有価証券報告書-第16期(平成26年7月1日-平成27年6月30日)

【提出】
2015/09/28 15:34
【資料】
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【項目】
103項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度(平成26年7月1日~平成27年6月30日)における我が国経済は、株価上昇や円安傾向の継続から、緩やかな回復基調で推移しましたが、新興国経済の成長鈍化や欧州経済の不安定要因により、懸念材料が払しょくされない状況が続いております。
このような環境のもと、ソーシャルメディア事業においては、閲覧数向上のため複数の施策を実施しました。エンタープライズソリューション事業においては、製品の機能追加と合わせて、複数製品を組み合わせた総合提案を推進しました。ナレッジマーケット事業においては、複数のサイトを提供開始し、会員獲得に努めました。加えて、多言語CRM事業では、地方自治体や商業施設等に向けた営業を強化し、潜在ニーズの発掘を行いました。
以上の結果、一部サービスの縮小が計画通り進捗したことにより、売上高は2,737,363千円(前年連結会計年度比15.5%減)となりましたが、費用の最適化が進み、営業利益は13,716千円(前連結会計年度349,313千円の損失)、経常利益は47,582千円(前連結会計年度344,014千円の損失)となりました。また、業績回復に伴い繰延税金資産を計上するとともに、収益性の低下がみられた固定資産について、減損損失を計上し、当期純利益は21,282千円(前連結会計年度410,040千円の損失)となりました。
セグメント別の状況は以下のとおりであります。
なお、各事業分野のセグメント利益は、全社費用505,178千円(前連結会計年度617,479千円)を含まない額であります。
ソーシャルメディア事業では、日本最大級のQ&Aコミュニティ「OKWAVE(オウケイウェイヴ)」のほか、Q&Aから派生した様々なサービスを運営しています。
当期においては、スマートフォンサイトの利便性向上施策やソーシャルログインへの対応の結果、閲覧数が順調に増加しました。加えて、楽天スーパーポイントやAmazonギフト券のプレゼントキャンペーンによる、新規会員獲得と既存会員の活性化に取り組みました。さらに、広告枠を増設し収益機会を拡大しました。しかしながら、一部取引先との契約変更の影響により広告収入は減少しました。
費用面ではサービスの選択と集中が固定費削減とリソース配分の最適化につながりました。
以上の結果、ソーシャルメディア事業の売上高は447,135千円(前連結会計年度比130,600千円減)となりましたが、売上高の減少幅を費用削減効果で吸収し、セグメント利益は15,448千円(前年連結会計年度比117,696千円増)となりました。
エンタープライズソリューション事業では、FAQ(よくある質問と回答)を作成、編集、公開する一連の流れを搭載した、特許技術を有するシステム「OKBIZ(オウケイビズ)」など、企業向けのソリューションを提供しています。
当期においては、「OKBIZ」に個人情報保護の強化機能を追加したほか、利用者の利便性向上のため、スマートフォンからの画像添付を可能としたお問い合わせフォームを実装しました。さらに、当社の主要サービスであるQ&Aコミュニティ「OKWAVE」を利用することで導入企業のお客様の自己解決を支援する製品「OKBIZ for Community Support」の販売促進を行い、「OKBIZ」との同時受注も獲得いたしました。
費用面では、新機能追加にかかる開発費用が先行発生しましたが、外注費等の固定費削減に努めました。
以上の結果、売上高は1,212,670千円(前連結会計年度比22,086千円増)、セグメント利益は517,742千円(前連結会計年度比5,666千円増)となりました。
ナレッジマーケット事業では、知識流通という概念で、複数の著名人の課金制モバイルサイト(※)と、専門家からの回答が得られるQ&Aコミュニティを運営しています。
複数の課金制モバイルサイトを立ち上げ、広告宣伝費の投下及びサイト間の相互送客による会員獲得に努めました。弁護士や税理士、医師等の専門家が質問に回答する「OKWAVE Professional」では、有料プランの提供を開始しました。専門家から、集客に対する手数料を月額で課金することで、新たな収益機会の拡大を狙いました。
費用面では、複数のサイトを「OKWAVE Premium」として一元管理することで開発、運用の効率化を狙いました。一方、課金制モバイルサイトの立ち上げによる開発費と、新規サイトの会員獲得に向けた広告宣伝費が発生しました。
以上の結果、売上高は159,829千円(前連結会計年度比10,778千円減)となり、費用の先行発生により、セグメント損失は、68,724千円(前連結会計年度比100,192千円増)となりました。
(※)スマートフォンや従来型携帯電話向けに提供している課金制サイト
連結子会社株式会社ブリックスの主要な事業である多言語CRM事業では、24時間365日体制で運営する多言語のコンタクトセンターを運営し、カスタマーサポート業務を提供するとともに、バイリンガルや技術者の派遣等を行っております。
近年の日本人気の高まりや円安の影響で訪日外国人観光客が増加していることから、主要サービスの多言語コンタクトセンターやバイリンガル派遣の需要が高く、自治体や旅行業へのサービス提供が好調に推移し、加えて、中央省庁の窓口業務、大型のシステム開発業務などの新規案件の獲得、通信事業者のフィールド調査の受託業務が堅調に進みましたが、他方、技術者、人材派遣案件は計画通り縮小しました。
費用面では、体制強化により人件費が増加しました。
以上の結果、売上高は842,270千円(前連結会計年度比28,007千円減)、セグメント利益は48,258千円(前連結会計年度比12,772千円減)となりました。
連結子会社株式会社ブリックスの事業である営業アウトソーシング事業では、大手通信事業者の回線販売業務の受託を行っておりましたが、近年の観光客増加の時局に鑑み、事業リソースを多言語コンタクトセンターへ移行いたしました。当連結会計年度内に当事業における株式会社ブリックスの東京本社以外の支社の閉鎖を実施し、東京本社も規模を縮小いたしました。
以上の結果、売上高は75,457千円(前連結会計年度比356,518千円減)、セグメント利益は6,171千円(前連結会計年度比39,947千円増)となりました。なお同事業は当連結会計年度にて終了しました。
(2) キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度と比べ207,796千円増加し、862,630千円となりました。また、各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(ア)営業活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、主に減価償却費及び売上債権の減少により、206,069千円の収入となりました。(前連結会計年度は100,919千円の支出)
(イ)投資活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、主に有形固定資産及び無形固定資産の取得による支出があったものの、関係会社の整理による収入があったことにより、18,430千円の収入となりました。(前連結会計年度は344,154千円の支出)
(ウ)財務活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、主に借入金の返済により、27,749千円の支出となりました。(前連結会計年度は23,050千円の支出)