有価証券報告書-第27期(令和1年10月1日-令和2年9月30日)

【提出】
2020/12/21 17:07
【資料】
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【項目】
95項目

対処すべき課題

(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、『社会の進歩発展に貢献する事で、同志の心物両面の豊かさを追求する』を経営理念としております。
■市場を開拓・創造する強い意思と誠実かつ公明正大な事業展開により、社会の進歩発展に貢献します。
■同志とは、信じあえる高潔な役職員、お客様、及びお取引いただいている事業関連者を指します。
■当社役職員は、豊かな心、真の問題解決力、高い専門性を発揮し、お客様と価値の交換を行う事により、心物両面の豊かさを追求します。
この経営理念に基づいて当社グループは、日本の決済プロセスのインフラとなり、消費者と事業者にとって安全で便利な決済の実現に貢献することを使命と考え、以下を基本方針として事業を推進しております。
・時流への適応
先進性 製品の技術的優位性の確保に努めます。
柔軟性 成長市場でのスピード感のある提案活動を実践します。
・存在価値の確立
独自性 お客様視点のサービスを通じて存在意義の確保に努めます。
収益性 収益性向上の追求により競合他社を圧倒し業界での地位を揺るぎないものといたします。
自主性・教育 自己完結度の高いビジネスマンを目指し、成果、姿勢、マインド全ての面で見本となります。
・利益の条件の追求
社会性 健全なビジネスに徹し、多様な決済手段における未開拓市場を積極的に開拓し続けます。
合理性 経済合理性を常に念頭に置き公平な立場で経営判断を迅速に下していきます。
・株主への責務
資本効率を意識し株主価値の向上に努めます。積極的なIR活動を行い、株主及び投資家の皆様向けに適宜、適切な情報提供を行います。
なお、記載事項のうち将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、経営指標として25%の営業利益成長を重視しております。
当社グループは25%成長の営業利益成長を継続するための投資を中長期的に行っており、当連結会計年度については、2019年11月12日付「2019年9月期決算短信」にて公表した前連結会計年度の営業利益(8,301百万円)と比較した営業利益成長率は25.1%増となりました。2021年9月期の営業利益成長率も25.0%を見込んでおります。
当社グループは電子商取引(EC)市場を中心としたオンライン決済インフラを担う企業として、より安全で便利なEC環境を創造し、日本のEC化率の向上及び当社事業展開国・地域でのEC拡大に貢献してまいります。また、新事業の展開、事業パートナー会社との業務・資本提携、子会社設立、並びに海外事業展開等により事業規模の拡大に努めてまいります。
(3) 経営環境
① 企業構造
当社グループは、当社及び連結子会社12社により構成されており、決済代行事業、金融関連事業と決済活性化事業を行っております。主力事業である決済代行事業は、当社グループの事業全体の売上収益及び営業利益に対し、同事業の売上収益及び営業利益は、売上収益は約70%、営業利益は約86%を占めております。事業構成及び内容については、「第1企業の概況 3事業の内容」に記載しております。
② 事業を行う市場の状況
当社グループの事業が主として立脚する電子商取引(EC)市場は、物販の消費者向け(BtoC)EC市場がスマートフォンの利便性の高まりや物流の改革など外部環境の変化が好影響を及ぼし高成長を継続しております。また、企業間取引(BtoB)のEC化や個人間取引(CtoC)のEC化など、ECの領域自体も拡大しております。加えて、物販以外のサービス領域や、公共料金・税金などの公金、医療等の生活に密着した分野などにおける決済のオンライン化も着実に進行しております。一方、連結子会社であるGMOフィナンシャルゲート株式会社が立脚する対面市場においては、クレジットカード及びそれ以外の手段も含めた決済のキャッシュレス化推進が見込まれており、新たなビジネスチャンスが生まれると共に、当社グループの事業領域もますます拡大する見込みとなっております。
③ 競合他社との競合優位性
当社グループの各事業がサービスを展開する市場には、複数の競合他社が存在します。競合他社との競合優位性の内容については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク (2) 事業環境について ③競合について」に記載しております。
④ 主要製品・サービス内容
当社グループの主力サービスである決済代行サービスは、当社及びGMOイプシロン株式会社より、主にオンライン課金分野・継続課金分野において、消費者向け電子商取引(BtoC EC)をはじめとしたオンラインで販売等を行う事業者とクレジットカード会社等の各決済事業者との間の決済情報を繋ぎ、加盟店に対して、クレジットカード決済・コンビニ収納・電子マネー・Pay-easy・代引・口座振替・PayPal・キャリア決済・多通貨決済等の決済業務が効率よく実現できる決済代行サービスを提供しております。また、GMO-Z.COM PAYMENT GATEWAY PTE. LTD.等において、海外各国の決済代行サービスを提供しております。
対面分野については、GMOフィナンシャルゲート株式会社において、対面でのクレジットカード決済、デビットカード決済等の決済代行サービスを提供しております。
金融機関・金融サービス事業者等に向けたサービスにおいては、株式会社横浜銀行と共同開発した銀行口座と連動したスマート決済サービス「銀行Pay」等を提供しております。また、金融関連サービスにおいては、主に連結子会社であるGMOペイメントサービス株式会社を通じ、消費者が商品を受け取った後に、コンビ二や郵便局などから代金を支払う「GMO後払い」を提供しております。
⑤ 顧客基盤
当社グループの主力事業が主に対象とする顧客は、主に消費者向け電子商取引(BtoC EC)をはじめとしたオンラインや対面で販売等を行う事業者であり、当連結会計年度末現在において約13万の事業者にサービスを提供しており、加盟店の業種業態や事業規模は多岐に渡っております。
⑥ 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大の影響については、事業活動面において、2020年1月27日よりリモートワークによる在宅勤務体制を導入いたしましたが、生産性や効率面における特段の低下は見られておりません。また業績面においては、当社の決済代行事業自体が多種多様な加盟店に向けてサービス提供していることにより過去より経済危機など有事の影響を受けにくい特徴があることに加え、特に日本政府により発令された緊急事態宣言期間(2020年4月7日~5月25日)やその後における巣篭需要に伴うオンライン決済の拡大や、対面決済分野でのキャッシュレス化の推進等の動きを捉えており、一部プロジェクトの遅滞の発生や、今後の民間消費全般の低迷による影響を受ける可能性はあるものの、当社グループの売上収益に対する影響は現時点では軽微であると考えております。
(4) 優先的に対処すべき課題
①情報セキュリティの強化
当社グループは、クレジットカード等の決済代行サービスを主とした事業を行っているため、クレジットカード情報などの重要な情報を管理しております。
情報流出を防止するため、リスク管理体制強化の一環として、当社グループ事務所全てを対象範囲として、情報セキュリティ管理のグローバル・スタンダード基準とされるISO/IEC 27001:2013(国内規格JIS Q 27001:2014)への適合認証を、上場決済代行サービス会社として初めて取得しております。これにより、当社グループの情報セキュリティマネジメントシステムが、厳格な国際基準に準拠し適切で安全であることと客観的に判定されております。
また、JCB・American Express・Discover・MasterCard・VISAの国際クレジットカードブランド5社が共同で策定した、クレジット業界におけるグローバルセキュリティ基準PCI DSSについては、2008年12月に最初の認証を取得した後、年次での再認証監査を11回経た上で、2019年12月に最新の認証を取得しております。
個人情報の取扱いに関しては、日本工業規格「JIS Q 15001:2017個人情報保護マネジメントシステム-要求事項」に適合して、個人情報について適切な保護措置を講ずる体制を整備している事業者等を認定するプライバシーマークを取得しており、法律への適合性に加え、自主性により高いレベルの個人情報保護マネジメントシステムを確立及び運用しております。
②システム開発力の強化
当社グループは、事業分野においてインターネットと深く係わり合っており、競争力のある製品をお客様に提供するためには、その技術やサービスをタイムリーに採用していくことが重要と認識しております。
現状では、内部人員でシステム環境の変化やお客様の要望を吸収しシステムの設計を行い、外部にプログラミングを委託し効率よく質の高いサービスを提供すべく対応しております。高度な技術を有した開発要員の確保を継続し、更なるシステム開発力とサービス強化に努めてまいります。
③業務提携型ビジネスの強化
当社グループは、安定的成長を確保するため、加盟店を多数抱える企業・各決済事業者・ECサイト構築支援事業者などに対し相互が利益享受可能な業務提携を確立し、効率的な加盟店獲得を進めていくことが不可欠と認識しております。
このような形態のビジネスは当社の営業上の特徴であり、今後も業務提携型ビジネスを積極的に推進し、その進捗管理には経営陣が責任を持って対応いたします。
④事業ポートフォリオの拡大
当社グループは、経営戦略として、消費者向け電子商取引(BtoC EC)を中心に、公金・公共料金やサービス・コマース、BtoB及びCtoC EC市場におけるオンライン課金、またGMOペイメントサービス株式会社の設立により決済サービスに進出するなど、常に新しい事業領域の拡大に努めてまいりました。また、海外7か国を拠点とする連結子会社を通じ海外展開を強化、連結子会社であるGMOフィナンシャルゲート株式会社による対面市場での事業を拡大し、経営戦略の実行をさらに推し進めました。今後も決済代行サービスをコアとした多角的な事業ポートフォリオの拡張を進め、収益の継続的な拡大に努めてまいります。