有価証券報告書-第35期(平成28年7月1日-平成29年6月30日)

【提出】
2017/09/28 15:09
【資料】
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【項目】
78項目

対処すべき課題

[新中期経営5か年計画](2016年7月-2021年6月)
当社は主として非対面決済及びその周辺を事業ドメインとし、その中で確立したノウハウと実績により業績を伸ばしてまいりました。非対面決済市場は今後も一定の伸長を見込んでおります。当新中期経営5か年計画期間中においては、フィンテックの急速な進展、実用化が見込まれ、またIoTの利活用など、大きな環境変化を新たなビジネスチャンスに変えるための投資を積極的に行うことで、最終年度には経常利益50億円を目標とした成長戦略を実行してまいります。
A.ウェルネットの“フィンテックサービス”「支払秘書」をリリースしました(2017年8月)
今後拡大が確実視される電子マネー・キャッシュレス決済向けに2011年に構想し、その後要件定義・開発を進めてきた「支払秘書」をファーストクライアント:関西電力様として2017年8月3日にサービスインいたしました。
スマートフォンアプリ「支払秘書」はサーバ管理型電子マネーで以下の機能があります。
①提携銀行から即時に電子マネーをチャージ(他の収納機関からもチャージ可能)
②「秘書」のリマインド機能により支払“うっかり忘れ”を防止、回収率向上を実現
③郵送による請求書の発行を「秘書」向けにすることによるコストダウン
本サービスの普及については、関西電力様と協働し払込票で現金決済しているお客様中心に訴求活動を行うなど、積極的な販促活動を開始いたしました。今後は既に当社決済をご導入いただいている事業者様へのご提案(月間800万回に及ぶ決済時にコンシューマが利用する「(当社提供の)支払い方法案内画面」に新たな決済手段として表示)、提携銀行との協働による普及拡大をすると共に(特にコンシューマ向けの)積極的なプロモーションを行うことで、アプリの普及と決済量拡大を強力に推進、次世代ウェルネットを担うサービスに育ててまいります。
B.バスIT化プロジェクトを積極的に推進
バスIT化プロジェクトの基幹を担う“バスもり!シリーズ”の開発・投入・普及拡大を推進します。2016年8月に投入したスマホアプリサービス“バスもり!コンシェルジュ”についてはFM番組「バスタルジア」の提供、ラッピングバス、各種パンフレット・リーフレットの配布などバス会社と一体となった積極的な販促によりダウンロード数5万件を超え、購入できる路線数も順調に増加しております。
予約、購入、変更、キャンセル等の全てを手元のスマホだけでいつでもどこでも完結できる便利なアプリ“バスもり!コンシェルジュ”はこの一年で更なる進化を遂げました。具体的には2017年3月に提供開始した「スマホ定期」はJRバス関東、東北、北海道で導入され、全国の路線バス会社に積極的な営業展開を行っております。
電子チケットの認証方法は、既に提供開始している車載用タブレット端末“バスもり!MONTA”に加え、利用者のスマホだけで完結できる“電子もぎり”機能を2017年11月に投入する予定です。
より多くのコンシューマにこのアプリをダウンロード、ご利用いただく最終目標にむけて“高速バスはスマホで買える”バスもり!コンシェルジュのプロモーションを継続的且つ積極的に行ってまいります。
C.オープンイノベーション
“IoT”“フィンテック”等の大きな波をとらえるため、様々な知見・技術を持つ大学・事業体・企業などとの連携強化でこのビジネスチャンスに的確に対応いたします。ブロックチェーン技術については北海道大学と、ビッグデータ活用、イールドマネジメントなど、IT利活用によるバス事業及び地方創生に資する共同研究を国立情報学研究所と行ってきた他、当社決済周辺プラットホームの開発・整備を行う企業との連携等を柔軟な形で行うことができるよう、コーポレートベンチャーキャピタルの設立準備も完了いたしました。
D.システム安定運用
過去の障害の反省から、札幌事業所の体制整備を行ってまいりました。具体的にはNTTアドバンステクノロジ株式会社の支援を得て、札幌事業所の開発スタイルの統一化を図りました。
札幌事業所における体制面においても執行役員を3名に増強、社員の積極的な採用など行ってまいりました。
インフラ面においては従来型の構築手法では激しく変動するトラフィックに対して最適化しきれないとの判断のもと、今後3年計画で柔軟なスケールアップ・分散処理ができるクラウド利用を検討します。これにより安定稼働と最適なコストパフォーマンスの両立を目指します。
E.ガバナンス
当社は会社の存在意義と社員の行動指針を“ウェルネットアレテー”として定め、実効性あるガバナンスを目指しております。商材が変われども当社の根幹をなす行動哲学として社員へ浸透させてまいります。
(ウェルネットアレテー)
“あったら便利なしくみ”を作り続けることで社会に貢献します
その「しくみ」を広く世の中に提案・普及させます
そこから得た「利益」を社員、株主、次への投資として配分します
(ウェルネット社員アレテー)
既成概念にとらわれず発想します
まず自分の頭で考え、全体最適な提案をします
議論はオープンに行い「決めるべき人」が決め、組織として実行します
「誰が」「何を」「いつまでに」を常に明確にします
実行結果を検証し、更に改善、を繰り返します
報告は正直、正確、迅速に行います
提供役務と対価を文書化して合意後に取引を行います
清廉を旨とし、接待、贈り物を受けません
F.地域貢献活動/福利厚生の充実
北海道の高等専門学校に通う経済面で苦労する学生向けに1億円の“ウェルネット奨学金”を設立し、多くの苦学生を支援してまいりました。これら学生からの感謝の手紙により逆に当社が励まされてもおり、素晴らしい関係を築けております。2017年6月期には更に6千万円基金を積み増し、今後も地域社会への貢献を継続してまいります。
また、社員への福利厚生充実の一環として2017年4月に札幌事業所内に企業内保育園「ウェルネットもりの保育園」を開設いたしました。札幌事業所に勤務する社員が安心して仕事ができる環境を整備すると共に、優秀な人材獲得効果も期待しております。
G.経営形態の変更
大きなビジネスチャンス拡大に積極果敢にチャレンジする経営方針において、その意思決定の透明性を高める必要があると考え、またコーポレートガバナンスコードを意識し、当社は2017年9月の株主総会の承認を前提として「監査等委員会設置会社」に移行することといたしました。
取締役会の構成メンバーは社内取締役2名に対し社外取締役3名とし、過半数を社外取締役が占める構成といたします。また積極的な女性登用の姿勢を内外に示す狙いも含め、社内取締役の1名は女性を選出しております。一方で執行役員も増強し目的達成に向けての体制を強化いたしました。
H.収益予想と株主還元(2017年7月から4年間)(2017年7月-2021年6月)
もう一段高い企業価値創生に向けて積極的な経営方針に転換いたします。従来のモノ・サービスを提供する事業者様との緊密な関係に加え、支払者側のコンシューマに直接タッチするスマホアプリを複数投入、それらサービスの認知、普及を目的としたプロモーション、人材獲得及び育成、システムパフォーマンス向上など、業態変革のための投資は相当額に上り、また投資効果最大化のために時宜を得た素早い決断による果敢な投資を行ってまいります。また、M&Aについても当社の利益成長に貢献すると判断した場合には積極的に対応してまいります。
一方で取り扱うサービス・事業者の増加などにより曖昧になりがちな収益構造の可視化を推進してまいります。
既述のとおり現在訪れている大きなビジネスチャンスを目の前にして“フィンテックサービス”関連などに大規模かつ機動的な投資を行うことをはじめ積極的にリスクをとる経営方針を決定したことから、2018年6月期期初業績予想については開示いたしません。
一方、株主様への配慮として、安心して長期投資をいただくために、今期からの4年間の配当性向を50%以上とし、一株当たりの配当が50円に満たない場合でも50円を配当いたします。この金額は前中期経営3か年計画最終年度である2016年6月期の(特別配当を除く)配当額37円※と比べて35%増となります。
※当社は平成28年7月1日付で株式を1株につき2株の株式分割を行っております。
また、取組課題及びその進捗状況につきましては、株主の皆様、長期投資される機関投資家の皆様にはできる限り正確かつ丁寧に説明させていただくよう心掛けてまいります。
今後も当社はお取引先様、社員、株主の皆様に愛され、期待される企業を目指し、企業価値向上に努めてまいります。今後とも是非当社の積極果敢な挑戦にご期待ください。