有価証券報告書-第46期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

【提出】
2014/06/25 15:03
【資料】
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【項目】
78項目

研究開発活動

当社は、研究開発型の医療機器メーカーとして、血液凝固技術、プラスチック精密成型技術、電子回路技術等のコア技術を蓄積し、新たな技術開発の基盤としております。また大学等との共同研究にも積極的に取り組み、各分野の医師のご理解、ご協力のもと、協力体制を構築し、医療現場の課題を当社の課題として捉え、細部までこだわりぬいた製品の開発を行っております。
これら強固な基盤の上に、今後は当社の強みを発揮できる分野、将来有望な新商品の開発に経営資源を集中させ、期待される新しい医療機器を一日も早く医療現場にお届けすることが当社の研究開発の基本戦略であります。
当社は、従来どおり顧客に信頼される「製品」を開発することに加え、他社にない特徴ある製品開発を志向しております。医療の「現場ニーズ」の源泉に立ち返り、他社との差別化・高付加価値に結びつく開発企画を推し進めております。開発設計段階では、生産部門と生産方法・加工費・製造原価等の有効情報を共有する「設計製造コンカレント開発体制」を採用し、より広い領域への進出を進めております。
当社の研究開発活動は、開発部門が中心となって行っております。開発部門の平成26年3月期末の在籍者数は28名であります。
当事業年度における当社が支出した研究開発費の総額は434百万円であります。
現在、主に取り組んでいる研究開発活動は次のとおりであります。
(1)肺炎起因菌を即時同定するオン・サイト検査システム:体外診断用機器分野
本製品は、「医工連携」で進めている研究テーマであり、肺炎起因菌の特定を短時間で正確に行う製品です。
肺炎は、厚生労働省の平成23年の人口動態統計によれば、長年三大疾患の一つである脳血管疾患を抜き、わが国の死亡原因の第3位となりました。そのうち65歳以上の高齢者が95%以上を占めており、高齢化が進むわが国におきましては今後更なる増加が考えられます。
このような中、肺炎治療は今後一層重要になってくると考えられますが、診断及び治療の前提となる起因菌が数多くあり、その特定に数日かかっているのが現状であります。
当社は、この課題に挑戦するため、平成24年度より肺炎起因菌の特定を短時間で正確に判明させるシステム開発に着手し、将来的には一般病院のみならずクリニック等にも広く導入される製品を世の中に提供し、肺炎患者数を減少させることにより社会に貢献していきたいと考えております。
(2)MEMS:すべての医療分野
MEMSとはMicro Electro Mechanical Systemsの頭文字からメムスと呼ばれ、日本語では微小電気機械システムと言われています。
MEMSの技術範囲として、機械要素部品、センサー、作動装置、電子回路の集積化などが挙げられ、その市場規模は2015年度で1兆5,502億円に到達すると予想されており、今後は自動車、家電、産業用のみならず、医療への適用拡大のための研究開発及び採用が加速すると考えられています。
当社は、このMEMS技術をもとに医療用に応用したデバイスを確立させることにより、まずは、様々な場面で使用される多くの薬液吐出装置を小型化、低価格化した製品を開発してまいります。また、これに加え、医療機器には欠かすことのできないセンサーなどについてもMEMS技術を使うことにより製品実現ができるよう研究開発を行い、高性能・小型・低コストを兼ね備えた製品群を実現させることで、すべての医療分野に貢献できるように考えております。