有価証券報告書-第24期(平成30年5月1日-平成31年4月30日)

【提出】
2019/07/29 9:39
【資料】
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【項目】
123項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。
(1) 経営方針
① 会社の経営の基本方針
当社は、「思いをかたちに」を経営理念とし、最新のデジタルテクノロジーと独自のネットワークシステムで、写真そのものが持つ表現力を深め、広げていきたいと考えております。当社が目指すのは、撮影後のフォトイノベーションであり、新しい写真文化の創造を使命としております。
当社のビジネスは、ITデジタル技術・印刷および色管理技術・ヒューマンリテラシーなど広範囲にわたる複合的な技術やノウハウの集約によって成り立っています。インターネットなどの通信インフラにより提供された画像データに高度な画像処理技術や写真印刷技術などを施すことで、完全にカスタマイズされたサービスを一人一人のお客様に提供し、究極の顧客満足を得る企業を目指してまいります。
さらに、画像映像の新しい表現方法や、インターネットを活用した新規ビジネスなど、新しい取り組みにも常に挑戦してまいります。
② 目標とする経営指標
当社は、新しい写真文化の創造を使命としており、事業の拡大を通じて、より多くの感動を提供してまいりたいと考えております。そのために、事業の安定的成長と適切な利益の獲得が重要な経営目標であると認識しております。従いまして、当社は、経営指標として、売上高増加率と売上高経常利益率を重要視しております。
③ 中長期的な会社の経営戦略
当社は、ニッチストック型ビジネスであるメモリアルデザインサービス事業と安定成長型ビジネスであるパーソナルパブリッシングサービス事業、空中結像という新しい市場の創造を目指すエアリアルイメージング事業という位置づけの異なる3つの事業にバランスよく力を注いでまいります。
当社の属する写真業界は、デジタルカメラの普及やブロードバンドの一般化による大きな変革期を迎えております。このような環境のもと、デジタル写真処理、印刷、製本などすべての機能を内製化している強みを生かし、顧客ニーズの変化を的確に捉えた新サービスの開発、提案を推し進めるとともに、既存サービスのさらなる浸透に邁進してまいります。
メモリアルデザインサービス事業は、当社設立以来の中核事業であり、安定的な成長と利益獲得の基盤が確立しております。当事業では、遺影写真加工のさらなるシェアアップと強固な顧客基盤への多様なサービスの提供および生産性の向上を重点施策として今後の安定成長を目指すとともに、当社の保有する技術やサービスの他市場への展開を模索してまいります。
パーソナルパブリッシングサービス事業は、数千億円といわれる写真アウトプット市場をターゲットにしており、大きなポテンシャルを有しております。当事業の認知度が一定程度広まってまいりましたが、未だ十分とはいえません。当事業の認知度の向上に努め、印刷による1冊から写真集という新しい写真文化の浸透に注力してまいります。海外を含めた写真館などのプロフェッショナル写真分野及び写真愛好家を中心とするハイエンドアマチュアや一般コンシューマ分野それぞれにおいて、当事業の知名度を向上させ、業容の拡大を図っていく方針であります。生産面においては、業容の拡大に応じた適切な生産能力の増加と生産効率の向上に努めるとともに、顧客ニーズに即した発注ツールの開発や製品ラインナップの充実に注力いたします。また、スマートフォンやタブレットに対応したビジネスの確立にも努めるとともに、OEMでの供給など当社の製造技術や信頼性を活かしたビジネスへも取り組んでまいります。
エアリアルイメージング事業は、当社が取得しました空中結像技術を活用して、画像映像の新しい表現方法の確立を目指しております。空中結像を可能にするプレートの開発、製造、販売により当社の成長の原動力とすべくチャレンジしてまいります。
また、上記3事業にとどまらず、ベンチャー企業との提携を含め、新しいビジネスや市場の創造に取り組んでまいります。
(2) 経営環境及び対処すべき課題
今後の見通しとしましては、企業業績の回復など明るい兆しがあるものの、市場における競争環境の激化により楽観できない状況が継続するものと思われます。葬儀葬祭業界は、家族葬の増加により葬儀単価が下落傾向にあり、葬儀演出に関する差別化ニーズが増加しております。プロフェッショナル写真業界では、デジタル化が進み、撮影技法だけでなく、画像処理、レイアウトなどのデジタルスキルが重要となってきております。また、一般コンシューマではスマホによる写真撮影が一般化し、写真共有による楽しみが浸透しております。このような環境のもと、継続して成長していくために、以下の項目を対処すべき課題と認識しております。
① エアリアルイメージング事業の収益化
2011年より開始しましたエアリアルイメージング事業は、そのユニークな技術力、シンプルな構造、利用可能性の広さなどから、展示会やデモンストレーションなどでの評価は高いものの、ASKA3Dプレートの低コストでの量産化には想定以上の時間を要しており、十分に事業として確立していないのが現状です。
このたび樹脂製ASKA3Dプレートの第1段階の量産化へ移行できたことで、現状の生産能力と価格感にフィットした量産案件の受注に注力し、空中操作という新しい市場の創造にチャレンジしてまいります。また、ガラス製ASKA3Dプレートにおきましては、その高い結像品質や大型結像が可能というメリットを生かして、サイネージ用途での活用を推進してまいります。
② 既存事業のさらなる成長
従来より展開しておりますメモリアルデザインサービス事業、パーソナルパブリッシングサービス事業とも安定した売上、利益を獲得しておりますが、さらなる飛躍を課題として認識しております。
両事業とも、豊富な顧客基盤や技術力を強みとしており、メモリアルデザインサービス事業では「tsunagoo」などのITサービスの浸透を進め、パーソナルパブリッシングサービス事業ではOEM供給の拡大やプロフェッショナル写真家に向けた新サービスの提供などによって今後もさらに成長してまいります。
③ イノベーション創出基盤の醸成
変化の激しいこの時代において持続的な成長をするためには、新しい技術との融合や社員のイノベーティブな発想を通じて、新しいサービスの提案、開発が不可欠だと考えております。そこで、イノベーション推進の専門部署の設置や、広島大学との提携によるイノベーション教育の継続的な実施、社内提案制度の充実などを通じて社内のイノベーション創出基盤を醸成していくとともに、ベンチャー企業との提携などにより社外の技術やノウハウとの融合を進めてまいります。