訂正内部統制報告書-第25期(2021/01/01-2021/12/31)

【提出】
2023/11/14 16:06
【資料】
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財務報告に係る内部統制の基本的枠組みに関する事項

当社代表取締役会長兼社長土井春彦は、当社並びに連結子会社及び持分法適用会社(以下「当社グループ」とする。)の財務報告に係る内部統制の整備及び運用に責任を有しており、企業会計審議会の公表した「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準並びに財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準の設定について(意見書)」に示されている内部統制の基本的枠組みに準拠して財務報告に係る内部統制を整備及び運用しております。
なお、内部統制は、内部統制の各基本的要素が有機的に結びつき、一体となって機能することで、その目的を合理的な範囲で達成しようとするものであるため、財務報告に係る内部統制により財務報告の虚偽の記載を完全には防止又は発見することができない可能性があります。

評価の範囲、基準日及び評価手続に関する事項

財務報告に係る内部統制の評価は、当事業年度の末日である2021年12月31日を基準日として行われており、評価に当たっては、一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠しております。
本評価においては、連結ベースでの財務報告全体に重要な影響を及ぼす内部統制(全社的な内部統制)の評価を行った上で、その結果を踏まえて、評価対象とする業務プロセスを選定しております。当該業務プロセスの評価においては、選定された業務プロセスを分析した上で、財務報告の信頼性に重要な影響を及ぼす統制上の要点を識別し、当該統制上の要点について整備及び運用状況を評価することによって、内部統制の有効性に関する評価を行いました。
財務報告に係る内部統制の評価の範囲は、当社グループについて、財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性の観点から必要な範囲を決定いたしました。財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性は、金額的及び質的影響の重要性を考慮して決定しており、僅少な事業拠点を除く全ての事業拠点を対象として行った全社的な内部統制の評価結果を踏まえ、業務プロセスに係る内部統制の評価範囲を合理的に決定いたしました。なお、持分法適用会社1社については、金額的及び質的重要性の観点から僅少であると判断し、全社的な内部統制の評価範囲に含めておりません。
業務プロセスに係る内部統制の評価範囲については、各事業拠点の前連結会計年度の売上高(連結会社間取引消去後)の状況を勘案した上で、当連結会計年度について、連結売上高の概ね2/3程度の割合を占める8事業拠点を「重要な事業拠点」としました。選定した重要な事業拠点においては、企業の事業目的に大きく関わる勘定科目として売上高、売掛金及び給与に係る業務プロセスを評価の対象といたしました。

評価結果に関する事項

下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼすものであり、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。したがって、当事業年度末日時点において、当社グループの財務報告に係る内部統制は有効でないと判断いたしました。

当社連結子会社株式会社アウトソーシングテクノロジーの上場準備の過程において、その子会社である株式会社アネブル(以下、アネブル)において不正な財務報告が行われていた疑いがあることが判明しました。そのため当社は、2021年9月29日、外部の弁護士・公認会計士を含む調査委員会(以下「第1回調査委員会」といいます。)を設置して、調査を進めてまいりました。
2021年12月28日に第1回調査委員会から調査報告書を受領した結果、アネブルにおける有形固定資産の減損損失の計上回避及び仕掛品等の過大計上の他、当社及び国内技術系アウトソーシング事業、国内製造系アウトソーシング事業、国内サービス系アウトソーシング事業並びに海外製造系及びサービス系事業に属する連結子会社における収益の過大計上、費用の過小計上等の事実が判明しました。
このため、当社は過年度の決算を訂正し、2019年12月期及び2020年12月期の有価証券報告書、2020年12月期第1四半期から2021年12月期第2四半期までの四半期報告書について、訂正報告書を提出することにいたしました。
第1回調査委員会により認定された不正な財務報告は、当社グループ全体における成長への過度な意識の存在を背景として、一部の役職員への権限の集中、取締役会及び監査等委員会による監督及び監査の機能不全、並びに内部監査室による内部統制の機能不全や、会計処理に係る社内ルールの不明確さ・不適切な運用が常態化し、信頼性のある財務報告を実現するための統制環境の構築が軽視され、広範囲にわたる全社的な内部統制の不備を引き起こした結果、生じたものと認識しております。
上記に加え、2023年6月に、当社の連結子会社であるOSTにおいて内部通報があり、これを契機に、当社において初期的な調査を実施したところ、雇用調整助成金の支給申請手続きの一部が適切に行われていなかった事実、及び募集費に関する取引相手先との取引において承認プロセスに必要な契約書が作成されていないなどの事実が判明しました。このため、当社は、2023年8月1日に外部専門家による調査委員会(以下「第2回調査委員会」といいます。)を設置し、事実関係の調査等を進めてまいりました。
当社は、2023年10月31日に、第2回調査委員会より調査報告書を受領しました。その結果、当社及びOST等の連結子会社5社において、不正受給に該当する可能性が高いと考えられる雇用調整助成金の申請の事実が判明しました。
このため、当社は2023年11月14日に過年度の決算を訂正し、2020年12月期、2021年12月期及び2022年12月期の有価証券報告書、2020年12月期第2四半期から2023年12月期第1四半期までの四半期報告書について、訂正報告書を提出することにいたしました。また2020年12月期及び2021年12月期の内部統制報告書についても併せて訂正することにいたしました。
第2回調査委員会により判明した、不正受給に該当する可能性が高いと考えられる雇用調整助成金の申請の事実は、利益獲得に向けたプレッシャーを背景に、コンプライアンス意識の欠如、内部牽制の不在とそれを招いた組織風土等に起因するものと認識しており、当社及びOSTにおいて全社的な内部統制の不備が、なお存在していたものと認識しております。
このような当社及び連結子会社で発生した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼしており、全社的な内部統制、決算・財務報告プロセスに関する内部統制の不備は開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。
また、期末日までに改善のための十分な期間を確保することができなかったこと及び一部で上記事実の特定が当事業年度末日以降となったため、当該開示すべき重要な不備を当事業年度末日までに是正することができませんでした。
なお、上記の開示すべき重要な不備に起因する必要な修正は全て財務諸表及び連結財務諸表に反映しております。
当社といたしましては、財務報告に係る内部統制の重要性を十分認識し、2021年12月期の内部統制報告書(2022年3月30日提出)で記載した再発防止策に関して有効に機能させることが重要と捉え、徹底されなかった背景を理解し、それに基づき徹底できるような企業風土の構築に取り組み、再びこのような事案を起こさないように内部統制の再徹底を図ってまいります。
(再発防止策)
1.企業風土改革
① 各拠点における経営陣とのタウンホールミーティングの開催
② 従業員エンゲージメントプロジェクトの推進
③ 関係会社意識改革
④ グループ報「One Team」による経営陣コメントの定期発信
⑤ 従業員間のコミュニケーションの向上
2.コンプライアンス意識の一層の醸成、再発防止策の徹底
① 再発防止策の理解・浸透の徹底
② コンプライアンス推進体制等
③ コンプライアンス教育
④ 重点コンプライアンス項目の特定と管理簿の検討
⑤ 経理部門によるモニタリングの実施
⑥ コンプライアンス意識調査の活用
3.経営体制の強化
4.コーポレートガバナンス体制・組織体制の再構築
① 取締役会による監督機能の強化
② 稟議手続における実効的な牽制機能強化
③ 監査委員会による監査機能の強化
④ 管理体制理解のための社内セミナーの実施
5.内部統制部門の強化
① 管理部門の人材拡充・良質な人材の確保
② グローバルガバナンスの強化
③ 内部監査体制の充実
6.内部通報制度の見直し
7.会計処理に係る社内ルールや経理会計システムの見直し
8.実現可能な事業計画・予算の策定
9.取引先の限定