有価証券報告書-第20期(平成31年1月1日-令和1年12月31日)

【提出】
2020/03/30 10:54
【資料】
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【項目】
89項目

対処すべき課題

当社の本有価証券報告書の提出日現在における「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」は以下の通りです。また、本文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において入手可能な情報に基づき、当社グループが合理的であると判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社は、「モチベーションエンジニアリングによって組織と個人に変革の機会を提供し意味のあふれる社会を実現する」をミッションに掲げております。具体的には、基幹技術「モチベーションエンジニアリング」によって顧客の問題解決や願望実現を支援し、組織や個人に多くの変革の機会を提供してまいります。結果として、多くの組織や個人が「夢」や「生きがい」等を通じて沢山の意味を感じとれる社会を実現したいと考えております。
(2)目標とする経営指標
事業の収益性・生産性を重視した経営を行うべく「売上高営業利益率」を重要な経営指標として位置づけると共に、規模の拡大にも注力するため、「売上高」及び「営業利益」も合わせて重要な経営指標として位置づけております。加えて、社会の人材流動化が進み、企業の競争優位の源泉が「事業戦略」から「組織戦略」へと変化している環境を踏まえ、企業の労働市場への適応度を測る「エンゲージメントスコア」も非常に重要な経営指標であると位置づけております。
また、各事業セグメントにおける経営指標として、事業KPI(Key Performance Indicator)を下記の通り設定しております。
組織開発ディビジョン :モチベーションクラウド月会費売上(サブスクリプションモデル)及び
顧客粗利単価(コンサル・アウトソースモデル)
個人開発ディビジョン :受講者数 及び 生涯単価(LTV=Life Time Value)
マッチングディビジョン :派遣稼働人数 及び 紹介人数
(3)中長期的な会社の経営戦略
日本社会が抱える「労働力人口の減少」、「産業のソフト化・サービス化」、「ワークモチベーションの多様化」といった環境変化を背景に、組織・人材・教育等に関わるビジネス領域の市場は、ますます拡大していくものと思われます。そのような環境下において、これまでに築いてきた当社の競争優位性を活かし、更なる事業成長を遂げていくため、下記3点の優位性強化に努めて参りたいと考えております。
① オンリーワン性の追求
当社独自の基幹技術である「モチベーションエンジニアリング」は、モチベーションの観点から問題点を診断する「診断技術」と、診断結果に応じて変革施策を実行する「変革技術」の2つの技術によって構成されており、心理学・社会学・経営学等の学術的背景を保持しながら、創業以来のナレッジを蓄積し、普遍的な技術として進化を遂げて参りました。この普遍的な基幹技術である「モチベーションエンジニアリング」を事業に適用することにより、各事業領域において、オンリーワンのポジションで事業を推進することができております。今後も、各事業で得られたナレッジを「モチベーションエンジニアリング」に常に還元して進化を図り、各事業におけるオンリーワン性を追求することで、優位性を確固たるものにしたいと考えております。
② 収益の安定性と成長性
当社は、組織開発ディビジョン・個人開発ディビジョン・マッチングディビジョンの3つの事業セグメントに渡ってBtoBからBtoCまで幅広い事業を有しており、事業ポートフォリオによって収益の安定性と成長性の両面を兼ね備えることができております。具体的には、個人開発ディビジョンのキャリアスクール事業やマッチングディビジョンのALT配置事業が、景気の影響を受けにくく不景気局面でも安定した収益が見込める一方で、組織開発ディビジョンのコンサル・アウトソース事業は、景気の影響を受ける事業ではあるものの、市場成長率の高さに伴って今後も収益の成長が見込まれると考えております。更にコンサル・アウトソース事業においては、サブスクリプションモデルであるモチベーションクラウドも順調に拡大しており、事業内での安定性と成長性の両立も進んでおります。今後も、収益の安定性と成長性を両立した経営を推進していくことで、優位性を確固たるものにしたいと考えております。
③ 自社のエンゲージメント
社会の人材流動化が進む中で企業の競争優位の源泉が「事業戦略」から「組織戦略」へと変化しており、企業にとって従業員エンゲージメント(企業と従業員の相互理解・相思相愛度合い)の重要性が非常に高まっております。その環境を踏まえ、当社は従業員エンゲージメントを数値化した指標である「エンゲージメントスコア」を非常に重要な経営指標であると位置づけ、当社グループ内でのエンゲージメント向上に努めております。結果として、従業員エンゲージメントを数値化してランク格付けした「エンゲージメント・レーティング」において、全法人14社中11社が最高ランクである「AAA」となっております(2020年2月時点)。今後も、エンゲージメントの高い組織づくりに継続して注力し、優位性を確固たるものにしたいと考えております。
(4)会社の対処すべき課題
事業の拡大スピードと共に様々なステークホルダーの皆様からの期待が一層高まる中、以下を当社の課題として捉え、その対処に向けて積極的に取り組みたいと考えております。
① 顧客ニーズ充足による顧客単価の向上
事業の収益性・生産性を継続的に向上させていくためには、顧客単価の向上が必要不可欠であると考えており、組織開発ディビジョンにおいては顧客粗利単価(コンサル・アウトソースモデル)を、個人開発ディビジョンにおいては生涯単価(LTV=Life Time Value)を事業KPI(Key Performance Indicator)に設定しております。今後も、顧客の顕在ニーズは元より潜在ニーズも捉えて充足に努めることで、一層の顧客単価向上を実現してまいります。
② 認知度向上による新規顧客の獲得
事業の高い成長性を持続していくためには、常に認知度向上を図り、新規顧客を継続して獲得していくことが必要であると考えております。これまでも、各事業セグメントの事業特性に応じて適切な手法を選択し、積極的な広告宣伝活動を行って参りましたが、今後も適切な広告宣伝活動と共に認知後の顧客獲得率の向上に努め、一層の新規顧客の獲得を実現してまいります。
③ サブスクリプションモデル構築による安定性と成長性の両立
事業内での成長性と安定性の両立を実現するために、サブスクリプションモデルは非常に有効なビジネスモデルであると考えております。これまで、組織開発ディビジョンにおいてモチベーションクラウドの拡大に努めることで、サブスクリプションモデルの売上構成比を向上させて参りましたが、今後もモチベーションクラウドのより一層の拡大に努めると共に、各事業におけるサブスクリプションモデル構築を模索し、安定性と成長性の両立について高いレベルでの実現を目指してまいります。
④ 積極的活動による企業ブランドの向上
社会への影響力をさらに高めていくためには、顧客や従業員だけでなく、採用応募者や株主・投資家といった様々なステークホルダーにおいて共感者を更に創造し、協力関係を構築していくことが必要になると考えております。採用活動やIR活動もブランド向上の機会と捉えて積極的に取り組むことで、企業ブランドの社会浸透に努めてまいります。
⑤ M&A等による事業の拡充
拡大スピードを高めていくためには、新たな領域への積極展開や、新たな商品サービスラインナップの拡充が必要であると考えております。財務状況を冷静に見極めつつも大胆に判断し、積極的に未来に向けた投資を進めてまいります。