有価証券報告書-第15期(平成25年7月1日-平成26年6月30日)

【提出】
2014/09/29 14:53
【資料】
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【項目】
111項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度(平成25年7月1日~平成26年6月30日)における我が国経済は、経済政策の効果を背景に安定的に推移し、景気は緩やかな回復基調となりました。しかしながら、米国の金融緩和縮小による影響や新興国の経済成長への減速懸念もあり、先行きに不透明さも残っております。
このような環境のもと、当社におきましては、主要なサービスである「OKWave」のスマートフォン対応を進めたほか、企業向けサービス「OKBiz」の機能強化に合わせたマーケティングの実施による拡販・シェアの確保に取り組みました。一方で、業績進捗を鑑み、多様なサービス展開を縮小し主力製品へ注力することが望ましいと判断し、不採算サービスからの撤退を行いました。
以上の結果、売上高は企業向けサービスが堅調だったことに加え、携帯電話向けの課金制サイトの会員数が増加したこと、また、連結子会社株式会社ブリックスを通期連結したことにより、3,241,182千円(前年同期比20.1%増)となりました。利益面では、体制強化に伴う固定費の増加や広告宣伝費、開発費の積極投下により、営業損失は349,313千円(前年同期94,146千円の損失)、経常損失は344,014千円(前年同期97,924千円の損失)となりました。当期純損失は連結子会社OKWave Inc.ののれん及び撤退サービスの固定資産にかかる減損損失等の特別損失の計上、並びに繰延税金資産の取崩しにより410,040千円(前年同期361,936千円の損失)となりました。
セグメント別の状況は以下のとおりであります。
なお、第1四半期より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。また、各事業分野のセグメント利益は、全社費用617,479千円(前年同期641,282千円)を含まない額であります。
ソーシャルメディア事業では、日本最大級のQ&Aコミュニティ「OKWave(オウケイウェイヴ)」のほか、Q&Aから派生した様々なサービスを運営しています。
当連結会計年度におきましては、サイト全面を使うことにより、短期間で高い広告効果が得られるジャック広告や、Q&Aビッグデータを分析したうえで投稿にマッチした広告を配信するターゲティング広告を新たに提供開始し、広告単価上昇を狙いました。また、スマートフォンサイトのリニューアルが奏功し、スマートフォン経由の利用者数が増加しました。しかしながら、市場全体での広告単価低下やPC経由の閲覧数減少による影響を補い切れず、売上高は前期比減少となりました。
費用面では、新商品やスマートフォン対応にかかる開発費用が発生しました。加えて、子会社OKWave Inc.において、新規サービスの収益化に時間を要したことから、当期においては費用が先行し、損失を計上しております。
以上の結果、ソーシャルメディア事業の売上高は577,735千円(前連結会計年度比14,070千円減)、セグメント損失は102,247千円(前連結会計年度比119,525千円減)となりました。
エンタープライズソリューション事業では、FAQ(よくある質問)を作成、編集、公開する一連の流れを搭載した、特許技術を有するシステム「OKBiz(オウケイビズ)」など、企業向けのソリューションを提供しています。
当連結会計年度におきましては、「OKBiz」にコールセンターでの電話応対対応機能を搭載し、大型案件獲得に向け営業体制を強化したことから、新規導入企業が増加しました。また、当社の主要サービスであるQ&Aコミュニティ「OKWave」を利用することで導入企業のお客様の自己解決を支援する製品「OKBiz for Community Support」と同事業の主力製品「OKBiz」を組み合わせた統合製品「OKBiz for Support Enterprise Suite」の提供を実現しました。
以上の結果、エンタープライズソリューション事業の売上高は1,190,584千円(前連結会計年度比161,119千円増)、セグメント利益は512,076千円(前連結会計年度比85,498千円増)となりました。
ナレッジマーケット事業では、知識流通という概念で、複数の課金制モバイルサイト等(※)を運営しています。
片付けコンサルタント近藤麻理恵さんの片づけレッスンを受けたり、本人に質問ができる課金制モバイルサイト「こんまり♪片付けレッスン」が、集客力の高いauのスマートフォン向けサービス『auスマートパス』に採用され、新規会員獲得数が増加しました。また、新たに育児に関するコンテンツを配信し、医師などの専門家に直接電話相談ができるサイト「らくらく育児モバイル」の提供を開始し、サイトラインナップを拡充しました。「myFave」ではソーシャルメディア事業のサービス「OKWave」のQ&Aコミュニティとの連携を開始したほか、商品点数の充実による利便性向上に努めました。費用面では、開発費及び広告宣伝費が売上に対し先行発生しました。
以上の結果、ナレッジマーケット事業の売上高は170,608千円(前連結会計年度比122,534千円増)、セグメント損失は168,917千円(前連結会計年度比26,411千円減)となりました。
(※)スマートフォンや従来型携帯電話向けに提供している課金制サイト
連結子会社株式会社ブリックスの主要な事業である多言語CRM事業では、24時間365日体制で運営する多言語のコンタクトセンターを運営し、カスタマーサポート業務を提供するとともに、バイリンガルや技術者の派遣等を行っております。
当連結会計年度におきましては、既存案件の継続受注が堅調に推移しました。加えて、東京入国管理局の窓口対応業務と羽田空港内の通訳業務を受託し、公共事業の初受注となりました。また、技術者派遣につきましても大手検索エンジン企業の受注があり、事業の安定化につながりました。
以上の結果、多言語CRM事業の売上高は870,277千円(前連結会計年度比347,911千円増)、セグメント利益は61,030千円(前連結会計年度比97,331千円減)となりました。
連結子会社株式会社ブリックスの事業である営業アウトソーシング事業では、通信回線販売業界において、短期・中期的に、顧客企業が必要とする販売スタッフの労働力を、業務請負及び派遣契約により提供しています。
東京エリアや福島、栃木の拠点は堅調に推移しましたが、多言語CRM事業へリソースを集中させたため、不採算拠点からの撤退を行うこととなりました。
以上の結果、営業アウトソーシング事業の売上高は431,975千円(前連結会計年度比74,889千円減)、セグメント損失は33,776千円(前連結会計年度比121,200千円減)となりました。
(2) キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度と比べ464,566千円減少し、654,833千円となりました。また、各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(ア)営業活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、主に税金等調整前当期純損失により、100,919千円の支出となりました。(前連結会計年度は106,077千円の収入)
(イ)投資活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、主にソフトウェア開発のための無形固定資産の取得及び関係会社株式の取得による支出により、344,154千円の支出となりました。(前連結会計年度は426,704千円の支出)
(ウ)財務活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、主に借入金の返済により、23,050千円の支出となりました。(前連結会計年度は14,410千円の支出)