎技術研究の側面から支援しております。また、海洋レーダ観測技術と津波シミュレーション技術の融合による沿岸防災システムの構築に向けた研究を進めております。
② 応用技術開発
○斜面災害に関する応用技術の開発
先端的な地盤変動抽出手法である3D-GIVを、公的研究機関による山岳地帯の斜面災害対策研究に適用し、技術的信頼性を実証することができたほか、新たに森林保全事業にも導入していただくことができました。また、平成26年8月の広島市豪雨災害に際しては、航空写真撮影等による迅速な状況把握に取り組み、関係機関へのリアルタイムな情報提供に寄与しております。
○GPSを用いた新しい防災モニタリング事業の開拓
国際航業㈱の独自のGPSを用いた地盤変位モニタリング事業(shamen-net事業)は、今日オンリーワンの技術として高く評価され、土木工事現場や災害現場の監視システムとして利用されております。しかし衛星測位もGPSのみに頼る時代から、準天頂衛星などのGPS以外の衛星を相互利用する時代(GNSS時代)に移行しようとしている中で、更にshamen-netの技術を発展させ、また普及させるために、shamen-net事業を発展させた新しい防災モニタリング事業の開拓に取り組んでおります。
○アセットマネジメントのための技術開発
社会資本施設の老朽化が進み構造物維持管理への要請が益々高まる中、特色ある診断・管理技術の開発・高度化の研究に取り組んでおります。具体的には、MMS(Mobile Measurement System)やUAV(小型無人飛行機)を用いた道路・河川構造物の点検技術や、非破壊検査技術として赤外線画像法によるコンクリート構造物・路面などの剥離診断に取り組み、アセットマネジメント事業の開拓と拡大に活用しております。また、土木研究所、NEXCOが中心となり、ゼネコン、コンサル、 電気・通信メーカー等14社で設立した「モニタリングシステム技術研究組合」に参画し、社会インフラの損傷・劣化の状態を監視するモニタリングシステムの技術開発の推進、基準化・標準化による早期実用化を目指しております。
(4) 環境エネルギーに関するもの(応用技術開発)
○再生可能エネルギーの導入に関わる空間情報解析技術の開発
固定価格買取制度の開始や東日本大震災が発生したことに伴い、再生可能エネルギーの大幅な導入拡大が見込まれる中、導入支援、大量導入時の電力需給の安定化、さらには施設の維持管理に関する情報提供が求められております。このため、当社は平成26年3月に公益財団法人東京都環境公社に「東京ソーラー屋根台帳」を納入した太陽光発電をはじめとして、風力発電、小水力発電等に対しても、各種の3次元地理空間情報や気象情報からエネルギー資源の賦存量をGIS上に展開する技術の開発を実施してきております
(5) その他
空間情報コンサルティング事業全般に関わる技術の向上や交流を主な目的として、①技術シンポジウムの開催、②国の関連研究機関などへの研修派遣、③学識経験者などを講師とする専門分野の研究会活動や海外でのワークショップなどを、国際航業㈱の技術開発センターが中心となって継続的に実施しております。

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