有価証券報告書-第36期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
有報資料
文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2021年6月22日)現在において当社グループが判断したものです。
(1) 経営方針
当社グループは、「ニッポンのモノづくり品質を世界へ」をキーワードに、共に成長を目指すという『経営理念』のもと、HS・EMS・PSの3つの事業セグメントを国内外で事業展開しています。
この多様化した事業構造は、お客様に新たな価値を提供するための源泉となるものであり、当社グループの特長です。これをさらに進化させ、変化に対し柔軟かつ機動的に対応できる基盤を強化し、企業価値・株主価値のより一層の向上を図るため、2017年4月より持株会社体制へ移行しました。
当社(持株会社)の経営方針は以下のとおりです。
① グループ経営と事業執行の分離による意思決定スピードの向上・責任の明確化
② 事業会社間のシナジーの追求
③ 迅速なM&A・グループ再編の実行
④ 間接部門の重複業務集約や事務効率改善によるコストの最適化
⑤ グループ各社の事業特性に応じた機動的な会社運営
(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループが重視する経営指標は、売上高、営業利益及び自己資本比率であります。これらの経営指標は、企業の成長性、収益性、財務体質を分析するための基本的な指標であり、当社グループでは、これらの指標を継続的に改善させることにより、中長期的な株主価値の向上を図ってまいります。
(3) 経営戦略、事業上及び財務上の対処すべき課題
技術革新によるグローバリゼーションが進む中、市場はボーダーレス化し、地政学的リスクも絡み、世界経済は今後も目まぐるしく変化することが想定されます。
日本の製造業においては、技術力だけでなく、景況変動への機動的な対応力が求められる状況となっており、固定費の圧縮や事業の選択と集中に加え、ファブレス化への転換が進んでいます。雇用においても少子高齢化が進む中、外国人材の受け入れ・共生に関する政府施策を背景に、その推進が加速していくことが予想されます。
また、2020年に入り、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う世界経済への影響が顕在化しました。今後、世界各国・地域において、経済に留まらず、制度や仕組み、働き方等、様々な変化が想定され、企業の活動も柔軟かつ機動的な対応がより一層求められる状況に変化しています。
このような状況のもと、当社グループは中期経営方針「変化を好機に、攻めの施策で成長基盤を構築」を掲げ、独自のビジネスモデルである「人材ビジネスとモノづくりの融合」を基に、持続的成長を実現すべく、重点項目及び対処すべき課題として次の4点を掲げ、基盤強化と戦略投資の両輪による施策実行を進めています。
① HS事業:人材リソースの多様化及びグループ内ノウハウを活用した請負・受託の拡大
② EMS事業:製造業のファブレス化に即応する拠点戦略及び開発機能の強化
③ PS事業:製品ポートフォリオ見直し、抜本的コスト構造改革による収益力強化及びグループリソース活用に
よるASEANへの事業展開
④ 持株会社体制の高度化
① HS事業:人材リソースの多様化及びグループ内ノウハウを活用した請負・受託の拡大
少子高齢化が進む日本において、人材リソースの多様化は喫緊の課題です。外国人材の受け入れ・共生に関する政府施策を背景に、その推進が加速していくことが予想されます。これらを総合的、かつ、専門的に支援していくため、HS事業においては外国人材の定着支援に資する業務の拡大を図ります。特に「外国人技能実習制度」*において、技能実習生が必要とする日本語習得や文化の理解等の入国後教育研修受託に加え、実習生受け入れ先企業に対する総務支援サービスの提供等、2017年8月に教育研修受託及び業務支援専門会社を設立しその展開を行っています。
HS事業は現在、中国、タイ、ベトナム、インドネシアなどアジア6ヵ国で人材ビジネスを展開するとともに、アジア各国の技能実習生送り出し機関と提携しています。感染症拡大により、当連結会計年度は海外各国・地域からの人の往来が制限されましたが、人材の多様化ニーズに変わりはなく、これまで培ったネットワークを活かし、受け入れ先企業へのニーズに合った提案・サービスの提供から技能実習生の母国帰国後の就業支援も行い、外国人技能実習制度に資する取り組みを進めます。
また、2018年労働者派遣法改正により2020年4月1日から施行された「同一労働同一賃金」を受け、今後、国内における人材派遣の在り方が変化していくものと予想しています。これに対応するため、当社は、単に労働力を提供するのではなく、高度人材の育成・派遣・定着の仕組みを強化します。その足掛かりとして、2020年1月にグループ内の技術者派遣事業の統合を行いました。今後も人材リソースの多様化を図りながら、継続的に当該事業の強化を行います。
加えて、請負・受託の事業規模拡大も進めています。これまでHS事業では、ものづくりの知見を活かし、請負・受託の実績を重ねてきました。製造業のファブレス化が進む中、グループ内EMS事業の製造受託ノウハウも融合させ、請負・受託の事業規模拡大を図るとともに、需要変動に耐え得る柔軟かつ強固な基盤を構築し、収益力強化への取り組みを進めます。
*外国人技能実習制度:
開発途上国等に対する日本の国際貢献・国際協力の一環として創設された「外国人技能実習制度」です。
日本の技術や技能を習得し、帰国後、母国の経済発展に寄与することを目的として、その国の人材を日本に一定
期間(最長5年間)、外国人技能実習生として受け入れるものです。
② EMS事業:製造業のファブレス化に即応する拠点戦略及び開発機能の強化
EMS事業においては、これまで、中国、マレーシアに生産拠点を展開しグローバル生産体制を整えてきましたが、お客様の生産における市場・地域の分散化や、地産地消ニーズが高まる中、これらに即応できるグローバル生産体制の拡充が急務となっています。
このため、ベトナムにおいて、2018年5月に新会社を設立、2019年4月に工場を完成させ稼働を開始、2020年2月には第2工場建設に着手しました。また、アジアのみならず、北中米にも対象市場を拡げるべく、2019年3月にソニー株式会社から同社の一部北中米事業を譲受し、北米・メキシコへの進出を果たしました。既存事業に加え、メキシコ生産拠点においては、新規事業となる車載関連部品の量産に向けた基板実装ラインの設置等、戦略投資の実行も進めており、さらなる事業の発展をめざします。
一方、当連結会計年度を基盤再構築実行の年と位置づけ、国内EMS事業の抜本的構造改革を実施しました。具体的には、2021 年1月にEMS国内事業体制強化を目的としたグループ再編として、株式会社TKR(2021年1月1日付けで商号を株式会社テーケィアールから変更)を存続会社とし、株式会社テーケィアールマニュファクチャリングジャパンを消滅会社とする吸収合併を行いました。これによりEMS国内事業の経営効率を高めるとともに、国内外拠点連携によるワンストップソリューションの質をさらに上げ、企業価値向上を図っていく体制となりました。
また、新規事業としてシェアビジネスを立ち上げました。これまで、発展途上国において大量生産品を日本品質でより低価格で実現する「メガEMS」、熟成したマーケットにおける「オーダーメイド型EMS」を基本とし事業展開してきましたが、シェアビジネスは、その双方を連動させ新たな価値創出を担う位置づけとなります。グローバルで展開するEMS事業体制を活用し、お客様から設計、調達、生産、物流などの業務の一部をお任せいただくことにより、固定費の大幅削減を可能とするソリューションの提供であり、長年培ってきた設計、製造、製造サービスのノウハウとインフラが整っているからこそできるサービスです。必要なものをより良い形で提案、提供することで、多くのお客様と強固なパートナーシップを築いてまいります。
前連結会計年度には、中国・東莞の生産拠点に商品設計開発機能を設置し活動を開始しており、グループ内生産拠点の設計開発・量産・自動化技術の横展開も行い、国内外で培った実績とノウハウを進化させ、EMS事業全体の競争力強化を進めます。
③ PS事業:製品ポートフォリオ見直し、抜本的コスト構造改革による収益力強化及びグループリソース
活用によるASEANでの事業展開
主軸の電源部品が立脚する複合機・複写機などドキュメント関連市場は、市場の成熟化もあり環境の変化が激しくなっています。安定した事業基盤の再構築が急務であり、そのためには新規市場への参入が急務となっています。このような状況のもと、感染症が拡大する中、産業機器メーカーによる殺菌・滅菌機器の開発・市場投入が進められており、電源製品の需要が拡大しています。産業機器分野への参入は電源製品の新たな価値を創出するものであり、この需要拡大を背景に、売上成長を伴った製品ポートフォリオの見直しを進めてまいります。
また、グループリソース活用による機動的な生産体制構築、ASEANでの事業展開も進めています。2018年1月11日付で「松阪工場」(松阪本社敷地内)を開設し、開発・製造が一体となったマザー拠点機能を強化しましたが、既存製品の生産は中国・広東省(佛山)にて一極集中生産を行っていることから、チャイナリスクや国際情勢の変化に対応すべく、2020年3月、タイに販売拠点を設置しました。加えて、PS事業の販売体制一本化を目的として、2020年7月1日にPower Supply Technology(Hong Kong)Co.,Limitedを設立、TKR HONG KONG LIMITEDからPS事業の販売機能及び資産を譲受し、2021年1月より事業を開始しております。
一方、当事業は原材料・部材の外部調達を行っており、その価格の変動による影響を受ける可能性があります。そのため、在庫水準の適正管理を徹底するとともに、引き続き抜本的コスト構造改革を継続実行いたします。
開発、設計、試作から量産、市場投入までのさらなるスピードアップを図り、市場やお客様の新たなニーズに機動的に対応できる体制を構築し、事業全体の収益性向上を図ります。
④ 持株会社体制の高度化
当社(持株会社)においては、持株会社体制の高度化を図るべく、持株会社の機能見直し・再定義を行っています。具体的には、①グループ戦略機能 ②グループコントロール機能 ③企業責任遂行機能 ④専門サービス・オペレーション機能、の4つの観点で機能を定義し、必要に応じグループ内業務の重複解消や移管等を行い、グループ経営の最適化を図っています。
事業戦略と持株体制高度化戦略の実行を機動的に行うことで、企業価値・株主価値のより一層の向上をめざします。
(4) 経営環境
新型コロナウイルス感染症による影響は経営環境の変化をもたらす新たな要因と認識しています。
当連結会計年度においては、主として感染症拡大による国内外経済活動の停滞及び為替変動における影響があり、翌連結会計年度においても、感染症による事業活動への影響は残るものと認識しております。
感染症は未だ世界の国・地域で終息に至っておらず、再拡大の動きを見せており、顧客・取引先の生産変動やサプライチェーンの停滞、人の往来制限による需要減少等が想定されます。これに対し、当社はグループ内相互生産サポート体制や人材リソースの多様化等を図るとともに、事業運営における生産性向上に向け、リモートワークや業務の電子化対応等の取り組みを継続推進し、一層の基盤強化を進めます。
また、不要不急の外出抑制による巣ごもり需要やリモートワーク勤務への取り組みが進む中、IT・AV機器分野では旺盛な需要継続に加え、新製品・新機種の市場投入もあり繁忙を維持する一方、自動車生産の回復により、半導体不足の問題が顕在化しています。グローバルで半導体供給網の見直しが進められているものの、幅広い業界における減産潜在リスクに加え、周辺部材の価格高騰にも波及するものと認識しております。この影響を最小限に抑えるため、部材調達リソースの多様化、顧客の生産変動に即応する当社グループのサプライチェーンマネジメントを強化し、グループ全体で機動的かつ柔軟に対応できる体制を整えてまいります。
翌連結会計年度も不透明な事業環境が続く様相ですが、当社グループにおいては、当連結会計年度に実行した基盤強化策の効果に加え、HS事業における請負比率拡大やEMS事業の新規量産立ち上げ、PS事業の殺菌・滅菌機器への電源製品需要拡大等を背景に、すべての事業セグメントで業績回復に転ずる見込みです。
引き続き、グループ全体で事業基盤の強化を進めるとともに、戦略投資の立ち上げや新規事業、新市場への参入も進め、売上・利益の確保に努めてまいります。
(1) 経営方針
当社グループは、「ニッポンのモノづくり品質を世界へ」をキーワードに、共に成長を目指すという『経営理念』のもと、HS・EMS・PSの3つの事業セグメントを国内外で事業展開しています。
この多様化した事業構造は、お客様に新たな価値を提供するための源泉となるものであり、当社グループの特長です。これをさらに進化させ、変化に対し柔軟かつ機動的に対応できる基盤を強化し、企業価値・株主価値のより一層の向上を図るため、2017年4月より持株会社体制へ移行しました。
当社(持株会社)の経営方針は以下のとおりです。
① グループ経営と事業執行の分離による意思決定スピードの向上・責任の明確化
② 事業会社間のシナジーの追求
③ 迅速なM&A・グループ再編の実行
④ 間接部門の重複業務集約や事務効率改善によるコストの最適化
⑤ グループ各社の事業特性に応じた機動的な会社運営
(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループが重視する経営指標は、売上高、営業利益及び自己資本比率であります。これらの経営指標は、企業の成長性、収益性、財務体質を分析するための基本的な指標であり、当社グループでは、これらの指標を継続的に改善させることにより、中長期的な株主価値の向上を図ってまいります。
(3) 経営戦略、事業上及び財務上の対処すべき課題
技術革新によるグローバリゼーションが進む中、市場はボーダーレス化し、地政学的リスクも絡み、世界経済は今後も目まぐるしく変化することが想定されます。
日本の製造業においては、技術力だけでなく、景況変動への機動的な対応力が求められる状況となっており、固定費の圧縮や事業の選択と集中に加え、ファブレス化への転換が進んでいます。雇用においても少子高齢化が進む中、外国人材の受け入れ・共生に関する政府施策を背景に、その推進が加速していくことが予想されます。
また、2020年に入り、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う世界経済への影響が顕在化しました。今後、世界各国・地域において、経済に留まらず、制度や仕組み、働き方等、様々な変化が想定され、企業の活動も柔軟かつ機動的な対応がより一層求められる状況に変化しています。
このような状況のもと、当社グループは中期経営方針「変化を好機に、攻めの施策で成長基盤を構築」を掲げ、独自のビジネスモデルである「人材ビジネスとモノづくりの融合」を基に、持続的成長を実現すべく、重点項目及び対処すべき課題として次の4点を掲げ、基盤強化と戦略投資の両輪による施策実行を進めています。
① HS事業:人材リソースの多様化及びグループ内ノウハウを活用した請負・受託の拡大
② EMS事業:製造業のファブレス化に即応する拠点戦略及び開発機能の強化
③ PS事業:製品ポートフォリオ見直し、抜本的コスト構造改革による収益力強化及びグループリソース活用に
よるASEANへの事業展開
④ 持株会社体制の高度化
① HS事業:人材リソースの多様化及びグループ内ノウハウを活用した請負・受託の拡大
少子高齢化が進む日本において、人材リソースの多様化は喫緊の課題です。外国人材の受け入れ・共生に関する政府施策を背景に、その推進が加速していくことが予想されます。これらを総合的、かつ、専門的に支援していくため、HS事業においては外国人材の定着支援に資する業務の拡大を図ります。特に「外国人技能実習制度」*において、技能実習生が必要とする日本語習得や文化の理解等の入国後教育研修受託に加え、実習生受け入れ先企業に対する総務支援サービスの提供等、2017年8月に教育研修受託及び業務支援専門会社を設立しその展開を行っています。
HS事業は現在、中国、タイ、ベトナム、インドネシアなどアジア6ヵ国で人材ビジネスを展開するとともに、アジア各国の技能実習生送り出し機関と提携しています。感染症拡大により、当連結会計年度は海外各国・地域からの人の往来が制限されましたが、人材の多様化ニーズに変わりはなく、これまで培ったネットワークを活かし、受け入れ先企業へのニーズに合った提案・サービスの提供から技能実習生の母国帰国後の就業支援も行い、外国人技能実習制度に資する取り組みを進めます。
また、2018年労働者派遣法改正により2020年4月1日から施行された「同一労働同一賃金」を受け、今後、国内における人材派遣の在り方が変化していくものと予想しています。これに対応するため、当社は、単に労働力を提供するのではなく、高度人材の育成・派遣・定着の仕組みを強化します。その足掛かりとして、2020年1月にグループ内の技術者派遣事業の統合を行いました。今後も人材リソースの多様化を図りながら、継続的に当該事業の強化を行います。
加えて、請負・受託の事業規模拡大も進めています。これまでHS事業では、ものづくりの知見を活かし、請負・受託の実績を重ねてきました。製造業のファブレス化が進む中、グループ内EMS事業の製造受託ノウハウも融合させ、請負・受託の事業規模拡大を図るとともに、需要変動に耐え得る柔軟かつ強固な基盤を構築し、収益力強化への取り組みを進めます。
*外国人技能実習制度:
開発途上国等に対する日本の国際貢献・国際協力の一環として創設された「外国人技能実習制度」です。
日本の技術や技能を習得し、帰国後、母国の経済発展に寄与することを目的として、その国の人材を日本に一定
期間(最長5年間)、外国人技能実習生として受け入れるものです。
② EMS事業:製造業のファブレス化に即応する拠点戦略及び開発機能の強化
EMS事業においては、これまで、中国、マレーシアに生産拠点を展開しグローバル生産体制を整えてきましたが、お客様の生産における市場・地域の分散化や、地産地消ニーズが高まる中、これらに即応できるグローバル生産体制の拡充が急務となっています。
このため、ベトナムにおいて、2018年5月に新会社を設立、2019年4月に工場を完成させ稼働を開始、2020年2月には第2工場建設に着手しました。また、アジアのみならず、北中米にも対象市場を拡げるべく、2019年3月にソニー株式会社から同社の一部北中米事業を譲受し、北米・メキシコへの進出を果たしました。既存事業に加え、メキシコ生産拠点においては、新規事業となる車載関連部品の量産に向けた基板実装ラインの設置等、戦略投資の実行も進めており、さらなる事業の発展をめざします。
一方、当連結会計年度を基盤再構築実行の年と位置づけ、国内EMS事業の抜本的構造改革を実施しました。具体的には、2021 年1月にEMS国内事業体制強化を目的としたグループ再編として、株式会社TKR(2021年1月1日付けで商号を株式会社テーケィアールから変更)を存続会社とし、株式会社テーケィアールマニュファクチャリングジャパンを消滅会社とする吸収合併を行いました。これによりEMS国内事業の経営効率を高めるとともに、国内外拠点連携によるワンストップソリューションの質をさらに上げ、企業価値向上を図っていく体制となりました。
また、新規事業としてシェアビジネスを立ち上げました。これまで、発展途上国において大量生産品を日本品質でより低価格で実現する「メガEMS」、熟成したマーケットにおける「オーダーメイド型EMS」を基本とし事業展開してきましたが、シェアビジネスは、その双方を連動させ新たな価値創出を担う位置づけとなります。グローバルで展開するEMS事業体制を活用し、お客様から設計、調達、生産、物流などの業務の一部をお任せいただくことにより、固定費の大幅削減を可能とするソリューションの提供であり、長年培ってきた設計、製造、製造サービスのノウハウとインフラが整っているからこそできるサービスです。必要なものをより良い形で提案、提供することで、多くのお客様と強固なパートナーシップを築いてまいります。
前連結会計年度には、中国・東莞の生産拠点に商品設計開発機能を設置し活動を開始しており、グループ内生産拠点の設計開発・量産・自動化技術の横展開も行い、国内外で培った実績とノウハウを進化させ、EMS事業全体の競争力強化を進めます。
③ PS事業:製品ポートフォリオ見直し、抜本的コスト構造改革による収益力強化及びグループリソース
活用によるASEANでの事業展開
主軸の電源部品が立脚する複合機・複写機などドキュメント関連市場は、市場の成熟化もあり環境の変化が激しくなっています。安定した事業基盤の再構築が急務であり、そのためには新規市場への参入が急務となっています。このような状況のもと、感染症が拡大する中、産業機器メーカーによる殺菌・滅菌機器の開発・市場投入が進められており、電源製品の需要が拡大しています。産業機器分野への参入は電源製品の新たな価値を創出するものであり、この需要拡大を背景に、売上成長を伴った製品ポートフォリオの見直しを進めてまいります。
また、グループリソース活用による機動的な生産体制構築、ASEANでの事業展開も進めています。2018年1月11日付で「松阪工場」(松阪本社敷地内)を開設し、開発・製造が一体となったマザー拠点機能を強化しましたが、既存製品の生産は中国・広東省(佛山)にて一極集中生産を行っていることから、チャイナリスクや国際情勢の変化に対応すべく、2020年3月、タイに販売拠点を設置しました。加えて、PS事業の販売体制一本化を目的として、2020年7月1日にPower Supply Technology(Hong Kong)Co.,Limitedを設立、TKR HONG KONG LIMITEDからPS事業の販売機能及び資産を譲受し、2021年1月より事業を開始しております。
一方、当事業は原材料・部材の外部調達を行っており、その価格の変動による影響を受ける可能性があります。そのため、在庫水準の適正管理を徹底するとともに、引き続き抜本的コスト構造改革を継続実行いたします。
開発、設計、試作から量産、市場投入までのさらなるスピードアップを図り、市場やお客様の新たなニーズに機動的に対応できる体制を構築し、事業全体の収益性向上を図ります。
④ 持株会社体制の高度化
当社(持株会社)においては、持株会社体制の高度化を図るべく、持株会社の機能見直し・再定義を行っています。具体的には、①グループ戦略機能 ②グループコントロール機能 ③企業責任遂行機能 ④専門サービス・オペレーション機能、の4つの観点で機能を定義し、必要に応じグループ内業務の重複解消や移管等を行い、グループ経営の最適化を図っています。
事業戦略と持株体制高度化戦略の実行を機動的に行うことで、企業価値・株主価値のより一層の向上をめざします。
(4) 経営環境
新型コロナウイルス感染症による影響は経営環境の変化をもたらす新たな要因と認識しています。
当連結会計年度においては、主として感染症拡大による国内外経済活動の停滞及び為替変動における影響があり、翌連結会計年度においても、感染症による事業活動への影響は残るものと認識しております。
感染症は未だ世界の国・地域で終息に至っておらず、再拡大の動きを見せており、顧客・取引先の生産変動やサプライチェーンの停滞、人の往来制限による需要減少等が想定されます。これに対し、当社はグループ内相互生産サポート体制や人材リソースの多様化等を図るとともに、事業運営における生産性向上に向け、リモートワークや業務の電子化対応等の取り組みを継続推進し、一層の基盤強化を進めます。
また、不要不急の外出抑制による巣ごもり需要やリモートワーク勤務への取り組みが進む中、IT・AV機器分野では旺盛な需要継続に加え、新製品・新機種の市場投入もあり繁忙を維持する一方、自動車生産の回復により、半導体不足の問題が顕在化しています。グローバルで半導体供給網の見直しが進められているものの、幅広い業界における減産潜在リスクに加え、周辺部材の価格高騰にも波及するものと認識しております。この影響を最小限に抑えるため、部材調達リソースの多様化、顧客の生産変動に即応する当社グループのサプライチェーンマネジメントを強化し、グループ全体で機動的かつ柔軟に対応できる体制を整えてまいります。
翌連結会計年度も不透明な事業環境が続く様相ですが、当社グループにおいては、当連結会計年度に実行した基盤強化策の効果に加え、HS事業における請負比率拡大やEMS事業の新規量産立ち上げ、PS事業の殺菌・滅菌機器への電源製品需要拡大等を背景に、すべての事業セグメントで業績回復に転ずる見込みです。
引き続き、グループ全体で事業基盤の強化を進めるとともに、戦略投資の立ち上げや新規事業、新市場への参入も進め、売上・利益の確保に努めてまいります。