有価証券報告書-第17期(2025/04/01-2026/03/31)
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが合理的と判断する一定の前提に基づいたものであり、実際の結果とは様々な要因により異なる可能性があります。
(1)当社グループの存在意義・志及び「未来ビジョン2050」と「Next Design 2030」
① 存在意義・志
1920年代、創立者のひとりである黒澤酉蔵は「酪農は大地の力を豊かにし、その豊かな大地から生み出された牛乳・乳製品は最高の栄養食品として健やかな精神と強靭な身体を育む」という「健土健民」の考えを掲げ、安定的で豊かな食生活の実現に取り組みました。以降、当社グループは、食の国際化・多様化や健康寿命の延伸等、各時代における社会課題の解決に継続して取り組んできました。
2025年に創業100周年を迎え、当社グループは「健土健民」を企業理念にあたる「存在意義・志」として定めました。創業当時から受け継がれてきた「健土健民」の精神は、変わることなく脈々と受け継がれ、社会課題に挑む原動力となっています。今後も、当社グループの強みである「価値をめぐらせる力※」を活かし、「食の持続性」の実現と食の可能性の拡大に取り組んでいきます。
コーポレートスローガン「Love Earth. Love Life.」には、自然と人が健やかにめぐるように、Earth(地球・大地)を愛し、Life(生命・人生)を愛する世界の実現を目指し、社会課題に挑む意思と、日本や海外といった視点ではなく地球規模で取り組んでいく決意が込められています。
当社グループの理念体系は、「存在意義・志」と「雪印メグミルク バリュー」及び「雪印メグミルクグループ 企業行動憲章」の三つで構成されています。
※消費者、生産者、取引先、投資家、地域社会、従業員といったステークホルダーと共に価値を創造し、豊かな循環を生み出す力

② 「未来ビジョン2050」と「Next Design 2030」
当社グループは、長期的な社会課題解決と持続的な企業価値向上を目指し、当社グループが実現したい未来を見据えた長期ビジョン「雪印メグミルクグループ 未来ビジョン2050」(以下、未来ビジョン2050)を策定し、当社グループの経営戦略及び事業活動の中核としています。また、「未来ビジョン2050」の実現に向けた重要なマイルストーンとして、2025年5月に経営計画「Next Design 2030」を発表しました。
※雪印メグミルクグループ 未来ビジョン2050 https://www.meg-snow.com/mirai-vision2050/

(2) 「Next Design 2030」の進捗報告
当社グループは急速な社会変化に対応するため、「第2の創業」とも言える構造改革に取り組んでいます。6年間の計画のもと、「アセットの大変革」の断行により、「事業ポートフォリオ」を変革し、収益性の向上を強力に推進しています。

① アセットの大変革

「Next Design 2030」では、企業価値の最大化を実現するために、「有形資産」及び「無形資産」の双方に投資します。
有形資産への投資として「新たな発想による生産体制の進化」を推進し、国内の各地区の生産拠点を再編することにより、生産性・収益性を高めます。なお、再編には、自社工場のみならず、M&A、外部委託、協業などについても検討します。
2026年3月期までの進捗としては、2025年5月に発表したチーズの生産体制整備では、北海道でナチュラルチーズを生産する"なかしべつ工場"と、茨城県でプロセスチーズを生産する阿見工場において、合計約475億円の設備投資を行ない、2028年上期に両工場で新たな生産体制が稼働予定です。
この投資により、新たな需要を創造する商品の生産が可能となり、当社の強みであるチーズカテゴリーにおける成長を加速するとともに、酪農乳業界の課題である無脂乳固形分(SNF)需要の拡大に対して、これまでとは一線を画すアプローチで解決し、「チーズの徹底拡大」を実現します。
加えて、神戸工場での生産を、2026年3月に終了し、京都工場池上製造所に集約しました。集約にあたっては、京都工場池上製造所の既存の空きスペースを活用しており、既存有形資産の有効活用と人的資本を含めたアセットを適切に再配分しました。これにより、関西地区における効率的な生産体制を構築し、「白物飲料のプレゼンス拡大」を実現します。
さらに、2026年5月に発表した関東地区の生産体制では、2028年上期(予定)に川越工場の生産を終了し、野田工場、海老名工場、及びグループ会社のルナ物産㈱に発酵乳、チルドデザートの生産機能を移管します。この再編に約109億円を投資し、これまで蓄積してきた製造技術を進化させるとともに生産設備の高速化により、省人化と生産性の向上を図ります。
また、2027年3月に興部工場の生産を終了し、練乳事業については製造委託(ファブレス化)により継続します。
② 事業ポートフォリオ変革

アセットの大変革は、事業ポートフォリオ変革の方向性に沿って進んでいます。
当社グループは、ポートフォリオを、「食の持続性貢献度※」を縦軸、「市場成長性×当社収益性」を横軸とし、「調整補完」「酪農基盤」「重点」「成長促進」の4つの領域に区分して変革を進めています。
「調整補完」領域においては、練乳生産のファブレス化等、外部化や一部撤退による事業の再構築を進め、収益性の低い事業構造を見直し、経営資源を最適化します。
「酪農基盤」領域においては、白物飲料、脱脂粉乳、バター等を対象に、効率化及び高付加価値化を推進するとともに、牛乳・乳飲料の賞味期限延長などの市場変革にも取り組み、収益性の改善を図っています。また、白物飲料は関西生産体制の整備を進めるなど、事業基盤の見直しを通じて、酪農乳業界の持続性向上にも貢献します。
「重点」領域においては、チーズ及びヨーグルトを中心に市場の積極的な開拓と保有資源の集中を進め、チーズの増産体制整備、ヨーグルトの関東生産体制整備等を通じて成長を加速させます。
「成長促進」領域においては、海外及び機能性食品に経営資源を投入し、輸出やM&A等も活用しながら、非連続的な成長の実現を目指します。
事業ポートフォリオ変革に向けて、M&A、外部委託、協業など様々な選択肢を検討し、最適化を進めます。
※食の持続性向上に資する売上規模及び国内酪農基盤への貢献度等を勘案した、当社グループ独自の指標です。
③ 無形資産投資による競争力強化
無形資産投資による競争力強化では、人的資本、DX、コーポレートブランドへの投資拡大や研究開発を強化し、付加価値創出力、競争優位性を高めていきます。
※人事戦略及び人的資本への投資については、2「サステナビリティに関する考え方及び取組」(5)人的資本、多様性をご参照ください。
―当社及びグループのDX―

当社グループは「Next Design 2030」の実現に向け、DXを、経営戦略を支える変革の加速装置と位置づけています。意思決定の高度化、業務効率化、組織風土改革を一体的に推進し、その成果を企業価値の向上につなげます。併せて、DXを安全・安心な環境で推進するため、セキュリティ体制の強化にも取り組んでいます。
1.攻めのDX : データ活用により、迅速かつ高度な意思決定を実現
社内外のデータを収集・加工し、可視化・共有・意思決定までを一貫してつなぐダッシュボードの構築・活用を進めています。従来分かれていたプロセスを見直し、データをタイムリーに活用できる環境を整備し、データ収集から資料作成・共有までの工数を削減するとともに、意思決定の迅速化と精度向上を図ります。
2.支えるDX : 生成AI活用により、業務効率と生産性を向上
生成AI「YuMe*ChatAI」の活用を通じて、日常業務の効率化と生産性向上を進めており、文章作成・要約、問い合わせ対応、業務手順の確認等、幅広い業務で活用を進めています。
また、グループ会社へ展開し、業務効率化事例の蓄積と横展開を通じて、継続的な改善と新たな価値創出につなげています。
3.拡げるDX : 共通基盤により、組織横断の連携と一体感を強化
共通のポータルサイト「YuMe*Portal」を構築し、グループ経営方針や当社各部門・グループ会社の取組みを共有する基盤として活用を進めています。社長メッセージ、部門ポータル、社内SNS等を通じ、経営方針や各部門の取組みをタイムリーに共有し、知見や事例を共有する双方向のコミュニケーションを促進することにより、組織全体の変革実行力を高めています。
4.守るDX : セキュリティ強化により、安全・安定的な事業運営を実現
DXを推進する前提として、セキュリティリスク低減と事業継続に向けた取組みを強化しています。サイバーインシデントを未然に防ぐため、グループITガバナンスを推進し、セキュリティアセスメントによる評価・改善に加え、標的型攻撃メール訓練による意識向上と対応力強化、セキュリティ教育を進めています。
また、インシデント発生時への対応として、CSIRT※を中心とした対応体制の構築、監視・対応計画の策定、IT-BCP訓練の実施等を行なっています。リスクを可視化し、対応手順を確認・改善することで、サイバーリスクの低減と安全・安定的な事業運営を図っています。
※企業や組織内で情報セキュリティ上の問題(インシデント)が発生した際に、被害の最小化、原因究明、復旧支援、再発防止策の実施等を担う専門チーム
④ 事業戦略の進捗
ア.目標とする経営指標に対する進捗
目標とする経営指標に対し、「Next Design 2030」の初年度となる当年度の進捗状況は以下のとおりです。
資産売却を除く調整後ROEは5.8%でした。2030年度の目標9.0%の達成に向け、「Next Design 2030」の戦略・施策を着実に進めます。

2030年度の営業利益目標350億円に対して、2025年度の営業利益実績は182億円で、期初計画の190億円を下回りました。主な要因は価格改定により利益率は高くなった一方で、想定以上に物量が減少したためです。ただし、上期に減少した物量が下期には回復基調となっていることから、年度後半は前年対比で増益となっています。
「Next Design 2030」の重要な「7つの戦略課題」に関するKPIも、取締役会にて進捗を確認し、計画達成に向け、課題の分析や具体的な対応施策についての検討を行なっています。2025年度は国内・海外ともに期初計画を下回りましたが「Next Design 2030」のテーマである「アセットの大変革」は着実に実行しており、事業ポートフォリオ変革を推進し、目標とする経営指標の達成に努めます。
※セグメント別の収支分析は4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析をご参照ください。

イ.事業戦略:海外戦略
事業戦略上ポイントとなる海外戦略については、KPI達成に向けて2026年度も更なる収益拡大に取り組んでいます。
機能性素材は必要な原材料確保に目途が立ち、今後、市場参入・拡大により、大きく成長可能なカテゴリーと考えています。
粉ミルクは2025年4月から雪印オーストラリア㈱の製造部門をBega社との合弁事業に移管し、ファブレス化を進めています。また、同時に雪印ビーンスターク㈱群馬工場でCodex規格品の生産体制を整え、国産品による海外展開で粉ミルク事業の再拡大を進めます。
チーズは雪印メグミルクインドネシア㈱での生産体制の最適化と独自性の高い業務用チーズのインドネシア国内での拡販、さらに輸出の拡大を図ります。
ベトナムでは2026年6月よりプロセスチーズ工場が稼働する予定です。先行して進めている日本製品の輸出販売と合わせて、現地営業体制の構築及びユーザー開拓により販路拡大を進めています。

⑤ キャッシュアロケーション、資本政策、資産効率改善の進捗
ア.キャッシュアロケーション及び投資方針
「Next Design 2030」におけるキャッシュアロケーションに基づき、投資方針は投資の目的に応じた「基盤投資」、「フロンティア投資」、「戦略投資」の三つのカテゴリーに区分し、投資配分を設定して、個々の案件を決定しています。
また、企業としての成長を加速し、調整後ROE9.0%の早期達成に向けた有効手段として、当社グループとのシナジーや事業領域拡大が見込まれる分野等に対し、積極的にM&Aを活用します。

イ.株主還元及び資本効率改善について
財務の基本方針として、財務の健全性を維持したうえで、営業キャッシュ・フローやBSマネジメント、有利子負債活用によって基盤・成長投資を実施し、安定配当と機動的な自己株式の取得を行ない、株主還元も強化します。
資本政策では、株価、資本構成の状況や成長投資資金需要を考慮しながら、資本効率向上に向けて、機動的に自己株式を取得します。2025年度は200億円の自己株式の取得を実施し、全額消却しました。2026年度も、今後のキャッシュ・フローを踏まえ、100億円の自己株式取得枠を設定しています。
また、配当方針として、配当下限を100円に設定し、資産売却益を除く配当性向は40%以上としています。資本構成は、ネットD/Eレシオ0.5を目安とし、投資の状況に合わせ段階的に最適化します。
資産効率の改善により、2021年度に20%以上あった政策保有株式の純資産比率は、2025年度には8.9%へ縮減しました。今後も工場再編や本社移転等により遊休となった資産は基本的に売却し、アセットライトを進めます。

(3) 次期の経営環境及び優先的に対処すべき課題
今後のわが国経済の見通しにつきましては、景気は緩やかな回復基調にあるものの、中東情勢の影響や米国の通商政策をめぐる動向を注視する必要があります。また、金融資本市場の変動等が国内に及ぼす影響に十分注意する必要があります。
食品業界においては、インバウンドや個人消費の持ち直しによる外食需要の増加や、健康志向の高まりによる高付加価値商品の開発等で堅調な市場拡大が期待されます。一方で、原材料価格や輸送コスト等の上昇といった厳しい経営環境が継続することが想定されます。
酪農乳業界においては、価格改定の影響等により、牛乳類の消費量は前年を下回る状況が続いています。一方で、2026年度は生乳生産量の減少が見込まれ、脱脂粉乳の生産量は前年割れに転じる見込みであるものの、需要低迷により在庫数量は増大することが見込まれています。
そのような環境下において、当社グループは「Next Design 2030」の2年目にあたる2026年度の経営方針を「BEYOND BORDERS.」とし、以下の重要な施策に取り組みます。

(1)当社グループの存在意義・志及び「未来ビジョン2050」と「Next Design 2030」
① 存在意義・志
1920年代、創立者のひとりである黒澤酉蔵は「酪農は大地の力を豊かにし、その豊かな大地から生み出された牛乳・乳製品は最高の栄養食品として健やかな精神と強靭な身体を育む」という「健土健民」の考えを掲げ、安定的で豊かな食生活の実現に取り組みました。以降、当社グループは、食の国際化・多様化や健康寿命の延伸等、各時代における社会課題の解決に継続して取り組んできました。
2025年に創業100周年を迎え、当社グループは「健土健民」を企業理念にあたる「存在意義・志」として定めました。創業当時から受け継がれてきた「健土健民」の精神は、変わることなく脈々と受け継がれ、社会課題に挑む原動力となっています。今後も、当社グループの強みである「価値をめぐらせる力※」を活かし、「食の持続性」の実現と食の可能性の拡大に取り組んでいきます。
コーポレートスローガン「Love Earth. Love Life.」には、自然と人が健やかにめぐるように、Earth(地球・大地)を愛し、Life(生命・人生)を愛する世界の実現を目指し、社会課題に挑む意思と、日本や海外といった視点ではなく地球規模で取り組んでいく決意が込められています。
当社グループの理念体系は、「存在意義・志」と「雪印メグミルク バリュー」及び「雪印メグミルクグループ 企業行動憲章」の三つで構成されています。
※消費者、生産者、取引先、投資家、地域社会、従業員といったステークホルダーと共に価値を創造し、豊かな循環を生み出す力

② 「未来ビジョン2050」と「Next Design 2030」
当社グループは、長期的な社会課題解決と持続的な企業価値向上を目指し、当社グループが実現したい未来を見据えた長期ビジョン「雪印メグミルクグループ 未来ビジョン2050」(以下、未来ビジョン2050)を策定し、当社グループの経営戦略及び事業活動の中核としています。また、「未来ビジョン2050」の実現に向けた重要なマイルストーンとして、2025年5月に経営計画「Next Design 2030」を発表しました。
※雪印メグミルクグループ 未来ビジョン2050 https://www.meg-snow.com/mirai-vision2050/

(2) 「Next Design 2030」の進捗報告
当社グループは急速な社会変化に対応するため、「第2の創業」とも言える構造改革に取り組んでいます。6年間の計画のもと、「アセットの大変革」の断行により、「事業ポートフォリオ」を変革し、収益性の向上を強力に推進しています。

① アセットの大変革

「Next Design 2030」では、企業価値の最大化を実現するために、「有形資産」及び「無形資産」の双方に投資します。
有形資産への投資として「新たな発想による生産体制の進化」を推進し、国内の各地区の生産拠点を再編することにより、生産性・収益性を高めます。なお、再編には、自社工場のみならず、M&A、外部委託、協業などについても検討します。
2026年3月期までの進捗としては、2025年5月に発表したチーズの生産体制整備では、北海道でナチュラルチーズを生産する"なかしべつ工場"と、茨城県でプロセスチーズを生産する阿見工場において、合計約475億円の設備投資を行ない、2028年上期に両工場で新たな生産体制が稼働予定です。
この投資により、新たな需要を創造する商品の生産が可能となり、当社の強みであるチーズカテゴリーにおける成長を加速するとともに、酪農乳業界の課題である無脂乳固形分(SNF)需要の拡大に対して、これまでとは一線を画すアプローチで解決し、「チーズの徹底拡大」を実現します。
加えて、神戸工場での生産を、2026年3月に終了し、京都工場池上製造所に集約しました。集約にあたっては、京都工場池上製造所の既存の空きスペースを活用しており、既存有形資産の有効活用と人的資本を含めたアセットを適切に再配分しました。これにより、関西地区における効率的な生産体制を構築し、「白物飲料のプレゼンス拡大」を実現します。
さらに、2026年5月に発表した関東地区の生産体制では、2028年上期(予定)に川越工場の生産を終了し、野田工場、海老名工場、及びグループ会社のルナ物産㈱に発酵乳、チルドデザートの生産機能を移管します。この再編に約109億円を投資し、これまで蓄積してきた製造技術を進化させるとともに生産設備の高速化により、省人化と生産性の向上を図ります。
また、2027年3月に興部工場の生産を終了し、練乳事業については製造委託(ファブレス化)により継続します。
② 事業ポートフォリオ変革

アセットの大変革は、事業ポートフォリオ変革の方向性に沿って進んでいます。
当社グループは、ポートフォリオを、「食の持続性貢献度※」を縦軸、「市場成長性×当社収益性」を横軸とし、「調整補完」「酪農基盤」「重点」「成長促進」の4つの領域に区分して変革を進めています。
「調整補完」領域においては、練乳生産のファブレス化等、外部化や一部撤退による事業の再構築を進め、収益性の低い事業構造を見直し、経営資源を最適化します。
「酪農基盤」領域においては、白物飲料、脱脂粉乳、バター等を対象に、効率化及び高付加価値化を推進するとともに、牛乳・乳飲料の賞味期限延長などの市場変革にも取り組み、収益性の改善を図っています。また、白物飲料は関西生産体制の整備を進めるなど、事業基盤の見直しを通じて、酪農乳業界の持続性向上にも貢献します。
「重点」領域においては、チーズ及びヨーグルトを中心に市場の積極的な開拓と保有資源の集中を進め、チーズの増産体制整備、ヨーグルトの関東生産体制整備等を通じて成長を加速させます。
「成長促進」領域においては、海外及び機能性食品に経営資源を投入し、輸出やM&A等も活用しながら、非連続的な成長の実現を目指します。
事業ポートフォリオ変革に向けて、M&A、外部委託、協業など様々な選択肢を検討し、最適化を進めます。
※食の持続性向上に資する売上規模及び国内酪農基盤への貢献度等を勘案した、当社グループ独自の指標です。
③ 無形資産投資による競争力強化
無形資産投資による競争力強化では、人的資本、DX、コーポレートブランドへの投資拡大や研究開発を強化し、付加価値創出力、競争優位性を高めていきます。
※人事戦略及び人的資本への投資については、2「サステナビリティに関する考え方及び取組」(5)人的資本、多様性をご参照ください。
―当社及びグループのDX―

当社グループは「Next Design 2030」の実現に向け、DXを、経営戦略を支える変革の加速装置と位置づけています。意思決定の高度化、業務効率化、組織風土改革を一体的に推進し、その成果を企業価値の向上につなげます。併せて、DXを安全・安心な環境で推進するため、セキュリティ体制の強化にも取り組んでいます。
1.攻めのDX : データ活用により、迅速かつ高度な意思決定を実現
社内外のデータを収集・加工し、可視化・共有・意思決定までを一貫してつなぐダッシュボードの構築・活用を進めています。従来分かれていたプロセスを見直し、データをタイムリーに活用できる環境を整備し、データ収集から資料作成・共有までの工数を削減するとともに、意思決定の迅速化と精度向上を図ります。
2.支えるDX : 生成AI活用により、業務効率と生産性を向上
生成AI「YuMe*ChatAI」の活用を通じて、日常業務の効率化と生産性向上を進めており、文章作成・要約、問い合わせ対応、業務手順の確認等、幅広い業務で活用を進めています。
また、グループ会社へ展開し、業務効率化事例の蓄積と横展開を通じて、継続的な改善と新たな価値創出につなげています。
3.拡げるDX : 共通基盤により、組織横断の連携と一体感を強化
共通のポータルサイト「YuMe*Portal」を構築し、グループ経営方針や当社各部門・グループ会社の取組みを共有する基盤として活用を進めています。社長メッセージ、部門ポータル、社内SNS等を通じ、経営方針や各部門の取組みをタイムリーに共有し、知見や事例を共有する双方向のコミュニケーションを促進することにより、組織全体の変革実行力を高めています。
4.守るDX : セキュリティ強化により、安全・安定的な事業運営を実現
DXを推進する前提として、セキュリティリスク低減と事業継続に向けた取組みを強化しています。サイバーインシデントを未然に防ぐため、グループITガバナンスを推進し、セキュリティアセスメントによる評価・改善に加え、標的型攻撃メール訓練による意識向上と対応力強化、セキュリティ教育を進めています。
また、インシデント発生時への対応として、CSIRT※を中心とした対応体制の構築、監視・対応計画の策定、IT-BCP訓練の実施等を行なっています。リスクを可視化し、対応手順を確認・改善することで、サイバーリスクの低減と安全・安定的な事業運営を図っています。
※企業や組織内で情報セキュリティ上の問題(インシデント)が発生した際に、被害の最小化、原因究明、復旧支援、再発防止策の実施等を担う専門チーム
④ 事業戦略の進捗
ア.目標とする経営指標に対する進捗
目標とする経営指標に対し、「Next Design 2030」の初年度となる当年度の進捗状況は以下のとおりです。
資産売却を除く調整後ROEは5.8%でした。2030年度の目標9.0%の達成に向け、「Next Design 2030」の戦略・施策を着実に進めます。

2030年度の営業利益目標350億円に対して、2025年度の営業利益実績は182億円で、期初計画の190億円を下回りました。主な要因は価格改定により利益率は高くなった一方で、想定以上に物量が減少したためです。ただし、上期に減少した物量が下期には回復基調となっていることから、年度後半は前年対比で増益となっています。
「Next Design 2030」の重要な「7つの戦略課題」に関するKPIも、取締役会にて進捗を確認し、計画達成に向け、課題の分析や具体的な対応施策についての検討を行なっています。2025年度は国内・海外ともに期初計画を下回りましたが「Next Design 2030」のテーマである「アセットの大変革」は着実に実行しており、事業ポートフォリオ変革を推進し、目標とする経営指標の達成に努めます。
※セグメント別の収支分析は4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析をご参照ください。

イ.事業戦略:海外戦略
事業戦略上ポイントとなる海外戦略については、KPI達成に向けて2026年度も更なる収益拡大に取り組んでいます。
機能性素材は必要な原材料確保に目途が立ち、今後、市場参入・拡大により、大きく成長可能なカテゴリーと考えています。
粉ミルクは2025年4月から雪印オーストラリア㈱の製造部門をBega社との合弁事業に移管し、ファブレス化を進めています。また、同時に雪印ビーンスターク㈱群馬工場でCodex規格品の生産体制を整え、国産品による海外展開で粉ミルク事業の再拡大を進めます。
チーズは雪印メグミルクインドネシア㈱での生産体制の最適化と独自性の高い業務用チーズのインドネシア国内での拡販、さらに輸出の拡大を図ります。
ベトナムでは2026年6月よりプロセスチーズ工場が稼働する予定です。先行して進めている日本製品の輸出販売と合わせて、現地営業体制の構築及びユーザー開拓により販路拡大を進めています。

⑤ キャッシュアロケーション、資本政策、資産効率改善の進捗
ア.キャッシュアロケーション及び投資方針
「Next Design 2030」におけるキャッシュアロケーションに基づき、投資方針は投資の目的に応じた「基盤投資」、「フロンティア投資」、「戦略投資」の三つのカテゴリーに区分し、投資配分を設定して、個々の案件を決定しています。
また、企業としての成長を加速し、調整後ROE9.0%の早期達成に向けた有効手段として、当社グループとのシナジーや事業領域拡大が見込まれる分野等に対し、積極的にM&Aを活用します。

イ.株主還元及び資本効率改善について
財務の基本方針として、財務の健全性を維持したうえで、営業キャッシュ・フローやBSマネジメント、有利子負債活用によって基盤・成長投資を実施し、安定配当と機動的な自己株式の取得を行ない、株主還元も強化します。
資本政策では、株価、資本構成の状況や成長投資資金需要を考慮しながら、資本効率向上に向けて、機動的に自己株式を取得します。2025年度は200億円の自己株式の取得を実施し、全額消却しました。2026年度も、今後のキャッシュ・フローを踏まえ、100億円の自己株式取得枠を設定しています。
また、配当方針として、配当下限を100円に設定し、資産売却益を除く配当性向は40%以上としています。資本構成は、ネットD/Eレシオ0.5を目安とし、投資の状況に合わせ段階的に最適化します。
資産効率の改善により、2021年度に20%以上あった政策保有株式の純資産比率は、2025年度には8.9%へ縮減しました。今後も工場再編や本社移転等により遊休となった資産は基本的に売却し、アセットライトを進めます。

(3) 次期の経営環境及び優先的に対処すべき課題
今後のわが国経済の見通しにつきましては、景気は緩やかな回復基調にあるものの、中東情勢の影響や米国の通商政策をめぐる動向を注視する必要があります。また、金融資本市場の変動等が国内に及ぼす影響に十分注意する必要があります。
食品業界においては、インバウンドや個人消費の持ち直しによる外食需要の増加や、健康志向の高まりによる高付加価値商品の開発等で堅調な市場拡大が期待されます。一方で、原材料価格や輸送コスト等の上昇といった厳しい経営環境が継続することが想定されます。
酪農乳業界においては、価格改定の影響等により、牛乳類の消費量は前年を下回る状況が続いています。一方で、2026年度は生乳生産量の減少が見込まれ、脱脂粉乳の生産量は前年割れに転じる見込みであるものの、需要低迷により在庫数量は増大することが見込まれています。
そのような環境下において、当社グループは「Next Design 2030」の2年目にあたる2026年度の経営方針を「BEYOND BORDERS.」とし、以下の重要な施策に取り組みます。
