訂正有価証券報告書-第20期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/07/21 11:54
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業績等の概要

(1)業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、個人消費の回復が依然弱いものの輸出関連企業を中心に企業業績の改善が進み、全体として景気は緩やかな回復基調で推移いたしました。
このような情勢のもと、当社グループは事業拡大の取り組みとして「既存コアビジネスのさらなる成長」を第一の成長エンジン、「新規ビジネスの創生・M&A・海外事業」を第二の成長エンジンと位置付け、これら二つの成長エンジンの駆動により、飛躍的に売上高を増大させることで、営業利益の黒字化から増大を目指してまいりました。
そのような中、売上高に関しましては、第一の成長エンジンはほぼ当初計画通りの売上高となり前期比11.2%増となりました。なかでも、VoXT事業部において働き方改革の施策の一つとしてITを活用した業務効率化の取り組み等から、音声認識技術を活用した議事録作成や文字起こし需要が高まり、大幅に増収しました。また、CTI事業部においては、オペレーターの応対品質や業務効率化に対して人工知能や音声認識技術を活用するニーズが高まり、当社が常にコールセンター業界で音声認識ソリューションをリードし実績を残してきたことが評価され、導入社数が増え増収しました。一方、第二の成長エンジンについては、前期比16.3%増と増収したものの当初計画に対して大幅な未達となりました。特に連結子会社のAMIVOICE THAI CO., LTD.(タイ王国)において、タイ大手通信事業者であるTrue グループとの合弁会社True Voice Campany Limited(タイ王国)による新規顧客の獲得に苦戦し、計画していた事業展開が遅延したため当初計画を大幅に下回りました。また連結子会社の株式会社グラモにおきましても、当初見込んでいた大型案件の一部において、納入時期の見直し等から売上計上時期が後ろ倒しになり、当初計画を下回りました。よって、当社グループ全体での売上高は2,581百万円(対前年比12.6%増)となりました。
損益に関しましては、営業利益について、売上総利益率および販売管理費を当初計画通りにコントロールした結果、第一の成長エンジンで収益改善が進んだものの、第二の成長エンジンで売上高が大幅に未達した影響から黒字化を実現することができませんでした。また、経常利益および当期純利益につきましては、設定した為替レートから円安になったために、想定していた為替差損が大幅に縮小しました。
これらの結果、当連結会計年度の売上高は2,581百万円(前年同期は売上高2,291百万円)、営業損失77百万円(前年同期は営業損失267百万円)、経常損失118百万円(前年同期は経常損失297百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失は103百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失175百万円)となりました。
音声事業の各分野別の状況は、以下のとおりであります。
CTI事業部(第一の成長エンジン)
オペレーターの応対品質や業務効率化に対して人工知能や音声認識技術を活用するニーズが高まり、当社が常にコールセンター業界で音声認識ソリューションをリードし実績を残してきたことが評価され、導入社数が増え増収しました。そのような中で、株式会社三井住友銀行のコールセンター全席でIBM WatsonとAmiVoice®のリアルタイム連携を初めて実現いたしました。
SEC(スマート・エクスペリエンス・クリエーター)事業部(第一の成長エンジン)
AI対話ソリューション「AmiAgent®」の対話技術の向上を進めました。そのような中で、株式会社U-NEXTマーケティングの人工知能を活用したコンタクトセンターサービス「AIコンシェルジュ」に、「AmiAgent®」の音声認識技術と対話技術の提供を開始し、LINE株式会社が提供する法人向けカスタマーサポートサービス「LINE Customer Connect」との連携が決定しました。
クラウド事業部(第一の成長エンジン)
製造・物流分野を中心とした音声入力の需要が増大し、音声認識・対話に特化したウェアラブルマイク端末「AmiVoice® Front WT01」を中心にした音声認識クラウドサービスの販売が好調でした。また、音声認識技術を活用し、話した言葉を日本語・英語・中国語・韓国語の4ヶ国語に翻訳して表示・アナウンスする多言語翻訳サービス「AmiVoice® TransGuide」の販売を開始し、ハウステンボス株式会社と実証実験を開始しました。さらには、シャープ株式会社のモバイル型ロボット電話『RoBoHoN(ロボホン)』のオフライン音声認識エンジンに採用されました。
医療事業部(第一の成長エンジン)
薬剤師が行う調剤や服薬指導の内容を声により効率的に記録する調剤薬局向けパッケージ製品の販売が好調でした。一方で、主力製品である「AmiVoice® Ex7」は、主力代理店からの販売が伸び悩み当初計画を下回りました。また、医療・調剤・介護向けのクラウド型音声入力サービス「AmiVoice® CLx」の販売パートナー戦略の推進や、医療カンファレンス向け音声認識議事録作成支援ソフトウェア「AmiVoice® Medical Conference」を販売開始するなど、月額課金モデルの推進および製品ラインナップの拡充を図りました。

VoXT事業部(第一の成長エンジン)
働き方改革の施策の一つとしてITを活用した業務効率化の取り組み等から、音声認識技術を活用した議事録作成や文字起こし需要が高まり、大幅に増収しました。特に自治体と並行してテレビ局や新聞社などの報道機関、その他の民間企業での導入が拡がりました。
海外事業部・ビジネス開発センター(第二の成長エンジン)
海外事業部は、コールセンター向け音声認識ソリューション「AmiVoice® Communication Suite2」の中国語版を、台湾および中国の大手生命保険会社への導入に成功し運用が開始されました。また、中国の大手生命保険会社のコールセンターで導入された「AmiVoice® Communication Suite2」の活用事例が、中国金融電子化公司が主催する「2016年 金融技術サービス優秀賞」で開発創新貢献賞を受賞しました。一方で、現地販売パートナーの開拓や構築が当初計画よりも遅れたことなどから、当初計画していた導入件数を下回りました。
ビジネス開発センターは、人手不足の慢性化が深刻化している建設業界に対して、音声認識を活用したボイス検査ソリ
ューション「AmiVoice® スーパーインスペクター(建築仕上げ検査用)」や、様々な点検・検査業務で利用できる「AmiVoice®スーパーインスペクターDT」、そして建設・不動産業界向けの音声認識議事録作成クラウドサービス「AmiVoice® スーパーミーティングメモ」などのサービスラインナップを拡充し、各サービスにおいてユーザー数を増やしたものの、当初計画を大幅に下回りました。
連結子会社等(第二の成長エンジン)
AMIVOICE THAI CO., LTD.(タイ王国)は、タイ大手通信事業者であるTrue グループとの合弁会社True Voice Campany Limited(タイ王国)による新規顧客の獲得に苦戦し、計画していた事業展開が遅延したため当初計画を大幅に下回りました。
株式会社グラモは、スマートフォンによる家電制御機器「iRemocon」をベースに、株式会社レオパレス21と「Leo
Remocon」を共同開発し、レオパレス21の新築全戸に標準装備が決定し納品を進めました。また、ソフトバンクコマース&サービス株式会社とスマートメーターと連携し30分毎の電気の使用量/料金を確認することができるHEMS「iRemocon Wi-Fi(SM)」を共同開発し販売を開始しました。一方で、当初見込んでいた大型案件の一部において、納入時期の見直し等から売上計上時期が後ろ倒しになり、当初計画を下回りました。
株式会社速記センターつくばは、自治体向け・裁判所向け・民間向け案件の受注獲得が進み、増収となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
(単位:百万円)
前連結会計年度当連結会計年度
営業活動により減少したキャッシュ(純額)△187△39
投資活動により増加(△は減少)したキャッシュ(純額)810△592
財務活動により増加(△は減少)したキャッシュ(純額)22030
現金及び現金同等物に係る換算差額△182△18
現金及び現金同等物純増減額(△は減少)660△619

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は前連結会計年度末に比べ619百万円減少し、3,428百万円となりました。
各キャッシュ・フローの状況とその要因は次のとおりです。
〈営業活動によるキャッシュ・フロー〉
営業活動の結果、使用した資金は39百万円となりました。これは主に税金等調整前当期純損失118百万円を計上したことによるものであります。
〈投資活動によるキャッシュ・フロー〉
投資活動の結果、使用した資金は592百万円となりました。これは主に投資有価証券の取得による支出238百万円、定期預金の預入による支出114百万円等によるものであります。
〈財務活動によるキャッシュ・フロー〉
財務活動の結果、獲得した資金は30百万円となりました。これは非支配株主からの払込みによる収入30百万円によるものであります。