有価証券報告書-第39期(令和2年7月1日-令和3年6月30日)

【提出】
2021/09/24 15:30
【資料】
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【項目】
107項目

対処すべき課題

2022年6月期の基本方針・戦略
当社が事業ドメインとしてきた非対面決済市場については今後電子化がますます進むものと予想しております。決済においては、支払物件と決済をスマホでつなぐ「支払秘書」の開発・リリースを行い、同時に決済+αのコンテンツプラットフォームへの拡大を、自社開発及び他社のクラウドサービスとの連携により推進しております。
なお、現状でのコロナ禍における環境変化は極めて激しいものがあり、新たな経営計画を出すには適当な時期ではないと判断せざるを得ませんので、開示については今後の状況を見極めながら適宜判断してまいります。
また、文中における将来に関する事象は、当事業年度末(2021年6月30日)現在において当社が判断したものであり、現時点で予測できない下記以外の事象の発生により、当社の経営成績及び財政状態に影響を受ける可能性があります。
A.ウェルネットの“スマホ決済”「支払秘書」の現況
銀行口座と決済をスマホでつなぐサービス「支払秘書」は、関西、九州、北海道、東北、四国、北陸、中部、中国電力に導入済で、中部電力では電力業界として日本初となるSMS(ショートメッセージサービス)による電気料金の電子請求を2020年4月に開始するなど、今後も請求の電子化は加速するものと考えております。
また、公金の支払いでも提携銀行が多い地域を中心として「支払秘書」で支払える案件が増加しているほか、当社が電子化を推進する“バスもり!”においても支払秘書で決済できる路線が増加しています。2021年2月には従来電子化が進んでいなかった会員管理領域においても、請求の電子化と様々な費用の決済を「支払秘書」とクレジットカードで行える会員管理システム「ekaiin.com(e会員ドットコム)」をリリースいたしました。また現在のワンストップ決済からさらに進んだノンストップ決済を安心・安全に行える「支払秘書」の新機能を拡充する開発を進めております。
2021年6月には決済代行事業においてソニーグループのソニーペイメントサービス株式会社との業務提携を発表、双方のノウハウを活用し「支払秘書」拡販を開始しております。
一方、提携銀行は三井住友銀行、ゆうちょ銀行など36行と提携完了しましたが、一連の不正使用事件発生後、一部銀行において利用を凍結し、本人確認関連セキュリティ対策を実行後、再開作業を進めております。2021年7月末日現在、利用可能銀行数は12行まで回復、今後とも継続的な増加努力を行ってまいります。
B.バスIT化プロジェクトを積極推進
2016年8月に開始したスマホアプリ“バスもり!”の取扱路線は、スマホチケット、スマホ回数券、スマホ定期券、スマホフリーパスなど取扱券種を拡大して取扱路線は330を超えました。コロナ禍による需要減のなか、生活路線としての利用が多いスマホ定期券や回数券において一定の需要を取り込めております。この環境下、当社は公共交通業界向けのMaaSクラウドサービス「ALTAIR(アルタイル)」の開発、提供を推進しております。「ALTAIR(アルタイル)」はオールインワンのチケット販売システムで、バスの座席在庫管理、予約・購入受付、チケット発券とライフサイクル管理、そして売上情報の集計と事業者間の精算処理に至るまでの一連の業務の自動化を目指す仕組みです。2020年1月から函館市の市電、バス、鉄道の相互乗り入れが可能なMaaS「DohNa!!(ドーナ!!)」がサービスを開始、その後周遊券などに利用が拡大、2021年10月には仙台市のMaaS事業においても導入が決定しております。窓口を介さない非接触サービスである「バスもり!」「ALTAIR(アルタイル)」は、新型コロナウイルス感染症対策としても期待されており、今後も交通業界のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する「トータルクラウドサービス」として展開してまいります。
C.ウェルネットの“主力商材”「マルチペイメントサービス」の現況
非対面決済において「マルチペイメントサービス」は引き続き伸長するポテンシャルがあると見込んでおります。当社は、30年以上にわたり様々な事業者に決済サービスを採用いただいておりますが、今後はスマホを中核に据えた決済にシフトし、事業者のニーズに応えてまいります。
D.地域貢献活動・SDGs
地域社会への貢献として、北海道の工業高等専門学校に通う経済面で苦労する学生向けに設立した“ウェルネット奨学金”により多くの学生を支援しております。支援を受けた学生から多数の感謝のお手紙をいただき、従業員のモチベーション向上にもつながっております。新型コロナウイルス感染症により2020年度は全国の多くの学生が影響を受けましたが、この支援の効果もあり北海道の4高専においては経済的な困窮を理由に退学した学生は0人との報告をいただきました。この活動は今後も継続してまいります。
また、札幌市は改正建築物省エネ法に基づき良好な生活環境が確保された持続可能な都市の実現を目指すとしており、環境に配慮した建築物の普及・促進を図ることを目的として、札幌市建築物環境配慮制度(CASBEE札幌)を定めました。当社は2021年6月竣工の札幌新本社において既にCASBEE札幌のAランクを取得しております。
さらに、札幌新本社の竣工に伴い従業員の健康・働く環境に配慮したオフィス設計・運営により「WELL認証」のプラチナランク取得を目指します。「WELL認証」は2014年に米国で始まったビルやオフィスなどの空間を「人間の健康」の視点で評価・認証する取り組みです。この取り組みは、当社の最大の資産である従業員への投資であり、ひいては生産性向上、働き方改革など企業価値の向上に繋がると考えております。
E.収益予想と株主還元
収益予想については、売上高9,600百万円(前期比8.6%増)、営業利益730百万円(前期比28.6%増)、経常利益730百万円(前期比9.5%増)、当期純利益500百万円(前期比26.9%増)を見込んでおります。
新型コロナウイルス感染症の影響は一定期間続くものの、徐々に回復するものと見込んでおります。なお、札幌の旧社屋の取扱い及び投資有価証券の評価に係る特別損失は見込んでおりません。当社の予想に反してこれらの影響が生じた場合は、すみやかに開示いたします。
一方、株主様への配慮として、配当性向については50%以上を継続する予定です。