有価証券報告書-第40期(令和3年7月1日-令和4年6月30日)

【提出】
2022/09/22 15:30
【資料】
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【項目】
108項目

対処すべき課題

当社が事業ドメインとするオンライン決済市場については今後も一定の伸長を見込んでおりますが、電子決済拡大による決済自体のコモディティ化が進むとみており、決済+αの具体的な形として、事業者側のDX化を支援するクラウドサービスの拡充に尽力しております。
文中における将来に関する事象は、当事業年度末(2022年6月30日)現在において当社が判断したものであり、現時点で予測できない下記以外の事象の発生により、当社の経営成績及び財政状態に影響を受ける可能性があります。
A.ペーパーレス化・キャッシュレス化における“スマホ決済”「支払秘書」
決済を銀行口座と連携するスマホで行う「支払秘書」は、8電力会社に導入済、また公金支払いでも提携銀行が多い地域を中心に「支払秘書」で支払える案件が増加しているほか、当社が提供するクラウドサービス(「B」)である“バスもり!””アルタイルトリプルスター”及び、ekaiin.comとのシームレスな連携を中心とした展開を行っております。
請求の電子化と様々な費用の決済を「支払秘書」とクレジットカードで行える会員管理サービス「ekaiin.com(e会員ドットコム)」においては、東本願寺の寄付金募集、株式会社明大サポートの学生向け各種販売、高校の同窓会費集金、公益社団法人の講習会受付業務と商品販売、令和4年度札幌市飲食店の未来応援クラウドファンディングの支援金募集など幅広い分野で採用されました。今後、提供分野を更に拡大すると共に実績分野の水平展開に力を入れてまいります。また、現在のワンストップ決済からさらに進んだ新機能「ノンストップ決済」の開発を完了し、マーケティング活動に入っております。
一方、提携銀行は三井住友銀行、ゆうちょ銀行など36行と提携完了しましたが、一連の不正使用発生による本人確認のセキュリティ対策を完了し再開作業を進めております。2022年8月1日現在、利用可能銀行数は24行まで回復、新規を含め継続的な増加努力を行ってまいります。
B.交通事業者向けIT(DX)化プロジェクトを積極推進中
2016年8月に開始したスマホ電子チケットアプリ“バスもり!”は、1回券、回数券、定期券、フリーパス、企画券など電子化券種を拡大し、バス・鉄道の取り扱い路線は450を超えております。コロナ禍を経て、非対面で購入できるスマホ定期やスマホ回数券は拡大しております。また、2017年から開発してきたMaaSクラウドサービス「アルタイルトリプルスター」についても機能拡大を継続しております。「アルタイルトリプルスター」はオールインワンのチケット販売システムで、乗物やイベントの在庫・時刻表管理、チケット予約・購入・発券・認証、そして売上情報の集計と精算処理に至るまでの一連の業務の自動化を実現できるトータルクラウドサービスです。特に複数事業者が共同提供するMaaSにおいて、多大な労力を要する精算業務の十分な知識と経験を当社が持っていることは大きなアドバンテージです。
MaaS領域においては、2020年1月から提供を開始した、函館市の市電、バス、鉄道に利用できる「DohNa!!(ドーナ!!)」以降、当事業年度において、2021年10月に「仙台MaaS」、2022年1月には北海道オホーツクエリアの「OkhoNavi(オホナビ)」、同年2月には「JAL MaaS」連携、同年5月には北海道が推進する「ぐるっと北海道・公共交通利用促進キャンペーン」に参画するなど、交通業界の旺盛なDX需要に対応しております。当社が展開するサービスは、クラウドの本筋であるシステムコストの変動費化を実現しているため、いわゆる実証実験期間終了後も継続して使われている持続可能なスキームであることが大きな特徴です。
C.ウェルネットの“主力商材”「マルチペイメントサービス」の現況
非対面決済において「マルチペイメントサービス」は引き続き伸長するポテンシャルがあると見込んでおります。当社は、30年以上にわたり様々な事業者に決済サービスを採用いただいておりますが、今後も事業者・コンシューマ双方の利便性向上に資する決済ゲートウェイの拡充を目指します。当社は決済+αのサービス開発を推進してまいりますが、その際決済基盤を持っている当社は大きなアドバンテージを持っていると考えております。
D.地域貢献活動・SDGs
当社のビジネスである「IT利活用・DX化」そのものが、環境に優しいビジネスモデルへの転換を支援するものであり、ビジネス拡充自体が地球環境保全に資するものと認識しております。
地域社会への貢献として、北海道の工業高等専門学校に通う経済面で苦労する学生向けに設立した“ウェルネット奨学金”により多くの学生を支援しております。2021年度までの累計で610名に対して約72百万円の奨学金を支給しており、支援を受けた学生から多数の感謝のお手紙をいただき、従業員のモチベーション向上にもつながっております。新型コロナウイルス感染症により2021年度も多くの学生が影響を受けましたが、この支援の効果もあり北海道の4高専においては昨年に引き続き経済的な困窮を理由に退学した学生0を達成したとのご報告をいただきました。この活動は今後も継続してまいります。
さらに、地元のスポーツ振興に寄与することを目的とし、北海道・札幌市などと連携して2030年の札幌オリンピック・パラリンピック招致を目指す北海道オール・オリンピアンズが推進する「スクラム札幌」構想への参画要請を受け、地域貢献活動の一環として、男子1000メートルの日本記録を持ち、オリンピック出場が期待されるスピードスケートの山田将矢選手と2022年4月21日付でスポンサー契約を締結、支援しております。今後はekaiin.comをスポーツ選手の支援にも積極活用し、当社のサービスによるスポーツ支援も行っていく方針であります。
また、2021年に竣工し、運用開始した札幌本社新社屋は、働く環境や従業員の健康に配慮したオフィス設計を行っており、2022年9月に「WELL認証」最高ランクのプラチナを取得いたしました。「WELL認証」は2014年に米国で始まったビルやオフィスなどの空間を人間の健康の視点で評価・認証する先進的な取り組みであります。この取り組みは、人的資本である従業員への投資であり、ひいては生産性向上、働き方改革、SDGs達成への寄与など企業価値向上につながると考えております。
E.収益予想と株主還元
2022年9月6日に中期経営計画(2023年6月期~2025年6月期)並びに2023年6月期の業績予想及び配当予想を公表いたしました。
2023年6月期の収益予想については、売上高9,300百万円(前期比3.9%増)、経常利益860百万円(前期比14.0%増)、当期純利益600百万円(前期比12.7%増)を見込んでおります。本予想は、新型コロナウイルス感染症に関連して、特に日本国内における人の移動が一定程度回復するとの見込みを前提としており、その回復度合いに大きく影響を受けます。また、投資有価証券の評価に係る特別損失は見込んでおりません。当社の予想に反してこれらの影響が生じた場合は、速やかに開示いたします。
一方、株主様への配慮として、配当性向については50%以上を継続する予定であります。